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BONE MUSIC展に行ってきた

4月27日から表参道Ba-Tsu Art Galleryで始まったBONE MUSIC展に行ってきました。

公式サイトによるとBONE MUSICとは

『冷戦時代のソビエトで本当にあった出来事。国家から聴く事を強く禁止された音楽があった。音楽を愛してやまない人々は、それをどうしても聴きたかった。 そして何とレントゲン写真に録音してレコードを作る事を発明した。それがボーン・ミュージックの始まりだった』

という事で、なぜレントゲン写真がレコードに?と興味を持って見に行くことにしました。

会場は原宿駅と表参道駅の近くです。

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会場に入ると独特のノイズがのったボーンレコード音源が流れ続けています。入ってすぐのところにボーンレコードの実物がずらり。

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欧米の音楽が禁止されてブートレグの需要が高まるソビエト。普通のレコード素材は手に入りにくく、燃えやすいレントゲン写真は一定期間で廃棄するために余っていたという社会背景の中で生まれた苦肉の策のボーンレコードですが、その造形は眺めているだけで不思議な感覚を呼び起こします。

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当時のボーンレコードを作っていた部屋の様子を再現した一角も。
秘密の工房的な感じでカッコイイとか思ってしまいますが、いつ逮捕されるとも知れぬ中でレコード制作していたとは現代からは想像がつきません。

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同時代で関連する様々な展示もたくさんされていたのですが、興味深かったのはボーンレコードが無くなってしまった一つの大きな原因となった、磁気テープのブートレグです。新しいテクノロジーが古いテクノロジーを駆逐するのは世の常です。

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当時の雑誌記事や、演奏禁止曲のリストも。

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原盤となったレコードやカッティングマシンも展示されています。

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国家に規制されたり、記録媒体が無い、というのは現代では考えられない出来事です。しかし個人の音楽への欲望と、テクノロジーのせめぎ合いは今でも地続きの話です。
自分が聴きたい曲をググって探し、YouTubeのいわゆる「違法」な音源にたどり着くのは良くあると思います。
音楽と法や規制についても考える良い機会になりました。


今回、この展示を知ったのはDOMMUNEでBONE MUSIC展にちなんだ特集をしていたのを見たのがきっかけです。

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司会の都築響一さんとゲストで出演した今回の展示のキュレーターが、当時の社会的事情や技術的背景などをかなり深く話していて、とても良い予習になりました。

また、実際にカッティングマシンを使って、ゲストミュージシャンの演奏をレントゲン写真にライブレコーディングするという試みも面白かったです。

ちなみにゲストミュージシャンとして出演した和田永さんが六本木アートナイトの告知した際にプロジェクトを手伝っている自分の写真がDOMMUNEの画面に見切れて、思わずスクショしました 笑。うれしい。

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会期は5月12日までなので、興味を持った方はぜひ見に行ってください!

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