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[文字起こし]第36回【雑談⑥】

続けてこちら。『水曜どうでしょう』という番組の元ディレクターさんたちが始めたイベントに、ヤンデル先生が巻き込まれることが決定したという話が下敷きになっています(途中のリンクをご参照ください)。

個人的にはカゼ引いて頭がボケボケなんですが、寝てるのもつらいので新しいパソコンと新しい外付けキーボードの手慣らしをしています。アイソレートではない、クラシックっぽい(横から見ると台形っぽい)キーボードが好きです。(たいへんどうでもよい情報)

(♪)
よう/『水曜どうでそう』ってのが、始まったよね。
いん/(笑)始まりましたね。
よう/あれは、Youtubeチャンネルってことでいいですか。
いん/Youtubeを、『水曜どうでしょう』のディレクターふたりが、始めたんですね。
よう/藤村Dと、嬉野Dの、おふたりで。
いん/そうです。かの有名な番組のおふたりで。

よう/いっちーは昔から、DVDも全部買ってるし、フリークと言っていいくらい、『水曜どうでしょう』のことが好きだよね。
いん/好きですね。フリークまではともかくとして、僕は好きです。
よう/俺は、リアルタイムではテレビは見てたんだ。
いん/なるほど。
よう/で、お互い大学生だったでしょ、あのころ。
いん/そうですね(笑)1学年しか違わない大学生でしたから。
よう/うん、そう。で、えっと……俺は、再放送とかもちょくちょく見てはいて。
いん/なるほど。
よう/「好きなんだけど、全部網羅しているかっていうとそんなこともない」ってくらいのファンなんだ。
いん/いや、分かりますよ。そんなもんですよね、北海道にいるとね。


よう/うん。で、藤村Dは、結構番組内でしゃべっているからさ。顔は出てないけど。
いん/しゃべりますね。
よう/でも、嬉野さんは、そんなに出てこないじゃん。だから、「一歩踏み込んだファンの人にすごく人気がある」っていう気がするんだよね。
いん/分かります。うん。わかりますよ。
よう/だから、嬉野さんのことは俺、そんなには知らなかったのよ。存在は知ってるけどね。
いん/なるほど。分かります分かります。


よう/で、Youtube始めたっていうから、まあ見てみるよね。
いん/んふふふ(笑)(ここから笑いっぱなしでだんだん大笑い)
よう/「『水曜どうでしょう』がYoutube だろ」ってことなわけじゃん。本人たちの言葉もあわせていうとさ。
いん/なるほど、そうですね(笑)
よう/進化系統樹があったとしたら、確実にYoutuber の先祖のひとつに『水曜どうでしょう』があるわけだよね。
いん/そう!その話はもう、本当にしたくてしたくて。でももう色々な人がしているんだろうな、って思ったんですよね。
よう/だからまあ、どうなるんだろうと思ってさ。
俺、まず思ったのが……ええと、ふたりが画面に映っているときの「おさまりの良さ」にびっくりしたんだよね。
いん/あっはっはっは(笑)
よう/しゃべってる内容とか以前に。
いん/ああ、本当だなあ(笑)それはもう、奇跡ですよね(笑)
よう/あれは本当に、「20年以上コンビ組んでる漫才コンビ」くらい、画角のおさまりがいいよね。
いん/分かるなあ……。


よう/だって、あのふたりが画面におさまってるだけで、面白そうだもんね。
いん/分かる。ひげの、もと小太りと、ちょっと身長の高い、メガネの、しゅっとした年上の……みたいな(笑)
よう/うん。だけど、なんかちょっとふたり、似てるんだよね。なんか空気感というか、ふたりでずっと作り上げてきたからだと思うけど……。
だから、凸凹してるけど、ちゃんとコンビに見える。
いん/分かるなあ。
よう/立ってるときのバランスというか距離感も、ちょうど良くてさ。

いん/本当にそうですよね。で、今の話の最初のほうで先輩が言いましたけど、「ただテレビで見てただけ」とか「ただ大泉さんのことをちょっと知ってただけ」から、一歩踏み込むのはどこか?っていうと……「DVDを何作か持ってる人」なんですよ。
よう/なるほどなるほど。「パッケージを持ってるかどうか」ってことね。
いん/そう。『水曜どうでしょう』のDVDを買ったかどうか、ってところでまず、ハードルが1つあるんですよ。ものすごくたくさん出てるので、「1本くらいなら買ったり借りたことがある」っていう人は、たくさんいるんですよ。
よう/うん。


いん/で、なんでそこにハードルがあるかっていうと、「DVDを買って、副音声を聞いたことがあるかどうか」なんですよ。
よう/ああっ、そうかぁ。俺、DVD見たことはあるんだけどなあ……って感じで、まさに今、いっちーが言ってたそのレベルだわ。
いん/そうですよね。『水曜どうでしょう』という番組の怖いところは……本編が始まって終わって、伝説になった理由というのが、DVDに副音声がついてたことなんですよ。
よう/そうかあ。
いん/その副音声の解説、あのディレクター2人がずっとしゃべってたんですよ。
よう/それを知らない俺は、ファンじゃねえってことだな……。
いん/違うんですよ。本編でじゅ~ぶん!なんですけど、その副音声の「あれ、何となく楽しい番組だったよね」っていうテンションで、ディレクター2人が20年、ずーっとしゃべってるんですよ。
よう/そこにコンビ感があるというか、それで Youtube をやるからこそ、あの空気感になるというわけだね。
いん/そう。つまり「副音声でしゃべってた内容に、絵がついただけ」なんですよ。

よう/そうか。アニメもさ、パッケージを買うとさ、声優さんがしゃべってる場合もあるし、監督をはじめとするスタッフのときもあるけど、コメンタリーを副音声として必ずつけてて。
いん/ああ。コメンタリーをね。はい。
よう/そう。それを目的のひとつとして買うファンは、多いよね。
いん/分かるなあ。
よう/で、やっぱり1歩踏み込むって、そういうところがあるよねえ。

いん/ちょっと1コ聞きたいんですけど。
『水曜どうでしょう』っていう作品は、2002年くらいに確かレギュラー放送が終わったんですよね。で、その翌年くらいからずーっと、DVDが出てるんですよ。半年に1回くらいのペースで。
その頃、すでに(アニメ分野では)OVAのコメンタリーってあったんですかね……?
よう/う~んとね……あったと思うよ。
いん/じゃあ、それに関しては、『水曜どうでしょう』よりもアニメのほうが先なんですよね。
よう/あの~……そもそもコメンタリーをつけるっていう文化はさ、たぶん、映画やアニメのほうが早いとは思うけど、それは「パッケージビジネスが早かったから」だよね。テレビは、パッケージビジネスをする必要が、そもそもそんなに無かったわけでしょう?

いん/ええ。ところが、『水曜どうでしょう』がバラエティ枠で、DVDをパッケージにして、副音声をつけて出して、ローカル局に直で収入が入るシステムができて……
よう/うん。
いん/それを見て、結局、後発の『アメトーーク!』とかがDVDを出したり、『ゴッドタン』とかが売れたり……ってのが、後から来たんですよ。
よう/そうだよね。バラエティ番組のパッケージ、出してるところすごい多いもんね。
いん/そうそう。『ごっつええ感じ』とかも、もう何作も出てるんですけど。あれ、たぶん最初に成功したのって……まあ成功したかどうかは分からないけど、我々の中で有名なのは『水曜どうでしょう』ですよね。
よう/なるほどな……。『すべらない話』とかも、出てるしね。


いん/そうですそうです。で、そこで「副音声」っていうやり方をしたのもそうで……。今や、「副音声」っていうやり方が広まって、紅白歌合戦でもやってるし、今まさにこの収録中にテレビで放送している『カメラを止めるな!』も、今日、監督や俳優陣が、副音声をつけてるらしいんですよね。
よう/ああ、そうかそうか。いやでもさ、「副音声をつける」というアイデア自体というよりは、やっぱり「内容」とか、「どういうふうにしゃべるか」っていう問題なわけじゃん。
いん/そうですそうです。本当に。裏を知ってる人が、「より楽しんでいただきたい」といって背景を出していく、みたいなことだから。

よう/まあ、別にすべてのコメンタリーが楽しいわけじゃないからね……。
いん/いやあ、でもアニメは、面白くないですか?もともと。いや、何となく思うんだけど(笑)
よう/う~ん。割と、カチッとしゃべってる時もあるし……
いん/ああ、そうか……。
よう/まあグダってて、それが良いときもあるし……。だから、なんかさ、Youtube の……あ、あれは『水曜どうで〝そう〟』なんだよね。
いん/そうそう。……ん、今もその名前なんですかね? あれ、最初だけ言ってて、あと聞かないんですけど。『水曜どうでそうTV』っていう名前で始まりましたけどね。
よう/あの、「非公式だから」って言ってたよね。許可とってないって。
いん/そう。HTBで、『水曜どうでしょう』の使用許可とってないから、みたいな。だから「どうでしょう」じゃ困る、と。

よう/そうそう。それで……だからさ、あのふたりって、特に内容がないまま、20分くらいぜんぜん保つじゃん。
いん/もちます、もちます。
よう/内容があることをしゃべろうと思えばしゃべれるし、内容がないことだけでも全然もたせられる、っていうところが、まあ円熟した漫才コンビみたいな感覚があるんだけどさ。
いん/あります、あります。
よう/あの「間合いだけで戦ってる」感じのが、副音声なわけでしょ?あのふたりのさ。


いん/それなんですけど。僕ら……僕と先輩で、昔、お遍路にいったじゃないですか。
よう/ああ、行った行った。
いん/で、このラジオでは2回目かもしれませんけど……
「僕のトークが長い」っていう話をしたじゃないですか、そのとき。
よう/ああ、そうだね。関西の人と、お遍路先で会って、しゃべることがあったんだけど……(笑)
いん/そうそう。
よう/今いち、かみ合ってなくて。後で俺が、いっちーに、ダメ出しでもないけど、理由を説明するっていうさ……(笑)
いん/そうそう(笑)あれ面白かったんだ(笑)
よう/「いっちー、(話し方が)ピン芸人なんだよ。いま掛け合いなんだから、センテンス短くていいんだよ?」っていう話をしたんだよね。


いん/「相手に投げて、そのリアクションを受けて」っていうんじゃなくて、僕がずっと1人で漫談みたいにしゃべるっていう……。
『水曜どうでしょう』のディレクター2人っていうのはですね、お互いに話が長いんですよ。
よう/ああ……。そうだね、だけど漫才にちゃんとなってるね。
いん/そう、あれがすごく面白くて。彼らはとにかく、「1人でずっとしゃべれるのを、片っぽが聞き役に徹して聞いてる」っていうのを、ずーっと20年くらいやってるんですよ。
よう/合いの手は必ず入る。
いん/合いの手は入るんです。でも相手にずーっとしゃべらせるんです。でも藤村さんがしゃべってるときは「ずーっと藤村の出番」。
よう/……だから、ボケとかツッコミとかじゃないんだよね。
いん/そうなんです。


よう/ああいうのも「しゃべくり」っていうのかな?ちょっとよく分からないんだけど、「面白い人が2人、しゃべってる」ってことだよね。
いん/あれ、副音声なんですよ。結局、タレントにしゃべらせて、番組を作っている人たちが、いざっていうときに「わーっ」とあふれる思いをしゃべる、っていうところに……っていう。副音声の構造は「ひとり語り」なんですよね。なんでか知らないけど。
よう/でもね、あれね……ひとり語りかもしれないけど、「話が長い」っていうのとはまた違うと思うね。
いん/お? ふ~ん……なるほど、そうですか?

よう/ああ。あのさ、ナイツの漫才ってあるじゃん。
いん/ナイツの漫才(笑)おおお(笑)はいはい。

よう/「ナイツの塙さんが話が長いか?」っていう話と同じことで。
いん/ああ……。ナイツの塙さんと藤村さんって、ちょっと似てて。話は基本的に長いんですけど、編集点を作ってるんですよね。
よう/ああ、ツッコむ間があるというか、合いの手を入れる間があるけど。
いん/そう。例えば合いの手を入れる間があって、後で番組を作るときにそこでカットできるようにしてしゃべってる、とか。
よう/はいはいはい。
いん/なんか、番組のことというか……テレビの構造を分かってる人だなあ、っていうのは感じます。
よう/ああ、そうだね。プロだもんね。
いん/しかも、とんでもないプロ(笑)
あ~……話変えていいです?この話とは、ちょっとズレる話なんですけどね。
よう/うん。
(11分37秒)

いん/『水曜どうでしょう』のディレクター2人が Youtube 始めて、次に note を始めて、そこでマガジンを創刊したんですよ。
よう/うん。

いん/で、第1回のゲストとして、Twitter の世界で有名な、カツセマサヒコを呼ぶというイベントを企画したんですね。
よう/はいはい。
いん/で、世の中の人を呼ぶ、と。公開で収録イベントをやる。
カツセマサヒコにインタビューさせて、藤村さんと嬉野さんがそれぞれ1人ずつ対談をする、という企画をやったと。
これ、イベントの告知から3日間は、割と真面目な「カツセマサヒコと藤村・嬉野の対談イベント」っていう告知だったんです。
よう/うん。
いん/で、noteという媒体を使って、まずは登録者だけに先行販売をしたんですけど、席が埋まらなかったんですね。
で、一般公開をしたんですよ。人気のふたりだから、あっという間に埋まるかと思ったら、意外と埋まらないな~、と思って見てたんですね。「まだ残席があるなあ」と。
そうしたら、この収録の前の日に、イベントの名前が変わったんですよね。『水曜どうでしょう』っぽい名前になったんですよ。
よう/はあはあはあ。(うなずく感じ)
いん/いきなり名前が変わって、『腹を割って話すナイト』っていう名前の……(笑)『水曜どうでしょう』を知ってる人だったら、「あっ!」って分かる、「腹を割って話そう」っていうフレーズが、入ったんです。
よう/なるほどね。よく言ってたな、大泉洋さんとかに。
いん/そしてサブタイトルに、「テレビとインターネット完全制覇」っていう言葉が入ったんですよ。これも『水曜どうでしょう』のキーワードですよね。
よう/ああ、「完全制覇」ね。
いん/で、それが入って3時間で、席はほぼ埋まったんですよ。

よう/あ~、「どうでしょうターム(用語)」だもんね。全部ね。
いん/そう。それを入れて……つまり、ギアを2ndに入れたとたんに、ガバーって人が入って来たんですよね。だから、「Twitterミーム」とか、インターネットのやり方よりも、はるかに強いものを持ってるふたりなんですよね。
よう/そうだな~。まあ「そりゃそうだ」ってことだけどねえ。
いん/もうね、強くて強くて。そういう人たちに対して、僕が何か言うなんて、おこがましい以外の何モノでもないという(笑)


よう/まあ、そりゃそうだ。あの~、そうだね、難しいとこだな……。俺はもう、完全にファンとしてしゃべってるというか……まあファンとまでは言えなくてもさ、「昔見てた」っていう思い出とともに語ってるだけだけどさ。
いん/思い出ね……。だから、夜の11時台とか12時台でしょ? あれ後から11時30分くらいになったんですよね。
よう/そうだよ。
いん/最初は12時台だったんですよね。そのあたりをだいたい、我々は見てたわけですよ。見たり見なかったりだけど。
よう/そうだなあ。大泉洋さんが大学4年生の時だもんね。
いん/そう、北海道大学の。
よう/そう。「学生で、めっちゃ面白い」みたいな。まあでも、いっちーは、ちょっと食い込んでしまってるからね。難しいかもね……。
いん/(苦笑:ちょっと弱気な子供っぽい口調で)
ね、本当にね、どうしようね。どうしよう……。
よう/(笑)俺は「どうなるのかな」って、ちょっと生暖かい目で見ているだけなんだけど……。
いん/生暖かい……(笑)


よう/まあ俺はとにかく、「2人の画角の良さに本当に、すごくびっくりした」って言いたかっただけなんだ。
いん/いや分かるなあ……。
よう/特に嬉野さんのおさまりの良さに、びっくりした。
いん/ああ……あの人はテレビ向きだったんですね、実は……。
よう/ああ……そうだねえ。

いん/様々な可能性があるなあ……。(一息ついて)いやあ……そう、だから僕ね、完全に外から、やいのやいの言って、「いいですねえ」って言祝ぎだけで生きていけると思っていたら、いつの間にか、ちょっと片足つっこみ始めてしまったんですよね~……。
よう/でも「片足突っ込めるよ」って言われたら、そりゃ突っ込むよね。でも……「でも」さ、外野にいるほうが楽しいってこともあるんだろうね、きっとね。
いん/『水曜どうでしょう』に関しては、外野が良かったかもしれないですよね~……。
よう/でもさ、何かしら話が来た時点で、「断る」っていう選択肢は、ないわけじゃん。


いん/ん~……これはですね、言っていいと思うんですけど……。
よう/はい……いや、無理しなくていいよ?(笑)
いん/いや、言っていいと思うんですけどね(笑)実は、某筋から話が来た時に、「僕よりふさわしい人がいると思います」って僕、言ったんですよ。割と分かりやすい断りのセリフなんですけど。
よう/うん、まあね。
いん/そしたらですね、先方に、非常にやり手の若い男がいるんですけど(笑)、彼が「今まで、あなたと同時に3人にこうしてオファーをしたが、全員が『僕よりふさわしい人がいると思います』って言っています」って言うんですよ(笑)
よう/うん(笑)
いん/その3人っていうのが、今、話題に出ている3人なんですけど(笑)
よう/うんうん。
いん/全員、同じリアクションをするんですよね。
よう/うん……あははは(笑)
いん/つまりその、「そういう人にしかオファーしていない」っていう手の内を、先に見せられてしまったので、断れなかった……
よう/あの、あれでしょ。いわば「あなたが落としたのは金のオノか、銀のオノか」って訊かれたわけでしょ。
いん/そう。で「僕が落としたのは鉄のオノです」っていうわけですよ。「それ、正直でいいね」っていうのをもう最初っから、向こうは……。もう、15手詰めくらいで、やられてるわけですよ。
よう/そうだね。「金のオノをあげましょう」って言われてさ、受け取らないわけにはいかないわけだよね。
いん/いやだから「金のオノはいらねえ、僕は鉄だけでいい」って言っても、その前提でもう、話が進んでいってしまってるっていう感じだったんですよね(笑)
よう/うん(笑)


いん/で、後で聞くと、対談第1回のカツセマサヒコ。彼は、断ったんですよ、最初。
よう/うん。
いん/断ったというか、「僕よりもふさわしい人がいると思います」と言って、さまざまな人をリストアップしたらしいんですよね。「あなた方がゲストに呼ぶんだったら、こういう人間がいいに違いない」というリストを作って渡したらしいんです。
よう/うん。
いん/そしたら、「その姿勢や良し!」ってんで、第1回のゲストになったらしいですからね(笑)だから、もう我々は、逃げられないんですよ、本当に(笑)
よう/いやなんか、それすらも『水曜どうでしょう』っぽい感じがするよね……。
いん/ええ……。


よう/やっぱ、肩の力が抜けてる感じがさ、特に90年代末にはさ、なんかすごい新鮮だった気がするんだよね。
いん/そうですね。
よう/だから「俺、やりたいです、やりたいです」っていうのとは、違う感じのところに行くわけじゃん。
いん/何でしたっけ、低予算、低姿勢、低血圧……じゃないけど、なんか、そういう3つをもともと、コンセプトにしてたんですよ、『水曜どうでしょう』って。
よう/そうだよね。だから「作為がなさそうにみえる」っていうことのはしりにも見えるよね。
いん/そうです。ところが実際には、めっちゃすごい編集を……まさに今のYoutuber がやってるみたいに、字幕をビタっとあてて、効果音を最低限びしっとあてて、どんどんつないでいくっていう……今の Youtuber がやっていることを、あのころ既にやってたんですよ。
よう/そうだね。


いん/だから、怖いんですよ、色々な意味で。
よう/まあ、いいんじゃない?……いいんじゃないっていうか(笑)……まあ、「怖い」かあ。そうだな~。それは何かこう、「何かしら相手に与えないといけない」とか、「何かしら負けてはいけない」って思うところがあるからじゃない?
いん/で、我々は当然そう思うじゃないですか。相手はカリスマ的な存在ですよ。そこで役職が「無責任編集」。何手も先をとられてる(笑)
よう/そうだね(笑)恐怖しかないよね(笑)そりゃそうだ。
いん/今のこの話を聞いて「あ~」ってわかるかどうかが、すごく大事なところで……。そこで「無責任編集」なんていう名前をあてられたら、全部読まれてるから、何も言えない。いや~……(溜め息)

よう/そうですか(笑)
……あのさ、全然関係ない話をしていい?
いん/どうぞ(笑)
(19分57秒)

★「英語の発音」について

よう/あのさ、「英語の発音が好きだ」っていうことを、ちょっとだけ言ったじゃん、前に。「英語の愚痴」みたいな回のときにさ。
いん/あっはははははは(笑)この放送からすると、4~5回前くらいですね。

(※文字起こし人注:たぶんまだ起こせていません、すみません)

よう/そうそう。そのとき、話そうと思ってて入らなかった話があるんだけど。
いん/んははは(笑)ほんとに話、変えましたね(笑)どうぞどうぞ。
よう/あはは(笑)あの~、ええと。「1コ1コの発音を、結構ちゃんと、発音通りに彼らは言ってる」と。「だから、発音記号の口の形とか発音の仕方を覚えれば、英語の発音に近くなる」みたいなことを俺、言ったんだけど。
いん/はいはいはい。
よう/なんかでもやっぱり、「リズム」のほうが、大事らしいんだ。英語っぽく聞こえるためには。
いん/……ええと、「英語の発音記号どおりの発音をすることよりも、英語のリズムをちゃんと徹底してたほうが、英語っぽい」と。
よう/そうそう。バキバキの日本語発音だとしても、英語のリズムだと、わりと英語っぽく聞こえるらしいんだ。というか、聞き取りやすいらしいんだ、むこうの人たち(=ネイティヴ)は。
いん/へええ~……。
よう/まあ、日本語もたぶんそうだと思うんだけどね。「日本語のリズム」にのってる方が、たぶん聞きやすいんだと思うんだけどさ。
いん/ふうう~~ん……。


よう/で、なんかね、英語の「音声学入門」とか「発音入門」とかに、そういうことが書いてあるんだけど……。これ、たぶん有名な、例文があって。
いん/ほうほう!!
よう/「ボブは雑誌を読みます」っていう例文があるんだよね。「Bob reads a magazine.」っていうんだけどさ。
いん/ほう……。はいはい。
よう/で、この例文を、彼ら(ネイティヴ)は「3拍でしゃべります」というわけ。まあ、聞いたらそうかなと。

(※文字起こし人注:ここから英語の発音とリズムの話なので、文字で伝えるのは難しいうえに、文字起こし人、英語苦手なので……分かる人は想像で補ってください(汗)なお、「・」は区切って言ってるという意味です)

いん/3拍……?(ぶつぶつと音読してみている)
よう/うん。(ややカタカナ発音で)「Bob・reads・a magazine」で3拍、っていうんだよね。
いん/はいはいはい。
よう/うん。で、「マガジン」は、「マガズィーン」なので、アクセントも「ィー」のとこにくるらしいんだ。
いん/(英語っぽい発音で)「Bob・reads・a magazine.」……はいはいはい。(※文字起こし人注:o、e、i が太字です(iOS以外だと見られます))

よう/で、これが現在進行形になったらどうなるかっていうと、やっぱり同じリズムらしいんだよね。
いん/ほう!!
よう/だから、ええと……
「Bob・reads ・a magazine.」っていうのと、
「Bob's ・reading ・a magazine.」っていうのは、同じリズムらしいんだ。
いん/(確認するように発音してみる)
「Bob reads a magazine.」「Bob's reading a magazine.」……はいはいはい。


よう/で、現在完了進行形になっても、「Bob has been ・reading ・a magazine.」っていうので、リズムは一緒らしいんだよね。
いん/ほう!!
よう/だ か ら(←やや強調)、「has been」とか、「magazine」の前の「a」とかが、ゴニョッてなるんだってさ。
いん/つまり「3拍で読むために、そこが圧縮される」と。
よう/そう。重要じゃないところは圧縮されていくんだって。
いん/(小さめの声で)ちょっと、イメージとちがうなあ……。

よう/まあもちろん、実際には「完全に同じ一定のリズム」でしゃべってるわけじゃないとは思うけど。
なんかその……たとえばこの例文、日本語っぽく言うと、「ボブ リイズ ア マガジン」って、10音節あるんだよ。
いん/「ボブ リイズ ア マガジン」……本当だ、10音節もある、うん。
よう/うん。で、日本語は1音で1リズム(1拍)だから、「タタタタタタタタタタ」っていうリズムでしゃべるんだけど、彼らは「ドン、ドン、ドン」で終わるらしいんだよね。
いん/あっ、すっげえ分かる!!「その発音ができたらカッコイイ!」って思いますもん、なんとなく。
(23分23秒)

よう/逆に、英語しゃべってる人たちが日本語を聞くと、マシンガンみたいに聞こえるんだって。むちゃくちゃ早口に聞こえるんだって。
いん/「ダダダダダダッ!」って。
よう/そう。「そらまあ、そうか」って思うよね。
いん/「音節ごとに、ビシビシビシビシッって音が出てくる」みたいな、そういう……。あ~、だから10音節なら10個出てくる、と。
よう/そう。で、俺はその「リズムでしゃべる」っていうのを聞いて、「そりゃあ、ラップとかやりやすいよな」と思ったんだよ。
いん/おぉぉぉ~、面白い!(笑)ああ、分かる、なるほどぉ~!
よう/トラックで一定のリズムをずーっと刻んでさ、それに乗せてくわけでしょう?「それ、彼らがしゃべってるリズムそのままなんだ」って。
いん/ああ~、なるほど。いいですねえ(笑)
よう/(逆にいえば)そりゃ日本語だとラップやるのは難しくてさ、皆、ずーっと苦労してきてるよな、リズムに乗せるのにさ。
いん/あ~、分かるなぁ。そりゃ、親に感謝するしかなくなるよなあ。
よう/(笑)ただ、日本語のラップも今はめっちゃ、進化してきてるらしいんだけど。
いん/うん、今すごいらしいですよね。
よう/うん。だけどやっぱりさ、そこには苦闘の歴史があるわけでしょ。
いん/ああ……。あ~あ~あ~(うなずく感じ)、なぁるほどな~……。いや、その話、面白いなあ。
(24分40秒)


いん/リズム(感)って、英語でも日本語でもいいんですけど、若干、「天性(のもの)」ですよね。
よう/まあ、ねえ……できる人はすぐにできるだろうけどねぇ。慣れじゃね?慣れ。
いん/あとは、何ていうんですかね、「やれるかどうか」もそうなんですけど、「持ってるか、持ってないか」のところで……
よう/ああ! ……音楽のリズム感はね、俺は、まったく!ないからね。まあ、トレーニングはできるんだろうけど、結構、センスみたいなのもあるかもしれないね。
いん/いやいや、だからね。同じことをしゃべっていても、すっごい頭のいい人が、すっごい良いことをしゃべっていても、聞こえる「感じ」で、なんか「入ってくる時」と「入ってこない時」があったときに……
よう/うん。
いん/残酷さを感じません?
よう/「日本語をしゃべっている時でも、聞きやすいリズムと聞きにくいリズムがある」ってこと?


いん/そうそう。僕なんか、自分がしゃべっているのを、あとで「いんよう!」のラジオとかで聞くと、「俺、ずいぶん抑揚がうるせぇな」と思うんですけど(笑)あははは……
よう/なんか、(リスナーから)そういう感想あったよね。「いっちーのしゃべり方が音楽的だ」っていうね。
いん/ああ、あったかもしれませんね。でも、先輩もそうなんですよ。
だから、先輩は僕とは似ていないんですけど、でも先輩は先輩で「しゃべり方」がある人なんですよ。
よう/うん……ん~、俺は「興奮すると声が上ずってくる」っていう(笑)、典型的なさ……あははは(笑)まあいいや。
いん/いいじゃないですか(笑)いや、でも世の中にはもっと、しゃべり方が「平べったい」人もいて……
よう/ああ、いるね。
いん/僕らは緊張感がないのかもしれませんけど(笑)たまたま、「抑揚がつくタイプの会話」を公共の電波にのせてるんですね。


よう/……その……「意味とメロディ」というか、「意味と抑揚」が、リンクしてない人って、いるよね。
いん/あ、分かる(笑)
よう/めちゃくちゃ、聞きづらいよね。学会発表とか……。
いん/いや、ほんっとにそう(笑)いま僕が考えてたのは「学会発表」と……
よう/うん。
いん/あと、最近増えてきた「医者Youtuber」なんですけど(笑)
よう/ああ、そうだね。いやなんかさ、「立てる言葉のところで、なんで抑揚が上がんないの?」って思うけどね。
いん/ああ、先輩やっぱそういうの気にしますよね。僕も実は、最近ちょっとそういうの気にしてるんですけど……
よう/うん。
いん/なんかですね、「すごい良いこと言ってるんだけど、入ってこねえな」っていう声が、3人に1人くらいいるんですよ。
よう/うん。「話す」って身体的な行為だから、身体性(しんたいせい)が伴ってないと、意味が無いんじゃないかなあ。「テキスト(文字)でいいじゃん」っていう話になっちゃうよね。

いん/いやあ……その点、『水曜どうでしょう』のディレクター2人は、抑揚が大泉さんと一緒なんですよね。
よう/そうだね、あの3人は一緒だね。あれ、もう「『水曜どうでしょう』節(ぶし)」だもんね。
いん/ですね。僕も完全にそっちに引っ張られちゃってるんですよ、20年くらいかけて。
よう/うん。だから結局、俺の好きな『東京ポッド許可局』と、いっちーが好きな『水曜どうでしょう』の、劣化版が掛け合わさって、出来上がってるだけなんだ、たぶん俺らのこのポッドキャストは(笑)
いん/分っかる!(笑)その、「劣化版」って言いたいの、すっげえ分かる(笑)僕も「劣化版」っていう言葉使うんだよなあ。こないだ怒られたばっかなんですよ、「なんで『劣化版』って言うの!?」って、いろんな人に。いやあでも、そうなんだよなあ……影響受けるんですよね、聞いてて「面白いな」と思ったもののリズムを、吸収してくんだよなあ……ツラいなあ……(笑)
よう/まあ、番組名もそういう番組名だから、いいんだけどね(笑)
いん/ん? っははははは(笑)そうですね。
よう/そうなんです(笑)
いん/そうだそうだ(笑)
(28分16秒)

※文字起こし人注:『いんよう!』のタイトル名の由来については、第20回【哲学との距離の取り方】のなかで、このような会話をされています。

よう/なんていうかさ……。この番組(ポッドキャスト)のタイトルが『いんよう!』ってことだけどさ。
いん/はい、はい。
よう/まあいろんな意味があるけど、「自分がしゃべっていることには、しょせんオリジナルなものはない」っていう思いもあるわけよね。
いん/はい、はい。
よう/「全部、どこかからの引用です」っていう、さ。
いん/はいはい、そうですね。

よう/(気を取り直して)あのねえ、発音のことで言うとね(笑)
いん/はい(笑)
よう/RとLがあるじゃん。
いん/ああ、よく言われるやつ。
よう/うん。俺は「絶対!Lのほうが難しい!」って主張……主張っていうか、思うんだけど。
いん/……Lのほうが難しいんですか?
よう/圧倒的に、Lのほうが難しい。(きっぱり)
いん/へぇ……。
よう/すっごくたまに「そうだよね」って言ってくれる人もいるんだけど、だいたいは、今のいっちーみたいなリアクションになるんだよね。


いん/いやなんか、「RとLのどっちが難しいか」とかって考えたことがなくて。ただ、「両方が、違うほうに寄ってく」ってイメージがあるんで……。
よう/そうだよね。なんかさ、こう……「Rは日本語にない音だから、ちゃんと練習しましょう」って言ってて、「Lは日本語のラ行みたいな感じ」ってことになってるからなあ。
いん/ああ……。でも、「日本人のラ行の音」って、舌足らずなんでしょうね、たぶん。ネバネバしてるっていうか。
よう/ああ……RでもLでもないんだけど……
いん/ああ、違うんだ。
よう/うん……まあネイティブの人は聞き取ってくれるから、まあいいんだけどさ。
いん/ああ……。
よう/Lのほうが、日本語からみて「より遠い」と思う。
いん/あ、「Lのほうが遠い」んですか。
よう/うん。
(29分40秒)

よう/あのね、めっちゃマニアックな話をすると……「please(プリーズ)」って言う時の、Lの音あるじゃん。あれって、頭の「P」は無声音でしょ。声帯を使わない音。で、「L」の音はもともと有声音なんだけど、「無声音のあとにくるL」って、無声音になるんだよね。
いん/ええ~っ!?そうなんスか!?(笑)
よう/そう。だから、「プリーズ」じゃなくて「プィーズ」になるんだよね。ごめん、なんかうまく発音できてないけど。
いん/うはははははは(笑)分かんなかった(笑)
よう/Lって「ェゥ」って音なんだけど、Pのあとだと「(シュー、と息を吐く音)」になる。
いん/へぇぇ~! そうなんだあ……!!
よう/側音(そくおん)っていうか、「息が舌の両脇から漏れてる」音なんだよね。「ル」じゃないんだよ。あはははは(笑)


いん/この話、僕、10年くらい前なら「へ~」で終わってたんですけど。
よう/うん。
いん/5年くらい前に、初音ミクの……音の「調教」って彼らは言いますけど……「いかに人間っぽくアレンジするか」っていうのがありますよね。その人たちの話をちょっと聞いた時から、何となく実感がわくようになりました。
よう/そうかい。
いん/たぶん、さっきの「please」もそうだと思うんですけど、「有声音と無声音で変える」とか、「ナントカの文字の後だと禁則処理(?)がこうなる」とかって、彼らはすごくやってるんですよね、たしか。
よう/ああ、そうだね。
いん/僕、そんなことそれまで考えたことなくて。

よう/あの、日本語の「ん」ってさ、3種類発音があるとかさ……
いん/あ~、それは「『しんばし』のときは『m』で」とか、そういうやつ?
よう/あ、そうそう。「m」も「n」もあるし、あとエヌジーって書く「ŋ」もあるよね。「ング」っていうか。
いん/ああ、エヌジーもあるんだ、あははは(笑)
よう/「はんこ」の場合は、「k」の前で……ええと奥のほうになるから「ŋ」で、「はんぱ」の場合は「m」でしょ。
いん/「はんこ」「はんぱ」……うんうん。
よう/それ以外は「n」でしょ。だから、全部が「n」ではない。「m」になったり「ŋ」になったりする。日本人は全部「ん」って書いちゃうから、あんま気にしてないんだけど、実際には発音し分けてて
いん/分かる。それを、初音ミクに歌わせる人たちは、意識的にやってると。(笑)
よう/やってる。確実にやってると思う。
いん/やらないと、きれいに聞こえないっていいますもんね。なんかちょっと違って聞こえるんでしょ?違和感というか……。
よう/いやあ、「はんぱ」の「ん」を「n」で発音しちゃったら、「はンヌぱ」みたいになっちゃうよね。
いん/ハンッ、はんむ……?あはははは(笑)
よう/「はんふぁ……」(笑)口を閉じないでやるわけだから……
いん/はん、はむ、はぬっ……あはははは(笑)
よう/ど~でもいい時間だよね、これ(笑)
いん/あははははは(笑)
(33分02秒)

よう/……あの~、音声学の専門家が聞いていないことを、ただひたすら願うね(笑)この中途半端な知識の雑談を……(笑)
いん/いやいや、聞いてて、ゲラゲラ笑って、我々にちょっと面白い新書でも1冊紹介してくれたら、それで(笑)
よう/あ~、そうだね。それはもう、最高だけどね(笑)
いん/平和だな……(笑)
よう/そうですね(笑)
(33分23秒)

よう/『水曜どうでそう』のYoutubeは、本当にYoutube だったね。
いん/『水曜どうでそう』については、いくつか企画をやってるんですけど。僕はいずれその人たちに話を聞く機会があるんで、オフレコで聞いてみたいことがあるんですけど。
よう/ほう。
いん/自分たちがさんざん、プロの技術で持って「編集点を切って、字幕を作って」ってやってきたことを、今、20代や10代で「Youtuber」と呼ばれる人たちがやってて、その中に『水曜どうでそう』のために力を貸してくれてる人たちがいるわけですよ。
よう/いるよね。20代も前半の……。
いん/彼らを見てどう思うのか、訊いてみたいですね、ほんとに(笑)
「正直なところ、どう思ってるのか」っていうよりも、「作った答えと、リアルな答えの両方を、聞き比べてぇな」って思いますよね。


よう/あ~、そうか。……まあでもさ、あの……「そういう質問に、どう答えるのか」っていうこと自体が、面白いよね。
いん/いやあ、彼らは「質問慣れ」してますよ。うまいもん。
よう/そうか。え、それ「受け答えが慣れてる」ってこと?
いん/受け答えも慣れてますし、なんか……相談的な企画、めちゃくちゃ多いんですよね。藤村さんなんか、特に。
よう/ああ……。
いん/「悩むだけ損!」みたいな企画を、ずっとやってますから。
よう/はあはあ。それは藤村さんが悩み相談を受けるってこと?それとも自分が質問するってこと?
いん/「相談を受けて、答えていく」っていう企画を、もう10年以上やっているんで……
よう/ああ~、なるほど。
いん/だから、そういう「外から来た疑問」とか「問い」に対して、「編集点を作りながら答える」っていうことに関しては、彼ら本当にプロですよね。

よう/……「編集点を作りながら」って、どうすればいいんだろうね。ちょっと、いっちー、勉強してきて。
いん/もしも僕が、そこ、勉強出来たら……それは、殻を1コ、破れるかもしれない……(笑)
よう/あははは(笑)「編集点を作ることを意識してしゃべって、編集しないまま出す」っていうさ(笑)
いん/それ……(笑)できたらすごい……(笑)だって、今まで僕「話が長い」って言われ続けてきた人間が、今さら編集点だなんて、「どの口が言ってんだ」って話ですからね。


よう/そうだね。いや、俺も話は長いけど、いっちーの話の長さと俺の長さは、またちょっと違うような気がするしね。
いん/あははははははははははは(笑)
よう/「長さの質」がね。どっちがいいとか悪いとかじゃなくて。
いん/いやあ、分かるな(笑)本当にそうなんですよ。いやあでも……最近、反省して、しゃべり方変えてるんだけど、なかなか変わらないんだよなぁ……。
よう/あはは(笑)あ、変えようとしてるんだね。ちなみに、どう変えようとしてるの?
いん/SNS時代にあわせて、「1回のやり取りが10秒以内に終わるようにしたいな~」と。
よう/ああ~……無理じゃね?
いん/無理です。
よう/あはははは(笑)


いん/無理なんですけど、「それは僕の伝えたいことと違うから無理」って言ってたのが、今までの僕だったんですけど……
よう/うん。
いん/なんか、「短期間のやり取りでもインパクトを残せるタレント的な人が、世の中にはいる」って、分かってきたので……
よう/ええ~!?……言葉、短くするの?
いん/いえ。あのですね、掛け合いをうまく入れたり……
よう/ああ、そういうことか。いや、それは別にねえ……。ん~、そうですか……。


いん/掛け合いと、あと「10秒に1回、相手の頭の中に風景をちゃんと思い浮かべさせる」とか……
よう/ふむ。
いん/「ずーっと、しゃべり終わるまで待たないと、何を言いたいのか分からない」のではなくて。「10秒ごとに、相手に『ああ、分かる』って言わせるような会話」が必要なのかな、とちょっと思いますね。
よう/ああ、なるほどね。……いやあ、でもなあ。2人とも「詰め込んでいくタイプ」だからさあ、難しいんだけど(笑)
いん/あははははははははは(笑)

よう/でも、すっごい単純なことをいうと、「1文しゃべり終わったあとに、0.5~1秒くらい、ポーズ(間)を入れる」ってことかなあ?
いん/……先輩、それたまにやってません?
よう/うん……やってる……ほぼ無意識だけど、やってるかな。で、そうしたら、相手が合いの手とか、何か言いたいことがあったらしゃべり始めるんだよね。
いん/分かる。そうなんですよね。僕それ、「いんよう!」のバックナンバー聞いてて、先輩がやってるのに気が付いて「あっ!」ってこないだ思ったの(笑)「あっ、こんな技術が~」みたいな(笑)
よう/あはははは(笑)俺は逆にね、いっちーが、前に1人でツイキャスやってたじゃん。あのときに、ずーーーーーっと1人でしゃべれるからさ、「不思議だなあ~!」と思って。俺、ぜったい無理だからさ。
いん/いや、それが良くなかったんじゃないかと(笑)


よう/うん、やっぱ、ピン芸人として、やりすぎたのかもしれないね。そっちのほうに、シフトして、自分で偏っていったのかもしんないよね。
いん/いや分からないんですけど(笑)ピン芸人の人でも、売れてる人って、ちゃんと観衆が笑う時間を与えますよね。
よう/まあ「笑い待ち」って言うのはあるらしいけどね。でもまあ、いっちーの悩みって、お遍路に行って大阪のおばちゃんとしゃべった時から、変わってないってことだよね。
いん/あはははははは(笑)
よう/あはははははは(笑)「相手に間を与えない」っていうさ……(笑)
あとは、「相手のリアクションを想定してしゃべってる」のかなあ?よくわからないけど。

いん/いやあ、難しいなあ。……ただ僕、ちょっと成長したところもあって。
よう/おお。
いん/とにかく、僕が偉そうにしゃべってる時間よりも、僕がゲラゲラ笑ってる時間のほうが、面白いんですよ。
よう/ああ……。俺は逆にさ、「自分のリアクションが悪い」ってことを、再確認させられるわけだよ、録音を聞くとさ。
いん/あははははは、「リアクションが悪い」~!?そんなことなくないですか? あはははは(笑)
よう/だからさあ……(笑)確かに、いっちーはリアクションいいよね。それは昔からだと思うけどね。
いん/いや分からないですけど……(笑)僕、自分で何か作ろうとして前のめりのときは、あまり面白くなくて。油断してゲラゲラ笑っているときのほうが、まとも、みたいな(笑)……う~ん、これ難しいなあ(笑)

よう/うん、まあ……。「いんよう!」で、最近そういう話し合いしなくなったけどさ。最初のころってさ、「どれくらい考えてしゃべるか」っていうので、若干、意見の差があったよね。
いん/ありましたね。
よう/俺は、「何をしゃべるか、ちょっと考えてしゃべったほうがいいんじゃないか」っていう考え方でさ。すり合わせをするかどうかは別として、お互いの頭の中でね。
いん/分かる分かる。

よう/でも、いっちーは「何となくしゃべればいいんじゃないですか?」って言ってたよね。「楽したいから」じゃなくて、「意識的にそういうふうにしたほうがいい」ってことを言ってた気がするけど。
いん/どちらかというと、この番組のディレクション的には、「我々が仕込み過ぎないほうが、聞いてる人に届くんじゃないの?」っていうニュアンスは、あったんですよ。
よう/うん。
いん/というのは、我々がある程度展開を「読んだ」状態でしゃべってたら、リスナーもそれに気づくだろうと思って。
よう/うん。
いん/なぜなら、我々が本当の「しゃべりのプロ」ではないから。
よう/まあね。いやでも、予定調和がないものなんてさあ、ハイブロウ過ぎるよ。
いん/「予定調和でひとを楽しませるのって、一流の落語家とかじゃねえの?」ってのがあるんですよ、僕の中では。
よう/いやいやいや。「予定調和」、俺はけっこう好きだよ。
いん/あなたはその、お笑いの文脈を良く知ってるからそれで……(笑)
よう/いやいや(笑)知ってるか知らないかじゃなくて。安心できるもん。


いん/いや分かりますよ。それで、すり合わせがあって、今、我々はこのあたりにいるわけじゃないですか。
よう/そうだね。特に「何を話すか」はすり合わせていないんだけど、「テーマ発表」的なものは一応あるという。「こういう話する?」みたいな。
いん/そう。それ、今までと結構ちがうんですよね。「今日、この話するか」って先輩が宣言することで、着地点は見えるんですよ。瞬間的に。
よう/「着地点が見える」(笑)うん。
いん/それなしで、いきなりイベントの話から始めると「いったい今日は何の話を始めるのか」って、本当にキケンな場が始まってしまう(笑)
よう/それこそさぁ、素人には無理だよ。
いん/ああ……そうか。まあいろんな意味で、何やっても素人には無理なんですけど、まあ、なんとか今やってる……みたいなところはありますけど(笑)
よう/あるある。どっちがハイブロウかって言ったら、予定調和がないほうだと思うけどね……。
いん/んふふふふ(笑)そうですね。いやあ、早く おはがき来ないかな(笑)あはははははは……


よう/(笑)いやあ、あれね、ほんとありがたいよね。
いん/「ハガキ」は来ないけどね、メールだけどね。
よう/俺ら、メールの内容に耳を傾ければいいだけだからね。「ほお」「なるほど」とか「ありがたい!」ってさ。
いん/そう、リアクションをとりながら、「ありがたい!」とかって。それが一番……だから、先週分の収録ですよね(笑)あれ良かったなあ(笑)またやりたいなあ……。
よう/そうだね(笑)いやまあ、おたよりお待ちしてますんでね。
いん/お待ちしてます。
よう/さあ、もう40分過ぎたし、いいか。
いん/しゃべるほどの内容じゃなかったけど(笑)あははははは……
よう/まっっったくだね!今日は、内容がない「雑談」だからね。
いん/あはははははは(笑)まあ、いいでしょう。
よう/じゃ、ありがとうございます。
いん/はい、ありがとうございました。
(43分16秒)

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