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【回顧】NHKマイルカップ2022

波乱のレースとなったNHKマイルカップ2022

5月8日の東京メインレースはG1・NHKマイルカップが開催されました。3歳マイル王決定戦のこのレース、過去も三連単150万馬券が出る大荒れの結果になりました。ことごとく馬券は外したわけですが、次回につなげるための回顧をゆるっと行っていきます。

買っていた馬券とレース結果

レース前の予想で私がつけていた印と購入馬券をまずはご紹介します。


<事前予想>
◎インダストリア(レーン)2番人気
○マテンロウオリオン(横山典)3番人気
▲ダノンスコーピオン(川田)4番人気
△セリフォス(福永)1番人気
△タイセイディバイン(松若)10番人気
△ジャングロ(武)6番人気
☆ソネットフレーズ、アルーリングウェイ、ダンテスヴュー

<馬券>
本命インダストリアの単複、インダストリア軸で印にワイド広め


レース結果を知っている方からすると「あっ・・・」って感じの馬券ですね。印を厚く打った馬が1〜4番人気の人気馬で、あまりここまでカチカチの予想をすることはないのですが、それだけ予想が難航したレースでした。

レース結果と振り返り

<レース結果>
1着 ダノンスコーピオン(川田)4番人気
2着 マテンロウオリオン(横山典)3番人気
3着 カワキタレブリー(菅原明)18番人気


最低人気のカワキタレブリーが上がり2位の末脚で突っ込んできて3着に健闘し、150万馬券という結果に。NHKマイルカップは例年から荒れやすいレースではありましたが、今年も例に倣った決着となりました。
出走馬たちはまだ3歳の若駒たちですし、高速決着になりやすいマイル戦では隠れた素質を持った伏兵が激走するケースは多々あります。とはいえ18頭立ての18番人気の馬が来るとは・・・。
しかし、1着〜5着までの5頭の内訳は1〜4番人気馬+18番人気馬。カワキタレブリーの大波乱以外は固いところで決着したレースとも言えますね。

レース総評

東京レース場は曇り。馬場は良馬場の発表でした。
決着タイムは1:32.3。ここ10年のNHKマイルの決着タイムの平均は1:32.8なので、少しだけ早い決着です(ただ、2012年のレースがスロー決着になって平均タイムを遅くしているのでそれを含めなければ平均的なタイムかなと思います)。
東京レース場は長い最終直線で後方からの差し追込が決まりやすいコースではありますが、今回のレースも後ろから追い上げた馬たちが良い結果を残したレースでした。特にマテンロウオリオンの後方一気。展開が向いたのもあるでしょうが、馬の力とそこにかけた鞍上の素晴らしい判断の賜物だったと思います。
逃げてレースを引っ張ると思われていたジャングロが盛大にゲート事故、大出遅れをしたことで他の逃げ先行勢は思ったより前につけることになり、最初でスタミナを使わされてしまったんでしょうかね。道中の通過ペースがミドルペース〜やや早めくらいで推移したことで、中団より前でレースをした馬たちは持続力とスタミナを問われたように思います。前が苦しい展開の中で最後まで足を使えた勝ち馬のダノンスコーピオンの地力が抜けていたような印象を受けました。

1着 18インダストリア 川田騎手

大外18番からスタートし勝ち切ったダノンスコーピオンくん。前述の通り後ろから行った馬たちが上位に突っ込んできている中、中団若干前めの位置につけて1着になったのは馬のパワーが違ったなと思います。血統はお父さんがロードカナロア。前走アーリントンカップから連勝でG1初勝利となりました。今回は上がり3位の34.3のタイムでゴールしました。ここまで6戦していますが、そのうち5戦で上がり3位以内を出している末脚自慢でもあります。今回私はインダストリアを本命にしていましたが、正直パドックを見て「うわ強そ〜〜〜」と思ったのはこのスコーピオンくんでした。ちゃかちゃかしてる子が多かった中、とても落ち着いていましたね。汗もかかず涼しい顔をしながら悠々とパドックを回っている姿は見るからに走りそうでした。
スタートも上手に決まり、最初のコーナーのあたりで川田騎手がうまい位置につけました。最終コーナーまで内側にソネットフレーズかセリフォスを置いた状態で、距離ロスを最小限に抑えたルート取りでした。最終直線で外に持ち出して前が開いた状態で加速しました。その時点で他の先行勢とはギアが違う走りでしたね。伸び始めの時にタイセイディバインと接近しちゃいましたが、減速せずにぐんぐん伸びました。映像を見た感じ川田騎手が鞭入れたのは残り200m付近?追っているだけで先頭集団まで楽に飛ばしてきた感じがしました。強い競馬でしたが、距離延長や馬場が渋ることがあれば目一杯になってしまいそうな感じもします。次走がどうなるか注目したいです。

2着 1マテンロウオリオン 横山典弘騎手

1着のダノンスコーピオンと真逆の1枠1番に入ったオリオンくん。NHKマイルカップと好相性のダイワメジャー産駒です。今回で5戦目ですが、全戦連帯している堅実な成績を残しています。ギリギリの勝ち負けをしている印象なので連対率100%なのはちょっと意外に思いました。前走はジャングロと競り合いギリギリ2着。その時は後ろから一気に突き抜けてくる競馬をしましたが、今回の本番でも全く同じ作戦を上手に決めてきました。かっこいいお名前と大きな流星、ちょっとピンク色のお鼻が可愛くて個人的にとても好きな子です。パドックも特にマイナス要素なく、優等生でした。
前走を見た感じ、距離は1600mがギリギリなのかなと感じていました。中山競馬場だった前走から、今回はタフさが必要になる東京1600なので、正直スタミナがギリギリかな・・と思い、評価を下げて対抗を打っていました。1番に入ったことでスムーズに先行してくるかなと展開予想をしたのも理由の1つです。今回はスタートの瞬間バッチリよそ見をしていてちょっとだけ出遅れたような感じに。カメラ目線で可愛かったですが、映像を見ると典さんがゲートの中で手綱を短く持っていて、出負けしたのと加えて少し下げてセーブさせる競馬を選んだ感じがします。お得意のポツン展開(今回はさらに後ろにジャングロがいましたが)でしたが、無理に行きたがる素振りもなく悠々と走っています。最内を回って距離ロスは全くないまま最終コーナーで外に持ち出しました。上がり催促の33.5で最終直線をかっ飛ばしで2位まで突っ込んできました。最初エンジンがかかるまでもたついたかなと思いますが、同じく最後方を走っていた3着のカワキタレブリーと併せ馬の構図になり、2頭でぐんぐん加速して外から伸び切りましたね。実力のある子だと思いますが、今回は作戦と展開もバッチリハマった感じがあります。ただ、やっぱり距離はギリギリなのかも。ゴールの瞬間くらいで加速が止まったように感じました。

3着 10カワキタレブリー 松若騎手

今回の大判狂わせ、最低人気18番人気だったカワキタレブリーが堂々の3着に入着しました。さすがに予想できませんでしたねこれは。おそらく3連系の馬券が当たった方はほとんどは相手全流しだったのではないでしょうか。今まで買ったのは新馬戦と1勝クラスのみ、重賞は11着などとお世辞にも他の強豪を抑えて激走してくる馬と予想するのは困難でした。買えない要素としてさらに拍車をかけたのはパドックの様子でしょう。正直あまりしっかり見ていなかった子だったのですが、なかなか大暴れしてました。口の周り、ハミの周辺が白くなっていたり落ち着かなかったり(別のかたの回顧では馬っけが出ていたとも。私は気づいていませんでした)。レース直前までのオッズでは抽選を通過してきたダート馬・セイクリッドが最低人気でしたが、発送目前で逆転しこちらが最下位になったのはそんな大暴れパドックを見て馬券を変えた人が多かったのかもしれません。
スタートではこの子も出遅れ。無理に前に行かずに後ろから4番目の位置で内側を回ってレースを進めました。これまでのレースでは先行作戦がほとんどだったので、結果として後方有利になった今回のレースで松若騎手が後方待機を選択したのは英断でした。
最終コーナーで後ろから追い上げてきたマテンロウオリオンが真横に並び、直線に入るとレブリーくんはオリオンくんをガン見。これも結果的に上がり最速のオリオンくんに併せ馬のように並走しながら加速。上がり2位の末脚を繰り出して3着となりました。オリオンくんがいい目標になって、これまでこれまで発揮していた以上の力が引き出されたような。ただ、次も今回のような走りができるかは判断が難しいです。展開が向いたのは確実に好走の一因ではありますが、フロックだとしてもこの走りができる地力があるということ。次走どのような走りをするかに注目したいと思います。


4着 4セリフォス 福永騎手

1番人気となったセリフォスは4着に敗れました。ドウデュースに迫った昨年末の朝日杯2着から、約半年ぶりのレースとなった点を私は不安視していましたが、結局その不安は当たってしまいました。皐月賞3着馬と戦えるのだから馬自体の能力は十分あると思いますが、直行ローテで勝負勘やレースの感覚から遠ざかっていたのでしょうか。
人気馬でありながら、実はパドックの印象があまりないんですよね。スタートダッシュはうまく決まりましたが、それによって逃げ勢のすぐ後ろ、かなり前めの位置につけることになりました。1番のマテンロウオリオンが前に行かなかったのもあり、内枠でスッと前に出た印象です。最初のコーナーの手前から、かなり馬が前に行きたがってジョッキーがブレーキをかけようとしているように見えます。終始前の方で進め、最終直線では最内をついて最短距離で突っ込んできましたが、残り200あたりで止まってしまったよう。福永騎手は周囲に馬がいなかったことで伸びきれなかったと回顧していますが、2着馬3着馬を見るとそれも一因だったかもしれません。

5着 11インダストリア レーン騎手

今回の私の本命でした。これまで戦ってきた相手はあまり強くなく、疑問視されつつも・・というところでしたが、トップスピードを保って最終直線を駆け抜けるためにスタミナが必要だという予想のもと、前走で2000m重賞を好走しているところを高く評価しての本命。
ただ、レースを見ていると1600よりはもう少し長めの距離の方がいいのかなと感じました。
道中はうまく内側に入れず、ずっと外を回されていた印象があり余計な体力を使わされたように見えます。最終直線に入ってからのエンジンのかからなさも気になりました。奇しくも直線に入った段階で目の前にダノンスコーピオンがいましたが、あっという間に離されていきましたね。残り200くらいでやっとエンジンがかかった感じで、ちょうどそのタイミングで横をマテンロウオリオンとカワキタレブリーが駆け抜けていき、その2頭に引っ張られるように最後伸びた、という印象。ただこのまま走っても上位3頭はおろか、セリフォスも抜けないなというゴール前でした。5着に入れたのも、逃げていたキングエルメスとトウシンマカオがバテて減速したおかげでしょう。
レース中に怪しいなと思った点はいくつもありましたが、一番やばいかもと思ったのはパドックですね。よだれダラダラで歯をカチカチしながらそわそわ・・・。首も下がって力のない感じ。関東馬なので輸送は大きな影響はなかったのではと思いますが、久々にパドックで本気で不安になりました。その不安は的中。パドックを見て馬券を変えるといつも後悔するのでそのまま行きましたが、これは危険なサインだったな、と反省材料です。

7着 13ジャングロ 武豊騎手

今回のNHKマイルカップで最も注目したいのはこの馬です。スプリンター適正、前に行きたがる性格、前走のギリギリ感で、正直善戦してもなかなか馬券内は難しいんじゃないかな、と予想していました。
ハナを切って逃げる、このレースのペースと展開を左右する馬として注目されていましたが、スタート直前ゲートにぶつかって大出遅れ。逃げ馬ながら最後方からの競馬をすることになりました。
レース前から武さんが「前に前に行きたがる馬なのでどうにかペースを抑えていきたい」とおっしゃっていましたが、いつもロケットスタートの馬なのでその勢いでゲートに激突した感じですね。
ただ、ゲートの開くタイミング自体がいつもよりワンテンポ遅かった気がします。気のせいでしょうか。ジャングロくんが自らゲートに突撃したようにも見えますが、ゲートのタイミングを読んでジョッキーもロケットスタートを決めようとして失敗したのかも?と思ってしまうような綺麗な激突でした。
結果的に後ろから追い込むレース展開になりましたが、控えた競馬ができたこと、前に行きたい性格で激突出遅れをかましても走る気力を失わず、最終直線全力で走り切ったこと。上がり2位で3着馬カワキタレブリーと同じタイムで突っ込んできたいたことは大きく評価できると思います。
逃げたい馬は出遅れたり顔をぶつけたりするとやる気がなくなることも多々ある中、勝ち気で最後まで諦めずに走れる戦闘民族感溢れる姿勢は、次回以降も応援したいと思いました。
馬としての本質、最適な距離はやはりスピードを活かせるスプリント路線な気がしますが、マイルでも善戦できるスタミナがあることは前走と今回である程度わかったと思います。ハナを無理に取らなくても番手の競馬ができるかもしれませんし、今後は作戦の幅や勝ちを拾える展開が増えていくのではないでしょうか。藤田オーナーの最初のG1馬になるかもしれませんね。


次週の注目レース

さて、馬券は見事に大外れしたNHKマイルカップでしたが、競馬は来週もまたやってきます。次のG1レースはヴィクトリアマイルですね。ヴィクトリアマイルは個人的にはNHKマイルカップをはるかに超える大荒れレースだと思っているので、勝負レースにするには少し怖いなと思っています(笑)

特に今年のヴィクトリアマイルはすごいメンバーですね。現役最強牝馬全部乗せ欲張りセットと言っても過言ではないでしょう。あまりにもオールスターすぎて、今回以上に難解なレースになるでしょう。頑張って予想したいと思います!

<注目レース 土曜5/14>

  • 東京7R 日吉特別

  • 東京11R 京王杯スプリングカップ

  • 中京9R あずさ賞

<注目レース 日曜5/15>

  • 東京10R 青竜ステークス

  • 東京11R ヴィクトリアマイル

  • 中京11R 栗東ステークス


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