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[文字起こし]いんよう! 第5回【理系メガネの話①】

だいぶ間があいてしまい、申し訳ありません。
ちょっと苦手な22回を途中で放置して、「スナフキンをさがして」さん( @sakura2010moon )にリクエストいただいた「第5回」を先におこしたいと思います。すみません。

いろいろコメントがあるのですけど、ネタバレになるので後編のときに書きます(笑)

(♪)

よう/あのね。
いん/
はいはい。
よう/ちょっと、こう……今日の話題にいく前に、言っときたいことがあるんだけど……。
いん/んっ?ふふふ(笑)はいはい。
よう/あのね、あの……『重力アルケミック』だっけ。
いん/ああ、はいはい。
よう/あれ、読んだんだよ。なんかあの~、いっちーに「読め」って怒られて。……『未来職安』しか読んでない、って言ったらさ……(怒られて)。
いん/んっふっふっふっふ(笑)

よう/『横浜駅SF』も『重力アルケミック』も両方とも読んで、まあ、両方面白かったんだけどさ。なんか、「特に『重力アルケミック』を読め」って言ってた気がして……。
いん/んふっ……(笑いをこらえている)
よう/で、そのときの文脈が「柞刈湯葉さんが いかに腹が立つかが分かるから、『重力アルケミック』を読め」だった気がするんだよね。まあ冗談としてね。
いん/あははははは(笑)、はい、はい、はい。
よう/で、読んだ結果、「すげえ面白かったんだけど、すげえイライラした」。
いん/くっくっくっく(笑)
よう/(笑)すげえ腹が立った。で、「ああ、これかあ」と思ってさ。
いん/分かるでしょ、分かるでしょ?(笑)いやあ、そうなんですよ。

よう/いやなんかもうね、あれ、「理系ホイホイ」なんだよね。
いん/いやあ、そうなんです。あっはっはっは(笑)
よう/なんかこう、比喩とか、たとえが、全部、理系なんだよ。「エーテルが、どうのこうの」とかさ……
いん/そう、そう。
よう/こう、「自分が空気みたいな存在だ」って表現するときに、「エーテルみたいな」って言ったりさ……。なんかもう、いろんなところにエサがバラまかれてて、俺、もう端からパクついててさ。
いん/ははははは、くっくっくっく(大笑い)
よう/そのパクついてる自分にちょっと腹が立つ、ってことなんだよね?(笑)
いん/そう、そうなんです(笑)いやあ良かったあ、分かる、それな……(笑)
よう/一見、あの理系的な比喩ってさ……読んでも分かるし、「おおっ」って思うし、何なら自分でも書けそうな気がするんだよね。
いん/そう!!いやあ……そうなんです、そう!!
よう/あっはっは(笑)主人公がゴリゴリの理系だから、考え方とかにも、けっこう共感できるしさあ。
いん/ええ、ええ。

よう/で、また……なんか、宮原さんっていうヒロインが出てくるじゃん。可愛いんだ、あの子が……
いん/そう、かわいい。萌え……いやあ、あざとい(笑)
よう/あれ、理系ヒロインとしては最強だよね。俺もちょっとね、あのヒロインに関してだけは、ポテンシャルとしてね、『四畳半神話大系』の明石さんを超えてると思うよ。
いん/あっはっは(笑)すごい、最高の誉め言葉でしょう。それはすごい(笑)……いや、それでですね。
よう/うん。

いん/まさに、そういうことを含めて、柞刈湯葉という奇才を知るためには、僕は……『横浜駅SF』もそうですけど、まずアレを読んでいただきたかったわけですよ、『重力アルケミック』を。
よう/うん、うん。そうだね。
いん/そう。で、理系の人たちをどんどん、ホイホイ引っ張り上げていくような表現があるじゃないですか。
よう/あるある、うん。
いん/あれを書ける人間が、その表現がいちばんハマる主人公にはどういう人物に設定したらいいか?……っていったら、「理系の大学院生」しかないんですよ。
よう/(大きくうなずく雰囲気で)そうだね。
いん/だから、そこまで含めてズルいの、やってることが(笑)もう、激ハマりするわけですよ、彼がそれを書くと……。
よう/そうなんだよね。で、また、「青春」なんだけどさ……ん~、なんか、やっぱりいわゆる「一般の青春もの」っていうより、やっぱり、こう……理系に、かなり振ってるよね。
いん/はい、振ってますね。
よう/「理系の読者が共感できるような青春もの」にしてあるところも、腹立つし……。
いん/腹立ちます……。

よう/まあ相変わらずね、SFの世界観をこう……描写するのは、すごいよね。
いん/そうなの、まったくそうですね。設定も、素晴らしい。
よう/うん。それはずっと、3作通じてそうなんだけど。特に『重力アルケミック』は、主人公が理系だから、より「腹立ち度」が高いっていうのがね。
いん/そう。だからあれ読んでいただきたかったんですよ。あの本、一部で評価がすごく高いと思うんですけど……僕が「柞刈湯葉は腹立つ論」を、この数回にわたって(『いんよう!』で)構築してたじゃないですか。
よう/うん。
いん/その「核」は、『横浜駅SF』と『未来職安』じゃなくて、『重力アルケミック』にあるんですよ、本当に(笑)
よう/そうだね~(しみじみ)。またなんかさ、あれが一番、普段(彼が)ツイートしているような内容・ネタが、入っている気がするんだよね。素の、なんていうか、作者の面白さというか。
いん/そうなんですよ……。しかも、あれが商業出版2冊目で既に出せているというところも含めて……いや~、もう、ねたましい(笑)
よう/(笑)でも、相当……小説書いたり、ああいう比喩表現のネタみたいなのって、本人の中で相当、蓄積があるんだろうね。
いん/いやあ、そうなんですかね……。
よう/なんか「ちょっと書いてみよう」っつって、出てくる量じゃないと思うけどね。
いん/いや、もしかしたら単なる天才かもしれないんで……あははは(笑)
よう/まあね……。
(4分55秒)

よう/そして……あの、俺ね。いま商店街の近くに住んでるんだけど、お祭りが始まったね、外で。
いん/ん?おうちのまわりで?
よう/みこしを担いでる掛け声とかがしてて、もしかしたら録音にのるかもしれないんだけど。
いん/……一応、僕の耳には届いていないんで、大丈夫だと思いますけどね。それは、なんか、あれですね、非日常ですね。
よう/まあね、日常の……騒音?騒音じゃないけど、音として、まあいいかなって。
いん/いいんですかね、あはは(笑)

よう/いや、それでね。あのさ、うちら一応、理系と言われる学問領域にいて、それを使った仕事をしているわけじゃん。どう使うかは、いろいろ職業によって違うけどさ。
いん/はいはい。
よう/まあ、「文系と理系を分けるというのは、日本的な考え方だ」みたいな批判もあるけれども、ざっくり言って、専門知識によって「世界の見え方」が違うんじゃないかと思うんだよね。
いん/……ほう!
よう/我々は、「生命科学」とかさ……いっちーなら「医学」の知識があるわけじゃん。で、なんか……それによって、「そういう知識がない人」に比べて、同じものを見たときでも、見てるものの印象や認識の仕方とかが違うことがあるのかな?って思うようになって。
いん/ああ~!(なるほど、という感じ)
よう/まあ、それは皆……色々な……「専門知識」とか「趣味」がある人は、感じていると思うんだけどさ。
いん/ああ、はいはい。
よう/だからなんか、「これは、違う専門知識の人や、違う趣味の人に話しても通じないな」っていうさ……さみしさだったりとか、そういう感情を持っていると思うんだけれども。
いん/ああ……
よう/でね、このことに「気付いた」というか、ちゃんと意識するようになったのは……俺が好きな、サンキュータツオさんっていう芸人さんがいるじゃん。
いん/ああ、ポッドきょかきょ……
よう/そうそう、『東京ポッド許可局』の(ちょっと噛みそうになりつつ)、3人のうちのひとりなんだけどさ。

いん/んふっ(笑)……言えましたね(笑)
よう/うん、『東京ポッド許可局』ね。いま俺、「とうきょう」で噛んだけど、まあいいや(笑)
いん/あははは(笑)
よう/でね、あの人は、10年ぐらい前にね、突然、BLにハマったらしいんだよね、男性なんだけど。
いん/……へえ~~~。今から10年前?ふ~ん。
よう/そうそうそう。で、今さ、「このBLがすごい」の選者をやってるんだけどさ。
(7分28秒)

いん/マジっすか!?(笑)はあ~、知らんかった。
よう/そう。単に「好きだ、好きだ好きだ」って言ってたら、すげえ叩かれて、炎上すると同時に、認知度があがってきて……そういう仕事をやっているらしいんだけど。
いん/ふむ……
よう/なんか、それで……BLを好きになってから、全然「世界の見え方が変わった」と。
いん/はっはあ~!
よう/だから例えば、戦国時代で男性同士を描いているのを見てもBLに見えるし……
いん/あはははは(笑)
よう/なんか要するに、登場人物の心のやり取りみたいなのを解釈するスピードとか精度とか、いろんなものが変わったという意味合いだと思うんだけど……なんかね、「モノクロとフルカラーくらい違う」っていうんだよね。

いん/あっ、それはつまり、「深度が違う」んですか。「視野が広い」とかいうのじゃなくて、「深度が違う」と。
よう/そうだね。今まで気づけなかったことにも気付けるし……。
例えば、同じ「これツンデレだな」っていうものに対しても、その正確さとか精度とか、深さが変わった、っていうことなのかなあ、と思うんだけど。
いん/ああ……。ちょっとそれ、いま僕が思ったこと以上、なんですよ。「視野角が広がって今まで見えなかったものが見えるようになった」だけじゃなくて、「深み」まで増えるものなんだな~っていう……。
よう/そうだね。いやまあ、俺はBLは良く分からないからさ、実際のところ、どうなのかってのもよく分かんないんだけど……。で、それをね、「BLメガネをかける」っていう言い方をしているわけなんだよね。
いん/おお……。あっ、それが「メガネ」!? 「BLメガネ」か……ふむ。
よう/そう。その「メガネ」をかけると、見え方が変わるっていうかさ。
いん/ほうほう。

よう/で、ざっくりいうと、我々は「理系メガネ」をかけてるんじゃないかと思うんだよね。
いん/ああ~、なるほどぉ。そういう話か~。
よう/うん。で、「理系メガネ」ってどういうのがあるのかな?って……いっちーはどう思っているのか、聞きたいなと思ってさ。
いん/いや、分かりますよ、分かります。それでいうと、まず僕が……さっきの話でいうと、「『重力アルケミック』でこれだけゲラゲラ笑えるってのは、たぶん僕らが広い意味での「理系メガネ」をかけているから楽しいんじゃないの?」……という懸念は、あります。
よう/そうなんだよね。だから、全然そういうのに興味がない人だと、「何か鼻につく」って思う人もいるかもしれないし、「なんかよく分かんなくて面白くない」っていう人も、いるかもしれないんだけど……。
いん/ああ……。
よう/まあでも、それはね、どのジャンルの、どの作品に対しても あることかな~、とは思うし……。
いん/いやあ、それで言うとですね。ええと、「専門知識があることによって、その作品世界の深度が深まって、何ならその裏にあるものまで見えてくる」みたいな意味だと思うんですけどね、その「メガネ」の話って。
よう/うん。
いん/ただ、もしかしたら「BLメガネ」ってのは、「あるものを見たときに、その人たちやその現象が意図していないところまで組んでしまう」っていうイメージもあるかもしれないんで、どこまでどっちで行くべきか分からないんですけど……。
僕がいま、それで思ったのはですね。最近読んだマンガがあって……映画化されて今、有名になっている『累―かさね―』っていうのがあるんですよ。

よう/ああ、うんうん。予告編は見たよ。
いん/見ました? 土屋 太鳳(つちや たお)がカワイイやつ。
よう/うん。
いん/あれ、野球の1塁・2塁の「塁」って書いて、「かさね」って読むんですけど……
よう/うんうん。なんか「醜い人と美人の人が入れ替わる」みたいな話なんでしょ?
いん/そうです。で、さっき見たら、マンガの完結巻が出たのが、今年(2018年)の9月7日って書いてあったんですよ。
よう/ああ、本当? じゃあ、ほんとに「映画の公開とあわせて終わった」って感じなの?
いん/コミックスを僕、ついさっき読み終わったんですよ、最終巻まで。
よう/うん。
いん/で、完結したのは14巻くらいなんですけど、10巻だかの、コミックスの巻末に「映画化決定!」って書いてあったんで……たまたま、映画の公開とマンガ版完結のタイミングが合うようにぶつけることができたのかな、と思うんですけどね。
よう/ふむふむふむ。
いん/映画版はちょっと僕、どういう話になっているのか知らないんですけど、「原作者はすごく喜んでる」っていうのがあって……。
よう/ああ、まあそれはいいことだよね、うん。

いん/そうなんですよ。で、なんで今その話したかというと……僕、あれ「不細工メガネ」かけてないと、楽しめないと思うんですよね。
よう/……「不細工メガネ」ですか。
いん/「不細工メガネ」なんですよ。
(11分56秒)

よう/ほうほう。
いん/で、あのですね……ああ、これ、どうしようかな。僕、あのマンガ、いろんな人に「素」で読んで欲しくて……。だから、僕がどういう風に読んで、どう思ったかも言わないほうがいいと思ったんですけど……。
よう/ああ、「ネタバレしないで見てほしい」ってやつね。
いん/そうそう、それもあります。「僕がこういう風に感動した!」っていうのもやめたほうがいいかなって思ったんですけど……でも、今日のこの流れで、あえて言うと、僕、あれ読んで、ボ ロ 泣 き したんですよ。
よう/ほんとう!?
いん/僕が、ですよ。
よう/40歳(しじゅう)も越えて……。
いん/やめて(笑)
よう/はいはい(笑)
いん/で、その泣いた理由がですね……今、「メガネ」の話するまでは、単純に「感動したからだ」と思ってたんですけどね。
よう/うんうん。
いん/ちょっと思うところがあって。「本当に美しい・カッコイイものが見ている世界を、自分は見ていないんだ」っていう、心の中にある「ちょっと悔し気な劣等感」みたいなものが ある人だと、(『塁』は)超絶!面白いんですよ。
よう/ああ、なんかその……「自分の美醜に関するコンプレックスみたいなもの」ね。
いん/うん。ちょっとだけ……ほんのちょっとでもいいんですよ。つまり、ほとんどの人が……(持っている)(笑)
よう/そうだね。10代、20代のときはそういうのをかなり持っていてさ、だんだんそういうの、どうでもよくなってくるけど……
いん/はい。
よう/その「残り火」みたいなものが、いっちーの中にあって、そこを焚き付けられた、みたいな気持ちなわけ?
いん/たぶん、僕そういう気持ちなんですよ。でも、あ~……これ、「ネタバレが怖いんで、これ以上言わない」っていう話になるんですけど……。
よう/うん。
いん/んんぁ゙~っとですね……(悩)これは、こないだ先輩が話していたことの続きで言うならば、「『シン・ゴジラ』を見て、今年のベストはこれだ!って思った直後に『この世界の片隅に』を見て、ぎゃ~!ってなったときの気持ち」と同じです。
よう/へえ~。え、その『シン・ゴジラ』にあたる作品って、何なの?
いん/ええとですね……マンガでいうと……。完結したやつは、今年はあまり読んでないんですけど……素晴らしいのは、『阿・吽(あ うん)』とか。
よう/『フラジャイル』とか?
いん/そうそう、『フラジャイル』とかね。あのあたりは、「なんて素晴らしいんだ、毎年毎年」って言ってたんですけど。
よう/そうだよね、かなりそれ、推してるもんね、いっちーは。
いん/ええ。でも『塁』完結はね……これは、完結してから読まないと、ダメ(笑)
よう/「最高を超えてきた」ってヤツね。
いん/きました、超えました。オールタイム・ベスト(きっぱり)。
よう/「オールタイム・ベスト」なんだ。すごいね。
いん/でもですね、僕がこう言っちゃうことで、誰かは身構えてしまって読めなくなるかもしれないんで……難しい。
よう/いや、まあねえ……その……(何か言いかける)
いん/(さえぎって)ああ、いや……ごめんなさい、それでね?
『塁』の話がしたいっていうよりは……僕、「メガネ」の話で今、真っ先に思いついたのが、そこで。
よう/うん。
いん/えーとですね、『塁』は逆に、「自分は美しい」とか「チヤホヤされている」と思っている人には、ハマらないっていうか。「逆メガネ」というか、「美男・美女サングラス」をかけている人には、もしかしたらハマらないかもしれないです。
よう/話が ややこしくなってきたけどね、まあね、そうだね(笑)
いん/あはははは(笑)「BLメガネ」的な、「あるものをみて視点がぐっと深まる」というのと同時に、「このコミュニティで生きてるとぐっと浅くなる」っていうのが『塁』にはあるかもしれんな~と(笑)
そういうのを、今、最初っから相対化してしゃべってたんですよ、僕(笑)
(15分22秒)

よう/なんかあの……そうだね、そういう……「世界の認識の仕方」の問題だと思うんだよね、ちょっと硬い言葉で言うと。
いん/ああ、そうそう。僕もまさに、今、そういう話をしたかったんです。
よう/自分の外見とかさ……自分に限らず、「外見」というものに対しての認識の仕方に、こう……(「不細工メガネ」という)共通点がある人は、(主人公の)塁に すごく感情移入して読めるかもしれない、ってことだよね。
いん/感情移入もしますしね……もう1人や2人に対する感情移入じゃ……いやもう、言わないほうがいいな(笑) とにかく、想像を超えて素晴らしかったんですけれども……僕はこれは一般的にいける作品だと思っているんで。今の「BLメガネ」とか「理系メガネ」に比べると、むしろ、多くの人がかけているメガネだから、逆に「かけてない人がかわいそう」っていう話になっちゃう。
よう/そうだね。なんか、皆が割と共通体験として持っているような「メガネ」もあるわけだよね。不細工メガネとかね。
いん/うん、『塁』でいうと、そうなっちゃいます。それで、もう1つしゃべらせていただくならば、『フラジャイル』は、「病理メガネ」をかけている僕が、世界で一番面白く読んでますね(笑)
よう/いやもう、間違いなくそうだよね。
いん/んふふふふ、間違いなくそうでしょうね(笑)
よう/そう。普通にマンガが好きな人は、マンガの文脈が分かる「マンガメガネ」を持ってるかもしれないし……
いん/はい。
よう/いろんなメガネがあるけど、(いっちーは)更にその上に「病理メガネ」のせてるからね、うん。
いん/そうなんですよ。
よう/そりゃ楽しいよね。
(17分03秒)

いん/で、たぶん先輩、この話は続きを出せると思うんですけど……『フラジャイル』って、病理医の中でも嫌いな人がいるんですよ。
よう/ああ~……なるほどね。いやまあそれは、「メガネをかけてるから好き」ってわけじゃないもんね。
いん/そう!!!(我が意を得たり、という感じ)
よう/「見え方が変わる」っていうだけの話であって、「その作品に対する好き嫌い」は、また別に、総合的に決まってくるだろうしね。
いん/そうなんですよ~。いやだから、そういう話をもし僕がすると、あまり面白い結論にはならないんで、その意味ではサンキュータツオさんが言ってることって、すげえなって思うんですよ。(彼は)「BLメガネは全てを良くする」みたいな言い方をしてるっぽいですね。直接聞いたことはないけど。
よう/そうだね、でもなんかね……。いや、「BLを好きになって良かった」って、肯定的な意味で言ってるのは間違いないんだけど。
いん/うん。
よう/なんかこう……ん~。まあ、だからといって全部のBLが好きなわけじゃないだろうし……現実的に、全部がキラキラして見えるわけでもないと思うんだ。
いん/はっはっは(笑)なるほど。
(18分05秒)

よう/ただ、なんか……「自分に、違うセンサーが内蔵された」みたいなことだと思うんだよね。で、センサーで感知できる情報が自分にとって全部快適か?っていうと、そんなことはないと思うんだけど。ただ、「情報が増えた」のは間違いないわけだよね。
いん/ああ……(なるほど)。
よう/で、それは、知的好奇心がある人にとってはさ、情報が増えたり、新しいものの見方ができたってこと自体が「喜び」ではあるよね。
いん/んんふっ、ふふふふっ(笑)……今なんで笑ったかというと、そういう注釈を入れてる時点で、よくご存じな感じだなって思ったからなんですけどね(笑)
よう/うん。
いん/ただ、皆が皆、必ずしも知的好奇心で動いてるわけじゃない、ってのはありますよね。
よう/そう……だね、なんか……。俺もさ、新しい知識とか……まあTwitterとか見てるとさ、ものすごいいっぱい情報が流れてきてさあ。
いん/ああ、はい(笑)
よう/例えば、いっちーがオススメしている本とか、Web記事とかもあるわけじゃん。
いん/ありますね。
よう/「あ、これ読んだら面白そうだな」って思うけど、同時に「なんかめんどくせえな」って思うこともあるよね(笑)
いん/あっははははは(笑)
よう/「新しいものを摂取するのが、めんどくせえ」って思うこともあるしね。
いん/ありますね、なんでもそうだ。
よう/そう。だからね、常にそういうところがあって……「新しいものは、何でも良い」って、(そっち方向に)全開なわけじゃないけどさ。
いん/うん。

よう/いやそれで、その……なんだったかな。(サンキュータツオさんが)もう1コ言ってるのが、「BLはARだ」って言ってるんだよね。
いん/ARは、「拡張現実」のことですか。ははあ……
よう/そう、拡張現実。で、拡張現実っていうのは、現実の……(言いかけたところでヤンデル先生がかぶせてくる)
いん/ははあ……(独り、合点・納得したように)ああ~!!
よう/現実の……うん、いやあの……説明する前に納得されたんだけど(笑)
いん/あはははは(笑)いやいや、どうぞどうぞ(笑)

よう/ARってさ、一般的には「普段の景色に色々な映像をのせて、現実を拡張する」みたいなイメージだと思うんだけどさ。多分、もっと広い定義として、「現実の情報の上に、さらに情報をのっける」っていう意味でさ。その「情報」は、必ずしも「映像」じゃなくてもいいと思うんだよね。
いん/あ~面白い……ああ、いいなあ……なるほど(しみじみ)。
よう/で、「AR三兄弟」っていう、ARのことを色々やってるユニットみたいなのがあって。そのトップというかリーダーみたいな人が、例えば「球場にいってラジオの野球中継を聞いているおじさんは、ARだ」っていうんだよね。
いん/ああ、いいですね、そういうの大好き!

よう/「目の前でプレイしている野球の試合」プラス、実況とかも入ってさ。選手の情報や、戦略とかも入って来て。つまり「情報が増えている」わけだよね、目の前で見ている景色にプラスされて。
いん/うんうんうん。
よう/で、何らかのメガネをかけてて……要は「知識があって、ものの見方が変わってきている人」というのは、「常にAR」状態なんじゃないかと思うんだよね。自分で勝手にARをやってる、というか。
いん/ああ、だから「メガネ」の話が「なるほど」ってなるんだぁ。わかった~……(しみじみ)
よう/あの、美術館の……なんだっけ、音声ガイドみたいなやつあるじゃん。
いん/ああ、ありますね。イヤホン借りるやつ。
よう/あれも一種のARだと思うんだよね。
いん/ああ、確かに拡張現実だ。いや~、面白い。そういう話って、ワクワクしますねえ。
よう/でさ、俺らはもう息をするように、生命科学なり、医学なりの知識を扱ってるわけじゃん。仕事だからさ。
いん/そうですね。
よう/だから、なんかそれが「当たり前」になりすぎてさ。実は、面白いメガネがあるのに(意識していない)。
いん/ああ~……。
よう/たぶん、アウトリーチとかしている人は、「この部分が面白い」って伝えようとしているんだけど、なんかこう、「メガネをかけてない人」にさ、「メガネをかけて見る光景」を、他の方法で一生懸命説明するんだけどさ、なかなか難しいよね。
いん/うんうんうんうん……。いや、これは才能じゃないですか? あと努力もあるのかなあ。
よう/うん。
(22分23秒)

◆TwitterをARに

いん/あの、Twitterの話がさっき出ましたけど……。ある意味、ARっぽく使えると、最強なんですけど。なかなかノイズが多くて、そうはいかないんですけど……
よう/なになに、何が使えると最強だって?
いん/Twitter。Twitterを、疑似的なARツールとして使えると、すごく強いと思ってたんですよ、もともと。そのためには自分のタイムラインをそういう風に作る必要があるんですけど……。
よう/ああ、そういう意味か。はいはい。
いん/例えば、その日、何かニュースがあったとする。「大谷翔平が20本目のホームランを打った」とか。
よう/はいはい。
いん/そしたら、タイムラインにいる野球が好きな人が、「そのホームランが どれだけすごかったか」を、ちらっと一言だけ語って去っていく。
よう/あ~、なるほど。
いん/その数分後に、例えば今日は、女優の樹木希林さんが亡くなったんですけど……
よう/はいはい。
いん/そしたら、「実は樹木希林さんってこういう人で……」って、また別の人が飛んできて、一言コメントして去っていく。
よう/ああ……。
いん/……っていうのが、タイムラインを上手に作るとできるんですよ、Twitterって。ただ、難しいんですよ、ノイズがすごく多くて。
よう/ああ、多いよなあ……。
いん/多いんです。で、僕、今まで何度もリストを作ろうとして、なかなかうまくいかなかったんです。
よう/そうなんだ。

いん/ただですね。一応、うまくいくコツがあって。
よう/ほうほう。
いん/「ダジャレが多い人」で、まとめておくといいんです。
よう/……ダジャレが多い人で、まとめとくんだ(笑)へ~、はいはい。
いん/はい。ダジャレが多かったり、くだらないネタを入れたがる人って、わざわざ、他に言いたいことがあるのに、「とりあえずタイムラインには面白いことしか流さない」って宣言しているようなところがあるんで。
よう/はいはい。
いん/で、もちろん「ただダジャレ言ってる人」じゃダメなんです。「何かの専門家だけど、基本的にダジャレしか言っていない」っていう人を、300人くらい(タイムラインに)集めてるんですよ、僕。300種類。
よう/ははあ、なるほど。
いん/そうすると、何かの話題のときに……例えば、こないだの地震で北電が節電になったときとかに、「ちょっと電気の話で面白いことをボソっと言ってから、またダジャレに戻っていく」っていう人とかがいてですね。「ナイス、AR!」なんですね、本当に(笑)
よう/ああ、そっかそっか。つまり「ダジャレを普段言ってる人」っていうのは、「本気で情報を出してくるときには、かなり精度の高い情報しか出してこない」っていうことなんだね。
いん/そうなんです。あとは、「余計なことは言わない」とか。
よう/「とりあえず、いっちょかみ」とかじゃなくて、「これはちょっと言っといた方がいいな」っていう時にしか、マジメなことは言わないってことだ。
いん/そう。
よう/それだと発言にフィルターもかけやすいよね。ダジャレを除けばいいわけだからね。意味のある情報を探すときには。
いん/んふふ、そうなんですよ、本当に(笑)しかも、何にでも噛んでる人に限って、ARじゃなくて「井戸端会議感」を出してるというか……(笑)
よう/「井戸端会議感」ですか。
いん/なんか、「昨日のあのニュース、見た!?」みたいな……。同じ人がまたしゃべってる、みたいになるというか。
よう/ああ、なるほど……。
いん/それはそれで、居心地はいいんですけど。
なんていうんですかね、「Google Glass(グーグル グラス)」っていう、Googleが開発しようとしていたメガネみたいに、日常に「AR」っていうメガネを疑似的にやるためには、SNSでも一応、いけるんですよね。
よう/ああ、なるほどね。うまくやれば、ね。
いん/そうです、そうです。(タイムラインに)そういう人を300人とか集められると、なんか「外付けCPU」みたいな状態になるんですよね。
よう/まあ、そうだよね。AR……まあ「情報をのせる」っていう意味では、何らかの「外付けデバイス」的なものが必要だからね。

いん/そうそう、そうなんですよ。いやあ、だから……先輩、何のメガネかけたいですか?
よう/俺はね、個人的にはやっぱり、「数学メガネ」と「理論物理メガネ」は、一生に1回くらい、かけてみたかったと思うよ。
いん/(笑)え、か け て な い んですか!?!?
よう/かけてないでしょう、うちら。
いん/あははははは(笑)いや、僕はかけてないですけど……
よう/いやいや、(俺も)かけてないよ!
いん/度の弱いやつ、かけてないんですか?
よう/あ゙あ゙~(悩)……まあ、ほぼ「ダテ」だよね。
いん/あ!いいですねえ……「ほぼ『ダテ』だよね」って、うまいな(笑)ああ、わかる……

よう/なんかさ……「数学」と「理論物理」とか、その周辺でもいいんだけどさ。共通言語は「数学」じゃん。だから、数学が分かってないとさ、やってることが全然分からないじゃん。
いん/……そう、ですね。

よう/例えば、大栗 博司(おおぐり ひろし)先生とかさ。理論物理学の、日本のエースだけどさ。
いん/ああ、なるほど?
よう/重力の……超ひも理論かな? やってる人なんだけど。
いん/ああ、そうなんですか。へ~。
よう/うん。で、一般書も書いてるんだよね。新書で。超弦理論とか、重力の話とか書いてて、相当分かりやすく、かなりのレベルのところまで書いてくれているんだけど……。
いん/ほうほう。
よう/とはいえやっぱり、それって「数学」という言語を、「日本語」っていう自然言語に翻訳しているわけだからさ。無理があるよね。
いん/あ~、なるほどなるほど(ニヤッと笑う感じで)。


よう/例えば、ヨーロッパの歴史をやろうって人なら、ラテン語を読めなかったら、話にならないわけじゃん、最終的には。
いん/ああ……。いやあ、本当に分かります。
よう/日本語に翻訳されたものを読んでも、まあある程度までは楽しめるけど、「本当に理解ができているか」「本当の意味でメガネがかけられたか」っていうと、無理だよね。
いん/そうですね~(しみじみ)。いや、僕は別にそれでもいいっすよ。自分でメガネかけられなくても、誰かがそっと差し出してくれれば、それで。
よう/そうだね……。


いん/でも、同じテンションで、僕が今、かけたいメガネがあるか?っていうと……今、先輩がたまたま言いましたけど「ラテン語メガネ」をかけたいですね。
よう/そう?
いん/かけたい。またこれ実際、かけてるヤツがいるんですよ。
よう/中世……あ、中世でもないか。ヨーロッパに興味があるの?
いん/いえ。どっちかというと……ラテン語、英語、フランス語とかっていう……「言語メガネ」っていうんですかね。
よう/はいはいはい。
いん/「日本語以外の文化」を、言語のメガネをうまくかけて、解釈したりしている人がいるわけですよ。
よう/そうだね。
いん/で、タイムラインにいるんですよ、「言語メガネ」かけてる奴が。
よう/ちょっと腹立ってんの?(笑)
いん/いや、あのですね。ずっと尊敬してるんですけど……そいつ、たまに呟くことがメッチャ面白くって。
よう/ははあ……。
いん/もう、「いやあ、なんていい奴なんだ」って思って、ずっと長くフォローしているんですけど……そいつ最近、Vtuberにハマってしまって、「にじさんじ」の話しかしないんですよ(笑)
よう/なるほどね(笑)いやもう、それってさ、切り口とかが違うわけじゃん。たぶん、世界の認識の仕方自体が違うわけだよね。
いん/はい。そうですね。
(29分28秒)

よう/例えば、『ブラタモリ』でさ……。
いん/おっ!……うん、うん!
よう/タモリさんが、古地図……古い地図を手に、東京をブラブラする、みたいな企画ってなかったっけ?
いん/いやもう、『ブラタモリ』ってそういうやつですよ。ずっとやってますよ。
よう/そうだよね。で、なんか「この辺が海岸線だった」とか「ここには昔、何々があったから、いまこうなってる」とかいう話を、ダラダラしながらするっていう……。あれ、完っ全にARだし、「メガネ」だと思うんだよね。
いん/本当だ……!!いやあ、ホントだ……。
よう/うん。あれってそういう……地理的・歴史的な知識がある人が見たら、現代の東京の街並みだって、ああいうふうに、全然違うふうに認識しているはずなんだよね。
いん/ああ……。
よう/で、そういうのを見せられると、「ああ、面白いなあ」って思うじゃん。
いん/……思う……(笑)
よう/あはは(笑)比較的、そういうのは分かりやすいよね。メガネかけてない人も、説明されれば「おお~」って、なる。
いん/なります。……今、よくその例が出てきたなあって思って。


よう/でも、やっぱり一番、常人から遠いのが「数学メガネ」だと思うんだよ。もっとも理解しづらいもの、っていうか。
いん/ああ……分かる分かる(笑)
よう/やっぱり、「サイエンスリテラシーが問題になる」っていうのは、どうしても、メガネがかけにくいからだと思うんだよね、専門的な教育を受けてない人にとっては。遠いんだと思うんだよ、実際の日常生活からは。
いん/ああ……。
よう/「歴史」とか「文学」とかは、「ちゃんと、深い専門的な世界はあるんだけど」「入り口はのぞきやすい」っていうところがあると思うんだよね。
(31分13秒)

いん/うん……いやあ、ねえ……メガネかあ……。
ちょっと僕、最近絶望していた話があったんですが、そのメガネの話で少し緩和されたかなあ、ってちょっと希望を感じるくらいなんですけどね。
よう/え?「病理メガネをかけてほしい」みたいなこと?
いん/いえ、あのですね。「サイエンスリテラシーをどうやって広めていくか」っていうときに、「個人に対してどれだけアプローチしてもダメでは?」みたいな本を読んだんですよ、こないだ。
よう/ああ~……。
いん/『無知の科学』みたいな本を、読んだんですね。

よう/ああ、「そんなん興味がない」っていうか……「そういう方面に関して、そんなに知識がない人」に、一生懸命説得しても、ムダだと。
いん/はい。しかも、それは、よくサイエンティストが言うところの「エビデンス」的な面でも……ちょっと、エビデンスがある、と。
「どれだけ1人に教育しても、ダメだ」っていう、心理実験というか、認知科学の実験というのが、いくつか、あるんですって。
よう/ああ、なるほどね。
いん/まあ、「だから何?」っていうところはありますけどね(苦笑)……
よう/いや、あの~……ちゃんと、科学的な手続きにのっとって、自分のやっていることを否定されると、撤退せざるを得ないよね。研究をやっている人にしてみたら。
いん/そうそう……。いや、それでですね。なんかちょっと、そういうリテラシーを持つ人に対して、何をすればいいか?と。
個人に「科学に則れ」っていっても絶対無理な理由っていうのがあって。
その「説得できない人」のまわりのコミュニティ自体が、全部「反科学」だからだ、と。
よう/ああ……。
いん/反科学の人達と会話し、そういう人たちが書いた本を読み、そういう人たち同士で笑って泣いて、幸せ・不幸せ、ぜ~んぶ一緒に暮らしている、そのコミュニティの中の1人をターゲットに「科学の側に来い」っていうのは、ひとつの村から人間ひっぱってくるというか、拉致してくるのと、大して変わらないわけですよ。

よう/……、そうだなあ……。更にさ、なんていうか……その、科学とか科学的知識ってさ、ただの「道具」だと思うんだよ。
いん/道具……うん。
よう/俺らって、ある意味、思想・宗教的に「科学」っていうものを信じている部分もあるじゃん、どうしても。
いん/そうそう、そうなんですよ。うんうん。
よう/だけど、科学って「人間が世界を認識するのに有効な方法のひとつ」に過ぎないと思うんだよね。
いん/うん、うん。
よう/で、他にそれ以上有効な方法が、なかなかないので、ここ数百年は科学が席巻しているんだけどさ。
いん/うん、うん、うん……。
よう/それを、「科学を唯一神みたいに絶対的に信じろ」っていうのも、また変な話だと思うからさ。
いん/うん……。
よう/あの~、なんていうか……しょうがないよね。
いん/しょうがないんですよ、そうそう。

よう/「ニセ科学」は、ダメだと思うんだ。「科学じゃないもの」を使って「科学」を語る、っていうのは。
いん/ああ、そうですね。そこはハッキリしてますね、確かに。
よう/「道具の使い方が間違ってるから、それはダメだ」って言えるんだけど。
いん/なるほど! そうか、「ニセ科学」は「科学じゃない別の教義」じゃなくて、そもそもダメなんだ。
よう/ダメだと思うよ。
だけど、もう最初から「科学的じゃない考え方」で動いてる人にとってはさ……。それはもう、「思想が違う」から。なかなか……う~ん。
「道具としての科学の使いやすさ」とか「有効性」を説明することはできるけど、相手に「間違っている」って言うのは、実はあまり有効じゃないだろうし、あまり正しいことでもないのかな、って個人的には思うんだけど。「本人が幸せなら、それでいいじゃん」って思うんだけどさ。

いん/……いやぁ、そこを何とかしたいのかどうか?っていうのも、僕、分かんなくなってきてたんですけど……。
よう/そうだね、難しいところに行きつく問題だと思うし。
かといって、ニセ医療とかで被害を受けている方もいるから、そこは、現実的な問題として対応しないとダメだっていうのは、もちろんそうだと思うんだけど。
いん/そう、そう。
よう/でももうちょっと、「引いた」視点で、科学とか、科学を使ったモノに対して、どういうふうに付き合っていくかっていう点は、そんなに絶対的なモノでもないのかな、とは思うんだけどね。
いん/……なんていうかもう、今、ハマっちゃってると、もうダメだと思うんですけど……。
よう/うん。
いん/でも、これからの将来、ガチガチのメガネじゃなくても……
よう/ほどよく、ね。
いん/ちょっと、リテラシーのうち、「いろんな人に効果があるよ、っていう部分だけをストーリーにして届けられるような文化が必要だよね」って話になるわけですよね。
よう/なるほど。いやちょっと俺ね、その辺に関して、直接は関係ないけど、ちょっとした自分の体験があるので……あの、次回、話します。
いん/ああ、いいですね。ちょっと、この話題いつ切ったらいいか分からなかったの(笑)
(36分30秒)

◆ヤンデル先生のギャグについて

よう/あの、最後にね、いっちーに言いたいことが1コあるんだけど。
いん/(笑)
よう/前回だか前々回だったか……いっちーが、自分のTwitter上でやっているギャグがあるじゃん。
いん/んふふふふ(笑)ええ、はい(笑)
よう/「またその話題か」って思ってると思うけど(笑)ダジャレとかも含めてさ。
いん/はいはい。
よう/俺が「ベタじゃない、シュールっていうか、破綻してないものしかやらないよね」って言ったら、「あれは予定調和だから、別に破綻していない、普通のギャグだ」みたいなこと言ってたじゃん。
いん/はい(笑)今でもそう思ってますけど(笑)
よう/で、この前、俺、1コ見て思ったのが……まあ、ほじくり返されるのもイヤだと思うんだけどさ。
いん/ええ、地獄ですけど……(笑)

よう/あのさ、「あ」っていう字で、「デザイン」って書いて、「『デザインあ』をやります」っていうギャグ、あったじゃん。
いん/ぶっはっは(笑)ありました、ありました(笑)
よう/まあ、それはいいんだけどさ。「あ」っていう字を、アスキーアートみたいに並べて「デザイン」を作る、っていうやつだったじゃん。
いん/はい(笑)
よう/で、「デザ」まで書いて、「い」の上だけちょっと書いて、「文字数が足りませんでした」っていうオチにしてたじゃん。
いん/っくっくっく(笑)

よう/あれのさあ、どこがベタなんだ!?と。
いん/あはははは(爆笑)
よう/っていうかね、あそこまで含めて「予定調和だ」って言ってるんだとは思うんだけどね。
いん/はい(笑)
よう/多分ね、その、Twitterの中のギャグ自体が、行き過ぎてるんだよ。2ちゃんねる時代からかもしれないけど。
いん/あはははは(笑)あれは、ベタベタで……(笑)
よう/だから、「アスキーアートで『デザインあ』を作る」っていうのですら、まったくネットに親和性のない人から見たら、結構シュールなギャグだと思うんだよね。
いん/まあ、そうですね……だって見ないもん(笑)
よう/(笑)でも、「アスキーアートでギャグをやる」っていうのを何周もやってる いっちーにとっては、あれももう、「ベタ」なんでしょう。
いん/そう。しかもですね、あそこには、今でこそ言える、非常に深い、マトリョーシカのような複層構造がありまして……(笑)
よう/ああ、そうですか。あははは(笑)
いん/いやもう、次回の最後にでもしゃべりますわ、これは(笑)
よう/あ、そうですか?はい(笑)
いん/はい(笑)
よう/では、今週は以上です。ありがとうございました。
いん/ありがとうございました。
(約39分)

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