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[文字起こし]いんよう! 第6回【理系メガネの話②】(後半)

というわけで後半もぼちぼちと起こしていきます。最初の数行は、前半にわざとかぶせて(重複させて)います。

よう/哲学をするうえで、人間の根本的な条件ってあるわけじゃん。「必ず死ぬ」とかさ。
いん/うんうん。
よう/そういうのが崩れる現象が、結構あるよね。
いん/な~るほどねえ……!
(31分25秒)

よう/「たまたま人間だけがそうなんだ」とかさ。「男性・女性が生まれつき決まっていて、それでいくしかない」とかあるけど、別に全部の生き物がそう創られているわけではなくて、たまたま生存戦略の中で人間はそうなったというだけで。
いん/ああ~。なるほど~!! いやあ……(感嘆)
よう/これって……。例えば、科学の世界で一番大きいのは、天動説と地動説の入れ替わりだと思うんだよね。世界の認識の仕方が、根本的にグルっと変わるじゃん。
いん/そうですね。確かにそうだ。
よう/「俺らが動いてるだけなんだ……」っていうさ。それに類するようなことというか、「認識の変換」っていうか……
先週出てきた大栗 博司さんっていう物理学者の人は、重力の研究をされてて。
いん/うん。
よう/よく分からないんだけど、今の説では重力って5次元で働くらしいんだよね。
いん/へえ。4次元ではなく?
よう/そう。今、うちらがいる4次元じゃなくて、5次元で考えるといいらしいんだけど。それを理解した瞬間に、本当にね、「すべての価値観がグルっとまわった気がした」って書いてあったんだよ。
いん/はっはあ……。確かに、5次元ってあまり考えないですもんね。
よう/うん。5次元っていうのが、本当に自分たちの世界を構成している要素……要素っていうのかな? ある意味、そこまでくると宗教的な感覚に近いと思うんだけど……。

★「理系」と「仏教」とパラダイムシフト(と、よう先輩)

いん/あ~……あのですね、いま僕、その話聞きながら……ある意味これ先輩のキーワードなんですけど……。あなた、生命科学の人間なんですけど、仏教とか詳しいですよね。
よう/いや、詳しくはないんだけど、興味がないことはない、かなあ……。
いん/あ、それそれ。何ていうんですか、「専門家のような詳しさ」ではないかもしれないんですけど、そういう……特に仏教的な世界のとらえ方とか、「宗教の目で世界をとらえた人たちがどういうことを語っているか」っていうことについて、ちょっと、他の人より何倍か「強い」んですよね、先輩が言うことって。
よう/ん~。あのね、俺はね……うーん、ブッダが結構好き、ってだけかな。
いん/いやあ、いいことですよ。いや、いいことかどうか知らんけど……。あの、それでいうと……僕、1つ思ったんですけど。あのですね、「宗教の感覚を日頃から語り慣れている人」と、「生命科学を語り慣れている人」の両巨頭が言うんですけど……あと、いわゆる「理系」。
よう/うん。
いん/つまり「理系」と「仏教」。その人たちだけは、「パラダイムシフトの話」を、めっちゃするんですよ。
よう/なるほどね(笑)確かに。まあ仏教とか科学の中で、そういうのは大事なのかもしれないね。
いん/そう、大事なんです。ところがですね、キリスト教の人達って、パラダイムシフトの話はしないんですよ、実は。
よう/それはそうだろうね、したら崩れるからねえ。
いん/そうなんです(笑)……で、仏教と理系の人間は、「パラダイムシフト」っていう言葉、超・好きなんですよ。
よう/好きかもしんない。仏教は基本的に「自分の中でパラダイムシフトを起こせ」っていう教義じゃん。
いん/あ、そうなんだ……いやいや、僕は今、その2つの共通点を言っただけなんです。ああ~、なるほどなあ……。
よう/うん。ブッダが言ってたことを単純に言うとさ、「世界の理(ことわり)を理解して受けいれろ」ってことでしょ。
いん/ああ、なるほど(笑)いや、今思ったことは、それも「メガネ化」があって。
よう/うん。
いん/「パラダイムシフトに頭がいかない人」が、半分強、いるんですよね。実感なんですけど。
よう/うんうん。
いん/だから、僕らが何かを経験して「いやあ、これで世界が変わるよね」って話しても、「はぁ?」っていう人のほうが、多数かもしれない。そんな気が僕はしているんです……。
よう/……そうだなあ……。だからまあ、そんなに高尚な大きな話じゃなくても、例えば、いっちーが病理のアカウントをやっているってことから考えるとさ、「楽しそうに病理の話をする」ってことだと思うんだけどさ。
いん/ああ、そうですね。
よう/何かよく分からないけど、(俺は)「認識をする」とかさ、「世界の見え方が変わる」ということ自体が好きなんだよね。そういう話を聞くことが好き。
いん/そうそう! で、ワタクシも好きなんです(笑)
よう/「マジで!?」って思うんだよね、そういうの聞くと。
いん/そう。そう思うし、ぐっとくる。
よう/ぐっとくるよね。
いん/そう。だからね、アニメとかも「見てないのもったいないんじゃないかな?」「見たら何か変わるかも」っていうのを、すごい無垢に言ってたんですけど(笑)
よう/うん。
いん/その「変わるかも」っていう時点で、(多くの人とは)全然違うのか?みたいな……(苦笑)
(36分08秒)

★慣れとマヒと価値観と

よう/……すげぇ卑近な例でいうとさ。俺、アニメを見てない頃ってね。ネット上でいわゆる「萌え」ってものが出てくるじゃん。
いん/はいはい。
よう/そういうのが出てくるマンガとかも見てなかったから、「遠い」存在でさ。
いん/ああ……。
よう/別に嫌悪感とかは無いんだけどね。ただ……「実際の人間」とは違うバランスで描かれてるわけじゃん、顔とかさ。
いん/はい、はい。
よう/だから、それを「かわいい」って言ってる気持ちが、正直よく分からなかったんだよね。
いん/ああ……なるほど。
よう/で、「面白そうだ」と思ってアニメを見始めた当初も、特に「かわいい」とは思わなかったんだよ。「そういう文化なんだな~」って見てたんだよね。話の面白さとか、そういうところで見てたんだけど……
いん/うん。
よう/あるとき、自分がマヒしていることに気が付いたんだよね(笑)
いん/っはははははは(爆笑)
よう/いわゆる「デフォルメがない、ちょっとリアルに近いテイストのキャラクターデザイン」から、だんだん可愛いとかカッコイイとか思うようになってきたんだよ。
いん/な~るほど……。
よう/見れば見るほど、だんだん、許容度が広がっていくんだよね。マヒしてるんだと思うんだけど。
いん/ああ……うん……。

よう/で、これはたぶん、「辛さ」と同じで……
いん/んん!?!?(笑)
よう/辛いのが好きな人って、だんだん、辛いのに対してマヒしてくるじゃん。
いん/……そうですね。
よう/で、「相当辛いものじゃないと、おいしいと思えなくなってくる」じゃん。それが行き着く先だと思うんだよね。最近の、ラノベの表紙問題とかも。
いん/いや、僕も今ちょっとそれ考えました(笑)ゾーニング問題とかね……。
よう/うん。で、あれを「気持ち悪い」って思うのは、まあ個人の感覚だからいいんだけど。同時にあれを「いい」って思う人もいるわけじゃん。
いん/ああ。
よう/やっぱりお互いが何かしらの感覚にマヒしてるんだと思うんだよ。
いん/いや~、確かに。
よう/それも、俺の中では「価値観の転換」だったけどね。「こんなに変わるんだ」「ということは、自分が今信じている価値観も、大したことないな」って。


いん/いま僕の主観をいうと……「『変わるのもいいもんだな』っていうところにたどり着いた人の方が『善良に見える』」タイプのコミュニティに、僕は居るんですよ。
よう/うんうん。
いん/「変わるよね」って言うと、「お、いいね」……って、言ってしまうコミュニティなんですね。
よう/はいはい。
いん/で、ここも「違う」場合があるんですよね。「これくらい、真実でいいじゃん」って僕は思ってたんですけど。……「何か素敵な体験があって、それで世界がガラっと変わるなんて、素晴らしいじゃないか」って。「今のこの一言に、誰が反論するんだ?」……って思ってたんですけど、反論、あるんですよね……。
よう/(笑)そうだろうね……(笑)
いん/あるんですよ……。年を取るってそういうことなんだよな。「これですら反論されるって……」と。「全く違う価値観だっていうときがあってもおかしくない」ということを知ったという……。いやあ、そうなんだよなあ……(しみじみ)
よう/いっちーってさ、昔のほうが、そういうのと戦ってたよね。アカウント上で。
いん/そうですね。2~3年くらい戦ってましたね。
よう/いま、めっちゃ平和だもんね、いっちーのアカウントね。
いん/だって怒られませんもん(笑)あはははは……
よう/だからあの時は、「ここが通じるはずだ」とか「共有できるはずだ」っていう期待みたいなものがあったんだけど……
いん/うん、あった……。
よう/でも今は、「根本的に考え方が違う人がたくさんいるよね」って思うようになったってことでしょ?
いん/はい。そして、まだ一生、試行錯誤は続くんですけど……
よう/うん。


いん/「根本的に考え方が違う人たちとも最低限、共有しなきゃいけない部分にアプローチするための方法」が、変わったんですよね。
よう/はあ……なるほど。
いん/「お前らと俺は、一生分かりあえないけど、ここは守れよ」ってやつだったんですよ、昔は。
よう/うん。
いん/今は違うんですよ。「ここまでは、日本語で通じるんでしたっけ?」に変わったんですよね(笑)
よう/確認作業に入るってこと?
いん/そう、確認作業です。「僕が間違ってる(場合がある)」、彼らから見てどこから間違っているかも分からないくらい「僕が圧倒的に間違ってる場合がある」、っていうのがよく分かったんです。彼らの価値観において。
よう/なるほどね、はいはい。


いん/一番、皆が「え~」っていうたとえ話としては……ここ100年の間で、アメリカで宗教関連の大量自殺が何件かあるわけですよ。
よう/うんうん。
いん/なんか「宇宙人が今度の彗星に乗ってやってくるから、それに連れて行ってもらうために死のう」っていうので100人死にました、とか、そういう宗教があった。
よう/うんうん。
いん/「せめて『そういう宗教に騙されないようにね』くらいは言ってもいいんじゃない?」……っていうのが、昔の僕ですよ。
よう/ああ……(なるほど)。
いん/で、今は「それを死ぬ直前まで信じきってたんだったら、カッコイイ人生なのかもしれない」っていうところまで、僕、軟化したんですよ。ある意味(苦笑)
よう/いや分かるなあ……。俺も、20歳くらいのときだったら「いや、それ間違ってる」って言ってるな~……20歳じゃなくて20代くらいか。
いん/そうそうそう。
よう/ここ数年は「まあ、それも価値観のひとつだからな」って思うよね。
いん/思います。で、そこに、「よく分かってない・判断できない人」が巻き込まれていたとして……たとえば子供とかね。
よう/そうだね。
いん/「子供とか、ちょっと精神的に弱い人とかがそこに巻き込まれて、自殺の寸前とか何か(薬物とか)を打った直後とかに後悔するんだったら、かわいそう」と昔は思っていたんですけど、それも(今思えば)傲慢で……。
よう/うん。
いん/(今の僕の考え方でいうと)「騙されて、畜生って思いながら死ぬ幸せ」すら、あるんですよ……(笑)いや~、これ言ってもいいのかな? とにかく今は、そうなってしまってて。
「万人にとっての真実なんかないんだから、とりあえず『僕はこれ、楽しいと思いました』だけにしよう」って思ったんですよ。


よう/そうだね。……なんか、俺、noteにね、「感情と理性の関係性」みたいなのを書いたんだけどさ。
いん/なるほどなるほど。
よう/「理性は単に道具に過ぎなくて……」
いん/ああ、読んだやつだ。はいはい。
よう/「感情とか価値観がおおもとにあって、それを組み立てていくために理屈がある」って思ってるんだけど……
いん/うん。
よう/その、おおもとの価値観なり感情について、「どっちが正しいとかいうことはない」って考えると、ええと……
いん/うん。
よう/「その価値観は、理屈上破綻していない限り、批判できないよね」っていうふうに、なるよね?
いん/なります。なるんですよ、本当にそうなんです。


よう/あとはもう、「相容れない人とは、お互いひっそり生きていく」っていうさ……(笑)あとは、「楽しく生きていく」しかないよね。
いん/そうなんです。あとは、9割9分の人が「それはそうだね」っていう点が何かあるとしたら……「僕と一緒に楽しくやっている人たちが、この話題で楽しむのは、許していただけますよね」っていうあたりで……。
よう/いやいやいや、まあ……。
いん/実は、これも実はダメっていう人はいるんですよ。「何をわからん奴らが、何を分からん話題で……!」ってのがあるんですけど。
よう/うん。
いん/その時は、とにかく「笑いの幅を狭める」んですよ。とにかく「人をバカにして笑わない」のと、「病気とか心情をネタにしない、そこに関わらない」っていうのは、本当に「最低限」なんだなあと。
よう/うん、それ言ってるよね。
いん/そう思います。で、これをなぜ言うかというと、医学生と医師が陥る穴なんですよ。特に、僕よりあとにやってくる後輩が。

よう/……そうだな。なんかその、内輪で、オフラインでやってる分には、お互いある程度、コンセンサスがあるし、ひどくならない限りは……ってのはあるけどね。
いん/そうです。で、考え方として、そうやって「ひとをボコボコに言って戦っていくのが幸せ」っていう人もいるので、これは「間違い」っていうわけじゃなくて。
よう/うん。
いん/それで幸せな人もいるんで、しょうがないですけど……。あのですね、少なくとも、僕をフォローして長年、僕のツイートを見ているような人は、将来、僕と同じ考え方になる「はず」なんですよ(笑)なんとなく……。
よう/うん……。
いん/だから、「フォローまでしてんだったら、これでよくね?」っていう確認作業はすごく、するようになりました(笑)
よう/……う~ん……そうか。それはその……価値観なり、考え方なり……?
いん/ある程度近いでしょ?っていう。だったらマイルドでよくね? 充分、伝わるから……みたいな。そういうとこなんですよね。


よう/そうだね……う~ん……。ずっとTwitterで論戦を繰り広げていて、そのためのアカウント!みたいな人もいるけどね。そういうの眺めてるのも、楽しいけど……。
いん/そう。あれはあれで、アリなんですよ。
よう/でも平和にやってる人も平和にやってる人で、見ていて楽しいけどね。
いん/そう。で、僕が例えばず~っと平和にずっとやってて、ある時、突然皮肉を混ぜたりすると、それだけで、どわーっと来るんですよ、いろいろ。
よう/炎上?
いん/「やっぱり今回は黙ってられなかったんですね!」みたいな……。
よう/あ~、あははは(笑)なんかそういえば、最近言ってたね。
いん/言いましたね。なんか言ったんだよな……あ、そうだ。北海道の地震の話だったかな。あったかもしれないなあ。
よう/そうか。
(45分50秒)

★「やさしい呪い」

いん/でもその時も、自分がそこまで強い人間じゃないって分かったうえでの経験則が1コあって。
よう/うん。
いん/他人を呪うときの、「やさしい呪い」ってあるんですよ。
よう/うん、なんかそれ言ってるね。
いん/やり始めたのは僕じゃないんですよ。
よう/ほう。
いん/僕じゃないんですけど、他の人が言わなくなったんで、僕が言ってるみたいになってるんですけど……。
よう/ほうほう。
いん/「他人を呪うときに、一番ちまっこい、せこい呪いをかけよう」っていうのが、いつしか大喜利になるのが、イイんですよ。
よう/そうだね。いや~、そっちのほうが、何ていうかさ……ん~……、面白いし、ちょっと頭使っている感じもあるし、いいよね。だから、呪うときに「死ね!」とか言わないってことでしょ?
いん/そうです(笑)「死ね」ってやったら凍結されるし、それはそれなんですけど……。
よう/うん。
いん/あとは、「そこで何かうまいこと言えるように」って脳を使ってた方が楽しくね?……っていうのは、確かにあります。
よう/そうだね。

いん/僕が好きな呪いってのは、「足の親指の根元に毛が生えろ」とかですね(笑)そういうやつ(笑)あははは……バカリズムがすごく上手そうな、大喜利。そういう感じをやりたいですね(笑)ふかわりょう とか。
よう/そうだね(笑)あの……それ……(やや逡巡)なんかそっちのほうが、言った後で「ちょっと面白いことを言えたんじゃないか」っていう満足感もあるしね。
いん/そう。そうなんです。ちょっと気恥ずかしさも出るし(笑)あはははは……。で、結局、「そういうことを繰り返している人の方が発信力がある」っていう、数字が出るといいな~、って思ったり、思わなかったりするんですよね……(笑)
(47分30秒)

よう/……そうですかぁ……(やや棒)
いん/くっはっはっは(笑)
よう/(笑)あの~、特にまあ結論はないんだけども……。
いん/そうですね(笑)だいぶ盛り上がってしまいましたからね、今日は(笑)……言いたいことは、ある(笑)
よう/言いたいことは色々あるんだけど……なんか、この話題に関しては……メガネに関してはね、俺、まだ、完全に……というか、一番大事なところを、言語化できていないんじゃないか……って思ってるんだよね。

いん/ええ……。メガネの話、もうちょっと続けましょう。時間をおいて。
よう/そうだね。ちょっと切り口を変えて、同じテーマで話したほうがいいんじゃないかって思うんだけどね。なんか、例えっていうのは思いつくんだけどね……なんか……なんだろう。
これね、たぶんさ、このふたり以外に話を聞いた方がいいと思うんだよね。俺ら、専門分野が似てしまっているからさ。全然違うところで、「その瞬間に、今までの常識や感覚が崩れ去るような経験をしたことがある人」の話をきいたら、またいろいろ面白いと思うんだけどね。
いん/それはすごく分かります。分かりますし、そういう日を夢見て、我々が同じところで循環しているのが、あと2週くらい続いてもいいかなっていう感じはしますね。
よう/そうだね。
いん/んふふふ(笑)非効率だけど(笑)
よう/(笑)あの~、ネタこねくり回すの、得意だからね。ふたりとも(笑) クリエイティブとかいうよりは、ね。
いん/そうですね(笑)じゃあちょっとこれ……数日後に次の収録がありそうなので……
よう/そうですか。
いん/その時に、もっかい、この話をしましょう(笑)
よう/了解です。じゃあ、長い時間、お疲れさまでした。
いん/はい、ありがとうございました(笑)
よう/ありがとうございます。
(49分50秒)
(♪)

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