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[文字起こし]いんよう! 第0回【ツイキャス録音】(後半)

さて、やっと第0回の後半に入りました。めちゃくちゃ忙しかった反動で、ちょっと心身ともにダウンしていたので、だいぶ間があいてしまいまして、すみません。(だいたい例年、いつもこの時期にダウンしている(^^;)

※最初のよう先生のセリフは、前半の最後のフレーズと同じです。(つまりわざと重複させています)

よう/日常系は、ずっとだらだらしててほしい。つまり……なんでかっていうと、頑張んなくてもそのキャラクターには価値があるから。存在理由があるから。
(30分20秒)

いん/……それは、あれですよね、「シェフの気まぐれサラダ」がめっちゃ切りそろえられてたら、むかつく!……みたいな(笑)、なんかそういう……「俺は、気まぐれが食いてぇんだ!」って(笑)
よう/そう。「なに頑張ってんだよ」って思うもんね(笑)
いん/はっはっは(笑)……「いいじゃねえか」みたいな(笑)あはははは……
よう/『こみっくがーるず』で、マンガを一生懸命描いている、ネームが通らない主人公がいたんだけど……
いん/はいはい。
よう/それで、最終話、超頑張るんだけどさ……それ見て感動してたんだけど……。
いん/いいじゃん(笑)
よう/でも、それ見た後で、「なんかちょっと違うよなあ」と思ってさあ。
いん/ひどい(笑)……感動の押し売りみたいなことを(笑)
……なるほど(笑)いやあ、いま思い出しましたよ。「日常系の扱いが、今、皆、よく分かんなくなってる……というか、複雑化している」のは、……『火星の人』って、読みました?
よう/うん……? ああ、はいはい。
いん/お空の「火星」に、「人」。で、ジョニー・ウィーアー……だったかな?(※文字起こし人注:正しくはアンディ・ウィアー(Andy Weir)のようです)
SFで、非常に設定がしっかりしているやつで。僕、それKindleで読んだんですよ。面白かったんですよ。で、原作(小説)があって、映画があるんですけど、映画の方は見ていなかったんですね。

★火星の人 Kindle版

よう/うん。
いん/で、原作の小説だけ読んで、「面白かったな~」と思って、まだスマホに入ってるんですよ。
よう/うん。
いん/で、昨日、夜、帰って来て「『バケモノの子』をやってるな~」と思って、テレビつけたんですね。
よう/うん。
いん/そしたら、CMで、「来週、『オデッセイ』!」……って。『オデッセイ』って確か、『火星の人』の映画版の名前なんですけど……。
よう/はいはい。
いん/そのCMの予告の形式がですね、「火星でのサバイバル!」とか、「非常に考証がよく練られた、科学知識を使って生き残っていく男のストーリー」とかじゃなくて……
よう/あ、(主演が)マット・デイモン(Matt Damon)のやつ? はいはい、分かった分かった。
いん/あ、そうです。……で、CMの作り方が、そういう感じじゃなくて。
よう/うんうん。
いん/(CMのナレーションが)「火星に取り残された宇宙飛行士、生き残るには……芋を作る!?」みたいなこと言ってんですよ。「ムカつく~!」と思って(苦笑)「なんだその切り口!」って……なんか、日常っぽいスパイスを入れられてんですよ。CMの……
よう/はいはい。本来はハードSFで、芋作るのにも理由があるのに、なんかちょっと茶化した感じに……
いん/そう!そう!! あれ見て「おい!」と思ってですね。
(32分33秒)

いん/あの、ちょっと関係ない話していいです?脱線しますけど……(やや興奮気味)
よう/うん。
いん/あのですね、僕はそもそも、金曜ロードショーをよく見るんですけど。好きな映画、いっぱいやってくれるから嬉しいんですけど……、
よう/うん。
いん/いっつも許せないのは、『サマーウォーズ』のCMのときに、必ず「よろしくお願いしま~す!!」のシーン、出すじゃないですか。
よう/はいはいはいはい。
いん/
「一番盛り上がるところを、CMにするなよ!」って(笑)ずっと……「なにあれ!」みたいな……
よう/(冷静に)そうだよね。俺はね、「見に行く」って決めている作品については、PVぜったい見ない。
いん/あ~……うん、わかる。
よう/だって、ネタバレだもん、PV。
いん/うん、何あれ……!(苦笑)
よう/まあ、テレビ放送の前のCMで、若干ネタバレするのは、もう映画は終わってるわけだから、許容範囲かな?っていう気はしなくもないけど……
いん/あはははは(笑)
よう/それでも、イラっとするわけじゃん。
いん/いや、そうなんですよ。許せんな……
よう/でも公開前の映画で、超いいシーンが入っているPVとか見せられてさ。まあ、確かにそれを見て「行こう」っていう気になる人はいるんだろうから、広告としては正解なんだろうけど……
いん/いやぁ……はい。
よう/うっかり見せられた日にはね、かなりげんなりするよね。
いん/……だめですよ、あれ。そういうやり方は。
あ、いや、ちがう、その話は。ちょっとずれた。話をもとに戻すとですね。
よう/うん。
いん/その『オデッセイ』を見てて、その時は言葉になってなかったんですけど……昨日は。
よう/うん。
いん/今、言われてて思ったのは、「せっかくハードSFであるものにすら、そうやって“日常系”の香りをまぶしたのか、お前は」って思ったんですよね、そのとき僕は。
よう/あ~、なるほどね。ん~、若干、“コメディ”の方に寄せてるのかもしれないけどね、それ。
いん/ああ、コメディか……またちょっとそこは、違うのかなあ……?
(34分12秒)

よう/そう、なんかさ……日常系の中で、ギャグがどれくらい入っているかっていうのもさ……。
いん/ああ……はい。
よう/なんか、かなりギャグ寄りの……まあ『ゆるキャン△』とかは、すごいいい塩梅で、結構ギャグもさ、ギャグシーンって感じで入ってて。
いん/……『ゆるキャン△』って、アニメ見てます? 僕見てないんですけど。
よう/見てる見てる。
いん/あの『ゆるキャン△』って、僕、原作よく読むんですけど……
よう/うん。
いん/そんなに、ギャグって……(「ない」と言おうとして思い直した感じで)……ああ、まあ、あるのか。
よう/あの、野クル(読み:のくる/劇中に出てくる「野外活動サークル」の通称)の3人が、けっこう、「ここからネタです」って感じで入るときあるじゃん。
いん/あります、ありますね。ある、ある。
よう/ああいうのはちゃんとあるけど、でもそのほかのところは、ちょっとしたこう……ね、その……登場人物たちの心の距離が縮まる、みたいな話じゃん。主人公の「なでしこ」と、ヒロインの「リンちゃん」の、心の距離が縮まる、みたいな……
(35分05秒)

いん/はいっ、はい、はい(笑)先輩、はいっ!!
(※「お話の途中だけど言いたいことがありまーす!」と、挙手しているような雰囲気で)
よう/はい、どうぞ。
いん/「主人公とヒロイン」なんですか?あれって(笑)
よう/「主人公とヒロイン」でしょ?(笑)
いん/ん、ん~?(笑)主人公とヒロイン……???(笑)
よう/「主人公とヒロインが異性じゃなきゃだめ」っていうのが、もうおじさんだよね。(キリッ)
いん/いやいやいや、ちょ、ちょっと(笑)あの、それ逆でもいいんじゃないですか?(笑)
よう/ああ、逆でもいいね。
いん/あ~、いやわかった、わかった。分かりました(笑)なんで突然、僕、おじさん扱い……(笑)無駄に殴られたけど(笑)
よう/そうだね、無駄に殴ったね(笑)
いん/無駄に殴られましたね(笑)
(35分40秒)

よう/まあ、難しい問題だなあ(笑)
いん/あはははは(笑)ああ、まあなるほど。主人公ね……あ、ちょっと待ってください。思い出した。「日常系」の主人公って、誰ですか?
よう/ん~、誰でもいいんじゃないかな?
いん/一番、コマに出る人?
よう/あ~……(悩み)
いん/あの……『けいおん!』でいうと、……誰?
よう/うん、「誰?」って問題になるよね。あのねえ、これ多分、決着つかない問題だと思うから……
いん/うははははは(笑)
よう/俺はもう、「クレジットの一番上が主人公」ってことにしてるけどね。公式がそう言ってるからもう、それでいいだろうと。
いん/ぶはははは(笑)……はい、賛成で~す。はい、いいと思いま~す、いいで~す(棒)(笑)
よう/『けいおん!』を一番ストレートに見たら、唯ちゃんが主人公なわけでしょ?
いん/ええっ!? ああ……はい、いいですよ(笑)
よう/だって、一番はじめが唯ちゃんから始まるしさ。
いん/始まりますね、はい。……いいでしょう(笑)
よう/でも、「澪ちゃんだ」と思ってる人も多分、いるよね。で、何なら一番多いのは、「あずにゃんが主人公だ」と思っている人だよね。
いん/ああ~……、そうです、はい。……はい、納得です。……納得。……で、『ゆるキャン△』は?(笑)
よう/『ゆるキャン△』は……まあ、なでしこ……が主人公で、やっぱ、りんちゃんはヒロインじゃないの?(笑)
いん/りんちゃん……が主人公で、なでしこヒロインじゃないんですか?
よう/……。
いん/……ちがう……んだ? いやあ、俺ここズレると思わなかったなあ、マジかぁ……。
よう/あははは(笑)
いん/(笑)いや、まあいいや。「日常系」って、そうなんですよね。
よう/そうなんだよ。
いん/「アダムとイブで、どうこう」って話にならないですもんね。
よう/そう……だね。だから、りんちゃんは、『けいおん!』でいったら、あずにゃんのポジション……なのかなあ? でも、転入してくるのは、なでしこ……
いん/あ~……そうですねぇ。いや、難しいですよ、確かに。
よう/うん……だから、『ゆるキャン△』はさ、“あずにゃん視点で見ている『けいおん!』”みたいなもんじゃないの?
いん/“あずにゃん視点で見ている”……おぉぉ~……!(と、一瞬納得しかけて)あぅええ~~!?(笑)あはははは、まあいいや。
よう/なでしこは、りんちゃんじゃん、どう見ても……あ、(間違えた。)
なでしこは、唯ちゃんじゃん。
いん/ああ……。

よう/……これもう、『けいおん!』と『ゆるキャン△』分からない人、何聞いてるか全く分からないと思うけどね(笑)
いん/大丈夫です(笑)あのですね、今日の会話は最初っからコレです(笑)大丈夫、大丈夫。もともと分からないのしか、ないんで(笑)
だから大丈夫、(このポッドキャストの)初回からね……。
(38分05秒)

いん/しかもこれ……あれ?先輩、これ「ひとネタ30分」じゃなくてよかったんでしたっけ?
よう/そうだね、もう50分くらいしゃべってるね。
いん/そうですよね。なんか皆、暴力的にコイン投げてくるんで、別にいくらしゃべっててもいい、みたいな感じなんですけど……。あれですか、編集点とか作らなくていいんですか。
よう/俺ら、素人だから、いいんじゃないの。
いん/ああ、いっか。ああはい、いいです、いいや(やや投げやり)。
……で、1時間くらいでやめます?
よう/そう……だね。
いん/ああ、じゃあ、……あと何分? ……あれ、まだ20分くらいあるの? あるのか。ああそうか、10時から始めてなかったですもんね。(まだ続けてて)いいんだ。
よう/そうだね。
(38分43秒)

いん/じゃあちょっと……次の話題、何か……
よう/『バケモノの子』?
いん/ああ、そう……昨日見たから。あははは、そこでつながる……(笑)
いや……じゃ、分かりました。今度は僕から(ネタを)出します。決めてかかってたわけじゃないけどね。『バケモノの子』の話、しましょう。
昨日、見たんですよ。
よう/うーんとねえ、……俺ねえ、確か、ブルーレイで見たんだ。
いん/あ、見たことあります?
よう/見た。1回見た。
いん/えーと、監督、誰でしたっけ? 押田さん? 押田 守さん?
よう/細田 守。
いん/あ、そうだ、細田さん(笑)「押井守」と混じってた(笑)細田守さんね、そうだそうだ。
よう/はいはい。
いん/いやあ、僕ですね、『サマーウォーズ』と『時をかける少女』しか見てなくって。
よう/はい。
いん/で、『バケモノの子』は初めて見たんですけど。……僕、基本的に「ミスチルが主題歌を歌っている映画は当たらないだろう」っていう偏見があるので、あまり見てなかったんです(笑)
で、面白かったです。一応。講演会とかがあったんで、最初からは見れなかったんですけど、途中から見始めて、面白くて。
よう/うん、うん。
いん/で、ちょっと思ったんですけどね。あの、ラストシーン……あ、ネタバレ……まあいいか。「ネタバレです」って言っとけば、ネタバレしてほしくない人は……
よう/まあね、もう何年も前の作品だしね。ていうか、もう『未来のミライ』見に行けよ、って話だからね、今。
いん/そうですよね。じゃ、いいや。「ネタバレがここから入るんで、嫌な人は帰ってください」と。(帰れといっても)おうちかもしれないけど。
よう/うん。
いん/じゃあ、言います。途中、中盤から終盤にかけて、あの、えーと……「敵」でいいかな? 敵として、鯨が出てくるんですよね。どっかーんと、鯨が。
よう/影みたいなやつね。
いん/はい。で、僕あれ初めて見たので、鯨が出てきたので「おおっ」と思ったんですけど。
よう/うん。
いん/主人公が、序盤と中盤にかけて、『白鯨』を読むんですよ。「白い鯨(くじら)」って書いた、小説を。
よう/はいはい。
いん/何でしたっけ、脚が悪い漁師が戦うやつですよね、たしか。
よう/小さい船で鯨を釣ろうとして格闘する、って話だよね。
いん/おそらく、それだと思うんですけど……もしかしたら、それをモチーフとした別の本かもしれないですけどね。
で、主人公がそれを読んでて、(映画の)最後に敵として出てくるのが、鯨なんですけど。
よう/うん。
いん/なんか、考察がいろいろ書いてあったんですよ、後でネットを見たら。
よう/うん。
いん/「なんで鯨かぶりしたんだろう?」と思って。で、わかんなくはないけど、一応、考察を探したら、だいたい、思ってるようなことが書いてあったと。
よう/うん。
いん/で、まあ詳しいことは言わないにしてもだ。あの……ネタバレも、ネタバレ過ぎるとあれなんで、言わないですけど、まあ、それは分かったわけです。「ああ、鯨モチーフね、そうだね」って思ったんですね。
よう/うん。
いん/そこでふと思ったのが、「もし主人公が、カフカの『変身』を読んでたら、ラスト(の敵)は虫だったのか?」って。
よう/なるほどね。
いん/(笑)……本当に「なるほどね」って思いました?(笑)
よう/いやいや(笑)起きたら虫になってるでしょ? カフカのあれって。
いん/ええ(笑)もしあれを、序盤から中盤にかけて読んでいたら、ラストのボスとして出てくるのは、ガガガガッ!っていう虫だったのか?……っていうのが知りたいんですよ(笑)
よう/まあ、そんなわきゃないんだけどね(笑)
いん/あはははは(笑)
よう/あれが、もし物語じゃなくてドキュメンタリーだとしたら……
いん/ドキュメンタリー……(笑)
よう/いやなんかその、「読んだ本に影響される」みたいな世界で起こっている出来事だとしたらね。「主人公がカフカを読んでいたら(最後が)虫じゃないとおかしいだろ」って話?
いん/そうなんです。ただ、僕は最初自分のなかでそれを思いついて、ゲラゲラ笑ってたんです。
よう/うん。
いん/ただ……僕、今朝と昼はそれで笑ってたんですよ。「(読んでた本が)虫だったら、(最後も)虫かよ!」みたいな。「『変身』読んでたら虫出てくんのかよ、ゲラゲラ(笑)」くらいだったんですけど……。
ただ、夕方から今夜にかけて、「それはそれで名作ではないか」という気もしたんですよ。
よう/なるほどね。
いん/あそこで、無駄に、こう……鯨が渋谷の街をザーッ……みたいな非日常を出すくらいだったら、なんか腕のあたりにこう、クモをモチーフにしたかのような毛がザワッと出るとか……
よう/なんか、『寄生獣』みたいな感じ?
いん/ああ、そうそう。それこそ主人公が小説じゃなくて(マンガの)『寄生獣』読んでたら、相手は寄生獣になるのか、って話ですよ。投映みたいな。
よう/もう全然、「東映の夏休み映画」じゃなくなるけどね(笑)
いん/あはははは(笑)
(43分17分)

いん/いや、それでね。僕が今、なんで「この話でひとネタ」みたいなことを言ったかというと……。僕、「ラストシーンがぶわっと盛り上がるための伏線」みたいなのが狭すぎる映画は、なんとなく拒絶しているんですよね、自分のなかで。
よう/うん……「誘導されている感」が強いってこと?
いん/っていうか、偶然から偶然の積み重ねの末に、最後に盛り上がってんじゃん、みたいな。
よう/ああ、「ご都合主義が嫌だ」ってことね?
いん/ご都合主義……?(考えている)
よう/「上手くいきすぎだろ」とか、「“そう”なる確率は相当低いのに、なんか……“そう”なってるかのように書いてるけど、そんなには(うまく、そういう結果には)ならねえだろ!?」みたいなこと?
(※2019-01-01文字起こし人追記:よう先生のセリフの下線部分、2人の音声が重なっていてうまく聞き取れないのですが、何度か聞きなおした結果、意味としてはこのような感じであろう、ということで修正をかけました。)


いん/うーん……なんか、設定があとで響いてくるっていうのが見えすぎちゃうものが、苦手なんですよね。
よう/ああ、はいはい。「作為的なものが苦手だ」ってことね?
いん/そうですね……。でも、僕そういう話好きで、よく見るんですよ。「さあ来い!」っていう。「回収して来い!」みたいな気持ちもある。
よう/「予定調和は嫌だ」ってことね。
いん/うん……嫌なんですよね。やだ、やだ。
よう/「型のある物語」に、飽きてるっていう……
いん/飽きてる、のかなあ……? 自分でもこれ、どこが良くてどこが嫌か、分かってなくて。
よう/うん。

いん/例えば『バケモノの子』でいうと、序盤で、熊徹(くまてつ)っていう……師匠になる……
よう/育ての親みたいな。
いん/そうそう。あれが戦ってる時に、「バケモノたちが持っている刀は、紐で結んであって抜けないようになっている」っていうシーンがあるんですよ。
よう/はいはい。
いん/でも、それを見た瞬間、1秒も経たずに「これは、終盤では取れるな」って思うじゃないですか。
よう/思うね。
いん/思うでしょ?(笑) 「刀を封印して抜かないようにしてる」っていったら、「これは最後は抜けるな」って……
よう/それはさ、見てる側としては「負け」だよね。それ思ったら。
いん/ええー(笑)
よう/後半に抜けたときにさ、「ええっ、抜けるの!?」って思った人が「勝ち」だよね。
いん/いや、そう……。でも僕あれは「抜けろ、抜けろ、ようし抜けた!」と思うので、それは「アリ」なんですよ。
よう/「アリ」なんだ。要は、様式美を楽しんでる、ってことじゃん。
いん/そう!!そのフレーズ、ありがとうございます。だから、「様式美」はアリでしょ。
よう/うん。
いん/でも「予定調和」は、むかつくんですよ。この差は何?……っていうのが、よく分からない(笑)
よう/ああ……だから、ええと……もう王道になっているものはいいけど、流行りのものはイライラする、ってことかなあ……?
いん/そうですかね……。あとは、「いや、そこで唐突に『白鯨』読んでるけど、最後、鯨かよ」みたいなのは……なんだろうなあ。
「様式美にしようとしているけど、予定調和じゃねえか」っていうのが、ピクっと来るんですよね(笑)なんだろうな、これは……。いや、ほんと何なんだろうなあ? 「伏線を張るために張った伏線」だと、ムカつくんですけど……(笑)
よう/うん、ようやく、言いたいことが分かってきた。
(46分09秒)

いん/じゃあ、もうちょっと先を話しますと……僕が言いたいのは、「小説や創作物を書いている人の頭ってどうなっとんのよ?」 って話で。
よう/ああ、ねえ。
いん/許せる伏線と、許せない伏線ってあるじゃないですか。
よう/うん。
いん/あの差って何?……とか。
よう/うん。そのさ……結局、特に、作り手の人って一番「前」にいるわけじゃん、当然。一番、「進んでいる」わけでしょ?
いん/おお、はい。
よう/そうすると、「先にどんどん進みたい」とか、「新しいものを求めたい」と思っている人はさ、やっぱ物語の形式とかから壊していって、離れていったりしない?
いん/形式から、ねえ……。いや、そうすべきとは思いますしねぇ。けど、なんか……創作の根本にある「人を動かすモノ」って、何種類かしかない、という感じもありません? 結局、戻ってくるところってあるじゃないですか。
よう/「物語の型はいくつかしかない」みたいなのは、読んだことあるけどね。
いん/あ、やっぱり。僕も多分、そうだと思いますよ。
で、壊しながら、「ここはお約束で様式美、嬉しい!」っていうのと「お前、これは分かっちゃうよ」っていうのを、どうやって書き分けてるのかなあ? と思って。丁寧であればいいんですかね、あれは……。
よう/いや、分かった。「強度」みたいなことでしょ?
いん/あ、「強度」……?
よう/要は、「構造の持つ強さ」みたいなことでしょう?
いん/「構造の持つ強さ」……! ああ……。
よう/分かんないんだけど、100年後に見ても「これはいける」みたいな感覚があるものは……(その「いける」という印象を)見るものに与える「構造」とかは、「強度が高い」んじゃないの? あと、「これは外国の人が分かるな」とか、「子どもが見ても分かるな」とか……
いん/あ! 「外国の人」というのは、いま思いました。「英語に翻訳できるかどうか」みたいな。違う言語で語ったら訳がわからなくなるようなものは「強度が弱い」んですかねえ。
よう/うん。あと「狭いコミュニティだけで共有されているような文法で、いわゆるお約束みたいなのをやっていると、ちょっとイラっとすることがある」ってことかなあ……?

いん/へへへ(笑)……今の話題ってそのまま、Twitterをやっている僕に跳ね返ってくるんですけどね(笑)「狭いコミュニティのお約束で、毎日つぶやいている」みたいな感じになるんですけど……。そうかあ……。実際、世間におけるTwitterのイメージって、そういう感じじゃないですか?
よう/「内輪感がある」ってこと?
いん/そうそう。なんか、「Twitterをやっている人の間でしか盛り上がらない」スピード、種類。「様式美って言ってる」予定調和、みたいな。……なんかあれ、もしや相対的なのかな……。
よう/まあ確かに「内輪感」はあるんだろうけど……。あの速度は相変わらずすごいよね。時事ネタに反応する速度。
いん/うん……まあ、「人より早い方が伸びる」っていう、分かりやすい“エサ感”がなかったら、あんなに早くなかったと僕は思ってるんですよね。
よう/なんかね、どの媒体よりも早いじゃん、当たり前だけど。テレビよりも早いしさ。
いん/早いです。早いですよね。
(49分29秒)

(2~3秒無音が続いて)
いん/あ、もしもし?
よう/もしもし?
いん/はいはいはい、ああ、来た来た。……ん?弱い?……ああ、来てる来てる。
よう/はい。
いん/ああ、聴こえてる。たまに強度が弱くなる(笑)……あれ?
よう/あれ?
いん/ああ、大丈夫、大丈夫。
で、せっかく話がTwitterに流れたので。僕、実は、このツイキャスはTwitterに流してますけど……
よう/うん。
いん/「Twitterでできないこと」に持って行った方がいいんじゃないの? って、僕自身が思うんですよね。
よう/うん。
いん/だから、いずれは……あ、11時になった(笑)
いずれは、「僕が発信」じゃなくて「僕がRT(リツイート)」に変えようかな、とも思っていたんです。
よう/はいはい。
いん/だから、「本当にTwitterに慣れた人に訴求する」のとは、違うところで話をしたいという気持ちも、ちょっとする。ちょっと。
よう/「ちょっと外側に向けたい」ってことね? 今向いてる方向じゃない人たちにも、ってことね?
いん/ん~、分かんないんですけどね。このトークって、どこに届けたいっていうか……まあどこでもいいんですけど。どこに投げてもいいんですけど
よう/聞いてくれる人に聞いてもらえばいいんじゃないの?
いん/そうかあ(と、いったん納得するが、思い直して)……いや、違うんですよ。僕がTwitterで「またやるぞ、またやるぞ」っていうと、「様式美とお約束と予定調和」に入ってきそうな……だから、自己嫌悪ですよね。
細田監督に、悪口を言うような回になったけれども……(笑)
よう/うん(笑)
いん/そう、だから……厳しいんですよ。予定調和になりそうな自分に、厳しい。
よう/そうだね。ひとのネタも、流すもんね。
(※文字だと分かりにくいですが、音声だとその後の文脈もあわせて「俺のネタもよくスルーするよね」という意味だと思われます)
いん/くっ、ふふふふふ(笑)いや、流してないですよ(笑)流してないでしょうよ、僕は。優しい方ですよ。
よう/まあ確かに、マシになったのかもしれないな~。
いん/(笑)あなた、こないだ同じ口で「最近、デレすぎだ」って言ってたじゃないですか(笑)
よう/いやそうそう、デレ過ぎなんだよ。(真顔)
いん/あははははは(笑)
よう/ひとに合わせるってことは、デレるってことじゃん。
いん/いやあ、ひとに合わせるってことは……まあ、そうですねえ(笑)
よう/なんかさあ、デレの割合が2割こえると、萎えない?
いん/あああ~……(ほお、という感じ)
よう/別にあの~、ヤンデルアカウントのことを言ってるわけじゃなくて。
(51分48秒)

よう/例えば、化物語の「戦場ヶ原ひたぎ」っていうキャラクターがいるじゃん。
いん/います、はい。突然……(笑)
よう/ツンデレキャラクターの代表のひとりじゃん。
いん/ええ!?(笑)
よう/日本代表のツンデレ11人選ぶっていったらさあ……いや、25人の中には入ってくると思うんだけど。
いん/なるほど(笑)数字がもう、つっこみたくてしょうがないけど、いいでしょう(笑)いきます、いきます。保留で(笑)……で? 戦場ヶ原ひたぎが?
よう/ガハラさんの、デレ度が高くなっていくとさ……ある一定ラインを越えると、ツンデレキャラとしての魅力はなくなると思うんだよね。
いん/なるほど。
よう/あの硬いタイプのツンデレ……もとからチョロいタイプのツンデレなら、別にそれはそれでいいんだけど。
いん/チョロいタイプ……(笑)
よう/ああいうさ、(ガハラさんは)本格的なツンデレなわけじゃん。
いん/いや、おっしゃりたいことは分かりますよ。デレの度合いが増えてくと、キャラの魅力が……っていうね。でも、そりゃツンデレの場合でしょ?(笑)僕は別にツンデレじゃないんで(笑)
よう/そう……だよね。まあ、どっちかっていうと、慇懃無礼なタイプだもんね。
いん/ぶははは(笑)ああ、慇懃無礼ね(笑)あの……ダメだ、また本名出すとこだった、これあぶないですね。
よう/「物語」シリーズに、いたんだよなあ……慇懃無礼なキャラ。あれ、誰だったかなあ。
いん/いますか?
よう/あのねえ、目がビー玉みたいなねえ……
いん/あっはははははは(笑)
よう/あの……名前が思い出せない……あ、忍野 扇(おしの おうぎ)だ!
いん/あの、ひとつアドバイスを言っていいですか。
よう/はい。
いん/あの~、思い出せない時は、次回、思い出してください。
脳が早い(笑)
よう/(笑)
いん/世間の人の「思い出せない」と比べて、あなた脳の回転が速すぎるので。ちょっと落としてください、それは。
よう/忍野扇は、水橋かおりさんが……
いん/流さないでくれ!(笑)
よう/あははは(笑) ……超いい演技をしてるんだけど、まああの慇懃無礼な感じがね……

(フェードアウトして終了/54分)


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