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10分間3000円、30分間18000円の謎

2020年11月24日、午後6時をまわったくらいのことだったと思う。

テレワークではあるが、まだ仕事の手を休めていなかった僕のスマホの通知音が控えめな音を鳴らした。

(りっちゃんのツイートだ・・)

僕は里咲さんの各種アカウントのツイートだけを通知設定している。だからスマホの通知音が鳴るとき、それは必ず、里咲りさに関する何らかのツイートがあったことを示している。

画面を確認すると、それは里咲さんが経営する会社、フローエンタテイメントのアカウントからの通販商品の告知ツイートだった。

(またニューグッズか・・)

その心のつぶやきには落胆の色はない。むしろどんなグッズだろう早く知りたいとの興奮に近い感情が穏やかに生まれている。ただ、毎週のようにその情報は届くため、その興奮は極限まで抑制されたものだ。僕は淡々とスマホを手繰り、そのツイートの内容を確認した。

それは11月中いつでも使えると謳われた、30分間通話チケットだった。

(前にもあった外線電話にかけられる商品のロングバージョンかな・・)

リンク先から里咲りさ通販サイトに素早く到達すると、果たしてその商品はトップページに示されていた。ただし、同じサムネイル画像が二つ並んでいた。その下に【でんわしよ】と商品名らしきものが書かれている、そして、3000円、18000円という値段がそれぞれに付けられていた。

(・・18000円か)

値段が高い商品のときは、瞬間的に気持ちが曇る。里咲りさの通販商品の大ファンである僕は、基本的には高い方を買いたがる傾向があるからだ。欲しい品物を購入する行為は嬉しさを伴うが、経済的なことを考えると多少の痛みも伴うのが常である。しかし、今回は安い方もありそうだ。どんな違いがあるのだろうか?特典に差があるのだろうか?そうだとしたら高い方を買うのはほぼ確実だ・・様々な思いが脳内で錯綜する中、詳しい内容を知りたいとの欲求がスマホを手繰る指先を急かしていた。

まずは18000円の商品ページを開いた。里咲りさとの30分間のZOOMを使ったウェブ会議。以前にもほぼ同じ内容の商品があったのを覚えている。僕はそれを購入し、素晴らしい時間を過ごしたことを容易に思い出すことができる。もうすでに、これを買ってもう一度あの楽しい時間を過ごそう、という気持ちになっていた。

次に3000円の商品ページを開いた。これは先ほどの商品のショートバージョン、10分間のウェブ会議だ。10分は、まあまあ十分な時間とも言えるが、数ある里咲さんとのZOOM会議経験から、内容のある話をじっくりするにはやや物足りない時間であることは承知している。3000円は買いやすい値段だが、できれば30分話せたらいいのだが・・でも18000円はちょっと躊躇する値段だよなあ・・との逡巡があった。

ここで、10分間チケットを二枚買うという選択肢があることに気づいた。商品ページ内に、購入数に制限がないことが書かれていたからだ。2つ買えば、20分話せて6000円。これは会話時間と値段の両方においてしっくりくる感触があり、有力な選択肢として一気に浮上してきた。18000円に比べたら、6000円はわずか三分の一の負担で済む。これはいい。・・と思ったところでなんとも言えない違和感があった。その違和感の正体が明らかになるまでに時間はさほど要さなかった。

10分3000円、20分6000円・・で、30分が・・なんで18000円やねん!

10分、30分のどちらの商品ページにも、購入枚数に制限がないと書かれており、どう考えても、10分チケットを3枚買った方が得だ。9000円と18000円、実に倍の価格差がある。

当然、間違いか?とも思ったが、里咲さん一人でやっていた時代ならともかく、今は二文字がいるので、二人で気づかないということは考えにくいと思った。もう一つ気になったのは、両方の商品ページに書かれていた

  ※ご注文に際して以下のものを送付させていただきます。
  配送物:領収証
  配送方法:追跡可能な郵便
  配送完了までの期間:ご注文から2週間以内にお送りします。

という情報だった。18000円の方は値段が倍かかることによって、何か特別なものが送られてくる可能性はないだろうか・・。

そういった様々な可能性を考えていると、18000円の方を申し込んでみて、確かめてみたい・・という危うい発想に傾きつつある自分がいた。これは、「里咲りさ」という毒を長年に渡って食らってきた人間にしかわからない感覚かもしれないが、そのような思考に囚われているオタクは少なからず存在するのである。

そして、気づいたら、18000円の【でんわしよ】を申し込んでしまっていた。なぜかわからないが、確認してから申し込むという段取りを踏むことは無粋と思えた。それはちょうど、ツイキャスチケットに付属しているプレゼントAとプレゼントBのいずれかを選択するために、それぞれの内容を事務所に問い合わせるような、つまらない行動のように僕には思えた。

当日すぐにフローエンタテイメントのスタッフから、日程調整のLINE(里咲定期便LINEを利用)が届いた。ただ単に都合の良い日時を問い合わせるLINEだ。何かしらのヒントになるような情報は含まれていなかった。ZOOM会議は11/29(日)の13:00に決まった。

界隈での反応は気になったが、フローエンタテイメントの【でんわしよ】の告知ツイートへのリプなどによって、10分間3000円と30分間18000円に疑問を投げかけるものは見つからなかった。ただし、ツイートやフリートなどで、疑問を投げかけるものは少数ではあるが、あった。それを見て、同じ疑問を持っているサイレントマイノリティは存在する、と踏んだ僕は、

今年最大の謎と言っていい、さとりさの【でんわしよ】の「10分間3000円、30分18,000円」問題ですが、何かしらの理由があるはず。ワイが身を削って謎を解く手はずを整えましたので、いずれレポしたいと思います

と、ツイートした。


それから瞬く間に五日が過ぎ、11/29の13時がやってきた。

里咲さんとのZOOMは、毎度のことながら楽しく進行していった。先週僕が仕事に関係する資格試験に合格したことを里咲さんに祝ってもらった。たぶん、このことを彼女以上に喜び、褒めたたえてくれる人はいないのではないか?そう思えるほどに、里咲さんの褒めは一流なのである。それから、ウェブ英語辞書サイトはどのサイトを使っているのか、といったたわいもない雑談を経て、残り時間が10分ほどになったところで、僕の方からこの話題を切り出した。

最初にこの話題をしなかったのは、里咲さんの方からこの話題に触れるかどうかを見たかったというのもあるし、値段の差異を吸収するような、何かしらの特別な企画がある可能性も想定していたので、様子を見たかったということもあった。ここまで来て何も出す気配がないということは、何もない可能性が高い。そう判断したタイミングで、僕の方から切り出した形だった。

予:「ねえ、りっちゃん。あのさあ・・【でんわしよ】が通販に出てから、ごく一部でだけど、関心を呼んでいることがあるの、知ってる?」

里:「なになにー?」

(里咲さん、知らないのか?)

予:「あの・・【でんわしよ】にさあ、10分と30分のコースがあるじゃない?」

里:「うんうん」

予:「10分のコースって3000円なのね」

里:「うんうん」

予:「それでさ、30分のコースって18000円なの。今やってるこのコース」

里:「うんうん」

予:「10分が3000円でね、30分が18000円なの」

里:(パーカーの袖で口を覆って、笑い出す)

予:「この18000円のコースって、たぶん申し込みすごい少ないと思うんだよ。怖くて申し込めないと思う(笑)」

里:「(笑いながら)あれれれれ?なんでー?」

予:「計算がおかしいから(笑)」

里:(笑い続ける)

予:「この値段設定だと、10分3000円がある以上、少なくとも18000円コースに申し込む人は僕の他にはいないと思うよ」

里:「間違えた(笑)どうしよー?(笑)


まとめると、里咲さんのZOOM会議は以前30分間18000円で販売していたので、今回もこの値段設定を30分コースの計算の基本とするつもりだったとのこと。単純に計算すると1分間あたりで言えば600円となる。

よって、間違いは10分間3000円の値段設定の方で、1分間あたりで言えば600円ではなく、半額の300円で計算してしまったとのこと。

【でんわしよ】の前のお話チケット商品である【はい、こちらフローエンタテイメントです】は、5分間3000円だったので、確かに1分間あたり600円の正規価格となっている。これにならえば、【でんわしよ】の10分間は、600円×10分間=6000円の値段設定が正解だったようだ。

11月の【でんわしよ】はすでに本日11/29であるためこのまま終了するものと思うが、里咲さんは今後は間違いが生じないように見直すと言っていたので、フローエンタテイメントの with コロナでの主力商品である里咲りさとのおしゃべりチケットを僕も引き続き利用していきたいと思う。

以上、10分間3000円、30分間18000円の謎に迫ったリポートでした。


オシマイだよ~