人と出会う、ということ(4)

そんなワケで、自分は半年間休職した。

何やかんやあって復職したけれど、ほぼ寝たきりに近い毎日を過ごし、食欲の減退で大したものも食べられなかったため、半年の間にすっかり筋力が衰え、ちょっと歩くだけでもひと苦労。
その上、体調管理の名目で、ノー残業と引き換えに、給与を下げられた。泣きっ面に蜂状態。

ただ、多少の無理はしないと、ホントにこのまま仕事を辞めないといけなくなるし、何より看病してくれた嫁さんに申し訳が立たない!

そこである時、腹をくくった。

「無用な我慢や遠慮はもう捨てよう!」と。

人間、生きていく中で、必要以上に我慢や遠慮をしてしまいがちだ。

では、それで物事は上手く回ったか?
いいや、答えは概ねNOだ。

勿論、いい結果になることもある。
でも、心のどこかで引っ掛かるものが残る。

それなら最初から我慢や遠慮をしないでぶつかって、それで駄目なら次の手を考えればいいし、うまく行ったなら万々歳だ。

何より、それが己の自信に繋がる。

心を病んでしまうと、自己否定のループにはまり込んでしまう。
そうなると、「自分は何も出来ない、無力な人間なんだ…」という思いが自己暗示的にどんどん強くなってしまい、悪化の一途を辿ってしまう。

それからというもの、薬による治療と定期通院をしながらではあるけれど、少しずつ、物事がいい方向に転がり始めた。

かつて在籍していた会社に、ダメ元で営業をかけたところ、当時の先輩はゼネラルマネージャーにまで登り詰めており、一緒に働いていた頃と同じように、明るく気さくに接してくれた。

その中で、ある版権キャラクターのアートに関する話となった際、偶然にも、そのデザインワークをウチの会社がやっていたので、即座に新規案件へと繋がった。

そこから他の担当者への紹介に次ぐ紹介で、新規案件は数珠繋ぎ。
その流れで、新商品の企画を依頼され、提出したもののひとつが採用に至り、しかもそれが自分の出した企画という、嘘みたいな話にまで至った(ちなみに現在、鋭意開発中)。

それ以外にも、先の版権キャラクター絡みで、その版権を管理している企業からお声がかかり、直接取引をさせていただくことになったり。

他にも、本来ライバル同士の企業を繋げたコラボ企画実現など。

これらの諸々は、下手な遠慮や我慢をしていたら、おそらく形になっていなかっただろう。

勿論、色々なタイミングがうまく噛み合ってこその成功なのはわかっている。
でも、昔の自分だったら遠慮や我慢をしてしまい、ここまで具体的な形にはできていなかったとも思っている。

人は40を過ぎても変われるんだ!!

そのようにして、気持ちが前向きになって、色々な面で余裕が出来た頃、ふと思い出した。

そうだ!帯広選手が所属している我闘雲舞の試合は、定期的に通勤経路の途中にある駅の近くでやっていたっけな。
じゃあ、プロレス好きだし、一度観戦しに行ってみるか!!

って……あれ?現在欠場中、だって???

(つづく)

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