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[文字起こし]いんよう! 第2回【未来職安を読んだうすい感想②】

いきなり「はたらく細胞」回を2つ挟みまして、どうもすみませんでした(^^; ちょうどあれを起こし終わった直後に新エピソードのお知らせが流れて来て、大変嬉しい気持ちになりました。個人的には熱中症の回でばい菌さんが悪態をつくテイで熱中症への助言をしているのがものすごいツボったのを覚えています。いんようのお二人もおっしゃるとおり、とてもよくできたマンガ・アニメで、昔の学研の「ひみつシリーズ」が大好きだった私にはとても楽しい作品であり、文字起こしもつい先に手がのびてしまいました。

さて、前置きが長くなりましたが第2回もボチボチとおこしていきたいと思います。ただいま講師の仕事を含めて要約筆記関係がが繁忙期に入っており、大変ゆっくりになるかと思いますがお付き合いくださいませ。

(♪)

よう/それでね、柞刈湯葉さんが「未来職安」ていうのを出してさ。
いん/うん。
よう/すごくアイデアがいっぱいある……面白い小説だったけどさ。
いん/うん……、まさかの2週目に入りましたけど(笑)、はい。いきましょういきましょう(笑)
よう/うん、……1ネタ(ひとねた)で、しゃべれるだけ行くから。
いん/ふふふ、あははははは(笑) えー、はい、いいですよ(笑)「1ネタでしゃべれるだけ」、ね。
よう/はい。あの~……まあさ、すごく……(言いかけて止まる)。……で、(柞刈湯葉さんは)Twitterもやってて。ツイートもさ、先週しゃべったけど、すごい、アイデアがさ、ちゃんと入ってるツイートをするじゃん。ネタツイートなんだけど、ちゃんとこう、ある意味SF的というかさ、いろんなアイデアが入ったツイートをバンバン出してくるけどさ。
いん/ああ。
よう/あそこでツイートするってことはさ、あれ、小説に直接入れる気ないってことだよねえ。
いん/……なるほど。それはですね。ちょっと先週の終わりのときにも僕、「あっ」と思ったんですけど。
よう/うん。
いん/つまり、「作家的なものは……自分の本当に大事なアイデアは、ツイートしない」説なんですよ、それは。
よう/ああ、なるほどね。じゃあ別に、ツイートしてても、それをうまく作品の中に織り込んでいくこともできるってこと?
いん/そういう人もいるんですよね。
よう/ああ、そうだよね。全然悪くないよね、それはね。

いん/両方いると思うんですけど、柞刈湯葉のすごいところはですね、彼は、ツイートしても余裕なんだろうな、ってくらい、“世界”を感じるキャラだ、ってのがズルいんですよ(笑)
よう/なるほどね。
いん/「このツイートしたからといって、彼のアイデアは途切れまい」と思ってしまうんですよね。彼の場合は。
よう/はいはい。あ~、すごく「ツイッタラーっぽい」見方だよね。
いん/うはははははは(笑)
よう/その「ツイートのネタを考える」っていうことを、何年かやってきた人の意見だよね、それはね。
いん/(笑)……だって、僕、あんな面白いこと考えたら、本にしたいもの(笑)(※ずっと、めっちゃ笑いながら(泣き笑いっぽく)言ってます)
よう/なるほど。(笑)あ、それはけっこう、素直な感想なんだ。
いん/つらいもん(泣笑)なに、あの(ツイートは)……。ツイートの一つひとつが文学になる人っていうのは、特殊な人間なんですよ、やっぱり(笑)
よう/いや~、あれって才能だよね、明らかに。
いん/才能ですよね。で、才能で……あ、このままちょっと話題がスライドするかもしれませんけれども。
よう/うん。

いん/才能に2種類……芸術的才能って2種類あると思うんですけれども。
よう/はいはい。
いん/その……本当に天才過ぎて、何やってるかわからないタイプの芸術的才能と、
よう/うん。
いん/あの……どこまでも理論的で、追っかけていけるんだけどマネできないタイプの天才ですね。あの人はね。
よう/なるほどね。
いん/たぶん。「全く理論化できない」人と、「理論化できるけど全然追いつけない」人、みたいな。で、柞刈湯葉のやってることの腹立たしい点はですね、彼がやっていることは、理屈がちゃんとあるんですね、理論が。
よう/そういうタイプに見えるよね、確かに。それはわかる。だから一見、(自分でも)できそうなんだよね。
いん/そう。ただですね、あれをやるには、実は知能がいるんですよ。だから、そう……実践に知能が必要なんですよ。
よう/そうだよね。
いん/やってることは、分かる。けど、できない。……いや~、腹立たしい。っとに……。
よう/うん……。なんか、SF作家とかでさ、何やってるかわかんないけど、無尽蔵にアイデアが出てくるように見える人って、逆に、いるのかなあ。そういう……ハードSF書いてる人で。
いん/あ~。
よう/なんか、アイデアの源みたいなものが見えるっていうかさ、マネはできないけど「たぶん、こういう感じで出てきてるんだろうな」って、そういうのが分かる人のほうが、なんか……多そうなイメージは、あるんだけどね。
いん/……僕はですね……えっと……「やってることの理論は分かるけど、全体はマネできない」っていうのが、いわゆる普通のSF作家で有名な大御所に多いと思うんですよね。
よう/うん。
いん/グレッグ・イーガン(Greg Egan)とかですね(笑)最近だと、チャイナ・ミーヴィル(China Tom Mieville)とかですね、そのあたりは、やりたいことは分かるんですよ。「こういうことをやってるんだろうな」ってのは分かる。けど絶対、追いつけないんですけど……。
よう/うん。

いん/「何やってるかまったく分かんないけど、無尽蔵のアイデアが出てくる、SFを描けそうな人」っていうと、手塚治虫ですね。
よう/ああ~……。
いん/神、神。
よう/いやまあ、確かにそうかもしれないな~……。
いん/彼の、根底に流れている理論っていうのは「萌え」なんですね。
よう/いや、分かるよ。そこ少し説明したほうがいいかな。
いん/いや……いきましょうか。うはははははは(笑)
よう/あの、俺……分かる、分かるよ。
いん/分かるでしょ(笑)分かる気がしますもん、うはははは(笑)
よう/(笑)そんなに手塚作品読んでるわけじゃないけど……
いん/そうそう、それも分かるんですよ。
よう/今の「萌え」の、あらゆる形態を作り出してるもんね。
いん/ね、有名ですよね。その話自体は、有名。
よう/うん。
いん/なんか逆にいうと、萌え1つで、「こうなったら萌えるだろう」っていう、理論を超えて生み出したものが、のちの世の「形式」になってしまってるわけですよね。
よう/そうだね。
いん/あれは理論化できないんですよ、彼がやっていることは、多分。
よう/確かにね。その……、SFだけじゃなくて、あらゆるジャンルのものを描いてるわけじゃん。
いん/そうなんですよ。僕が……
よう/(かぶせるように)ちょっと、手塚治虫を語るの、やめない? ちょっと怖すぎるんだけど……(笑)
いん/ん?う~ん……この話だけで何話もいけますからね、ふはははは(笑)
(5分38秒)

よう/ちょっと、おそれ……素人語りとしてもね、恐れ多すぎるよね。……まあいいや、うん。
いん/あはははは(笑)
よう/……で、(手塚治虫は)あらゆるジャンルのものを作ってるよね。すごい……
いん/くっくっく(笑)……いや、それで言うと、SFというジャンルはですね、彼を除けば、たいていの人は、ある程度メソッドはあるんです、たぶん。
よう/……なるほどね。
いん/で、「これをやったらこう出るに決まってるじゃん、と思っても、それができないよね」っていうのをやってる人が、偉大なSF作家に、いるわけじゃないですか。
よう/うん。
いん/それは、サイエンティストと全く同じなんですよ、僕から見ると。

よう/はあはあはあはあ。つまり「新しいものを作り出してる」っていう。
いん/比率的に、「メソッドとしては目新しくはないけど、すごくいいデータを揃えるよね」っていう、優れた研究者があちこちにいるじゃないですか。
よう/はいはいはい。
いん/しかも、緻密で。
よう/あ~、確かにな~……。
いん/時おり、独自の想像力で“気づき”がちゃんと入ってくるけど、やってることは全部、きちんと丹念にやっているタイプの研究者がいるじゃないですか。
よう/うんうん。
いん/あれ、ハードSFなんですよ、僕からすると。
よう/あ~、確かになあ……。だから、手塚治虫とかは、アインシュタインとかさ……
いん/そう!そう!
よう/ああいう感じだよね、「これまでの400年の歴史変えました」みたいな。
いん/そうそうそう!「え~、ちょっと、そこいくんだ!?」みたいな人が、たま~にいますけど、それもう「SF」っていうくくりとは違うじゃないですか。
よう/そうだね。
いん/そうなんですよ。だから、いまちょっと突然ひらめきましたけど、「サイエンス・フィクション」と「サイエンスのノンフィクション」やってる人って、基本、一緒なんですよ(笑)
よう/……ああ、「実際にサイエンスをやってる人」ってこと?
いん/そうそうそう(笑)
よう/ほう、確かに。SF……そうだね、特にハードSFっていうかさ……
いん/はい。
よう/「今の科学技術の延長線上にちゃんとありそうな、だけど今からは、ちょっと普通の人は想像できないような未来像」をちゃんと見せてくれる人、っていう……そういうSFを書く人は、そうかもしれないね。
いん/結局、柞刈湯葉にしても、「SFだ」といいながら、整合性が、どこまでもとれるわけですよ。
よう/そうなんだよね。
いん/はい。あれサイエンティストですよね。
よう/そうだね。まあ、少なくとも、「研究者的な想像力」だよね。
いん/そうですよね。

よう/うん。だから、「ファンタジー」では全然ないと思うからね。うん。
いん/そこにファンタジーを入れるかどうかっていうのは、彼の「遊び心をどれだけ入れるか」っていう話ですよね。
よう/うん。……これネタバレ……別にいいと思うんだけど、ネコが「ケケケ」って鳴くじゃん。
いん/ああ!
よう/あれさ、ズルいよね。
いん/ぶっ……くくくっ(笑)あはははは(笑)ゲホゲホ、なるほど、「ズルい」(笑)
よう/なんか……なんつーんだろな。あれだけ緻密にしといてもさ、分かりやすいアイコンみたいなのが入ってるわけじゃん。マンガ的な、さ。
いん/そう、柞刈湯葉はズルい!そう、彼はズルいんですよ。彼は、もうちょっと叩かれるべきですね(笑)
よう/はははは(笑)
いん/あはははは(笑)

よう/あそこでさ、ポップになるんだよね、ちゃんと。
いん/そう、彼はポップなんですよ。ポップなサイエンティスト……。
よう/で、こう、マンガ原作とかやるわけでしょ?
いん/そうです……
よう/で、たぶん、マンガ原作をやるときには、そういうポップさも必要なわけじゃん?
いん/……必要でしょうね。
よう/「緻密に描く」+「一発で分からせる」みたいなさ。
いん/ああ……あのですね、先輩、それはですね。(彼の)前作の「重力アルケミック」読んでください。
よう/あ、なるほど。
いん/あの、殴りたくなりますから(笑)ほんとに。
よう/(笑)
いん/「ぅおぉぉおい!」って、こう(たぶん胸倉をつかむ感じ)なりますから。こう、「おぉぉい!!」ってなりますから(笑)
よう/あ、いやそのね(笑)……そうなんだよね。なんか、まあ、作家で完全に天然でやってる人っていないと思うからさ(笑)いいんだけど……
いん/ああ~……。
よう/なんか、こう……あれだけさ、さっきも言ったように、あれだけさ、「知能が必要だ」って明らかに分かる作品を書いてて、あのポップさを出されると、これはもう絶対、「考えて作ってる」ってことが分かるじゃん。当然の帰結として。
いん/ああ……それを、人は「あざとい」というんですよ。(笑)
(9分58秒)

よう/そう……かもしんないね(笑) でもあれ、あざとかろうが、何しようが、あった方がいいもんね。
いん/そう(笑)……だって、あれですもん。若干、ファンですからね。
よう/うん……あの、あずにゃんが……あずにゃんのかわいさがさぁ……
いん/ええ~!?……ぶはははは(爆笑)
よう/あざとかろうが何しようが、かわいいもん。
いん/(ずっと笑い転げている)あ……あずにゃん!?!?(笑)
よう/うん。(笑)
いん/突然の!?!?(笑)
よう/だって、同じでしょ!? あのさ……
いん/まあ、いいでしょう(笑)
よう/「あざといかわいさ」ってあるわけじゃん、いっぱい。別に女性キャラクターじゃなくても、男性キャラクターとかでもさぁ。
いん/……なるほどね。
よう/いま、『Free!』っていうアニメやってるけどさあ。
いん/あ、どうですかあれ。僕、見てないんですけど。
よう/俺、テレビシリーズは一応、1期から全部見てて。
いん/ほう。
よう/映画も、あの『ハイ☆スピード』ってやつは見に行ったんだけど……。
いん/ほう、ほう(笑)
よう/その……なんか「萌え」とかで見てるわけじゃないんだけど……。まあでもね、「渚(なぎさ)」っていう、ちょっとわんこ系のキャラがいるんだけど。
いん/……ん、なに系!?
よう/わんこ系の……なんかさ、背が低くてさ、かわいい感じの、男性キャラクターがいるんだけど。
いん/……んっ(笑)まあ、はい、……なるほど?(笑:こらえつつ笑っている)
よう/あのかわいさは、そうとうあざといと思うけどね。
いん/ん……っふふふ(笑) うん、見てる人は分かりそうな……っはははははは(こらえきれずにまた笑いだす)
よう/うん、そうだね(笑)……ごめんね? あずにゃんの例もね、アレだったけど、『Free!』は より狭いよね(笑)
いん/いえ、あの……どんどん狭くていいと思いますよ。あのですね……
よう/(かぶせるように)入口、狭くしていこう。入口ね。
いん/あ、うん入口ね(笑) 「中は広い」みたいなね(笑)
よう/うん、中が広いかどうかは分かんないけど、とりあえず入口は狭めていこう。
いん/(笑)あのですね、ひ、一言言っていいですか?(笑)
よう/うん。
いん/あのですね、サイエンスの話に入った瞬間に、8割方振り落としてますから(笑) 大丈夫です(笑)
よう/そうだね(笑)
いん/そうね、なるほどね、いやあ、そうか……。あのですねSFの……まあ柞刈湯葉はもういいや。彼は、腹立たしい……それは、まあいいんですけど。
よう/うんうん。

いん/あの……サイエンス・フィクションの優れたものを書くときに、サイエンティストが書いている状況、というのは……とっってもよく分かりますし、ちょっと腹が立つんですよ。
よう/“腹が立つ”?
いん/そう、うん。だって、「サイエンスのノンフィクション」を「サイエンスのフィクションに強い人」が書くのは、そりゃあもう、「そりゃそうでしょう」っていう感覚があるんですよ。「やれ~!やってくれ~!」って思いますけど、「それはそうだろう」みたいなところもあって……。
よう/ああ、「チート感がある」ってこと?
いん/そう。チート感があります。
よう/ああ~、なるほど。
いん/「そりゃあ、そうだよね!」みたいな…。
よう/なんかそのね、SF作家の……誰だっけな。なんかその、SF作家が書いた文章で「最近のSF作家は、サイエンティストの想像力に負けてる。これはいかん」みたいなことを言ってて。
いん/ああ~~!(へえ!?、という雰囲気)
よう/「我々は実際にサイエンスをやるわけじゃないんだから、想像力という意味では、実際にサイエンティストの人たちよりも何歩も先を行ってなきゃだめだ」っていうことを書いててさ。
いん/……そうですかあ……。
よう/それは、今イッチーが言ったことと逆かもしれないんだけど。
いん/先輩は、それに対して何か一言、ないんですか。
よう/いや~、それはそうだと思うよ。実際さ、内部にいてさ、現場にいるとさ……想像力ってなくなってくじゃん。だって、アラが見えるから。まず最初に。
いん/ああ……。
よう/なんか物語とかもさ、「荒唐無稽なもの」を考えられるのって、素人だよね、たぶん。
いん/……おおぉ~~!? ……僕は、ちょっと反省しなきゃいけないことがあるんですけど……。
よう/うん。
いん/かつて、SFの大御所が大絶賛した、とあるSFを読んだんですよ。
よう/ほう。
いん/それが、あまりに荒唐無稽すぎて……要はハードさがなかったんですよ。ちゃんとした考証が……
よう/すごく飛躍してる感じがした、っていう……
いん/そうなんですよ。あと、現代の科学のことを考えてしまうと、「これはあり得ない」という点が、あまりにも目についてしまったんで……。
よう/はいはい、はいはい。
いん/「フィクション」だから、いいんですよそれは。でも、なんか「いかにも現実に起こりそうな」っていう……「ハード風な書き方をしているのにすごくフワフワだった」ところが、僕はどうしても許せなくて。
よう/うん。
いん/それ以来、その小説の作者ばかりか、それをベタ褒めしていたSF界の大御所すら、まともに見れなくなってしまった、という経験があって。
よう/なるほど。その理論的背景がしっかりしていないように見えて、ちょっとこう、なんか……えー……微妙っていうか……。
いん/そう、「ちょっとな~」って思ってしまったと。
よう/うん。
(14分29秒)

いん/ところが。ところが、ですよ。
よう/うん。
いん/その彼のセリフではないにしても、似たような人たちが、やはり「サイエンティスト以外からSFを書いてほしい。なぜならば……」みたいな話をしてるんだとすると……、
よう/うん。
いん/それはちょっと、僕が反省しないといかんのかな、みたいな……(苦笑)
よう/俺ちょっと、それはSFだけじゃなくてさ……。あの、春日 太一(かすが たいち)さんっていう、映画評論家の……
いん/うん。……映画評論家?
よう/うん。映画評論家の人がいるんだけど。専門は時代劇なんだけどさ。
いん/あ、ですよね。
よう/うん。その人が「時代劇っていうのは、明治維新の前の時代を舞台にした物語」っていうさ……
いん/なるほど、なるほど。
よう/(「物語」というのは)まあ映画とか、ドラマとか。そういうくくりにしててさ。
いん/はいはいはいはい。
よう/で、「その枠に入っていれば、何でもいいんだ」と。だから「時代考証が云々」っていう人もいるけど、そういう風に楽しむ作品もあると。
いん/うん。
よう/「ちゃんとリアルに、幕末なら幕末のことが書いてある」っていうのも、いいんだけど。
いん/うん。
よう/あの~、「戦国自衛隊」とかさ……あれも、
いん/おお……(笑)ありましたね(笑)ありました、ありました。
よう/そう。戦国時代に自衛隊がいって、ドンパチやるっていう……まあドンパチだけじゃないけど。あれも、「戦国時代を舞台にしているんだから、時代劇だ」っていうんだよね。
いん/おおお~……。
よう/だから、「時代考証だけにうるさくなってるファンっていうのは、そのジャンルを殺してる」って言うんだよね。
いん/……なるほどぉ。
よう/すっげえ分かるのは、俺、「ER」以外の医療系ドラマって、1回も見たことないんだよね、まともに。
いん/んふふふふっ、ふふふ(笑)
よう/イライラすんだよね、やっぱりね。「違う違う!」とか思うじゃん、俺ぐらいでも。
いん/思います、思います(笑)
よう/「そんなこと起こんねえよ!」とかさ。でもそれってジャンルの幅を狭めてると思うんだよね。
いん/……うん……。いやぁ、それって今回の収録だけではおさまらないんで……、僕はこの話にはフラストレーションがすごくあるんで(笑)
よう/いや……。
いん/「SFをこえます」っていう話は……
よう/いや……うん。だから、SFもさ、「科学的考証を楽しむ」っていうのもあるけど、「そうじゃないとダメか?」っていったら、そうじゃない……と、思いたいんだよね、俺も。
いん/いや、思いたいですね……。
よう/ただ、やっぱり「気になる」んだよね。
(16分58秒)

いん/うん……あのですね、「ムカつく作家」はいるんですよ。あの……柞刈湯葉みたいに、なんだかんだ言っても僕が「あいつは嫌いだ」とか言いながら「でも好き」みたいな、そんなツンデレな人間じゃなくて。
本当に、なんかもう心の底から「死ねばいい」と思っているSF作家は、何人かいるんです(笑)
よう/そうなんだ(笑)
いん/いますね(笑)
よう/「あまりにも荒唐無稽すぎて」ってこと?(笑)
いん/いや……っていうか、なんかちょっと「ニヤニヤ書いてる部分が失礼過ぎないか!?(笑)」みたいなのがあるんですよ。だからそこは、なんか難しいニュアンスなんですけど、許せるのと許せないのがあるんですよね~。
よう/ああ、そうなんだ。なんか漠然とした言い方になるけどさ……SFだったら、「サイエンスに対するリスペクト」があればさぁ、ちょっと辻褄が合ってなくてもいいような気がするし……
いん/ああ。
よう/なんか、時代劇にしても「歴史に対するリスペクト」があれば、実際の歴史とは違うものを書いても、いいような気がするんだよね。
いん/しますねえ。……なんか定義が難しいけど、そうなんですよね……(苦笑)
よう/何をもってリスペクトを感じるか、っていうのは、結構主観的なんだけどさ。難しいよね。
いん/うん……ちょっとその話は、いくつかインスピレーションが広がったので……あの、医療系のドラマの話を、ちょっと膨らませたいなと思いますけど……。
よう/うん。
いん/うん……これで今、20分くらいですかね?
よう/今、16~17分くらいかな。
いん/まだいける?
よう/まだいける。
(18分28秒)

いん/あ~、じゃあちょっと膨らませようかな。あのですね……。え~……僕、確かに先輩と一緒で、医療系のドラマって、そんなに見ないんですけど。
よう/うん。
いん/見ないで言うのもアレだな~と思って、普段コメントしてないんですけど。
よう/はいはい。
いん/確かに、Twitter見てると、医療系ドラマがあるたびに、医療系のアカウントはツッコミ入れてますよね。
よう/うん。
いん/「……いいじゃねえか」、って(笑)そこは、割と僕、優しくなる(笑)
よう/分かるわかる。そうなんだよね……。それって、だから結局……あの……なんていうの? 「ダメな医療オタクになってはいけない」ってことだと思うんだよね。
いん/ああ……。いやいや、でも、まあ僕は「病院のことはまあいいや、好きに盛り上がってくれ」と思っちゃうんです。
よう/うん。
いん/で、同様に、時代劇も大丈夫なんです、わりと。「好き勝手やれよ」と。
よう/うん。
いん/「ご主人様、敵が来ちゃいました」でもなんでも、やれよと(笑)
よう/うん。
いん/でも……SFは、ダメなんです(笑)
よう/医療系ドラマよりも、SFのほうが、ダメなんだ。(意外そうに)
いん/ダメっすね~……(笑) 「お前、偉そうにサイエンスを語るな!」ってなるんです……(我ながら)「なぜ!?」っていう……(笑) これは、完全に個人の嗜好なんですけどね~(笑)
よう/なんかこう、サイエンスに対するリスペクトが強いのかな?
いん/リスペクト……、「負けた」感?
よう/「お前がやるな」と?
いん/「俺もできなかったけど、お前もやるな」感、みたいな……(笑) 地獄から引っ張り下ろそうとする手、みたいな。そういう感覚があるんですよ。
よう/だから……じゃあ、まあ一種のあこがれみたいなのがあるのかな?
いん/まあそうなんでしょうね。
よう/で、「自分はそれに手が届かないからやらないんだ」って決めているのに、「お前がやるんじゃねえよ」っていう人がたまいる、ってことですね?
いん/いますね。しかも中途半端な……「いっちょかみしやがって」みたいなところが、もう……ムカっとくるわけですよ(苦笑)。
よう/ああ……まあなんか、「こういうSF的なガジェットを入れておけば、ちょっと売れるんじゃね?」みたいなのが、一番腹が立つと。

いん/そうそう(笑) 殴りたい……あははは(笑)厳しいんですよね(笑)
そういう目で普段、見ているのに、サイエンティストを名乗る柞刈湯葉が、軽く僕の怒りラインを越えて、クオリティの高いものを出してきたところも、敗北感は強かったですね。
よう/……なんかこの話題、あれだね、しゃべればしゃべるほど、イッチーのルサンチマンが出てくるだけだよね。
いん/っははははははははは(爆笑)……出ますよね。
よう/うん。でもそれ、たぶん、解決する方法はさ、イッチーがSF小説を書くしかないんじゃない?
いん/ああ……。あの、2秒で……は終わらないけど。20秒くらいで終わる話をしますけど。
よう/はいはい。
いん/僕、「書け」っていう依頼が来たんですよ、一時期。
よう/あ、そうなんだ! はいはい。いいじゃん。
いん/で、書き始めたんですよ、あるとき。具体的には今年の正月なんですけど。
よう/えらい直近だね。その生々しい感覚が残っているから、より腹が立つの? 柞刈湯葉さんに対して。
いん/あはははは(笑) いやその前からです。……で、書いてみたけど、全っ然、だめでしたね。書けない。
よう/ふ~ん。
いん/「もう、許してくれ」と。
よう/なるほどね。え、この話、深掘りしていいの?
いん/やめましょうか。
よう/「どういう設定だったか」とか、聞いていいの?
いん/んー、ちょうど、次回に続くあたり(時間的に)でしょうし……あははは(笑)
よう/いや、そう……そうなんだね。いやまあ、いや、なるほどね(笑) ちっちゃい挫折があったわけだ。諦めというか。
いん/ちっちゃくは、ない。(きっぱり)
よう/ちっちゃくはないんだ。
いん/ちっちゃくはない。書けないんだ、あれが……書けませんね、本当に書けない。(しみじみ)
よう/ああ、そう……。
いん/いやあ……うん。書けません。
よう/「何に引っ掛かったか」とかね、具体的な話じゃないけどさ……。どの……例えば「物語を作る」ところで引っ掛かったのか、「設定を考える」ところで引っ掛かったのか、「整合性をとる」ところで引っ掛かったのか、っていうのは……聞いてみたいから、そのうち訊くかもしれない。……訊かないかもしれないけど。
いん/この話はですね、膨らませられる自信がないので、あれなんですけど。すごい残酷な言葉がいくつか出てきたから……あはははは(笑)
よう/「残酷な」、ね。
いん/「そこはどうしようもないね」みたいなのが、いくつか出てきますね。
よう/ああ、そうなんだ。
いん/うん。
よう/まあいいや、じゃあ、来週聞くよ、それ。
いん/来週って(笑)……この数分後に話が……
よう/なんかイッチーが傷つきそうだから、聞いてみたいなと思って。
いん/この数分後に収録する話ですよね(笑)
よう/うん、そうそう。
いん/あはははは(笑)
よう/あははは(笑)あ~、まあとりあえず、今週はこの辺で。イッチーが傷ついたあたりで、来週にいきたいと思います(笑)どうもありがとうございました。
いん/はい……(笑)

(♪)

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