アパートの一部屋に明かりが灯っていて、洗いざらしたパーカーが擦りガラス越しに影を作る。

ぼやけた輪郭の向こうにある、人の気配のようなものから、私は必死に、その人自身を見ようと目を凝らしている。
そうして、まるで分かったような気で、その人のことを語るのだ。いや、騙るのだ。

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