母親

20歳の頃、名古屋のコンビニで深夜アルバイトをしていた頃。
いつも深夜2時くらいに来るおばさんがいた。
ほぼ毎日来るから顔覚えてた。
いつも疲れた顔してて無愛想で、あとたまに小さい子供を連れて来てたりしてたから「深夜2時に子供連れてくんなよ…」って心内で思ってた。

ある日、たまたま知り合いの自分の父親ぐらい歳の離れたオッサンと飲む機会があって、その人が「ランジェリーパブ連れてってやる」と言って連れてってくれた。

風俗ではないんだか、エロさのある飲み屋で暗いしうるさいしですげードキドキしてた。
で、隣に座った人がすげー美人で聞いたら女の子1人いて育ててるんだと。
「子供育てるのって大変なんだな、頑張るなぁ」と思った。
その店は時間になったら隣に座る女の人が変わるシステムで俺も目の前の連れのオッサンも人が変わった。

で、目の前のオッサンの横に座った人がいつもコンビニに来るおばさんだった。
 
俺はビックリして、とっさに「顔隠さないと!」と思ったけど隠しようもなくて。
暗いからわからないか?いや、にしても毎日行くコンビニの店員やぞ!と焦った。

そしたらオッサンが
「見ろ!コイツ俺の友達でハタチだぞ!客の最年少記録だろ!?」って聞くもんだからそのおばさんこっち見ちゃって。
そしたら
「わかーい!今学生?」
って、全然気付かなくて普通に会話してて、少し安堵した。
 
その店は下着姿で接客してるだけで普通のキャバクラみたいな店なんだけど、美人とそうじゃない人で客の接し方が違っていて、美人は触っちゃいけないけど他は暗黙的に許されるみたいな。

そのおばさん、お触り禁止なのにオッサンにベタベタ触られててもNG出さず下ネタもガンガン話して客の笑いとって。

オッサンとおばさんも「この店のいいとこはブスならお触り出来るんだよ。なぁ?」「やめてよ〜Yさん!ワタシがブスみたいじゃない!おっぱい触る?わはは!」みたいな会話してる。

でも俺はクタクタになって深夜のコンビニで弁当買ってるのを知ってて、子供を育てる為に働いてるのも知ってる。

その後、コンビニ夜勤中にそのおばさんと何度も会うけど向こうは全然気付いてない。
 
東京に来てから水商売してる子と何人かお付き合いしたが、みんな若かったし子供もいない。
合わなきゃ店を辞めたって子もいた。

恐らくあの池下のランパブは決していい環境じゃなかったと思うし体力的にも辛かったと思う。
でも母親として子供を育てる時に仕事は選んでいられなくて、一生懸命に働いていたんだと思う。
 
その経験があるので水商売や風俗、AVなど対男性へのサービス業をしている人をうがった見方をしない。
でも深くも考えない。
それぞれ事情があるのだから。
 
そして母親というのはとても強いものだと思う。
久々に思い出したんで記録として書いてみた。

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