見出し画像

全員が経営者意識を持ち、「全員参加型経営」を実践する老舗メーカー、株式会社バーテック代表、末松仁彦さん

■末松仁彦さんのプロフィール■
1981年生まれ。関西学院大学、総合政策学部卒。工業用ブラシメーカーの3代目オーナー経営者。2004年バーテック入社後、営業、開発等の仕事を担当し、2008年、27歳で同社代表取締役就任。「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の、心と技術における進化発展に貢献する」という経営理念を重視した、全員参加型の経営に取り組んでいる。盛和塾<大阪>所属。FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定証保持者(フェロー)。

記者 株式会社バーテックの社長として3代目を継いでらっしゃいますが、ご自身の中で葛藤とかはありましたか? また、事業継承をどのようにされたのかも教えていただけますか?
末松仁彦さん(以降、敬称略) 株式会社バーテックの3代目としてどういう人生を送ろうか、大学のときにすごく悩んだことがあって、将来的に会社を継ぐとしても、どんな形で継ぐのかを考えていました。
私の大学は関西学院大学の総合政策学部で、みんなが主体的に社会に貢献していくことを学びました。ものづくりの会社でこれからどう発展していくか、大学で視野が広がって、ビジネスだけでなく、社会には環境問題などたくさんの問題があることを知り、将来、社会問題を解決する仕事をしたい、社会企業家になりたいと思いました。

事業継承についてですが、世の中に事業継承されてる多くの方は、10年、20年社会へ修行に出て、会社を継ぐ人が多いんです。大学時代、そのような事業承継をされた方に何名か、お会いする機会があったんですが、あまり輝いてる人がいなかったんです。でも別の方から、大学時代から自社の仕事を手伝って、卒業したらすぐに入社して、早い段階で社長を交代して、社員みんなと一緒に成長していっているのを聞いて、自分も早い段階で社長を交代して会社を継ぐのがいいと思いました。

父は2代目ですが、18歳のときに創業者が病気でなくなってしまい、とても苦労したことから、取引先、社員に迷惑がかからないように、計画的に事業承継していくという考え方がありました。私が27歳のときに、父が会長、私が社長という2体制で10年間私を育てながら伴走してもらい、昨年父が退任し、私が今、社長をやっています。

記者 社長として会社を経営するなかで、社会起業家になりたいというビジョンはどう変化されたんですか?
末松 実は、ここ数年で、会社のビジョンと社会問題の解決が1つにつながってきてすごく楽しいです。ただブラシを作って売るだけではなく、ブラシを使って働く人をハッピーにしていきたい。仕事の目的意識が高まることで働き甲斐を感じ、会社を超えて社会の役に立っていく。働いている人を元気に笑顔にしていきたいと思っています。

記者 素晴らしいですね!本業と社会問題の解決の方向性がつながったのは、どんなきっかけだったんですか?
末松 5年前から毎年、全社員で1泊2日の合宿をやっていて、会社のビジョンと個人のキャリアビジョンをつくるんですが、この合宿を通して、大学のときからやっていきたいことが、ひとつに合わさったんです。SDGsを通して社会課題を学ぶことで、どのように社会に貢献できるか全員で話し合いました。働く人を元気にしてよりよい社会をつくっていく。働く人を元気にしていきたい。10年前に社内で社会の問題のことを言っても、目の前の仕事をどうにかしないとって言われたと思うんですが、視座というかみんなの関心、意識レベルも上がってきて、よしやるぞってなってきています。社内でも熱く話ができて、仕事をしていてすごく楽しいです。社内にもお客さんにも同じように、働く人を元気にしてよりよい社会をつくっていきたいって話ができるようになりました。より公共性、社会性の高いビジョンを立てることでより多くの人に共感してもらえるようになりました。

記者 事業継承するだけでなく、全社員が主体性を持って経営者の意識で向かっていく方向性が作られて、より進化している感じですね。
末松 事業承継してて苦労している方は、守り中心になっていて、こうしたいという方向性が見つけられてないことが多いと思います。共通の目標をもって、お客さん、取引先、社員を巻き込んで一緒にやっていこうという関係を築き始めています。
意識改革もお客様へ同時におこなっていて、現場に商品と働き甲斐が一緒に提供できることが大事だと思うので、働き甲斐などを話すことが多いです。学校で罰掃除とか、掃除の仕事ってやらされ感があると思うんですが、そこにすごく価値のある大事な仕事をしているという意識改革をすることで、それまで言われることだけやっていたけど、自ら主体的に動くようになったとか、そういう変化をつくっていけるようにしています。

記者 日々気をつけてらっしゃることはありますか?
末松 バーテックの経営理念をどのように、日々、どんな心構えで仕事に向かってほしいのかを書いたバーテックフィロソフィーがあるんです。京セラフィロソフィーを参考にして作成したもので、それをどのように実現していくのかを、社員に毎朝発表してもらってます。ここにかなり力を入れていて、採用するときもこのバーテックフィロソフィーに共感できるかどうか最終面接で確認しています。

記者 バーテックフィロソフィーの理念を実践につなげるために工夫していることはありますか?
末松 しくみ化しています。全社員がグループに分かれて勉強会をやったり、対話を大切にしていて、毎朝の朝礼で実践事例を社員に発表してもらい、周りの社員や社長がフィードバックを行い、理解と実践レベルを高めるよう工夫しています。ガラス張り経営として給料情報以外は売上など経営状況もオープンにしてわかるようにしています。社員との信頼関係。目の前の仕事が何の為にやってるのか、などを考える機会をつくって、それを年1回経営方針発表会のような事業発展計画発表会を開催して、銀行さんなどに来てもらってみんなが発表していく。ビジョン共有の機会。家族感謝会など、健康系でスポーツもやったりしてます。

記者 株式会社バーテックに入って自分の会社だと愛着を持った瞬間などはありますか?
末松 高校の時からスーツ着て営業の社員に同行して、取引先の会社に連れていってもらったり、みんながどんな感じで働いているのか、バーテックの商品が現場でどんなふうに使われているのか、現場で見せてもらえたのがいい経験でした。社員の人たちのおかげで育ってこれた実感もありますし、大学のときに仕事の意義目的とか方向性が実感できたのも、すごく大きな経験でした。

今自分がいるのは、バーテックのおかげだっていうのが実感できたり、社会にとって価値ある仕事をバーテックがしていることを感じられたのがすごく大きかった。恩返ししていきたいと強く感じてます。

2018年度、働きがいのある会社ランキングでベストカンパニーに選出された
(末松社長と前会長)

記者 どんな美しい時代をつくっていきたいですか
末松 僕の中では現在と未来があって、楽園のような未来があってそのために今、現在があるというイメージではなくて、今現在に感謝して幸せを感じられるのがすごく大事かなと思っています。一期一会って今この瞬間を大切にしていく感覚で、それに感謝して大切にしていく価値観を多くの人が持てば、もっといい世の中になると思います。

記者 ありがとうございました。社会貢献と会社の理念がつなかって、まっすぐな生き方をされてらっしゃるのが、とても伝わってきました。常に進化し続ける経営の今後の展開が楽しみです。これからも益々のご活躍、楽しみにしています。本日は、お忙しい中お時間いただきありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

末松仁彦さんの情報はこちら↓↓↓
●株式会社バーテック https://www.burrtec.co.jp/
●ニュースリリース「働きがいのある会社、ベストカンパニーに選出」https://www.burrtec.co.jp/news/news.php?news_id=359

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

≪編集後記≫
本日、インタビュー担当した泊です。まさにシンプルな生き方を体現されてらっしゃるのを感じていました。会社という組織全体がひとつの家族のように、全社員が主体的に経営者として関わってらっしゃる団結力のあるすばらしい会社ですね!今後の益々のご活躍をお祈りしております。ありがとうございました。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。