架空ラーメン③東小金井 卒業ラーメン

卒業式に生徒にラーメンを振る舞う先生がいるということで東小金井のとある高校に行ってきました。

なんでも、昨今の黒板アートや生徒に向かっての感動系の熱いメッセージに嫌気がさしたとある担任が

「ラーメンの方がよくない?」

という軽い気持ちでラーメンの修行を始めたのがきっかけ。

始めたばかりの頃は生徒から卒業式にラーメンとか意味わかんない、そもそも美味しくないと非難轟々だったのですが、今では先生の卒業ラーメンを食べるために入学する人もいるくらいのラーメンの腕前に上達。

ありとあらゆるラーメン屋の味を盗み、ゴミ捨て場を漁り、利き腕に湯ぎりを移植し、あらゆる山に籠り、熊という熊を倒し、滝という滝を浴び、極めた「卒業ラーメン」

しかし問題点が一つ。

自分は40歳のラーメンレポートを生業にするライター、若干ハゲかけてきているおじさん。

学生でもなければこの卒業ラーメンのクラスの人間でもないということ。

当然この担任のクラスの生徒でなければ卒業ラーメンは食べられない…どうしたもんか?

潜入?

強奪?

爆破? 

入学、転校、編入?

このラーメンが食べられないならレポート業を引退してメルカリでオリジナルのアダルトグッズを販売して生計を立てるか、、、

そう思っていた時に吉報が。

なんでもこのクラスにバイクを愛し、バイクに愛された男、フルフェイス京一(18)という生徒がいるらしいのです。 愛車はカワサキのニンジャ。

このフルフェイス京一、入学の頃からフルフェイスのヘルメットを被り続け、誰も素顔を見たことがないらしいのです。で、で、卒業の時に素顔公開というプチイベントが控えているとのこと。

自分が偽フルフェイス京一として出席すれば良いのでは…

そう考えた僕は早速フルフェイス京一を監禁。
実家の梅干しを保存してある地下倉庫にちょうど鉄の処女があったので針が刺さらない程度に蓋を閉めます。騒いだら蓋が閉まるからね、と一言添えて自分がフルフェイスを被り学校へ向かいます。

卒業式当日、偽フルフェイス京一としてなんとかラーメンにありつけました。確かにこんなに美味しいラーメンなら入学してもいいかも、そう思える味でした。
初めて一蘭を食べた時くらいの衝撃でした。

そしてフルフェイス京一の顔出しイベントが始まる前に窓ガラスにダイブして校外に脱出→
本物のフルフェイス京一を解放→1万円を渡して京一に今回の入れ替わりの件を黙っててもらう という流れがありまして…

美味しいラーメンが食べられるなら人は鉄の処女をも使うのも厭わなくなる、自分の成長が感じられた今回のラーメンレポでした。






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