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[文字起こし]いんよう! 第1回【未来職安を読んだうすい感想①】

話者のおふたりに許可をいただいたので、文字起こしを載せていきたいと思います。なるべく最初に告知ツイートを載せます。

※大変申し訳ありませんが、文字起こし人のやる気の問題として第0回は後回しにさせていただきます。(単純に、時間が長いからです……)今後も、もしかしたら気分によって順番が前後するかもしれません。楽しみでやっているのでご容赦くださいませ。

★2018年11月16日追記:とりあえず最後まで起こし終わりました♪

(♪)

よう/あの、「未来職安」っていうさ……あの、柞刈 湯葉(いすかり ゆば)さん……でいいんだっけ。
いん/(笑)そうですね。はい。
よう/……の、本があるじゃん。
いん/あります。
よう/イッチーも読んでるんだよね。(※注:イッチー……ヤンデル先生(ここでは「いん」)の愛称らしいです)
いん/読みましたよ、ええ。
よう/いや、まあめっちゃ、すげえ面白かったんだけどさ。そもそも、SFって結構、読む?
いん/おおう……。いや、SFはですね、たまに、意識して読みますね。
よう/そういう時期があるってこと?
いん/え~……最近が、その時期ですかね。
よう/ああ、なるほどね。
いん/ええ。
よう/いや、俺ほとんどSF読まないんだけどさあ。
いん/ああ~、そうですか。ふーん。へ~。
よう/……たぶん、数えられる(くらい少ない)んじゃないかなと思うんだけど。別に嫌いじゃないんだけど、なんでだろうね。

よう/……なんかこう、大きいジャンルってさあ、
いん/はい。
よう/……なんか、敬遠したくなるときない?「入ってくと大変そうだなあ」みたいな。
いん/っへへへ(笑)
よう/「あれも読まなきゃダメだし、これも読まなきゃダメだし」みたいな
いん/ああ、ああ、ああ。(うなずいている雰囲気)
よう/「このジャンルに入ったら、これはとりあえず義務だ」みたいなのが、いっぱいあるやつあるじゃん。
いん/あります、ありますね。
よう/例えば、アニメでも「ロボットもの」とかだとさ、「とりあえずガンダム全部見なきゃダメなのかな」とか思うしさ……。
いん/あははははは(笑)SFっちゅうのが、そういう、なんか「敷居が高い」とか、色々言われますけど、確かに、「SF読むんだったら、これを読め」とか「あれを読め」とかっていう話は、よくありますよね。
よう/なんかあの、「青背(あおぜ)」っていうんだっけ?ハヤカワだっけ。
いん/そうですね。
よう/あの、こう「名作シリーズ」みたいのがあるわけでしょう?
いん/ありますねえ~。
よう/あれをね……まあ、そんなファンばっかりじゃないと思うけど、「とりあえずあれを全部読んでから、話が始まる」みたいなさ。
いん/……確かに。「ハヤカワのナントカシリーズを読んでないでSFを語るのは、どうなの」みたいな話は、よくあります。
よう/ねえ。古いジャンルだとさ、絶対そういうのがあるとは思うんだけどさ。
いん/あります。
よう/まあ、そういうのは置いといて、基本的に俺は、うす~い感想でいこうと思うんだけど。
いん/(笑)ああいえいえ、どうぞどうぞ。はいはい。いや、いいと思います(笑)

よう/なんかあの……えーと、それ(「未来職安」)読んで、面白かったから、感想をツイートしたんだけど、それをその柞刈湯葉さんがRTしてくれて。
いん/(笑)
よう/で、俺は……こっちが勝手に(彼を)フォローしてるだけだから、
いん/はい。
よう/まあ、エゴサしてRTしてくれたんだろうと思うんだけどさ。俺、あの……「日常ものの谷甲州みたいだ」って書いたんだよね。
いん/そう。それは、僕も見ました、うん。
よう/(俺は)ほとんどSF作家の人とかも、知らないんだけど。たまたま、谷甲州さんの本を何冊か読んだことがあって。
いん/ああ。
よう/なんかさ、ゴリッゴリの……描写が細かいわけ。で、すごい好きだったんだよね、それが。
いん/はああ……。
よう/なんだろな、ちゃんとお話があるやつもあるんだけど、短編とかだと、なんかね……。こう、宇宙船が故障して、軌道から外れて、もう助かんなくて、永遠にさ、慣性のままに飛んでいく、みたいな話とかあるわけ。
いん/あー、怖い怖い(笑)
よう/そこのさ、なんか、軌道から外れる描写とかも、すごいちゃんと細かくてさ、「あ、これもう絶対助からないな」って思うんだよ。物理的に、助からないってことが分かる描写になっているわけ。
いん/あのー、それを聞くと、僕 谷甲州さん読んだことないんですけど、その……ゴリゴリのハードSFとか、設定がとても矛盾がなくて、破綻してなくて……
よう/そうそう。
いん/「いや、それおかしいだろ」って読み手に全く思わせないジャンルっちゅうのがあるじゃないですか。
よう/あるね。そういうのを「ハードSF」って言っていいのかな。よく分かんないけど。「しっかりしてる」っていうね。
いん/いいんじゃないかと思うんですけどね。まあこれ言うとSFの人には怒られるかもしれませんけどね~。
(4分12秒)

いん/いや、それで、たぶん僕は谷甲州さん読んだことないんですけど。読んだことがある人がいたとして、あなたの言う「日常ものの谷甲州」っていうのは確かにワードパワーはあったと思う
よう/「ワードパワーはある」って書かれてたもんね。ちょっと呆れられてたけど、たぶん(笑)
いん/わはははは(笑)
よう/「なんだその感想」って感じなんだろうけど。いやでも何かさ、それくらい、こう……多分、作者の中で、……書かれているものよりもさ、広い「世界の設定」があるんだろうなって感じがするんだよね。
いん/ああ。
よう/もっとたぶん、いっぱいさ、あの近未来の世界の様子っていうか、「どういうガジェットがあって、どういう社会システムになってるか」っていうのをさ、考えたうえで、その中の一部を物語として出している……ような気がするんだよね。だから、あんまり矛盾がないっていうか、自然に……まず「あれ?って思わない」っていうかさ。
いん/それは、すごい(自分も)考えたことがあってですね。まあよくぞ、いきなりこの話を出していただいたな、っていうくらいで、僕はいま感動したんですけどね。
よう/シンクロしてる。うん。
いん/シンクロは、してないです!(笑)
よう/(笑)

いん/あの……いや、なんていうんですか、物語を書くために、設定を“自分がいまから通っていく道+α”だけを考えるんじゃなくて……。
よう/うんうんうん。
いん/完全に、地図の隅から隅まで埋めてから、「この道を通ったら、ある物語ができた」みたいな書き方をする人ってのは、確かにいるじゃないですか。
よう/うん。
いん/もう、「今回の通りでは全く語られていないところまで、全部設定終わってる」みたいな。
よう/そうね。なんか、「ハイ・ファンタジー」……
いん/「ハイ・ファンタジー」。はいはいはいはい。
よう/あの、もう完全な別世界で行われているもので、「世界自体を作ってしまう系のファンタジー」だとさ……
いん/あ~。
よう/「銀河英雄伝説」とかさ。
いん/うん、そうですね。
よう/ね。あれ、登場人物めちゃくちゃ多いけど、その登場人物の、たぶん、わき役の、描かれていない人生とかさ、親の話とかさ……
いん/うんうん(笑)
よう/そういう設定とかまで、もしかしたらあるかもしれないよね。だから、こいつはこういう……
いん/そうそう、そういうところが、すごいと思うわけですよね。
よう/そうそうそう。そういうのが、なんか……。そこまで考えてないと、できないんだろうなーっていう感じが、ちょっとするから。それも含めて、すごいなーって思ったけどね。
いん/うん。いや~、それを「未来職安」読んで、感じましたか、やはり。
よう/うん、感じた感じた。
いん/あ~……。
よう/あれ、なんかね、割とふんわりしたというか、そんなに、「起承転結があるような物語性の強い作品」じゃなかったけど。
いん/うん。
よう/情報量が多いよね。
いん/多いですね。多い多い。
よう/1行ごとに、情報が増えていく感じするよね。
いん/語ってないところの設定が終わってるんで、「ライトに、語りたいところだけ語るよ」ってやっても、裏にいくつか設定を隠してるっていうか、(設定が)終わってる感がすごくあるんですよ。
よう/あるある。

いん/柞刈湯葉は、そういうことするんですよ。
よう/あの人、ツイートも、すごいもんね。
いん/うん。だって、なんか物理学者とかに愛されますもん。***。
よう/あ、そうなんだ。
いん/そうなんすよ、彼は。
よう/あの人さ……俺、前さ、イッチーにさ、
いん/(笑)とことん「イッチー」でいくのね(笑)まあいいや。
よう/あの……決めて?(笑)どっちでもいいよ、俺。「どうしても」っていうんなら、「いんさん」って呼ぶからさ(笑)
いん/いや、いいですもう「イッチー」で、いいです(笑)あはははは(笑)

よう/あの~……何話すか、忘れちゃったな。
いん/大丈夫、まだそんなに話、進んでないから大丈夫ですけど。その、柞刈湯葉がね……
よう/あ、そうそう。生命科学関係者じゃないかって、言ってて。俺が「違うんじゃない?工学系の人じゃない?」って言ったんだけど……あの人、たぶんライフサイエンスの人なんだね。
いん/いやライフサイエンスの人だと思ったんすけど……。
よう/何か、「ドライとウェット両方やった」みたいなこと書いてあったから。ツイートで。
いん/ん? あの、ごめんなさい。「ドライとウェット」って何でしたっけ。
よう/えーと……「ウェット」が実験、だよね。普通のね。で、「ドライ」が、情報工学使った……要は、コンピュータ使った解析。最近のビッグデータとか、ああいうのを含めて。
いん/あ、そっち「ドライ」なんすか。
よう/うん、ドライ。
いん/あ~~~、なるほど。
よう/だから、「大量にシークエンス読んでミューテーション探す」とかさ。
いん/あ、それ「ドライ」?
よう/うん。サンプル準備してシーケンサーにかけるところまでは「ウェット」だけど、データが出てきた後で解析するのは「ドライ」だよね。
いん/ほー、なるほど。あれ、それ柞刈湯葉が両方やってたって言ってました?
よう/なんか、言ってたよ。「ウェットは、やっぱり時間がとられすぎるから大変だ」みたいなこと書いてあった気がするけどね。だから今はドライの人なのかなって思うけど。
いん/あー。まったく見てなかったなあ(笑)
よう/滝のようなタイムラインの流れなんでしょ、イッチーの(Twitterは)。たぶん。
いん/いやあ、滝、止めてますけどね、もう(笑)
よう/あ、そう?
いん/うん。気に入った人しか見てない、みたいなところになりつつあるという……(笑)
よう/まあでも、両方……。(彼は)ライフサイエンスの人だけど、多分、物理とか工学系の知識もあるんだろうね。専門か専門じゃないかは、おいといたとしても。
いん/あ~。
よう/じゃないと、物理関係の人が気に入るわけないもんね。
(9分40秒)

いん/いやー、「未来職安」の話からスタートしたんでちょうどいいと思ったんですけど。あの話って、ウェットな分子生物学者は、書けないっすよね。
よう/ずっと、純粋にウェットだけやってるっていうか、ウェットにしか興味がない人は、書かないだろうね。
いん/うん……。培養して、生命の観察……そんな科学者って、今、いないんですかねえ、そもそも。
よう/どういうこと?「そんな科学者」ってのは……?
いん/いやあ……ライフサイエンスでウェット一本、みたいな人って、実はそんなにいないとか。なんか、そっち方面でリサーチをやりたいって人はドライとかウェットとか関係なく、サイエンスに興味がある時代なんですかね。
よう/……いやあ、そうでもない気がするなあ。あ、でもなんかその、必要に応じてさ、ドライの解析をするっていう人もけっこう多いと思うけど……
いん/あ~。
よう/分業してて、ドライのことはドライの人に任せるっていうかさ、共同研究でやってもらうとかさ。
いん/うん、うん。
よう/「自分はウェットの実験しかしません」っていう人も、けっこう多いと思うけどね。
いん/いや、柞刈湯葉は実際、すごいと思うんすよ。それの……サイエンスの考え方を、文学にできちゃうわけじゃないですか、彼は。
よう/そうだね。
いん/ただ、その「文学にできるすごさ」とは別に、サイエンティストとしての両軸(?)みたいなものがある気はする。
よう/うん、あるような気がする。
いん/気がしますよね。それがなんか、ウェットだけでもないけどドライだけでもない、みたいなところがあるような気がしますよね。それでいうと。
よう/うん。職業的な意味でもさ、ハイブリッドな人?……「ウェットもできるしドライもできる」っていう人が、たぶん徐々に出て来てて。
いん/ああ。
よう/そういう人が、活躍できる場所が、どんどん増えてくんだろうなって思うけど。
いん/なるほど。
(11分44秒)

よう/まあでもなんか、ん~……「技術的にできる人」っていうのはさ、キャリアとして、ちゃんと訓練を積めばできると思うんだよね。
いん/ほう、うんうん。
よう/ドライ専門の人ってさ、どっちかっていうと、アプリケーションとかアルゴリズムそのものとか、作るじゃん。「新しい解析ソフト作りました」とかさ。
いん/ああ~!
よう/でも、そこまでじゃなくても、えーと、「出来合いのものが使えます」っていうさ……
いん/うん。
よう/ちょっと簡単なスクリプトを書いて、誰か(他の)ドライ専門の人が作ったプログラムを動かすことはできます、……っていうぐらいでも、一応「ドライができる」ってことにはなるからさ。生命科学だと。
いん/あ~~~。確かに、完全にデバイス作りからやらなくてもいいわけですね、ライフサイエンスであればね。
よう/そうそうそう。それで、もともと実験してて、まあ「ウェットの人だけど、そういう最低限のドライのことはできます」+αくらい、っていう人はけっこう出て来てて。それはたぶん、ちゃんと訓練すれば、そんなに難しくはないと思うんだよね。「まったく、まっったくパソコンも嫌だ!」っていう人以外さ。
いん/まあ、めっったにいない……
よう/めったにいないよね。
いん/いや……それはそれとして、実際に手を動かす「実験系」と、アルゴリズムとかプログラムとかの「ドライな感じ」とは別に、……なんかその、「世界を作り出す」みたいな……
よう/そうそうそう。だから柞刈湯葉さんのすごいところは、ドライとかウェットとか両方できるっていう研究者の部分とはまた別に、まず「サイエンス全体に対する興味が広い感じがする」っていうところと、
いん/ああ~。
よう/それを、さっきイッチーが言ったみたいに「物語化できる能力」だよね。
いん/うん……うん、そうなんですよ。
よう/ちゃんと、未来の社会を説明するっていうか、表現するために、キャラクターの性格付けとか、背景とかが、あるじゃん。
いん/ありますよ。あります、あります。
よう/それを通してさ、世界が見えてくる、っていうふうになってるじゃん、ちゃんと、物語としてさ。
(13分55秒)

いん/……僕はむしろ、先輩がですね……よう先輩がですよ、「SFをあまり読んでない」っていうのが、むしろ意外だったんですよ、だから。
よう/なるほどね。
いん/なんか、サイエンティフィックな視点を持つと、世界まで、こう、なんか「統一理論的なものを先に作るぐらいのことをやりたい」っていうか。純粋文学者だと、むしろそこのところは甘いけど、ゴリゴリのハードSFを書く人は学者が多くて、そういう背景まで全部書いちゃう、ってイメージがあったんで。
よう/はぁ、はぁ。
いん/背景まで詰めそうなイメージだったので……逆に、SF好きかなあ、って。
よう/SF、好き……っていうか、嫌いじゃないよ。(笑)答えになってないかもしれないけどさ。
いん/そうか、そうか……。もともと、嫌いではないわけですね。
よう/嫌いじゃない。
いん/あるいは、ハードSFだけ拾いたいんですか?
よう/……あ~、結構そうだね。なんかSFって、すっごいジャンル広いんでしょ?
いん/広いらしいね。
よう/なんか、「一見サイエンスっぽくないけど、でもSFに入るもの」っていうのがいっぱいあるんだよねえ。
いん/おぉ。いや、あるみたいですね。
よう/「ファンタジーっていうんじゃないんだ?」って思うようなものも、まあSFに入ってるんだよね。
いん/……みたいですね。うん、そうみたいですよ。
よう/あんまり……いや、ファンタジーはファンタジーでいいんだけど、そこは分けて考えたほうがいいのかもしれないけど。まあ、俺が「薄い」っていうのは、あらゆるジャンルに言えることだからさ。別にSFだけじゃなくて、いろんなジャンルに「薄い」だけだから。
いん/(笑)
よう/別に、若干「ジャンルとして大きすぎるから敬遠してた」っていうのはあるけど。
いん/なるほど(笑)
(15分44秒)

よう/あとね、俺、「頭の中で映像を組み立てる能力」が、あんまりないんだよね。
いん/んん!?……「ある」ではなくて?「ない」んですか?
よう/「ない」んだと思うんだよ。だからSFってさ、「見たことがない景色」を文字にしてあるわけじゃん。
いん/っあ~……!俺、それ考えたことなかったなあ……なるほど、そういう考え方が……。
よう/そうそう。で、例えば「名作」って言われてて、そういう描写がちゃんとしているやつでも、最終的には読者の想像力に、ゆだねられるわけじゃん。
いん/はいはい、はい、はい。
よう/「頭の中で映像を作り出す」っていうさ。俺、なんかね、SFの古典みたいなのを、何冊か読んだことあるんだけど。
いん/うん。
よう/いまいち、うまく想像できてないんだよね。
いん/なるほど……!
よう/だからなんか、映像で見せられたほうが、ワクワクするというか……。
いん/あ~……。
よう/実際、「絵になった!」っていう感動は誰にでもあると思うんだけど、……やっぱ、字で読むのが好きな人はさ……。字のほうが圧倒的に、その……情報量が、ある意味多いわけじゃん、描写とかさ。それをちゃんと、頭の中で組み立てられてさ。想像して、それを楽しんでると思うんだけどさ。「SFの世界」をね。
いん/ふむ、ふむ。
(16分53秒)

よう/だからね、俺、普通の小説とかでも、えーと、景色の描写とか、あるじゃん。
いん/いやありますよ、そりゃ。
よう/自然の……まあ「森があって」、とかさ。まあ都会でも「朝日が、どう」とかさ。「どういう花が咲いていた」とか、あるじゃん。俺ね、あれ、結構読み飛ばしちゃうんだよね。
いん/あはははは(笑)……今の、例のあげ方が、雑ですよね(笑)
よう/うん、雑でしょ(笑)だからそれくらい、頭にインプットされてないんだよ(笑)
いん/あ~、なるほど。
よう/(例が)出てこないくらいに。なんかね、それは別に「文章が嫌いだ」とかじゃなくて。読んでても、頭に思い浮かばないからね、入って来ないんだよね。昔から。
(17分36秒)

いん/あの……これ、完全に僕の考えたことで、彼はそんなこと言わないかもしれませんけど……。柞刈湯葉もきっと、嫌いですよ、それ。
よう/……風景描写とか?
いん/だって彼、小説のお作法で書き始めた冒頭部、雑ですもん。
よう/……「小説のお作法で書き始めた」?
いん/なんかね、ちょっとおしゃれな風景から入ったり、日常シーンとか……。
よう/はいはいはい。あの、アニメとか映画で言うと、「ちょっと引きの映像から入って、だんだんズームインしていく」みたいなところの、小説のズームでしょ?
いん/そうそうそうそう。そこが、すごい丁寧だけど、本人はやる気がないんですよ(笑)読んでて分かるんすよ(笑)
よう/(笑)
いん/「俺が書きたいのはここじゃねえし、お前らもここ読みたいわけじゃねえだろ」っていうテンションが、伝わっちゃうんですよね、読んでると(笑)
よう/え、「未来職安」も、そうだった?
いん/そうです。「未来職安」も、確実にそうです。(きっぱり)
よう/あ~、そっか。
いん/で、彼の、「彼からしか出ない内容」がさく裂する部分は、すごいシンプルに、鉛筆で書かれてるんですよ、マジで。
よう/そうだね。なんかこうね、あんまりしゃべっちゃうとネタバレになるからさ、しゃべりにくいけどさ。
いん/あははははは(笑)
(18分45秒)

よう/なんかね、いろんなガジェットが出てくるじゃん。近未来SF的な、さ。
いん/出ますよ、出ます出ます。
よう/あれがね、もうバンバン出てくるからさ。いちいち、「そうだ、なるほどな」って思うもんね。「そうなってるかもしんないな」ってさ。
いん/で、彼のそのゴリゴリのハードな部分で、「いやあ、これは書けねえよ」って尊敬させておいて、「ネコ」が、「ネコッポイド」じゃないですか。
よう/……そうね、あのネーミングね。
いん/そう。あのダジャレっぽいのを付けてきますよね。あの2つで頑張っといて、他の、何か日常の心象風景描写って雑なんですよ(笑)照れ隠しのようにね(笑)
よう/文学的な、いわゆる「叙情的な文章」が、ちょっと、あれなのかな、恥ずかしいとか……気恥ずかしさとかが、ある人なのかな。
いん/彼、(そういう文章が)書けるんでしょうね。きっと上手くて……。でも「そこじゃない」っていう感覚があるのかな、とか勝手に……(笑)いや、思いましたね。
よう/(笑)
(19分50秒)

いん/いや~……。だいたい、アレ読みました?「未来職安」は良かったですけど。
よう/あ~あの短編集……。短編集っていうのかな、アレ。わかんないけど、短編集は全部読んだよ、うん。
いん/「重力アルケミック」読みました?
よう/あ~~、読んでない。俺ね、彼の……柞刈湯葉さんの作品は、全部読んだのは「未来職安」だけなんだよね。で、「横浜駅SF」は、最初のほう読んで、「超おもしろいな」と思ったあと、止まってんだよね
いん/な ぜ !?(笑)
よう/(笑)いや俺、いっぱいあるんだよ、途中で止まってるやつが……なんでだろうね。
いん/あれは、読んだらいいっすよ。あれはいいです。
よう/すげーよね。
いん/あれは、すごい。
よう/俺ね、柞刈湯葉さんに、勝手に2回、出会ってるんだよ。前にも話したかもしんないけど。
いん/(笑)
よう/ネット上で「横浜駅SF」っていうのが流れて来て、「横浜駅が増殖する」って書いてあってさ。「あ~、すげえ設定のものを書く人がいるなあ」って思って、買って、冒頭読んで、すげー面白いなと思って、止まってて。
いん/……なぜ!?(笑)
よう/(笑)いっぱいあるんだよ、そういうの。俺、本読みじゃないからさ。
いん/なるほど(笑)
よう/で、Twitterやってて、それこそイッチーがRTか何かしてたのかな、「ああ、この人すごい面白いな」と思って、しばらくしてから、「あ、これ横浜駅SFの人だ」って思ったんだよね。
いん/あー、それは、すごい分かります。
(21分07秒)

よう/で、なんかその、ツイートでさ、「ネタツイート」って言っていいか分からないんだけど。
いん/うん、うん。
よう/なんか、なんだっけな。1コあったのが、「漫画が完全にデジタル化して、色を付けるようになって、もうちょっと特徴を出すために動きをつけるようになって、最終的にアニメと同じようになる」っていうさ。なんかネタツイートみたいなのしててさ。
いん/あ~。言いそう、言いそう。
よう/なんか、最近のトレンド……実際、韓国のほうのデジタルの漫画だと、そういうのもあるみたいだし。「ちょっと動く」みたいなの。
いん/……マジですか!? へ~~。ほぉぉぉん。
よう/まあ最近、テレビアニメの間に流れるCMでもさ、漫画の宣伝されてるけどさ、フラッシュアニメーションみたいなので、「ちょっと動く」みたいなのが……
いん/あります、あります。
よう/ああいうトレンドつかまえて、「きっと、だんだんそういう方向に進化していくだろうな」っていう、納得がいく感じの誘導をしといて、最後にちゃんと「それ、結局アニメじゃん」っていうオチが来るっていうさ。
いん/あ~……。
よう/そのレベルのツイートを、何か、ぽんぽん出してきてるからさ。
いん/あ~……。
よう/なんか、こう……。
(22分24秒)

いん/あ~……。いや、今言ってて思いましたし、聞いてて思いましたけど。あの……我々が、「彼がすごいな」って思うのは、その、ちょっとしたネタの裏に、でかい背景があって。
よう/うん。
いん/「将来、こうなるんじゃん」みたいな、なんか統一理論みたいなのが、裏にこっそりあるんですよね。
よう/そうだね。
いん/それにのっとってしゃべってるから、毎回、色が出てくるところがすごいところだと思うんですよ。
よう/そうなんだよ。でさ、ツイートしてるってことはさ。なんていうの、あのアイデア……捨ててるわけだよね、ある意味。
いん/ぶっ、あはははははは(笑)
よう/「大事に持っとこう」と思ってないわけだよね。
いん/う~、あ~~(笑)そう……その話かあ、なるほどなぁぁ~!(笑)……ちょっとここ、あれですよ、ひと休憩入れてもいいくらい、別の話、入りましたよ(笑)
よう/あ、そう? じゃあちょっと時間的にね、そろそろイイ感じだから、まあじゃあ今週はここまでってことで、いいですか。
いん/あははは(爆笑)……これ、何分くらいしゃべったんですか?20分くらい?(笑)
よう/20分くらいじゃないかなあ。
(23分23秒)

いん/すごい……。
よう/多分、導入だけどね。
いん/これ、ちょうどいいんで。
よう/1回切って、ね。じゃあイッチー、最後にちょっと言いたいことありますか?連絡とか、お知らせとか。
いん/いえ、あの、僕、いま時計見てなくて。まさかの20分だったので腹立った、くらいですね(笑)
よう/なるほど?
いん/大丈夫です。
よう/じゃあ、僕、noteを最近始めたので、ぜひ読んでください。
いん/……なに、ここでお知らせ?(笑)
よう/なんか、あの、お知らせしてもいいよ。でも別にここでお知らせする必要はないよね、イッチーはね。
いん/ひどい(笑)
よう/だって自分の(Twitterの)アカウントのほうが、影響力あるじゃん。
いん/うーん、いや~、ないですよ。ええ。このラジオは、たぶん別の人が聞いて……まあいいや、分かりました。じゃあ、来週ということで。
よう/ということで、今週はここまでということで。
いん/はい(笑)
よう/ありがとうございました。
いん/ありがとうございました(笑)……これで!?これで翌週入るの?(笑)
(24分14秒)

(♪)

<第1回 おわり>

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