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[文字起こし]いんよう! 第19回【Twitterと新しさの見つけ方】

第21回の『はたらく細胞』の「勝手に副音声」、いかがでしたか? 私個人は、アニメ本編のなかでは「血小板ちゃんの肩車の秘密」と「好塩基球の正体(?)」が双璧でした。どちらも、「え、そこ裏付けあるんだ!?」と……。正直、考えもしませんでした。

あと最後の方のおたよりコーナーでの「インテル入ってる」ならぬ「ヤンデル、デレッてる」状態がめっちゃ萌えでした(爆)先輩にいじられて素直に「僕がもじもじしてるのが見たかったんでしょ」とか言うヤンデル先生……めっちゃかわいいです(笑)

……それはともかく(笑)次なる過去回のターゲットとしては、副音声の中でも触れられていた第19回を起こすことにしました。順番があちこち飛びまくってますが、完全に私の気まぐれです。趣味なので、悪しからず。

※文字起こし人注:今回も、とりあえずアップしてから仕事の合間などをぬってコマ切れ時間で装飾をしていくので、装飾前は「話者/」が単体で独立しています。読みにくいと思いますがご容赦ください。

(♪)
よう/あの~……前回さ、俺があまりにもしゃべりたすぎて、声優さんの話をしたんだけどさ。
いん/んふふふ(笑)はい。
よう/その時にね、最初にしようと思ってた話があって、それをし忘れてて、また、し忘れてたからさ。
いん/へはははははは(笑)
よう/それをちょっとだけ、しようと思うんだけどさ。
いん/(笑)お願いします。

◆声優雑誌と「沼」

よう/いま、「声優雑誌」っていうのが、けっこういっぱいあるみたいでさ。
いん/雑誌! ……ああ……!
よう/アイドル雑誌みたいな感じで、声優さんが特集されてるんだよ。
いん/……はあぁ~~!
よう/それも、種類が多いから……「グラビア側にふってる」、つまりすごくカラーページが多いものもある。女性声優も男性声優もさ。で、また「男性声優向け」のやつと、「女性声優向け」のやつも、分かれててさ。
いん/すご~い……。
よう/で、ちょっと音楽の方、つまり「アーティスト側に振ってる」やつもあるし。なんか本当、種類がいっぱいあって。アニメイトとかに入ると、入り口すぐに、ぅわーっと並べられてるんだよ。何十冊も。
いん/そうなんですかぁ……! なるほど。
よう/それを初めて見たときに、「うわっ、沼っ!」って思ったんだよね。
いん/「沼っ!」……あはははは(笑)
よう/「俺もちょっと声優好きだと思ってたけど、これは違う、沼だ!!」と思ったんだよ(笑)
いん/あははは(笑)「北海道を開拓した人」みたいな……「沼っ!」って(笑)
よう/で、例えばさ……俺が主に追いかけてるのは女性声優さんだからさ。例えば「(女性声優って)誰がいる?」って訊かれたときにさ……
いん/はい。
よう/(ここから名前部分が高速読経口調)
花澤香菜、早見沙織、日笠陽子、豊崎愛生、悠木 碧、上坂すみれ、竹達彩奈、佐倉綾音、とかさ……。若手でいうと、石見舞菜香さん、本渡楓さん、鬼頭明里さんとか……もう無限に出てくるわけ。
いん/本当に無限に出てきますね(笑)すごいな(笑)
よう/氷山の一角なんだよ、本当にばーっと出てくる人の中の、ごく一部だからさ。
いん/なるほど。

よう/だから、なんかその……なかなかさ、そうやって……こんだけ大勢いる中でさ、それぞれセルアウト(sell out)していくっていうのがあるわけじゃん。
いん/うん、うん。
よう/で、こないだ、いっちーがちょっとTwitterの話してたけどさ。声優さんもみんな、Twitterしててさ。各ジャンルの仕事の一環としてSNSをやる、というのが、やっぱりあるわけだよね。
いん/ありますね。
よう/で、完全にオフィシャルで、「情報しか出していない」人もいれば、割とこう、いろんな……「キャラクターを出している」人もいると思うんだけど。
いん/うん。

◆「SNSでの発信」ってどうやるのか

よう/俺、昔から「SNS上で何かを発信するって、皆どうやってるのかな?」っていうのが、まったく分からないまま、ここにいるわけね。
いん/ははははは(笑)
よう/「なんで皆、毎日つぶやくことがあるんだろう」って思うんだよ。
いん/(低く)はい……はい。
よう/だからさ、そういう……毎日ずっとやってる人って、何考えてるのかなって思うんだけどさ。

いん/ああ……。いや、そこに対しては僕は、多分、それこそ無限に出てくるものがあるんですけど。
よう/うん。
いん/それは、「無限につぶやくことがあります」っていう意味じゃなくて……
よう/うん。
いん/(僕は)「無限につぶやくことがある人」のことを、無限に考えて続けてきたんですよ、ここまで。
よう/はあ……。えっ、でも、いっちーも相当ツイート数多かったわけじゃん。一時期。
いん/「ものすごいネタ切れ感」と戦った結果、ツイートが増えてたんですよ。
よう/はあ……え? 「戦った結果、増えてた」の?
いん/そう、増えるんです。なぜかというと、「つぶやくネタを考えないと、考えないと!」って必死でひねり出すときに、2つ3つ、同時にネタが出てくるので。
「この切り口!」っつって、どわっと出てくるんですよ。そうすると、その切り口を全部うめるまではつぶやける、と思って。おおおお~っとやって。
よう/うん。
いん/で、それが全部枯渇するまえに、「そろそろ枯渇する、次!次!」ってずーっと考えてると、「出た!」つって、また20個くらい出てきて、またどわーっとやる、みたいなのを延々とやると、ものすごいツイート数になるんですよ、本当に。

◆ネタの出し方と、その良し悪し

よう/……それさ、その……そんなにネタ、出てくる?
いん/あのですね。メソッドで出してれば、出ます。
よう/はあ……。「メソッド」ってよくいうけどさ。なんていうか……どういう方向のメソッドなの?
いん/「一番簡単で、絶対やっちゃだめなんだけど、ついやっちゃう」っていうのが、タイムラインを見て、今世の中で盛り上がっている話題に、アプローチを「直接的に」かけるか、「間接的に」かけるか、「二段階 間接的に」かけるか……と、ずーっと考えていれば、永久に、ネタは出ます。
よう/はあ。……あ、それ、やっちゃだめなの?
いん/だめです。それをやると、どんどん居酒屋トークになるので。「僕は居酒屋のおじさんでいい」って開き直った中年なら、それで全然いいんですけど。
よう/ああ。

いん/今、「いい」とか「だめ」とか言った意味は……。例えば声優さんをモチーフにすると、それをきっかけに「仕事を増やしたり」、「自分の世界を広げたり」、とにかく「いいことを起こしたい」と思っている人は、それやっちゃだめなんですよ。
よう/へええ~。
いん/「お前のやってることは、居酒屋のおじさんじゃん」っていう、アンチが、それだけわくので。
よう/ああ、そうなんだ。それは「いっちょかみ感が増える」ってこと?
いん/そうです。
よう/「お前の中から出て来てるもんが、ひとつもねえじゃねーか!」ってこと?
いん/そう!! そうなんです。だから「ネタがねえな」っていって、「自分の中に何もないから(外からの)何かにリアクションして……」っていうのが、見えちゃうんですよね。完っ全に。
よう/はあ、はあ。

いん/じゃあ、無限にネタが出てくる「神みたいな人」っていうのは……。
……もう、歩いたり呼吸したりするのと同じように、「面白いことが無限に出てくる人」っていうのが、まれにいるんですけど。
よう/うん。
いん/まあ、そういう人っていうのは、実は、まずTwitterの世界でも、あまりいない。
よう/「あまりいない」ですか。
いん/いても、もう既に名を成している人ばかりで……あの、「ほぼいない」と思います。
で、おもしろツイッタラーみたいな人で、僕がいま面白いな~と思っているのは、「日常のことをただ言ってるだけなんだけど、言葉の言い回しが最強に強い」みたいな人。
よう/ああ。……え~と、それはつまり、ネタのもとになっているものは普通のありふれたことなんだけど、その「アウトプットの仕方」が面白い、ってこと?
いん/はい。言葉が丁寧で、つぶやきの数はそんなに多くないけれども、「全く同じ風景を見てるのに、こいつ、異常にツイートがおもしれぇな」って人が、最強。

よう/はああ……。その「ネタ自体が面白い人より、アウトプットの仕方が面白い人のほうが強い」っていうのは、なんでなの
いん/……う~ん、なんかもう……既に「作家」になってしまってるんですよね(そういう人は)。「ツイ作家」みたいになってる。
よう/ああ~、そうかあ。
いん/あと1つ足すと、ラジオの放送作家って、そういう人ばっかりだと思います、きっと。

よう/そうかあ……。なんか、「もともと起こってるエピソードが面白い」ってことは、あんまりないのかな? 実際には。よっぽど、特殊な経験をしている人じゃないと。
いん/う~ん……。なんか、芸能人みたいに、「(その人の)日常」が、そのまま「我々の知りたいこと」っていうパターンは、確かにあると思うんですよ。
よう/はいはいはい。そうか、そうか。
いん/例えば、中川翔子さんみたいな方が、「どこどこに行ってライブをした」っていうだけで、面白いわけですよ、それは。
よう/はいはい。
いん/でもそれは、既に名を成している人がやる「余裕Twitter」なので……まあ我々の参考にはならない、と。

◆「ツイッタラー・ヤンデル」の軌跡

いん/で、僕は当初「Twitterを使って病理のことを伝えたい」っていうモチベーションが、ものすごくちゃんとあったので……始めて1年くらいは、もう必死で考えてるんですよね。
よう/うんうん。
いん/四六時中、自分の評判じゃなくて「どうやったら、病理全体の認知が深まるか」って計算してやってたときが一番、つらかったんですけど……
よう/うん(笑)
いん/でも、まあそれは、声優さんが自分を売り込もうとするのと一緒で、僕が「病理の世界」を売り込もうとしているわけですから、それはもう、つらいわけですよ。たぶん、20代の声優さんが無理やりTwitterやってるのと、ほぼ変わらない。
よう/……そうだな~。
いん/けど、けど……ですよ。「売り込まなくていいんだ、『フラジャイル』に任せよう」ってなってからの僕のTwitterは、自由なんですね。ほんっとうに、自由。
よう/はああ~……。
いん/で、自由になったら、フォロワーが爆伸びしました。本当に。
よう/あ、そうなんだ。
(8分17秒)

いん/ものっすごい伸びました。今までの考えを一旦やり切って、「もうフォロワーなんて増やさなくていいんだ」ってなってからの伸びのほうが、もう全然、圧倒的に多い、みたいな……


よう/ん~、それはさ……「病理を宣伝したい、皆に知って欲しい」という思いでやっている時と、それが無くなってからやっている時の思いは、何が違ったの?
いん/とりあえず、フォロワーが1万ちょっとくらいのときだったかな、もう忘れちゃったんですけど。『フラジャイル』とかが出て来て、「ああ、もうこれで(病理の方は)任せられる」「こんなに強いコンテンツがあれば、俺なんかどうでもいいな」ってなった日のことを、よく覚えているんですけど。
それ以降の日は、「ネタがない日は黙れる」んですね
よう/ああ~、なるほどね。
いん/そうそう。「毎日つぶやかないと」という重責が、もうない。
よう/それはさ、病理のことを発信してたとしてもさ、毎日つぶやかなきゃだめだったの?
いん/いえ、もうそこからは……あ、「病理のことをつぶやく」なら、「毎日やらなきゃ」と思ってました。それは、メソッドだったので。
よう/ああ……そうなんだね。

いん/なんか「タイムラインにいない人のことは、みんな忘れる」みたいな法則があるだろう、みたいな。「露出の回数が大事でしょう」と。「そりゃ毎日やるべきだ」と思っていたんですよ、最初は。
よう/うんうん。
いん/でも、「認知されてる基準」みたいなのが……。
例えば、1万でも5000でもいいんですけど、フォロワーがいるとします。その人たちの間で、内輪で毎日盛り上がっていれば、目には留まるよね、みたいな……「内輪感」との戦いもあったんですけど。
でも、なんかもう「広報しなくていいんだったら、この世界で俺は受信に徹すればいいんだ」となるわけですよね。面白い人を見つける手段は手に入れた、Twitterにも慣れた。
よう/そうか、自分が面白くなる必要性はないと。
いん/そう。面白い人を見つけるだけで、Twitterを使えるようになるわけです。そうすると僕は、ダジャレでも全く平気になるわけですよ。つまんなくても関係ない、みたいな。面白い人のを3回RTして、その後で自分がつまらないツイートをすれば、それがオチになる、とか。
よう/ふむふむふむ、そうかそうか。
いん/「リアクションで自分を売ろうとする」なら、それは最悪のいっちょかみなんですけど……。素敵なツイートを3つ入れて、最後に「ワクチンを2倍にすると……」とか言ってるシーンは、僕にはもう、裏返って楽しいんです。

よう/……例えばさ、それって、病理の広報をするかしないかは関係なく、「最初からこういうやり方をしていれば良かったな」って思うこと、ある?
いん/ええと……そのやり方を最初からすると、何ていうのかな……単純に、「RTが多いROM専アカウント」と変わらなくなっちゃうんで……。
よう/ふむ、それをやるには、ある程度のフォロワー数が必要だってことね。

いん/あとですね、「フォロー数」が必要なんですね。
よう/フォロー数が必要?
いん/はい。世の中にいる面白い人たちを、それこそ用例収集のように集める時期が必要なんですけど。フォローって……今の制度は知りませんが、昔は2000が上限だったんですよ。
よう/あ、そうなんだ。
いん/はい。で、フォローを2000やるには、自分のフォロワーも2000くらいないといけなくて。フォロワー数が少ない状態で、フォローだけ増やすと、(Twitterのシステムから)途中でストップされちゃうんですよね。
よう/ああ~……なるほどね。
いん/業者的な扱いをされて。
よう/……それさ、2000人じゃ足りないってこと?
いん/んーと、フォロー2000人するってのは、足りてるように見えるんですけど……
よう/うん。
いん/あの、例えば、わーっと2000人、面白い人を探してきてフォローしたとしますよね。でも、2000で止まって、……(音が消える)
よう/もしもーし。
いん/あ、もしもし。「2000人フォローして、100人しかフォロワーがいない」みたいな偏った状態になると、もう、その人の話は誰も聞かないんですよ。
よう/ああ~……そうなんだね。
いん/「こいつ、面白いこと言わなくて、なんかひたすらフォローを集めちゃってる、イタイ人かな?」っていう目で見られちゃうんですよね。
よう/ああ、じゃあやっぱりある程度、実績が必要だってことね。
いん/そこそこ必要です。

よう/じゃあ、「病理全体の広報をしようとして苦しかった」っていう部分もあるけど、とにかくまず、ある程度の規模ができて、実績というか……「認知」されるようになるまでは、何をやるにしても、苦しいわけだね。
いん/多分、そうだと思います。それも、「認知されたら自分が得だ」っていうだけじゃなくて。
よう/うん。
いん/「フォローをして、フォローを返されて」っていうアクションとリアクションを、例えば50とか100とか積み重ねる必要があって……。例えば「このツイートをしたときに、1人、フォローしてくれた。だから自分もフォローを返した。この人は、何が楽しくて自分をフォローしたんだろう?」っていう、いわば一歩一歩、フォロー数とフォロワー数を積み重ねていく時期がないと、Twitterのやり方が、そもそも分からないんですよ。
よう/はあぁ~、なるほどね。
いん/例えば自分が、駅に貼ってあったポスターを面白いと思ってツイートしたとします。そしたら、わーっと人がそれを見に来たとします。これで「1回面白いことがありました、何RTされた、バズッた!」で終わり……じゃなくて。そのRTをきっかけにフォローしてきた人に、フォローを返さないといけないんですよ。まず返す。
で、その人のアカウントを見に行くんですよね。で、「なんでこの人、おれのことをフォローしたんだろう」って、その人のタイムラインを遡ると、「あ、この感性でおれを見たから、これが面白くてフォローしたんだ、分かる!」ってなるんですよ。

よう/……そのさ、タイムラインを見に行くのは分かるんだけど。「どういうものが面白いと思ってくれたかを把握する」っていうのはね。それって、いわゆる広い意味での「マーケティング」なわけじゃん。
いん/そうですね。
よう/だけどさ、フォロー返しする必然性ってある?
いん/フォローを返すと、その人が僕のタイムラインにぽーんと浮かぶわけですよ。
よう/……「情報が引き続き入ってくるようになる」ってこと?
いん/そうです。リアルタイムで入ってきますよね。アイコンごと入ってくるんですけど。
よう/ああ。
いん/そうすると、ある1ツイートをきっかけにフォローしてくれた人が、「普段どういうことをつぶやいてるのかな」っていうときに、時々、自分が面白いと思うものが、相手からも出てくるんですよ、やっぱり。
よう/ああ、そうかそうか、なるほどね。「何か共通する部分」があるからフォローしてくれているわけだから。
いん/そうそう。感性が近いので。

よう/自分のアンテナの届いていないところの情報」を、RTなり何なりで、こう……回してくるってことね。
いん/そうなんです。で、それを見ていると……これ、最初は義務でやってたんですけど、だんだんそこに僕はハマったんですけど……
よう/そうか、なるほどね。
いん/面白かったんですよ。人間として、やっていることが。
よう/うん。


いん/で、次第に分かってくるんですが、例えば、僕が医者のことをつぶやいたときにフォローしてくれた人がいたと。で、その人を追いかけて、フォローして毎日眺めていると、すごい悪い口調で患者の悪口を言っていたり、ものすごい同僚のことを辛辣に言い続けている人がいて、ちょっときついなと思ったんです。
よう/うん(笑)
いん/そのときに……「このきつい人が、俺を良いと思ってフォローしているというのは、どういうことだろう」って。ポジティブなだけじゃなくて、ネガティブなフィードバックも、めちゃくちゃかかるんですよ、相互フォローをやっていると。
よう/ああ、そっかそっか。「自分もそういうところがあるんじゃないか」と。
いん/うん、「おれ、こいつに好きだと思われてるんだな……」ってなるんですよ。
よう/うん。
いん/まあ、そんなに重い気持ちでフォローしてる人ばかりじゃないんで、当然そんなの気にしすぎなくてもいいんですけど。でも、そうすると相互フォローで2000くらいまでの間に、自分がめちゃくちゃ鍛えられるんですよ。
よう/そうなんだね~。

いん/で、昔は僕、ちょっと甘い発言をしていたんですが、その自分の「甘さ」が見えてきて。
よう/ふむ。
いん/「これは……他人は喜ぶかもしれないけど、そんなに良い感情ばかりじゃなさそうだな」ってだんだん気が付いてくるんですね。
よう/ああ……。
いん/で、そんな中で、だんだん「バズるツイート」とかどうでもよくなってきて……
よう/うん。
いん/自分をフォローしてくれてる100人、500人、1000人が「おっ、このツイートは面白い」ってまた思ってもらうためには?……って、だんだん考えが狭まってくるんですよ。「世の中にバズる」じゃなくて「こいつらにずっとフォローし続けてもらうためには」と。

よう/なるほどね。……それは、ネタ切れの話とかともつながってくるわけ?
いん/はい。もう、鬼のようにネタが出なくなるんですね。
よう/「出なくなる」んだね。
いん/なります。だって「この話はあまり良くはみえないしな」とか思っちゃうから。
例えば……僕は昔から「病気のことはネタにしない」ってのはあったんですけど、病気だけじゃなくて、「医療者同士が、お互いにののしるのも、きついところはあるな」とか。逆に「医療者のやり方が気に食わないときの言い方はこういうほうがいいのかな?」とか、微調整をどんどんかけていくんですけど。
よう/うん。
いん/で、ひとつ参考になるのは、フォローしている相手とか、あとは……すごく良いことや、面白いことを言っている人とかを積極的にフォローして、リストにぶち込んでおかないと、……なんか、「TwitterをTwitterのためにやってる」みたいな、悪いループにどんどん入ってくんで。

よう/「TwitterをTwitterのためにやってる」っていうのはさ、どういうこと? 当初の目的からズレてるってこと?
いん/目的をもってTwitterやっていた時期って、必ずそういうところにハマるんですけど……。あの、「Twitterのフォロワーのためにツイートをする」みたいな、もう「誰のために何をしてる」っていうのが、完全に内輪で完結し始めちゃうんですよ。

よう/例えばイッチーだったら、「病理のことを広報する」っていうのと、「自分が病理医として感じていることを受け取ってもらって、病理のことをもっと知ってもらう」っていうことだよね。
いん/はい。
よう/「病理全体のこと」と、「病理医1人のこと」ってい差はあると思うけど、どっちにしても「病理のことを知ってもらう」っていう目的は、はっきりしていたわけだよね。
いん/ええ、最初は、ありましたよね。
よう/それが、フォロワーが2000人くらいになってくると、病理のことはいったん外れて、「このフォロワーに受けることを」って、目的がシフトしてしまう瞬間がある、ってこと?
いん/そう。そこでちょっと悩んで。「でも、Twitterってそんな、目的とか絞ってやるもんなんだろうか?」とか、「もっと気楽に楽しいことさえつぶやけば、いくらでも楽しいことが起きるよね」とか。
あとは、浅生鴨が昔、NHK(の広報の「中の人」)の時に言っていたことなんですけど、「Twitterというのはやはり、受信用のツールであって、発信用のツールじゃねえよな」って。
よう/へええ。
いん/まあ、そういうことがいっぱい出てくるんですよね。こんなに無限のチャンネルを登録できるSNSって、そんなにないんで。
よう/「発信用のツールじゃない」っていう意見に対しては、「そうだな」って思うんだ?
いん/ええ。「完全に受信用のツールだな」っていうことに、だんだん気づき始めるんですよ。
よう/はあぁ~。

いん/で、受信を自分が楽しめる状況を作るには、フォローが洗練されていないといけないんですけど。
よう/うんうん。
いん/じゃ、相互フォローじゃなくて、気に入った人だけをフォローするとどうなるかっていうと、「本当に、自分の偏った知識から生まれてくる興味だけにしか、目がいかなくなる」んですよ。
よう/まあ、そうだね。
いん/あの、(このポッドキャストの)先週・先々週とかの声優さんの話とかで、僕が思わず、音に乗っているかどうか分からないくらい自然に考えていたことは……「いや、こんなに自分が知らないところに楽しそうな世界が転がってるんだな」って。たぶん1回は、口に出してるんですけど。
よう/ああ、そうかそうか。いっちーは、かなり間口を広げて、SNSとかで情報を取ろうとしてたんだけど、それでもこれだけ漏れてる、手から零れ落ちているわけだから……
いん/そうそう。
よう/それをやらないっていう選択肢はないわけだね、いっちーにとっては。
いん/そうなんです。そして、なんかその声優さんの中でも2人くらい、僕をフォローしてくれてて、「わぁっ(驚)」っていう人がいて。僕も気になっててずっと追いかけてる人たちなんですけど、その人たちも、フォロー数が多いんです。
その人たちは、「礼儀上フォローだけして、その後見ていない」というわけじゃなくて、やっぱりその後も、継続して見ていると思うんですよね、ある程度。
(♪チャイム)
(20分11秒)

よう/……これは「ネットでの情報の取り方」っていうところで一般的に言えることだと思うんだけど……その膨大な「量」をさ、どう消化しているのかって話になるじゃん、今度は。
いん/ああ……。
よう/その……滝のように流れるタイムラインを見ているって言ってたよね。
いん/はい。
よう/一時期さ、俺が「どうやって見てるの」って訊いたときに、いっちーが、なんかこう「面白いやつは、パッと浮かんでくる」みたいなこと言ってたんだけどさ。
いん/あ、浮かんできますね。
よう/その……長嶋みたいなセリフ、やめてくんねえかなと思うんだけどさ(笑)
いん/あはははは(笑)
ええと「浮かんでくる」っていうのは、たぶん「言い回しがうまい人が目に飛び込んでくる」っていう意味で。
ザッピングを繰り返しているときに、何がきっかけでもいいんですけど、何も自分にとってフックが無い(はずの)話題をしている人のところで、ぴたっと目が留まるんですよ。
よう/……じゃあ、わーっと流れてきているもの(ツイート)っていうのは、ほとんどは何を言ってるか把握できてないままで流れていくわけ?
いん/できてないです。でも、一番気を付けるのは……「同じテレビを見てるときに、同じ盛り上がりをしている」人がいれば、「この人は、この番組に関しては俺と感性が同じなんだな」ってすぐ分かるので。
よう/ああ、そうだね。

いん/あの、ジブリの映画……例えば『紅の豚』をやっているときに、『紅の豚』を見てるな、っていうツイートが見えたら、一瞬止めて、その人を見に行きます。
よう/ああ、なるほどね。
いん/自分が見てる映画ならね。昨日……この収録日の前日、テレビで『ハリー・ポッター』をやっていたんですけど……
よう/はい。
いん/ちょっとまだ僕見てないんですけど、まあ仮に『ハリー・ポッター』を自分が見てて「おもしれえな」って思ったとしますよね。そしたら、CMの時に、一瞬タイムラインに行ってみると、「CMに入った瞬間につぶやいたな」っていう人が、高確率でそこにいるんですよ。
よう/なるほどね。
いん/何万人フォローしてても。で、リアルタイムでこのテレビを見ているだろう人たちの中に、時々、すげえ面白いことを言っている人が必ずいるんですよね。
よう/ああ……。なるほどなあ……。

いん/「これ面白いべや」と思って、その人のホームを探るんです。「今、面白いって言ったやつは、俺と同じものを見て面白いんだろ?」って。
で、見に行って、ホームをちょっと探ると、例えば僕が名前しか知らないような芸能人のツイートを、RTしてたりするわけです。「今、俺と同じ映画を見て面白いって言ってるこいつが『面白い』と思う芸能人、かあ。名前は知ってるけど、今までツイートは知らなかったな」と思ってその芸能人のホームを見に行くと、だいたい「当たり」なんですよ。
(22分51秒)

よう/なるほどね。……なんか、あれだね……なんだろな、何に近いんだろうなあ……。いや、聞いてて思うのは「修行」みたいだなって思うんだけど。
いん/あははは、まあ、ある意味では。
よう/まあ鉱脈を常に探し続けてるんだね。
いん/で、だいたいネタ切れはなくなるんですけどね。今、僕のツイートのネタって、なくなることはあり得ないんですけど…。
「誰かの言ってたことを、リアクションする「いっちょかみ」じゃなくて。誰かが面白いこと言ってたな~と思ったら、その人のホームをすっと探るんですね。
よう/うん。
いん/で、RTしている記事とかを読んでると、なんとなく「自分と同じ感性を持った人が最近気づいたことで、僕がまだ気付いてないこと」っていうのが、どんどん増えてくるんで。これは割と、無限にネタが出ます。
よう/ああそうか、そういうところでインプットをして、何かしら考える、と。
いん/そこのリアクションは、「いっちょかみ」じゃないんですよ。二丁か三丁か、噛んでるってことになるんですけど……。
よう/ああ……。
いん/割と自分の間口が広がりますし。あー…、たとえ話でアレなんですけど、例えばグルメ本を見て「今日この喫茶店に行こう」と決めたとします。まあ僕実際には喫茶店ってあまり行かないんですけど。
よう/うん。
いん/で、実際、喫茶店に行ったら、そこの調度で何かが並んでいたとか、あるいは本が並んでいたとします。そこで手に取った本っていうのは、「自分がいいと思ったお店で並べている本」つまり「マスターが好きな本」ということ。「じゃあこの本読んでみるか」と思うと、僕の場合、割と当たるんですよ。
よう/……ああ、やっぱりじゃあ、基本的には「感性が似てるところがある人をどんどんたどっていって、自分の世界を広げていく」っていうのが……
いん/そうです。
よう/少なくともSNS上ではそれが一番いい方法だ、というふうに思っていると。
いん/はい。
よう/まあ、そうだよね。実際のところ「『この人面白いな、と思った人』がすすめてくれた作品」だったら、読むもんね。
いん/そうなんですよ。だから、先輩が「面白いよ」っていった声優の話だったら、僕はたぶん声優さんのラジオ、聞くようになりますし…。
あとタイムラインに行くと犬がいるでしょ、あの犬が。犬がね。犬が、面白……
よう/「たられば」さんね。
いん/うん(笑)犬が「おもしれえ」って言った本は、だいたい買うと当たるんですよ、僕は。
よう/そうかそうか。まあ、「人を信用している」っていう意味ではすごくクラシカルな方法だともいえるよね。
(25分14秒)

いん/いいんじゃないですかね。
よう/うん。
いん/それで、ネタ切れはあり得ないと思うんですよね。
よう/うん。ただ、もう1コあるのはさ。……それって、全部インプットの話じゃん
いん/ああ……。「インプットなきアウトプット」って、やったことないんですよね。作家じゃないんで。
よう/うんうん。いや、「インプットが無いとアウトプットができない」っていうのは、いいんだけど。ただ、ええと……インプットって、アウトプットするための「必要条件」だと思うんだけど……
いん/うんうん。
よう/いっちーは、まるで「十分条件」かのように語るんだよね。
いん/んん~~!?……おおお、なるほど~(笑)
よう/そこは、結構、資質に関係しているんだと思うんだよね。
いん/いやあ、もしそうだとしたらですね。その資質を鍛えるための「相互フォローの相手を全部見てる時間」が1年以上あった、というのがやっぱりあるんじゃないですかね。修行時期があるんですよ、インプットの。
よう/「アウトプットの方法も、大量にインプットする中で学んでいってる」ってこと?
いん/おそらく、そうです。僕、20代の頃より今の方が、圧倒的にものが出てきますもん。
よう/そうか……まあ、俺が、この30分くらい話を聞いていた感想はね。一言でいうと「いっちー、元気だな」って思うよね。
いん/あははははは(笑)
よう/(笑)やっぱ、相当な労力だもんね、今いっていることってさ。毎日やるってことはさ。

いん/コツはですね……さっき、映画の話しましたけど。ええと……テレビ見てますよね。僕、CMの時しかタイムライン見ないんですよ。よう/うん。
いん/日常のTwitterの時間って、本当にそれくらいで。日中、ずっとタイムラインにいるように思われてますけど、僕、完全に「CMの時間」しかいないんですよ。
よう/合間・合間にしか、いないってことね。
いん/そう。その合間に、たまたま、偶然、目に留まった人をサラッとたどって、収穫がなければ次の合間まで何もしない……という風になってるんです、今は。
よう/……え、それは最初の1年くらいの修行のあと? それとも修行の間も?
いん/修行の間はもっと、ものすごい見てますけど……
よう/そうかそうか。
いん/修行中は、仕事中にそんな余裕はまったくないんです。慣れてないから。だから夜中とか早朝とか昼休みとかは、ずーっとタイムラインを探さないと分からないんですけど……
よう/うん。
いん/だからまあ、当時の方が圧倒的にツイート数は多いんですよ。四六時中張りついて、何らかのリアクションを考えている状態、そこから新しく自分の中でネタが出てくるのを待っている状態なので。
今は、減ってますよね。ほぼつぶやいてないもん。
よう/そうかそうか。そういう修行の時期も終わり、フォロワー数も増え、存在も認知され……という状態になれば、それを維持するというか、まあそういう意味では、合間の時間を使ってちょっとずつ自分の世界を広げていくとか、インプットの種類をどんどん増やしていくとかで、やっていけると。
いん/はい、それでいいかなと。「自分の持ちネタとかは一通りしゃべり終わったな」とか、「最近、予定調和になってきてつまらなくなってきたな」と思った時に、フォロー数が多いと、一瞬でまたイチから組み立てられるので、楽なんですよ。
よう/ああ、そうかそうか。

いん/芸能人とか「面白Twitterおじさん」みたいな人で、フォロー数が少ないタイプの人は、自分でやってることに飽きた瞬間に、もう一回構築するのが大変だと思います。例えばフォロー数が200人だとすれば、「その200人以外にどうやってインプットするんだ?」みたいなところに、1度戻らないといけないので。
よう/なるほど。
いん/大変ですよ、それは。「自分が思いもよらないことを勝手に渡してきてくれる人たち(情報チャンネル)」を持っていない人は、大変だなと思いますね。
よう/う~ん……なるほどね。いや、そうだね。……そういうタイプの人も中にはいるけど、それは特殊な人だと認識しておいたほうがいいってことね?
いん/特殊なのか、あるいは、Twitter以外になにか情報を手に入れる手段をを持っているとかで。
よう/そうかそうか。

いん/すごいツイッタラーで、深爪さんっていう主婦の方がいるんですけど、この人は週刊誌やドラマなどを好きで見ていて……この「好きで見ている」っていうのが大事なんですけど……そこから仕入れたものに対して面白くリアクションができるので、フォロー数が少なくてもいけるんですよ。

よう/なるほどね。でも、いっちーもそういう、外部のインプット手段だって色々あるんじゃないの?いん/いやそれがですね。仕事が忙しくなってくると、本は仕事の本しか読まないし……
よう/そうだね。
いん/だから、書店の雑誌の目次だけ見て「おおっ」ってことができなくなりますし、テレビ見る時間がなくなってくるし……ってことで、僕の場合はTwitterでフォローしている人の存在はかなり大きいんですよ。
よう/ああ、なるほどね。そうか、まあ「インプットのクチをどこかに持つ」っていうのは大事だな。
いん/そうです。
よう/で、アウトプットの方法については「修行だ」と。
いん/そう。でも、1年くらいで修行は成果が出るんですよ。結構、あっという間に出ます、おそらく。
よう/そうなんだね。「素振りをしろ」と。
いん/まあ、そんなところっすかね。
よう/そうっすか。

いん/あの、オマケですけど……長くなったらごめんなさい。
「ネタ切れに対する恐怖」みたいなのがあるときでも、「会話」をすると、やっぱり(ネタが)出てきちゃうんですよね。「ネタがないな」と思っていても。
よう/そうだね。相手の情報を受け取って、そこからまた考えられるからね。
いん/そうそう。だから、その「会話」のためにはフォローが必要ということでもあり、このラジオ収録の時も、ふわふわしてても会話するとあっという間に30分たってしまう、っていうのが、同じことをやっている気がしますね。
よう/そうだな。……いっちーは意外と「心が広い」っていうところもあるよね。
いん/……ちょっと意味がよく分からなかったんですけど(笑)
よう/(笑)
いん/「意外に」ね。枕詞がちょっとおかしいというところはありますけど(笑)
よう/あの~……、性格はゆがんでるけど、感性は割と素直だよね
いん/んっふふ(笑)なんとコメントしていいのか……あははは(笑)
よう/(笑)まあ、今日はありがとうございます。
いん/ありがとうございました。
(32分10秒)

(♪)
(了)

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