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[文字起こし]いんよう! 第10回【はたらく細胞の感想②】

私の大好きな「はたらく細胞」感想回、後編です。
単なる「感想」から発展して、ヤンデル先生の「自分がやりたいこと」とかに飛び火しているので、その辺が結構、前半よりも苦戦しそうだな~……と思ってたらやっぱりかなり苦戦しました(^^;

(♪)

いん/はいはい。
よう/ちょっと前だと思うんだけど……あのね、イッチーがね、「ちょっと疲れました」みたいな感じのツイートしてて。
いん/はははは(笑)うん。
よう/で、あの……「絵を描きます」っていう……
いん/あ~!
よう/「絵でギャグをやります」みたいなのをやってたことがあって、それがさ、その……スタバとかのテイクアウト用の紙コップみたいなやつに、手と足がついてるキャラクターをマウスで雑に描いた絵で、その上に「ソオイ」っていう吹き出しを出しながら、正拳突きしてるっていうさ、ギャグあったけど。俺、けっこうあれ好きだな。

(※文字起こし人注:たぶんこれ)

(※……と思ったらご本人からちゃんと言及が残ってた)

いん/あっはははははははは(爆笑)……ツライ(笑)あはは、ありがとうございます(^^; ソイラテのね。ソイラテのギャグ。
よう/そう、ソイラテの説明するやつ(笑)
いん/ソイラテの……
よう/ソイ!って。あれくらい分かりやすかったら、俺、楽しめるよ(笑)
いん/あぁ……(笑)(苦笑いしつつ口を開いて何か言いかけるけど何も言えない、といった雰囲気)
よう/俺、あれくらいのレベルですげぇ面白かったもん。
いん/あぁ……つらいな(笑)あははは。
よう/(笑)
いん/ギャグの解説も振り返りも、つらいな……(笑)
(1分25秒)

よう/いや、それでさあ……先週の話の続きなんだけれども……
いん/今の、おわり~!?(笑)
よう/終わりだよ?
いん/(笑)はいはい。先週の続き、どうぞ。
よう/「はたらく細胞」っていうマンガがあって、それが前期っていうか、7月から9月にかけてアニメ化されて、話題にもなってたし、もちろん原作もすごく人気がある作品で、なによりアウトリーチという観点から見てもすごく素晴らしい作品だ、と。あれだけうまく、「免疫細胞のことを概説してて、かつ、絶対忘れないように、記憶付けしてくれるようなコンテンツ」ってさ、専門家はほぼ作るのが不可能なんじゃないか、っていうレベルだよね。
いん/本当にそうっすね。
よう/うん。……で、まあさっき……先週の最後のほうにさ、「(キャラの中で)誰が好きか」みたいな話してたけど……。
いん/(笑)
よう/あれだって、キャラクターのことを覚えてるってことは、イコール、細胞の性質を覚えてるってことだもんね。
いん/本当だ。うん。
よう/血小板ちゃんは、まずちっちゃいじゃん。
いん/ちっちゃい。
よう/で、頑張り屋さんで、皆で、わらわらって、血小板ちゃんがいっぱいいて、皆で協力して傷口をふさぐっていうさ。
いん/おお。
よう/で、工事現場みたいなところで交通整理してる、みたいな様子がよく映し出されててさ。あれって、要は「治してるところ」ってことでしょう?
いん/そうっすね。
よう/あの絵がセットになって(頭に)入ってれば、だいたい血小板のこと分かるもんね。
いん/いやほんとだ。そうなんですよ。
よう/それはやっぱ……日本のさ、ここ10年、20年?わかんないけど、マンガとかアニメで、擬人化っていう手法がさ、とにかく発達したんだろうなと思うんだよね。
いん/うんうんうん。
よう/なんか、アメリカとかだと、「カーズ(Cars)」だっけ?
いん/カーズ。
よう/あれは、ピクサーだっけ?
いん/あれは、ピクサーでいいんじゃないんですかね。車のやつ。
よう/あれは「車に目がついてる」でしょ?
いん/車に目がついてます。
よう/だけど日本の場合さ、原形ないよね。
いん/おおぉ~~。
よう/完全に人間の形にして、で、特徴だけ……血小板……血小板じゃねえや。赤血球だったら、頭に載ってるベレー帽みたいなのが、赤血球みたいな形してて、真ん中がちょっとへこんでる、みたいなさ。
いん/ああ……おお、本当だ。
よう/で、好中球だと、白血球だから「真っ白」、とかさ。
いん/はあはあはあ。
よう/なんか、元のものの特徴は持ってるんだけど、「完全に人間の姿にしちゃう」ってのが、思い入れもしやすいし、割とこう……ある意味、特徴が抽象化されてるよね。
いん/本当だ……いやあ、そういえばそうっすね。
よう/そして、何でもできるんだ、そうすると。1回、抽象化するから。国だって(擬人化)できるし。
いん/はぁぁ……。
よう/「ヘタリア」っていうさ……。
いん/そうだ、ヘタリア。ありますね。国が人間になってる。
よう/で、なんか、たぶん何でもあるんでしょう。俺らが思いつくものは、すべて擬人化されているような気がするんだけどさ。
いん/あっはっはっは(笑)ああ、なるほど~。
よう/で、じゃあ例えば、「はたらく細胞」でいうと、人間の中にある細胞を全部、擬人化しようとすると、たぶんね、あまりにも種類が多すぎて、ごちゃごちゃになると思うんだけど。この作品はさ、血球系……免疫系以外の細胞を、全部「一般細胞」っていうさ……
いん/ああああ~。
よう/まとめちゃってるじゃん。
いん/そうだ……団地のおばさんみたいにしちゃったり。
よう/なんかあの、白いTシャツに「細胞」って書いてある……。
いん/います。モブ、みたいな。
よう/そう、完全にモブにしてあるじゃん。で、彼ら、基本的に何もしてないよね。
いん/してませんね。
よう/で、なんか「白血球 頑張れ~!」とか、「なんで(酸素が)来ないんだ~!」とか文句いったりとか、そういう、本当に「モブに徹してる」けどさ。
いん/ああ。
よう/よくよく考えたらさ、肝臓だったら、肝臓の細胞として、肝細胞は主役だしさ。
いん/ああ、そうっすねぇ。
よう/それを忠実に擬人化するんだったら、肝細胞とか、心臓の心筋とか、もっと、まずデザインをちゃんと考えなきゃだめだし、
いん/ああ~。
よう/もっと、キャラづけもやってるはずなんだけど……そこは、それやりすぎるともう何を描きたかったか分からなくなっちゃうから、もう、バッサリだよね。
いん/バッサリだ。
よう/あれもすごいなあと思うけど。
いん/……そうか、取捨選択もすごいんですね~。
よう/で、血管って、一番内側が「血管内皮細胞」でしょう?
いん/はい、そうですね。
よう/だけどさ、「道」とかにしちゃってるじゃん。
いん/ふふふ(笑)
よう/「いや、そこも細胞だよ?」って思うしさ。
いん/ああ、言われてみれば。
よう/で、赤血球が、肺で酸素と二酸化炭素を交換するときに、ちっちゃい部屋に入るけどさ。あれ、肺胞でしょ?
いん/あははは(笑)そうっすね。
よう/「あれも細胞だけどね!?」って思うけど、でも、ガチャってドアあけて、部屋に入っていくじゃん。
いん/本当だ~。よく考えたら、概念ごとに、人にしたり、しなかったりしてるんだ。
よう/してるんだと思うよ。
いん/ああ~~……。
よう/あれがね、例えばあまりにも専門家すぎると、そこにやっぱり違和感があってできなくなっちゃうかもしれないよね。
いん/それは分かります。厳密性でどこまで行けるかな~、ってことばっかり考えると、エンターテインメントとしての質を、どこかに置いてきちゃうんですよね。
(※注:原文は「質を、おいといちゃうんだよね」と言っていますが、多分ニュアンスとしては「置き去りにする」くらいの意味かなと思い、このようにしてあります)
よう/そうなんだよ。つまんなくなっちゃうんだよ、単純にね。
いん/あ~、本当だなあ。
(7分9秒)

よう/だからなんかその、SFの話をしてる時にさあ……
いん/ああ、ああ。
よう/すげえ細かいところが気になるっていうか、SF設定の科学的じゃないように感じるところが気になってさ、なんか興味がなくなっちゃう、みたいなこと話してたりしてたじゃん。
いん/しましたねえ。
よう/「良くないね」みたいなことでさ。あれまったく同じことだと思うんだよね。
いん/したした。でも、「はたらく細胞」気にならなかったなあ。
よう/俺も気にならなかった。まあ「違うな」とは思ったけど、「あ、そう処理してるんだ、うまいな」みたいな感じでね。
いん/あ~……。いや、マンガとかアニメの素晴らしいところってのは「絵柄だけで許せる」ってとこがあると思うんですよ。
よう/ああ、そうかもしれないね。何で許せるんだろうなあ。
いん/いや先輩、いまタイムリーで、あまりその話しないようにしてますけど……絵柄だけで「許せない」っていう話でも盛り上がるじゃないですか、世の中。
よう/あ、まあそうだね。
いん/そうそう。一部のキャラクターが、ちょっと強調されてるのがよくない、みたいな話でも盛り上がったりしますよね。だから、両方なんですけど……その意味で、「はたらく細胞」が偉いなって思うのは、あれ、読む人にそんなに不快感がないようなぎりぎりのラインにちゃんと落としてるのが、偉いなって思うんですよ。
よう/そうですね。女性キャラクターを描く時は、いろいろ2次元の文法を使ってるけど……
いん/うん。
よう/まあ、「今の世代だともう一般的に受け入れられてる」ラインのものを使っている感じはするし……
いん/使ってますね。
よう/そもそも、あれだよね……あ、これは関係ないか。別に男性向けに作っているものでもないしね。
いん/ないです。
よう/一般向け……だもんね。
いん/ねえ。
よう/特にそこを強調しているわけじゃなく……いわゆる一般的な水準っていうかさ。「味付けの濃さ」っていうんですか? キャラクターの。
いん/あ、そんな言い方するんっすね(笑)「味付けの濃さ」ね……「濃すぎてもダメ」みたいな。あはははは(笑)
よう/濃いやつは、いっぱいあるじゃん。
いん/ありますよ。今、パッと思いついたのは、本宮ひろ志なんですけど(笑)濃いの意味が違う、みたいな(笑)
よう/あ~、あれは……そうね。「濃い」のは間違いないけどね、キャラクターがね。(笑)
いん/そうそう(笑)
よう/「萌え」の方に濃いわけじゃない、っていう(笑)
いん/あ~、そうそう。「萌えのほうに濃い」……あ~、いや、この話するとふくらみがいっぱい出てくるんだよな。まあいいや。その……人間って、キャラクターの描き分けだけで、「許せる・許せない」が出てくるんだなっていうことも言いだすと、教育効果の話もすごく難しくなっちゃうんですよね。
よう/どういう……?
いん/ただ擬人化すりゃいいってもんじゃないのか……。
よう/そうだね。
いん/ただうまく例えればいいってもんでもない、みたいな。
よう/う~ん。なんかさ、もう……最近は事情が全然違うけど、いわゆる「お役所」みたいなところがさ、キャラクター作るとさ。まあひと昔前は、つまんないものが多かったわけじゃん。
いん/ですよね。
よう/例外はあるにしてもね。で、あれって、あまりにも無難なラインで創ろうとするから、ああなるっていうのは、まあ自明なわけだよね。
いん/確かになあ……。
よう/で、全然、そういう今のっていうか……世代が違う、……まあ端的にいえば上の方の人たちのセンスで創るからそうなる、っていうかさ。
いん/うん……。
よう/だから、ある程度ね、こう……今の需要にこたえるようなところをやらないと、ダメだよね。やり過ぎてもダメだけどね。
いん/ね、そうですよね~。いや僕も今日……先週の話でもちょっと話しましたけど。看護学生に「はたらく細胞」を勧め“れた”っていうのが、すごいことで……。
よう/はいはいはいはい。
いん/やっぱりちょっと、「オタクの文脈が強すぎたら、一般的な看護学生には勧めにくいだろう」と僕も思うと思うんですけど、あんまり思わなかったんですよね。「今の若い子だったら、男の子でも女の子でも、まあ読めるべや」みたいな感じで……
よう/うんうんうん、そうだね。全然、大丈夫だよね。
いん/ですよね。いや、そう考えると、なんかすごいな~と思いますけどね。
(11分8秒)

よう/なんかさ、すごい、スピンアウト作品がいっぱいあるみたいだよね。
いん/ああ、1コだけ読みました。
よう/ああ、本当?
いん/あの~、「はたらく細胞BLACK」。
よう/ああ、はいはいはい。これって、どこの……生活習慣病みたいな話なんだっけ?
いん/「BLACK」は、生活習慣病だったり、なんか心筋梗塞の話が出てきたりするんですよ。
よう/うんうん。「体がちょっと調子が悪い時に、色々大変だ~」みたいな話なんだよね。
いん/そうそう。「体を酷使していると、細胞も……」みたいな話なんだけど、作者が違っていて。デザインは一緒なんだけど、作画が違っていて。キャラクターの描き方も、すこぉ~し、すこぉ~しオタク寄りというか、すこぉ~しお色気寄りなんですよ。
よう/(笑)あ、まあ大人向けってことなのかな。
いん/あるいは、もうちょっと練度の高いオタク向け、というか。
よう/へぇ~。でもこれ(掲載誌が)「モーニング」だね、「はたらく細胞BLACK」って。


いん/「モーニング」かあ……。いや「BLACK」の方は、万人には僕、勧めないですもん。
よう/あ、そう。へ~~。あ、そうなんだね。
いん/そうですね。ちょっと、胸元強調しすぎてたりするんで。
よう/あ~、なるほどね。
いん/「無駄に●●だな~」、ってとこはあるんですよね。(※注;原文は「無駄にこうだな~」と言っているんですが、たぶん「こう」の部分は書き言葉で「●●」みたいな意味だと思われます)
よう/ふ~~ん。……なんかさあ、「はたらく細菌」っていうのがあってさあ。
いん/あ~、僕それタイトルだけ見ました。まだ読んでない……
よう/掲載誌が「なかよし」になってるね。
いん/え!?!?……「なかよし」!?

よう/うん。おおもとのヤツ(「はたらく細胞」)は「月刊少年シリウス」だけど……



いん/(「はたらく細菌」は)少女漫画的な?
よう/そう。「はたらく細菌」はね~、「なかよし」だね。
いん/マジか……。
よう/で、「BLACK」は「モーニング」でしょ。すごいね。
いん/全然、違うんですね……。
よう/うん。まあ「講談社」ってことだね、くくり(共通点)としては。
(12分48秒)

いん/……すっごい、どうでもいい話……していいです……?
よう/はい、どうぞ。
いん/「ちびまる子ちゃん」の、コミックスがうちに2冊だけあったんですよ、昔。
よう/うんうん。
いん/3巻と6巻だけあったわけ。
よう/(かぶせるように)いや~分かる。昔の人気作ってそうだよね。「ドラえもんの●巻だけある」とかさ。なんであるんだ?みたいな(笑)
いん/(笑)3巻と6巻、どっちか忘れたんですけど。「ちびまる子ちゃん」の(単行本の)後ろの方に、作者である さくらももこの、伝記みたいなマンガが、ちょっと付け加えられたりするんですよ。
よう/うんうん。
いん/「別のタイミングで、別の雑誌に載りました」みたいなやつで。
よう/うんうん。
いん/で、作者自身の昔の話を、似たような絵柄で描いてるっていうのがあって。
よう/うん。
いん/そこで、なんか……さくらももこがちっちゃいころに仲が良かった友達が転校しちゃう話かなんかが載ってて。で、転校しちゃった後で、さくらももこがお母さんに言うんですよ、「いや~、転校してっちゃったんだよね~」みたいに。そしたらお母さんが、“へ~、そんな子いたっけ?”みたいなニュアンスで「あれ、ももこ、その子と仲良しだったっけ?」って言うんです。
よう/はいはい。
いん/そしたら、キートン山田がしゃべりそうな枠が出て来て、「ももこは“りぼん”である」って書いてあるんですよ。
よう/(笑)
いん/「なかよし」じゃないって意味なんですけど。
よう/はい(笑)
いん/それを僕はそのまま小学校の時に読んでたんですよね。
よう/うん。
いん/まっったく意味が分からなくて(笑)
よう/なるほど。
いん/つい、3~4年前に、もう閃光のように思い出して「ああ~っ、そういう意味だ!」って思ったんです(笑)
よう/すごいね、30年以上かけて、伏線回収したね。
いん/そう……。今、その話を「なかよし」っていう一言だけで、全部思い出した(笑)
よう/ど~~ぉしても、したかったんだね。まったく関係ないけどね!(笑)
いん/あはははは(笑)よくね?みたいな(笑)……そうね。だからそういう、専門家の文脈で書かれたやつって、それくらい、まったく伝わってないんだよ、っていう話も、ちょっとしたかったんですけど。
よう/なるほど。「例えば」で「伝わらない」っていう意味ではね。
いん/「伝わらない」。そう、伝わらない。
よう/そうだよなあ……。
いん/男の子には、「なかよし」っていって「りぼん」ってギャグ言われても、分かんないわけですよ。
よう/ああ~、そうかあ……。
いん/でも今は分かっちゃう、みたいなね。あははは(笑)
(15分4秒)

よう/いやだってさあ、「制御性T細胞」なんか、誰が知ってた!?って話じゃん。専門家以外。
いん/あっはっはっは(笑)ほんとっすよ。
よう/俺の中ではもう、完全に、早見 沙織(はやみ さおり)の声でインプットされてるもんね。
いん/ああ。……サプレ……サプレッサー?……サプレッサー(suppressor)T……。
よう/あ~、「サプレッサーT」っていう呼び方が今、使われてるかどうかちょっと分からないけど……。
いん/ああ……
よう/「レギュラトリ(regulatory)T」かなあ……。
いん/あ~、レギュラトリTっていうのか。
よう/まあ、抑制してることは間違いないね。でさ、「制御性T細胞」のこと、「はたらく細胞」読んでる人は皆、分かるからさあ。
いん/そうですよね。
よう/あのね、PD-1のね、ノーベル賞のさあ……
いん/ああ!
よう/本庶(佑)先生の話の時に、
いん/はい。
よう/制御性T細胞が出てくるわけだけれども。
いん/はい、はい、はい……。
よう/みんな、「おお、なるほど」って言うわけじゃん。信じられない事態だよね。
いん/「はたらく細胞」を読んでた人たちは「ああ、あそこね」って……。
よう/うん。
(16分00秒)

いん/いやいや先輩、その話で言うと……この何十年も、だと思うんですけど、ノーベル賞を取った研究が、こんなに分かりやすかったことって、なくないです?
よう/……そうだね。まあ、もともと、「はたらく細胞」がなくても、がん免疫で……っていう、すごく、メカニズムとしてはシンプルに説明できるっていう意味で、まず美しいよね。
いん/確かに。
よう/まずシンプルなのは、美しいと思うからさ……。
いん/そうですね、そうです。
よう/……っていうベースはあるにしても、でもやっぱりさ。えっと抗原……樹状細胞がいて、キラーT細胞がいて、制御性T細胞がいて、それがガンとどう関係しているかっていう話さ……まあ、時間かかるね、説明するのに。
いん/それが、「はたらく細胞」一発で……って、すごくないですか。(笑)
よう/すごいね。制御性T細胞の抑制機能を、なくしてるっていうか阻害してるっていうかさ。
いん/そうですね。
よう/ざっくり言うと、そういうことになるわけじゃん。そうすると、まあ早見沙織が、え~と……(笑)
いん/ふふふ(笑)
よう/早見沙織が、キラーT細胞を抑えてるのを、ブロックしてるっていうと「ああ、なるほど」みたいなさ。
いん/……そうなりますよね。こんなに、ノーベル賞級の話を、簡単に説明できたことってないですよ。
よう/ないね。山中先生のiPS細胞でもやっぱりね、バックグラウンドの説明とかどうしても必要だからね。
いん/iPSに関しては、なんか分かった気になってますけど、分からない話っていっぱいありますよね。そもそも分化がどうとか、stem(幹細胞)がどうとか……って話になるところなんで……。
よう/そうだね。
いん/でも、「はたらく細胞」を使うと、PD-1、PD-L1の話については、ほぼ完璧に話せてしまうっていう……この……
よう/ほんとだよ。本当にそういう意味だと優秀なコンテンツだけどね。
いん/かなわねえなあ……。
よう/そして……なんかさあ。
いん/はい。
よう/ちょっと思ったのは、免疫系細胞って、もともとさ、戦う……「免疫」って基本的に戦ってるわけじゃん、何かと。異物と。
いん/そうですね、そうですね。
よう/だから、……で、登場人物がいっぱいで、役割があるわけでしょ。
いん/そうですね。
よう/だから、もともとさあ、「バトルものの群像劇」だと思うんだよね。もともと、ね。
いん/あ~……。「バトルものの群像劇」、な る ほ どぉ~……。いや~、そうだな~。ほんとだ、もともとそうですね。
よう/言われてみれば、っていうかさ。そういう……作品として提示されるとさ、「ああ、確かにそうだ」って思うよね。
いん/ほんとだ。これぞ「コロンブスの卵」ですね。
よう/ああ。
いん/あああ~。
よう/だから、イッチーは本当は自分で「ああ、これはバトルものの群像劇として説明すればいいんだな」って気づかなきゃダメだったんだよ。
いん/そう……また僕を落としましたね(笑)
よう/教科書を書くってときにね(笑)
(19分7秒)

いん/いや~ほんとね、人体を都市に例えるところまでは、よくやってたわけですよ。
よう/(かぶせるように)社会に例えたりとかね。
いん/そうそう。ガンとデスモプラスティック・リアクション(desmoplastic reaction:DR )の話とかはイケたのに、
よう/うん。
いん/なぜその発想が血球・免疫にいかないかっていったら、僕がそこが苦手だからっちゅうのも、あるんですよ。
よう/分かるなあ。免疫系ってさ、日本人研究者すごく多いしさ、本当に有名な先生って本庶先生以外にもいっぱいいるけどさ……
いん/そうですね、うん。
よう/でも、免疫って……なんちゅーか、学生として習っている分には「めんどくせーな」っていう領域だよね。
いん/本当そうっすよね。
よう/登場人物が多くてさ、関係性も複雑でさ。
いん/そうなんですよ、本当に……。いまだにトールライクレセプター(Toll-like receptor:TLR)が何だかよく分からないもんな……。
(19分56秒)

(♪チャイム音:毎回そうだけどけっこうけたたましい)
いん/(笑)
よう/……俺もね、そのね、本当にこう、唐突に殴られる感じがあるけど……
いん/あはははは(笑)
よう/なんか、何となくさ、「免疫系のこと分かったうえで『はたらく細胞』の感想話してます」みたいに言ってるけどさ、ちょっと突っ込まれると、俺、全然分かってないからね。
いん/ああ……。いやいやいや、僕はさらにそれに輪をかけないで……「輪をかけて」の反対って何て言うんでしょうね(笑)、分かんないですよ、やっぱり。難しい……難しいな。
よう/うーん。たぶん、イッチーのほうが、まあ病気……っていうか仕事がらみで、基本的なところは出てくるじゃん、いろいろさ。腫瘍に関係するところでも出てくるしさ。だから、まあアレルギーのところでも出てくるしさ。
いん/アレルギーね、アレルギー……。僕、あれをきっかけに、アレルギー勉強しなおしましたもん。
よう/なるほどね~……
いん/何なら、「あ~そうかそうか」みたいな……
よう/そうっすか……。
いん/免疫複合体でも勉強すっかなあ……みたいな(笑)
よう/(笑)俺は本当にもう、忘れちゃってるからさ。使わないから。
いん/使わないっすよね。そうっすね。
よう/そうそうそう。
いん/皆がみんな、使うわけじゃないんだよな~。
よう/うん。だから、……まあイッチーよりも、より忘れてると思うんだけど。
いん/(笑)まあ、いや、忘れますよ。でも……でも、こうやって話をしてしまうっていうね(笑)
よう/そうそうそう。
いん/あっはっは(笑)すげえなあ。いや、そういうことですよ。……あ、それで。
よう/はい。
(21分27秒)

いん/こういうこと言ってると、「悔しい、悔しい」だけじゃなくて、じゃあ今度は「人が思いつかない何かを、例えるなり、キャラクターにするなりすればいいじゃないか」って話になるわけですよ。
よう/うんうんうん。
いん/で、もうそこまで考えてましてですね。
よう/ほう。
いん/ひそかに、「電解質で何か、イケないかな~」と思って。
よう/電解質ねぇ~。
いん/皆、知りたくないです? 電解質、分からないから。
よう/先週ね、ちょっとだけ話題に出たけど、熱中症の話とかさ。
いん/ああ、そうそうそうそう……。
よう/電解質って……例えば、医者になった当初とかさ、
いん/はい。
よう/なんかやっぱ最初に……アレなんでしょ、その……「電解質、めっちゃ大事じゃん」みたいなさ。
いん/いや、そうなんですよ、そうなるわけなんですよ。カルシウム、ナトリウム……
よう/ね。輸液とかも含めて、点滴とかも含めて……。
いん/そうっすね。
よう/電解質が、人間の体の恒常性維持とかにとって、どれだけ大事か、みたいな話になるわけでしょ?
いん/そうですそうです。
よう/そこをね、じゃあうまく擬人化のテクニックとかも使いつつ、頭にスポッと入るような……
いん/そうそう、その例えがね……
よう/……説明を、これから、イッチーが考える、と。
いん/いえ、あのですね。
よう/はい、違うのね。
いん/「考えた」と言いたかったんですけれども。
よう/ほう。
いん/3週間くらい考えてたんですけど、考えつきませんでした。あはははは(笑)
よう/ふふふ(笑)……あのさ、一応プランはあるんでしょう? でも、いいプランにならなかった、ってことなんでしょう?(笑)
いん/ふへへ(笑)プランも、ないんですよ(笑)
よう/プランもないの?(笑)
いん/「何か、ねえかな」って思うんだけど、どうやっても出てこない。いや~……
よう/俺さ、思うに必要なのは、「電解質のことを勉強する」っていうよりはさ、「擬人化の作品をいっぱい読む」ってことじゃない? マンガとか。
いん/……そしたら、ちょっとこれから、マンガ読みます(笑)
よう/擬人化の文法を、体に叩き込む、ってことじゃないの?(笑)
(23分15秒)

いん/(笑)もうねえ、カルシウムをどうやってキャラクターにすればいいか、全っ然分からない(苦笑)いや~、無理だなあ、本当になあ。本当に無理。いやあ、まいったまいった。
よう/カルシウム……は、たぶん、イメージカラーは白だよね。
いん/イメージカラーは白です。まったくその通り。
よう/そういう感じでキャラクターを作りつつ、なんかそのカルシウムっぽい特徴を入れていくんだよね、見た目と性格に。
いん/心筋で働いたり、神経伝達物質のまわりに居たり、とかですね、いろいろ……。でももう、わけ分かんなくなってくんですよね、それこそ……。
よう/カルシウムは基本的にさ、「何かを活性化させる」っていう感じなんじゃないの? ざっくり言うと。
いん/一応、「流れ……こまないようにしておいて、流れ込んだら……」みたいなことなんですけど。
よう/うん。
いん/それが「人になる」って、どういうことなの~?! みたいな。「よく分からなさ」がありますよね……。
よう/「カルシウムが来たら、皆、周りが元気になる」みたいな……?
いん/「周り」って誰!? ……みたいなね(笑)……もうね、もう、何をどうしていいか、もう、分からない(笑)あれ、難しいです。「はたらく細胞」は、偉いですよ。
よう/うん。……いや、そうだよね、本当にね(笑)
いん/……ええ、そんな感じで。
よう/ま、そんな感じで。今日は、どうもお疲れさまでした。失礼します。
いん/はい、ありがとうございました。(笑)

(♪)

<おわり>


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