月番

朝の光と共に、いつもの時間に目が覚める。
そんなたわいもない日曜日に、無駄に早く重い体を起こし、階段を降りた。いつもの慌ただしさからは解放されてはいるものの、トイレの扉はいつもより重厚で畏怖さえ感じられる。
まだ眠い目を擦り、とりあえずのあくびをしたのち、台所に入り、またこれもとりあえず冷蔵庫を開け、野菜を取り出す。スパムに卵、レタスなどを順序よく手にしながら、冷凍されたご飯をマイクロウェーブに投入し、スイッチを押した。5月に入院する祖母のおはように、心気ない音を喉から鳴らして、全く覚えていない祖父の話を無駄に聞く。会話の成立しない問答を、皿を洗いながら流し聞く。

なんとなく、本を読み足りていない気がして、海に赴き、小1時間ほど読む。漫画の発売日を調べ、それがもう３日前だと知り、徐にスイッチを押した。その間に、何回も仕様がなくSNSを開く。母からの電話に、そっけなく対応しながら、ラインに謎のグループが作られたことを知る。そして土を買いに行ったのだった。

思い出すのは君の歌。そんなことなんてなかったかも知れない。全てが良くなかったかも知れないが、それでももう連絡を取らずに１ヶ月が経とうとしている。それでいいと散々言い聞かせながら、昨日の「やめとけ」という27歳の友達の声が脳表に映し出される。馬鹿かも知れないが、電話するための話を毎日考え、それを止めている。

やりたいことのためのやりたくないことは、好きになるしかないと、養老孟司はいうけれど。そんなもん小学生の時から知っているし、そんなもんは我慢するか、我儘になるかしかないことも知りながら、何も考えず来てしまった。そう吐きながら、ホースから伸びる水を眺めて、プランターを洗うぼくは、どこまで行ってもただの我儘なやつにしか見えない。

まだまだ、何も考えずに生きていきたいが、そうも言ってられないので、インスタグラムに嘘のストーリーを流して、英語を喋ろうとするぼくはやはり、ただの我儘なのかも知れない。

無駄にあつくなってきた。