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個人的アイドル楽曲大賞2014 〜今年一年のアイドル音楽を振り返って〜

今年も早いもので、もうあと一週間とちょっとで大晦日を迎えますね。 

ちょうど去年の大晦日の紅白歌合戦で北島サブちゃんが最後の出演っていうことでNHK的に盛り上げていたのに、AKB48のエース大島優子が突然卒業を宣言したりしてちょっと世間から顰蹙を買ったのは記憶に新しいところです。

 一昨年から言われている「アイドル戦国時代」という呼び名ですが、ちゃんと正確に言えば「AKB」と「ももクロ」という2つの影響力を持った勢力の『南北朝時代』から、E-girlsやでんぱ組inc.、BABYMETALなど、様々なジャンルや方向性をもったグループが入り乱れる『戦国時代』にいよいよ突入した感があります。

 (図1)Youtube検索 人気度の動向と推移  

[出所]Googleトレンド

 (図1)はGoogleトレンドで今年一年間の日本国内でのYoutube検索における人気度の動向を表したものです。青の「AKB48」、赤の「ももクロ」(正式名称のももいろクローバーZは結果値が低い)は全体的にダウントレンド、一方、黄色の「でんぱ組(でんぱ組inc.)」や緑の「babymetal」は2014年後半からアップトレンドとなっている様子がうかがい知ることができます。

 (図2)オリコン週間チャートトップ10に入ったAKB48グループ以外のアイドル数(月別) (※リンク先の図表に飛びます)

 [出所]『デビュー2年で武道館 女子アイドル業界、異変あり』日経エンタテインメント!

また、様々な記事でも指摘されている注目すべき点として、アイドル市場の裾野の拡大と「武道館コンサート」を行ったグループの多さが言えると思います。

 (図3)ライブ動員とCDセールスで見るアイドル界勢力図(※リンク先の図表に飛びます) 

[出所]『群雄割拠の時代が到来 女子アイドル夏の陣』日経エンタテインメント! 

3月のBABYMETALによる2Daysを皮切りに、4月には私立恵比寿中学、5月にはでんぱ組.inc、7月にはスマイレージ(現 エンジュルム)、8月にはチームしゃちほこ、12月にはベイビーレイズがそれぞれ初の武道館ライブを行っています。このような中堅クラスのアイドルが武道館のような1万人程度のキャパシティのホールでライブを行うことができるというのはまさしく近年のアイドル市場の拡大を象徴している出来事だと思います。 

 さて、本題のアイドル楽曲大賞について言うと、昨年末に開催された「第2回アイドル楽曲大賞」を見に行っていて、昨年の大賞はAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」が受賞したという結果となり、会場に来ていた方のブーイングにも似た反応と「まぁ仕方ないよね…」という半ば諦めとも取れるコメントとのギャップが面白かったのですが、自分の感覚では今年は去年のような「これぞ国民的ヒットしたアイドル曲」というものは正直言うと無くて、最初にお話しした本当の「アイドル戦国時代」の始まりでも言えることですが、アイドル市場の裾野が広がったことによってアイドルファンの幅広い趣味嗜好を満たすために、それぞれのグループがより個性化、差別化を図り、ニッチなニーズに応えていく―という流れが昨年と比べてより鮮明になった感じがしました。それぞれのグループが棲み分けを行いながら、数限りあるアイドルファンのカニバリ(共食い)を防ぐというのは実に王道な戦略と言えます。 

また、近年増えているアイドルフェスではたくさんのグループが同じ会場でひしめき合いながらライブを行うことから、新規のファンを獲得するために「他のグループのファンを積極的に取ってくる」ということも必要です。一芸に秀でた点や試しに一度見てみたいと思わせる特徴を持たせることで、”掛け持ちのファン”を増やすチャンスが生まれてくるという側面もあるのかもしれません。 

 そんな2014年のアイドル音楽シーンを振り返って、私の独断と偏見で「アイドル楽曲大賞」にぜひノミネートしてほしい!!と思った楽曲を挙げてみました。すべて自分の単なる好みで選んだものですので、ご意見ありましたらどうぞお寄せ下さい! 

 <メジャーアイドル楽曲部門> 

 ・東京パフォーマンスドール「BRAND NEW STORY」(作詞:藤林聖子 作曲:渡辺 徹)

篠原涼子や仲間由紀恵などを輩出した往年のグループが17年ぶりに復活した「新生TPD」の1stシングルです。リリースイベントでは見たことあったのですが、横浜アリーナで行われた@JAMEXPOできちんとパフォーマンスを初めて観て、ダンスのキレの良さと運動量の多さに圧倒されました。楽曲もダンスフルでテンポのいい曲調で大好きですね。ライブではプロジェクションマッピングを使ったりした仕掛けもあったりするそうなので、今後注目すべきグループの一つだと思います。(2014年6月11日発売)

 ・Negicco「トリプル!WONDERLAND」(作詞・作曲・編曲:矢野博康)

 昨年のアイドル楽曲大賞でも「アイドルばかり聴かないで」で堂々の2位を獲得したNegiccoですが、今年も好きな曲が多くて、本当に素晴らしいグループです。この曲を作詞・作曲している元Cymbalsの矢野博康さんは南波志帆さんの楽曲も手掛けていて、南波志帆さんの曲もよく好きで聞くので、この組み合わせが嫌いなはずがないんですよね。Negiccoといえば、「サトウの切餅」のCM(全国放送!)にも出演してるので、ぜひ見掛けたら餅を買ってあげて下さい!(←命令)(2014年4月16日発売)

ひめキュンフルーツ缶「ハルカナタ」(作詞:山下智輝作曲:井上卓也)

昨年の「キラーチューン」に引き続き、ロック調でかっこいい曲ですよね。愛媛発の地方アイドルとしてスタートしながらも昨年のメジャーデビュー以降はすっかり垢抜けた感があります。ちょうど今年の2月に東京都写真美術館で行われれていた「第6回恵比寿映像祭」で、彼女らが初主演した「あすなろ参上!」という映画を見て、すごく興味を持ったんですよね。映画も良かったです。今治のご当地キャラ・バリィさんとの共演がなんとも和まされました。(2014年4月16日発売) 

・でんぱ組.inc「ちゅるりちゅるりら」(作詞・作曲:前山田健一) 

でんぱ組の曲を初めて知ったのがW.W.Dだったので、玉屋さん作曲だけじゃなくてヒャダイン作曲の楽曲もまた違った嗜好で好きですね。しかも、この曲は日清カップヌードルのCMにも使われたことで、でんぱ組が広く世の中に知れ渡った記念すべき曲となりました。今年一年のでんぱ組の飛躍は眼を見張るものがありましたね。それにしてもプロデューサーのもふくちゃんもNHKの夜の番組にレギュラーコメンテーターになるなんていう、一年前には考えられなかったことがたくさん起こった年でした。 (2014年7月30日発売) 

乃木坂46 「気づいたら片想い」(作詞:秋元 康 作曲:Akira Sunset)  

来年1月に結成初のアルバムを発売する乃木坂46ですが、みなさん御存知の通りAKBグループとは違って、各シングルのセンターは乃木坂の運営がいろいろな思惑で毎回指名されるやり方になっています。8thシングルとなる「気づいたら片想い」は西野七瀬が初センターとなった楽曲で、昨年の「君の名は希望」に通じる乃木坂独特の“辛気臭い”感じ全開で好きな曲です。来年こそは本家超えの人気で紅白出場を狙いたいところですね。(2014年4月2日発売)

BiS「FiNAL DANCE」(作詞:BiS 作曲・編曲:松隈ケンタ)

今年、横浜アリーナで多くの研究員から惜しまれながらも解散したBiSのラストシングルとなったこの曲。自分も解散ライブ『BiSなりの武道館』に行ってきたんですけど、MC無しの49曲歌い通しは圧巻でした。当日は2階のスタンド席から観てたんですが、最後の方は本当にファンと演者が一体となっていて、本当に素晴らしいライブで幕を閉じました。自分は最初キワモノ扱いして食わず嫌いだったのでもうちょっと早くライブ行って楽しみたかったなぁと今さら後悔…。(2014年5月28日発売)

BABYMETAL「ギミチョコ!!」(作詞:MK-METAL/KxBxMETAL 作曲・編曲:TAKESHI UEDA)

今年、日本国内というより海外で人気が出たBABYMETALですが、人気に火をつけたのはこの「ギミチョコ!!」のMusicVideoでした。(ここまで昨日のNHKの番組の受け売り)このビデオ自体は楽曲の初披露となった昨年12月の幕張メッセでの様子を撮影したものです。ベビメタのライブには以前から大体足を運んでいるんですが、その中で特に印象深かったのは、今年の武道館ライブ終了後に流れるVTR(通称 紙芝居)で次のツアーが発表されるときに、「いよいよ今度は全国ツアーかな…」というモッシュメイトの甘い期待を打ち砕く、まさかのワールドツアーが発表され、悲鳴にも似た驚きの声が会場に響き渡る…という出来事。でも、今となっては全国ツアーよりもワールドツアーをやって本当に良かったと感じています。YUIMETALとMOAMETALがさくら学院を卒業し、いよいよ活動が本格始動するので、来年の活躍も本当に楽しみです。(2014年2月26日発売)

 <インディーズ/地方アイドル楽曲部門> 

つりビット「踊ろよ、フィッシュ」(作詞・作曲:山下達郎) 

つりビットはその名前の通り、「釣り」をテーマに昨年2013年に結成したアイドルグループで、どうしてもそのコンセプトからキワモノ感が拭えないイメージを持つ方も多いかと思うんですが、1stシングルが「真夏の天体観測」ということからも分かるようにハナから釣りにあんまり関係ないんですが、すばらしい名曲なんです!今回のこの曲はあの山下達郎が1987年に発売した曲をカバーしているんですが、山下達郎が自身のラジオ番組「サンデー・ソングブック」で曲を掛けるぐらいすばらしい出来なんです。TIFのような太陽が照りつける夏の野外で是非とも聴きたい一曲です。(2014年7月30日発売)

くりかまき「クマトナデシコ」(作詞:kyon 作曲:y0c1e) 

歌うたいの「あゆみ」、DJの「くりか」、盛り上げ役の「まき」のメス熊3頭からなるボーカルグループです。アイドルフェスだけでなく、ロッキンジャパンフェスなどのロック系イベントにも数多く出演しています。1stシングルの「アナログマガール」も良曲だったんですが、今年5月にきゃりーぱみゅぱみゅ率いるアソビシステムが企画・開催した謎イベント「KAWAii!! NiPPON EXPO 2014」のブースでこの「クマトナデシコ」が流れたところ、異様な盛り上がりを見せ、その場にいた見知らぬ外国人観光客と一緒に踊るということが起きるぐらい良質なアップテンポ曲です。熊の手の形をして“熊踊り”をして盛り上がるので、傍から見ていたいわゆる「原宿系」の人たちが物珍しそうに見ていたのが印象的でした。なんといってもテレビ神奈川のsakusakuのレギュラーでもあり、来年春にはいよいよメジャーデビューするということで、なんとか売れて欲しいですね。(2015年3月12日発売) 

・アイドルネッサンス「17才」(作詞・作曲:小出祐介) 

今年2014年 ソニーミュージックアーティスツ(SMA)が初めて手掛けたアイドルグループ、アイドルネッサンスの1stシングルです。基本コンセプトはSMAに所属しているアーティストの曲をカバーして「名曲ルネッサンス」(ソニー曰く)することらしく、この「17才」もBase Ball Bearのカバーとなっています。このグループはTIFのスカイステージで初めて見たんですが、まだデビューしたてだったということもあって、初々しい感じとこの曲の歌詞がぴったりでした。2015年にはT-Palette Recordsに所属することが決定したので、ステージを見る機会がこれから増えそう…。(2014年7月6日発売) 

・みきちゅ「アイドルの秘密」(作詞・作曲:みきちゅ)

仙台を拠点とするアイドルシンガーソングライター「みきちゅ」は事務所ナシ、レーベル所属なしというインディーズ中のインディーズにも関わらず、7月14日のオリコンデイリーランキングで9位にランクインするなど、これから注目を浴びそうな感じのソロアイドルです。作詞・作曲だけでなくマネジメントも自分で行っていて、この3rdシングル「アイドルの秘密」の制作資金をクラウドファンディングサイトで募ったという今どきの感じがまた良いですよね。なんだか応援したくなる!(2014年7月15日発売)

・PassCode「Nextage」(作詞:TAKAHIRO HOKYO 作曲:KOJI HIRACHI)

大阪で2013年に結成された”ラウド系アイドル” PassCodeの1stシングルです。1曲の中にテクノポップ→ロックサウンド→EDMとジェットコースターのような転調に次ぐ転調と目まぐるしい展開はニヤニヤしちゃいます。こういうごちゃ混ぜな曲大好きです。こういう曲調だからライブも面白そうだし、なによりもっとはちゃめちゃで難解な曲出して欲しいですね〜。ちょっとこれからハマりそうなグループ。これからに期待!(2014年9月26日発売)

・Peach sugar snow「Xmas☆silent」(作詞・作曲:小林清美) 

Peach sugar snowは山梨のローカルアイドルグループで、最大の特徴は曲を聴いて分かるように全編通したウィスパーボイスです。こういう歌い方をするアイドルグループは日本全国を見ても唯一無二と言えると思います。ここまで思い切った方向性は素晴らしいです。決して秀でて歌がうまいわけでも音楽性が高いわけでもないのに、心身ともに疲れているときに聴きたくなるという強烈な中毒性を持つ不思議な楽曲です。(2014年11月5日発売)

クルミクロニクル「Prismic Step」(作詞・作曲・編曲:USAGI DISCO) 

最近アツい音楽ジャンル、EDM(Electronic Dance Music)の音楽プロデューサーUSAGI DISCOが手がけるソロシンガーです。「EDM女子高生」とも呼ばれているんですが、現在は大学受験のために来年春まで活動休止中。楽曲自体は以前から聴いていたんですが、TIFで初めてライブを観て、一人で聴くよりも大人数で縦ノリしながら盛り上がるような、ライブ映えする人だな〜、と感じました。夏過ぎに同じくお台場でやっていたULTRA JAPANみたいなギラギラしたEDMじゃなくて、ふわふわした歌声に乗せたいわば「文科系」EDMっていうのが暑苦しくなくて好きですねー。(2014年3月19日発売) 

ということで、2014年の自分のアイドルシーンを振り返って、個人的なアイドル楽曲大賞をピックアップしてみました。本物のアイドル楽曲大賞は12月30日の真夜中になるので、今から結果が楽しみです。

長文失礼いたしました。   

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