ロック魂

四年ほど前から
私は随分と冷たい人間になった。

人の不幸や不運、死に対して涙を流さない。
私の涙の出番は
面白すぎて笑い転げだ時と、嬉しくて幸せな時やって来る。

が、先日、縁もゆかりもない、全くの他人の、ネット動画でしか見た事がなかった若い男の子の突然の死に触れて、泣いた。

さあ!これからだぜ!楽しみだ!
そんなふうに期待してい。

その訃報を目にして
「ホント、命って簡単に消えるな」と泣いた。

これがあの子の寿命だったのだ。
そんな事は分かっていても
勝手に期待してわくわくしていた分の反動が、ブーメランの様に頭にガツンと返って来た感じだった。

長く生きる事が幸せでもなく
短命が不幸でもない。
そして何故、今なのかなんて誰にも分からないから考えるだけ無駄なのだ。
彼が19年の人生をかけてやりたかった事は、きっと叶ったのだろう。

無念だろうとか、心残りだったに違いないだとか、そんなのはまだ生きてる人間が、自分に置き換えて言ってるだけ。

私はただただ、残念だった。
彼がバンドのボーカルとしてステージで歌ってる姿を見たかった。
本当に見たかった。
わくわくしていた。

が、それが断ち切られた。

見たかったよ。見たかった。
そう呟きながら泣いていた。

『ロックスターの魂がある』
既にロックスターであるあの人に
そう言わしめた彼。
容姿も立ち姿も言動も、そして通る声も兼ね備えていた彼。

こんな残念な事ってあるんだな、とその日は1日沈んだ。

冷たくなった私の心をあんなに揺さぶって熱を持たせてくれた彼。
やはり、ロックスター魂のあるスゲ〜奴だったんだなぁ。

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