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2021年1月9日 藤井風 HELP EVER HALL TOUR ネタバレだらけのライブレポート

2021年1月9日。
藤井風の初のホールツアー、HELP EVER HALL TOURに参加してきた。その感想を、このnoteに綴ろうと思う。アホみたいに長い、独り言多めの完全自己満レポである。あの日の感動を忘れたくないので、ライブの内容から私自身の細かい心情まで全て書き残した。セットリスト及び演出のネタバレがこれでもかというほど含まれているので、これからライブに参加予定の方は絶対に読まないでください!(前情報なしで見たほうが絶対に絶対に楽しめますので!)(ホールツアーが終了したので目次にセトリを追加しました)

序章

ライブの最中、風くんが何度も口にした”miracle”という言葉。この言葉の意味は重い。なぜなら、このライブの2日前に、コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令され、ツアーを続行できるのか、そもそもライブに参加しても大丈夫なのか、誰もが不安に思っていた中、ライブ前日まで判断は保留され、いざ続行が決まった後も急遽払い戻しを受け付けるなどの緊急対応がなされた中で開催されたライブだったのだ。

私にとってもこのライブに参加できたことは奇跡以外の何物でもなかった。当日の15時まで、まさか自分がライブに行けるなんて思いもしなかったからだ。

私が風くんのことを知ったのは去年の1月。
J-WAVEのTOKIO HOT 100のゲストに風くんが出演しているのを偶然聞いて、英語交じりの気怠い話し方で、変なタイトルだけどかっこいい曲を歌う人、と認識して、それで終わり。

なんでそれで終わってしまったのか…私のばかばかばかばか!!!あのときちゃんとYouTubeとか見ておけば、もっともっとエキサイティングな1年になっていたはずだったのに!しかし後悔先に立たず。次に風くんのことを思い出したのは10月。Twitterのトレンドに上がった「藤井風武道館」を見て「え!もう武道館でライブしたの!?」と驚き、軽い気持ちでアルバムHELP EVER HURT NEVERを聞いてから、彼の歌なしでは生きていけない体になってしまうまではあっという間だった。アルバムを何度もリピートし、YouTubeの過去動画を寝不足になりながら夢中になって漁り、専用アプリをダウンロードし、年末年始のホールツアーを知ることになる。

まずは普通にイープラスで東京公演の抽選に応募するも落選。コロナの影響で帰省を断念することになり参加可能となった、三郷公演の当日券販売に挑むも瞬時に完売となり撃沈。その後始まった東京公演のトレードも、落選の毎日。毎日12時半に凹む日々は地味につらかった…。お正月の生配信を見て少し気持ちが上向きになるも、最終的に落選のお知らせが来た時に、あぁもう無理なのだなと絶望した。

そこに追い打ちをかけるように緊急事態宣言が発令され、もうライブをすること自体無理なのではないかと思っていたところに、ツアー続行のお知らせが来たときは、私自身チケットを持っていなくても、ライブを楽しみに待っていた人たちや、ツアーを完走させたいと願うチーム風のことを思い、喜びで胸が熱くなった。

あぁもし奇跡が起こるなら、私のところにもチケットが舞い降りてこないかしら…多分いや絶対無理だけど。

気づけば私の中の山崎まさよしが

いつでもーさーがしているよーどっかにーかぜのすがたをー

きせきがーもしもおこるならーいますぐーかぜのもとへぇ~

と歌い続けていた。
そしてもし自分がライブに行けるなら、どれだけ気合を入れて感染症対策をするかを妄想したりしながら、悶々とした夜を過ごした。

そして迎えたライブの日。朝からツイッターで、「藤井風 チケット」で検索をかけては、譲ります情報がないかな~ないよな~みんな譲ってくださいだよな~などと独り言を言い、子供の相手をし、昼食をこしらえ、さあ片付けるかという瞬間にアプリからのお知らせが。

グッズ販売のお知らせか何かかな、と思ってアプリを開くと、思いもよらぬ文字が目に飛び込んできた。

当日券…だと?

また山崎まさよしが歌い始めた。

きせきがーもしもおこるならーーー

当日券の販売開始までは残り1時間半。万全の準備をして、その時を待つ。緊張しすぎて何も手につかない。そして、インターネット時報が3時を知らせた瞬間に予約画面をクリックする。

その結果、奇跡が、起きた…。当日券のチケットが取れたのだ!
喜びで舞い上がりながらも、この状況の中で、苦渋の決断でこのチケットの払い戻しをしたであろう、どこかの誰かを思って胸がチクリと痛くなる…

私の中のJUJUが歌いだした。

きせきーをーのーぞーむーならぁー
泣いてばかりーいないでぇぇーーー
シアワセにはーふさわしいー
えがおーがーあーるーはーあずーーーー

そうだ、奇跡のように舞い込んだこの素晴らしい機会を、ありがたく受け取って、とびきりの笑顔で楽しんでこよう。ありがとうJUJU。

それにしても、座間・三郷公演の払い戻し対応と当日券販売に始まり、東京公演のトレード受付、そして二度目の払い戻し対応からの当日券販売と、運営側の苦労(物理的にも精神的にも)は想像を絶する。二転三転する状況の中、より多くの人の希望に寄り添うために奔走し、こうしてチャンスを与えてくれたチーム風のみなさんへの感謝が溢れる。

開演前

急いで支度をし、当日券の引き換え時間の15分前に人見記念講堂に到着。すでに数人の列ができている。寒いので少し早めに始めますというスタッフさんの声掛けにより、予定の時間よりも5分ほどはやく当日券の引き換えが始まる。開演の30分前に当日券を受け取り、本当にチケットが取れたのだという実感でホッとしながら指定の席に向かう。グッズを買いたかったけれど長蛇の列ができていたので、ライブに来れただけで奇跡なのだからグッズは諦めようと自分に言い聞かせる。私の席は、舞台に向かって右側のブロックの前から15列目。開演前のBGMは、風くんによるカバーソング。もうすぐ生でこの歌声が聴けるのかと思うと、期待で胸が躍る。
客席はひと席ずつ空けてあるが、友達同士で来ている人が多く見られ、思ったよりざわざわしている会場…。私の心もざわざわ。みんな、静かにしようよ…。いや、でも今はポジティブバイブスを放ちたい。目を閉じて、舞台袖にいるであろう風くんとスタッフのみなさん、ツイッターで温かく送り出してくれたフォロワーのみなさんに想いを馳せながら、静かにその時を待つ。

そのうち流れていたGood As Hellのボリュームが徐々に上がり、前のほうに座っていた二人組の女性が立ち上がって手拍子を始める。何度か来ているのだろう。つまりもうすぐ始まるってことね!?と私の胸も高鳴る…!

爆音のGood As Hellがふっと消え、暗転。風くん&バンドのみなさん登場。暗くてまだ姿はよく見えない。そして一曲目…

1. 風よ

美しいピアノのイントロから始まる。まさか一曲目が、私の大好きな「風よ」だなんて…!ステージの暗闇の中、後ろから一筋の光が風くんを照らす。歌い出しが来るのをドキドキしながら待つ。「暮れる・・・」その第一声を聴いたとき、風くんの歌声によって発せられた振動が、空気を伝って私のもとに届いて、心が震えるのがはっきりと分かった。まるで目の前にあるろうそくの灯が消えないように、そっと声を出したような優しい歌声。涙が溢れる。マスクが涙でびちゃびちゃになりながら、1音も聴き逃したくなくて、前のめりで演奏に全神経を注ぎ込む。
優しくて、伸びやかで、切なくて、力強くて…様々な表情を持つ風くんの歌声が、風に吹かれるように客席に流れ渡り、会場全体を包み込んでいく。Hey Mr. Wind、ずっとこの瞬間を待っていたよ、と心の中で風くんに語り掛ける。

2. 調子乗っちゃって


イントロの雰囲気が一気に変わるところで、背景に「HELP EVER HURT NEVER」の文字がバーンと映し出される。なんとも痺れる演出だ。ここまでの流れのすべてが美しくて、映画を見ているかのよう。
「立ってもええよー」と風くん。初めて生で聴く風くんの地声に若干興奮しつつも、言われるままに立ち上がってリズムに身を委ねる。ピアノから離れて、マイクで艶っぽく歌い上げる風くん。あぁなんていい声なんだ。会場の音響が素晴らしく、風くんの歌声に体ごと包まれているようだ。
サビの「いつも支えてくーれたっ」のあとの、ちん、とん、しゃん、みたいな部分で決めポーズ。沢田研二みたいな感じ。あなたはジュリーなの?TOKIOのカバーやってたもんね。めちゃくちゃキマっているけど、ちょっと面白い。しかし、さすが憑依型と言われるだけある。お芝居をする役者さんのように、歌の世界に入り込んでいる。最初はそれをちょっと冷静に見ていたのだが、後半に向けて演奏が高まり、うねるようなグルーブが生まれていく中で、次第に曲の世界に引きずり込まれ、高音の「調子乗んないでぇぇー」で完全に殺られる。

3. キリがないから


流れるように次の曲へ。お馴染みのイントロから、MVで何度も見たあのダンスをキレッキレに踊る風くんがあまりにもかっこよすぎる。照明の効果も相まって、ひとつのショーを見ているような気持ちになる。舞台は近未来、SFの世界だ。ah ah ah ahのところで風くんが両手を大きく振る動きをしたのですかさず同じ動きでレスポンス。客席全員がやっていたわけではないけど、みんなでやったら盛り上がりそう!「キリがないからっ」でスパッと終わるアウトロもかっこいい。

「あけおめ~」からのMCスタート。
照明が明るくなりやっと風くんのお顔を拝むことができた。肉眼でギリギリ確認できるくらいの距離。いや、お顔の堀が深いからこの距離でも肉眼で見えるのかもしれない。風くんは本当に実在した。紛うことなきグッドルッキングガイ。ハンサムの極み。恥ずかしそうにしゃべる姿がたまらない。さっきまであんなにキレッキレのダンス踊ってたくせに!このギャップに毎回やられてしまう…。
「今日みなさんがここに来てくれたことがまじでmiracle、ライブをできてることがmiracle」
とミラクル連呼。いや、ミラクルじゃなくてmiracle。めちゃくちゃ良い発音でmiracle。本当だよ風くん。私にもミラコーが起きてここに来れたんだよ、と心の中でつぶやく私。拍手のしすぎで手が痛くならんようにね…とお客さんを気遣ってくれる。そのあと「座ります?立ってます?あの、ご自由に…お任せします…」とごにょごにょしながらマイクを置いてピアノの前に座り、バンドメンバーにマイク使うよ的なことを多分言われて、あわあわしながらマイクを取ってピアノの前のスタンドにセットして、慌てたせいなのか頭をごちんとぶつけるという…。いちいちかわいい。客席から小さな笑い声が生まれて、会場全体が、大丈夫だよ落ち着いて風くん!と言っているような優しい空気に包まれる。

4. 優しさ


ピアノの最初の和音で、あーーー優しさキタ!!とテンションの上がる私。歌い出し、ちょっと慌てている感じで、あああーのところの声が少し裏返る。ん?もしやさっきのマイクごちんでペースが乱れたのか?そのあとも、ちょっとピッチが微妙かなという瞬間があったけれど、すぐに持ち直して、「花の咲く季節が戻ってくる」のあとの「あーああーーーーー」はもう、浴びまくった。風くんの歌声のシャワーを。MVみたいに思わず走り出したくなった。優しさでよかった。嗚呼ただそれだけで…。

5. 特にない


「いやなこと、ネガティブなことが、特になくなるように、特にないって言えるように、願いを込めて歌います」というMCを挟んでからの「特にない」。気持ちの良いリズムと、軽やかで優しい歌声。後半ウッドベースがエレキベースになって、原曲とは少し違う感じの、バンドサウンド強めでエモさが増したアレンジに。ライブ感があってすごく良かった。(それまでは、原曲に忠実だけれど打ち込みっぽい音が目立つのが少し気になってしまう瞬間が何度かあったりも…した)

6. 罪の香り


ピアノを離れてマイクスタンドの前に立ち「次の曲は…Flavor of Sin」という曲紹介。ん?カバーか?そんな曲あったっけ?と考えてしまったがその次の瞬間、あのドラマチックなイントロが始まり、罪の香りかー!と気付く。この時の風くんはとにかくセクシー。ポケットに手を入れたりしながら、挑発的な表情と仕草で歌う。ジュリー再び。武道館のダイジェストで見た、サビの振り付けもバッチリ決まっている。照明も妖艶な色彩で会場を染める。罪の香りがぷんぷんする。バンドの演奏もめちゃくちゃかっこいい!私もカウベルとかタンバリンとかカスタネットでもいいから後半の「カンカンカンカン」に参加したいけど周りのお客さんの迷惑になるのでやめときます。

グランドピアノに移り、長めのピアノソロ。鮮やかな鍵盤さばき、一瞬で心を鷲掴みにされるメロディ。ピアニスト藤井風の演奏テクニックをこれでもかという程見せつけられる。これだけでもずっと聴いていられる。一瞬へでもねーよのイントロのようなフレーズが入って、このままへでもねーよに繋がるのか?と思いきや、聞き覚えのあるざわざわ音が聞こえてくる。

7. 死ぬのがいいわ


というわけで死ぬのがいいわ。ピアノを離れ、揺ら揺らしながら歌う風くん。サビの部分は、インスタの動画でやってたように、腕をくるくるしながら歌う。私も腕くるくるしてみる。くるくるけっこう難しいな。「三度の飯より」の前のキメで、腕をダンダン!したあとヘドバン。全ての仕草がかっこいい。後半、キーを1オクターブ上げて歌い上げるサビ、「死ぬのがいいわ」の音が正確すぎてビビる。あのメロディーめちゃくちゃ難しくないですか?それをさらっと歌える風くんの歌唱力の高さに改めて驚く。体を大きく揺らしながらリズムに身を委ねて踊るのが気持ちよすぎる…死にたくない、この歌が終わるまでは…。

またステージの照明が明るくなり、MC。ずっと立ってて辛くないすか?こんなに立っててくれるの初めてかもしれん。とかなんとか。さっきまでジュリーみたいな顔して死ぬのがいいわ~とか歌ってたのに…しゃべりだすともごもごしちゃって…かわいいなぁ。もう!何なん!好き!

去年はクリスマスソングをやったんですけど、今日は新年ぽい曲、普段あまりやらない曲をやろうと思います、と言って、運ばれてきたエレピの前に立つ。

8. 今夜はブギーバック


「ダンスフロアに、鮮やかな光」の歌い出しで、会場が沸き立つ。私も意外な選曲にビックリ&ノスタルジー。カバーの選曲の幅広さに改めて驚く。最初はエレピを弾きながら、その後マイクを持ってステージを歩きながら、軽快に歌う。エレピに戻ってからも、片手にマイクを握ったままもう片方の手で鍵盤を弾くなど、とにかく自由自在。ゆるゆるとリラックスして演奏を楽しむ風くんの姿を見ていると、それだけで私もハッピーになって心がどんどん軽くなっていく。バンドの演奏もとても良い。ラップ部分は地声っぽくてこれもまた良い。それにしても、どんなカバー曲も自分色に染め上げて藤井風風にしてしまうのが本当にすごい。藤井風バイブスを感じまくる。ダンスフロアと化した会場で、心地よいグルーブに身を任せる。

9. もうええわ


エレピの前に立ったまま、もうええわ。風くんの歌声がとにかく気持ちよい。浮揚感漂う、クールだけど熱を感じる演奏がたまらない。グランドピアノの弾き語りの時は、私の席からだと斜め後ろからの姿しか見えなかったので、真正面を向いて弾き語りする姿を見ることができて満足。とにかく絵になる。さすがに指の細かい動きまでは確認できず、オペラグラスを持ってこなかったことを激しく後悔する。

10. へでもねーよ


原曲そのままのイントロが流れ、へでもねーよ来た!と盛り上がる。今回マイクはエクレア持ちではなく、縦笛持ち~両手を上品に添えて~。気怠そうな歌い方がたまらなくかっこいい。こういう歌い方をすると、わざとかっこつけているように見えがちだが、風くんがやると自然にかっこよくなってしまうから凄い。体をくねらせながら、腰を落とし、床を這いつくばり、後半はMVの再現みたいにパンチ食らったような動きをしながら大きく動き回り歌う圧巻のパフォーマンス。そんな風くんをストロボの閃光が背後から照らす。ステージの上が別世界に見える。これはへでもねーよという名の舞台だ。風くんに、へでもねーよ君が憑依している!この曲はいつか夏フェスの会場とかでお客さん同士もみくちゃになりながら聴いて踊り狂いたい!この演出、大きなステージでやったら映えるだろうな~なんて考える。最後の「へでもねーよ」の語尾のフェイクが、「へでもねーよおおっ」と原曲より短めにスパッと終わり、一気に現実に引き戻される。

へでもねーよの興奮冷めやらぬ状態で、ちょっと息切れしながら始まったMC。ここではバンドメンバーに新年の抱負を聞く風くん。最初に話を振られたギターの文太さんから、今日MC調子悪いねと突っ込まれる(笑)正月ボケ~?と自問する風くんに、いやいや年明けから駆け抜けてたでしょと文太さん。その流れで「生配信とか見てくれました?」と聞くので、拍手で答える客席。もちろん見ましたとも!!!ていうか毎日見てるし!!と心の中で叫ぶ。その後ひとりひとりに新年の抱負を聞くも、話についていけていない様子の風くん・・・いや、普通に分かりやすいお話でしたけどね!お兄さんたちに突っ込まれておどおどする姿もかわいすぎる。さっきまでへでもねーよ君だったくせに!もう!好き!(しつこい)最後に、上品な(別の言葉だったような・・・真面目な、だったかなぁ。言葉のチョイスが面白いな~と思ったのに忘れてしまった!)バンドメンバーだということが分かってもらえたかと思います、と締める。

ここでまた、ずっと立ってるけど大丈夫?と確認。お客さんのことを気遣うその優しさにグッとくる。そして次の曲は立つのにふさわしい曲だと思います、の曲紹介からの・・・

11. さよならべいべ


ドラムのカウントからの歌始まり。ザ・バンドサウンド!とにかく楽しそうに演奏する4人。AメロBメロを歌いながら舞台袖にある小さな踊り場?のようなところに歩いて行って、そこでスポットライトを浴びながら大きく手を振り歌う風くん。1番のサビが終わると、反対側の踊り場、そう、私の席のほうにどんどん近づいてくる・・・そして最短距離に!さっきよりもずっと顔が良く見える!!声が出せないから、動きでアピールだ!と、とにかくサビの振りを全力でやる私。

スポットライトを浴びながら最高の笑顔で歌う風くんが眩しすぎて、いつの日かアリーナ規模のステージで、スポットライト浴びながらクレーンに乗って客席を縦横無尽に動き回り歌う風くんの姿が頭に浮かんでくる…。そんな日が、あっという間に来てしまいそうな気がする。

来んと思ったときはすぐに来てしまうもので・・・というMCで、もうすぐライブが終わるのだと知る。あまりにあっという間で、名残惜しいにもほどがある。話している途中で声を詰まらせる瞬間があって、泣きそうになっているのだと思って私ももらい泣きしてしまったのだが、後から近くで見ていた風友さんに聞いたところ、「ゲップでそうになった」と言っていたらしい。おい!私の涙返せ!(うそ)

グランドピアノに座り「音楽には、嫌なこととかそういうのを、流す力があると思うので、いろいろ大変だけど、流して帰ってもらえたらと思います」というような話をして、次の曲。

12. 帰ろう


ステージの背景に、星空のような無数の小さなライトが照らし出される。歌声が、とにかく優しい。ひとつひとつの言葉が、ふわりと宙を舞って、お客さんのもとに飛んで行くよう。それじゃまたね、なんて言わないでおくれ…まだもうちょっとここにいたいよ…。

帰ろうと思ったんですけど、青春の病に侵されてしまって…というMCでもちろん次の曲は…

13. 青春病


疾走感のあるバンドサウンドが気持ちよい。そしてやりましたよ、夢にまで見た野ざらしダンス!MVを見た時から、いつかライブで一緒に踊りたいと妄想し続けていたダンスをやるときがついに来た!ノリノリで両腕を振るも、ジャンプするタイミングが難しくて、着地後ちょっと恥ずかしくなる。最後はバンドの熱い演奏をバックに、両手で顔を覆いながら、まさに青春の叫びのようなコーラスを熱唱する風くんの姿に、感情を大きく揺さぶられる。胸が苦しい…これが青春の病ってやつなのか。

そしてバンドがアウトロを演奏する中で風くんがひとり退場する。このときの風くんの後ろ姿が忘れられない。肩を丸めて、トボトボ帰っていくのだ。あんなにエモい演奏をした後だったら、センキュー!とか言いながら、客席に向かって両手ブンブンふって、なんなら投げキッスとかしながら、軽快にはけていく感じを想像してしまうけれど…風くんは、トボトボと帰っていく。あの熱い演奏の後で。このギャップが面白くて、思わず「えええーっ!」って声に出しそうになる。でもこういうところが風くんの魅力だとも思う。間違いなく大スターになりうる人だけど、すごく身近な存在にも感じるのだ。舞台袖でスタッフの方に肩をぽんぽんされている姿がちらりと見える。やり切ったね、風くん!と私も遠くからエアーぽんぽんする。

アンコールは、風くんひとりで登場。声も出せないライブなのに、来てくれて本当にありがとうと、何度も感謝の言葉をかけてくれる。ここでも言葉に詰まって上を向いた瞬間があり、感極まって泣きそうになっているのかと思ったけど、これもゲップだったのだろうか…。もらい泣きしちゃったのにな。
そしてできたてほやほやの新曲をということで…

14. 旅路


イントロからして名曲の予感。ドラマの主題歌になることが決まっていたので、ドラマの最後にこれが流れるのか~と想像しながら聴く。二番のAメロの、手紙の文章のような歌詞が印象的。ふと、さっき見た風くんの後ろ姿を思い出す。今年は激動の一年になりそうだけど、さっきみたいに、風くんのペースで、これからの長い旅路を歩いて行ってほしいと願う。

風くんが舞台からはけたあとも、客席の拍手は止まず、次第にリズムを合わせて大きな手拍子に変わっていく。この時点で私は「あの曲」がまだ演奏されていないことに全く気付いていなくて、二度目のアンコールも完全にサプライズだった。

バンドメンバーが先にスタンバイし、演奏スタート。イントロのコード進行ですぐに次の曲が何なのか分かる。

15. Just the Two of Us


数ある風くんのカバー曲の中で、上位を争うほど大好きな曲。まさかライブで聞けるとは…!と感激していると、下手から赤いシャツに着替えた風くんがサックスを吹きながら歩いて登場。え…ちょっと待って。色気が、ヤバい。唖然としてしまう。ていうか、サックスもこんなに上手なの?サックスの音色にも色気が乗っかっちゃってるじゃないの。この世のものとは思えぬかっこよさにクラクラする。まさに腰砕け。一方の風くんは、ステージ上をのんびり歩きながらサックスを吹き、二番からはサックス片手に歌い、たまに吹き、そしてまた歌うを繰り返す。ソロ回しもあって、極上のセッションタイムが繰り広げられる。カバーソングを演奏しているときの風くんは本当にいい顔をしている。自由で軽やかで楽しそうで。きゅっと胸が締め付けられるような切なさと、言いようのない幸福感が体中を満たしていく。あぁ、もう最高だよ。天国のBill Withers様、見ていらっしゃいますでしょうか。あなたの素晴らしい楽曲は、日本のこの若きミュージシャンを通じて、多くの人たちを魅了し続けています。これからも彼を見守っていてくださいね…。(余談ですが私はぜひ風くんには「Lean on Me」をカバーしていただきたい。風くんが歌ってくれたら、元気をもらえる人がたくさんいると思うんだよなぁ。)

16. 何なんw


そういえばまだ演奏してなかった!とここでようやく気付く。イントロ部分で「最後の曲でーす」ってしゃべるのがライブっぽくて良い。そして何なんはやっぱり盛り上がる!たとえ一緒にハレハレ言えなくても…なんなんのコールアンドレスポンスができなくても…。なんなん!のところは両手を振ってレスポンス。このとき会場の一体感が最高潮に!声が出せなくてもこんなに楽しいなんて。最後のジャンピングピアノの前は、え、そんなにギリギリまで前で踊ってて大丈夫なの?と心配になるくらい、ためてためて、最後の一瞬でピアノへとダイブ。そして圧巻のピアノソロ!ライブ映像で何度も見たこの景色を目の前で見ることができて、感動で胸がいっぱいになる。

演奏が終わると、バンドメンバーに目配せをして、4人でステージの前に出て挨拶。マイクを通さず、地声で「ありがとうございました!」と言ってくれた。しかしそのあと、風くんが話すタイミングと客席からの拍手が重なり、なんか言ってるけど聞こえない、風くんもタイミング掴めずあわあわする、というハプニングが。どうしよ〜って困ってる姿が微笑ましい。そして最後には「よいお年を~!」と言ってしまい、客席が爆笑の渦に飲み込まれる。そのあと「よい2021年を!」と言い直し、バンドメンバーと肩を組む代わりに横に並んで両手でグータッチしながらお辞儀をして退場。最後は何度も後ろを振り返りながら、客席に向かって小さく手を振る。大きくブンブンじゃなくて、小さくフリフリ。うん、そういうのが風くんっぽくて良い。

終演後は、混雑緩和のため一列ずつの退場。会場の外に出ると、まだグッズ売り場が開いていたので、急いで買い物を済ます。考えていた量の倍くらい買う。HEHN recordのロゴの入ったショッピングバックを片手に、無言で家路につく。電車の中で、冷めやらぬライブの興奮を風友さんとツイッターのDMで共有し、心の中で盛り上がる。本当はライブ後に会ってごはんでも食べながら盛り上がりたかったけれど、今は我慢だ。家についてからも、ライブで聴いた音がずっと鳴りやまなくて、眠れぬ夜を過ごした。そして今もまだその余韻の中にいる。

終わりに

夢のような時間だった。約1時間半のライブの中に、風くんの魅力の全てが詰まっていた。生音で聴く風くんの歌声とピアノの音色は、ダイレクトに私の心に届いて様々な感情を呼び起こし、心が浄化されていくようだった。体中がハッピーなバイブスで満たされていく。それが最高に気持ち良い。変幻自在なパフォーマンスでそれぞれの楽曲の世界に入り込んでいく、その没入ぶりには本当に驚かされた。MVでは散々見てきたけれど、ライブはもっと凄かった。MCになると、照れ屋で優しくて一生懸命な、人間味溢れる人柄が垣間見れて、ぐっと心の距離が近づく。言葉につかえながら、それでも一生懸命に、来てくれたお客さんへの感謝の気持ちや、楽曲に込めた想いを伝えようとしてくれる姿に胸を打たれて、もっと風くんのことを好きになる。

演奏も演出も細部にまでこだわりを感じて、強い愛と信念を持って音楽と向き合っていることが伝わってくるライブだった。より良い表現を求めてもがく、今の風くんの等身大の姿を見ることができたように感じる。これからどのように進化していくのか、その過程をいちファンとして見守っていけることが嬉しいし、ずっと応援し続けていきたいと心から思う。

最後に・・・当日券が手に入ったとき、Twitterでつぶやいた「奇跡が…起きた」というツイートには、私史上最多のいいねをいただいた。

様々な事情によりライブに行くことができない人も多い中、いいねを押してくれた風民のみなさんの優しさに胸が熱くなる。中には複雑な思いでいいねを押してくれた人もいたのではないかと想像する。かつての私みたいに。いいねより、いいなぁ、だよ。なんて思いながら、チケットを手に入れた人々のツイートを眺めていたあの頃。

だから願う。風くんのライブに行きたいと思っているすべての人たちに、チケットのご縁が巡っていきますようにと。

そして、風くん及びチーム風のみなさんが、無事に千秋楽までツアーを完走されることを心の底から祈っています。素晴らしい時間を、本当にありがとうございました!

ライブ終演後の風くんのツイート。こちらこそ、たくさんのパワーをもらったよ。本当にありがとう!!!


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