魔女の秘密〜魔女は急の事態に戸惑う。4

 その日の帰り、咲良は本屋に寄った。
 何でかと言うと、昨日から一緒に暮らしている火夏の為に歓迎会を開こうと思って、料理の本を買いに来たからだ。
 なので本屋の料理本コーナーに行ってみると、なんと火夏がいた。
 とりあえず、咲良は火夏に何が食べたいかを聞くことにして彼に声をかけた。
「火夏、こんな所で会うとは奇遇ですね。」
 すると、彼は慌ててこちらを見ると
「そうだな。」
 と、さっき慌てていた割りには冷静に頷かれて、咲良は少し戸惑ったもののすぐに
「あら、火夏、何を読んでいるんです?」
 と、聞いて見ると彼は
「何でもない。」
 と言って読んでいた本を背中に隠しました。
「あっ、どうして背中に隠すんです。隠されたら、余計に気になるじゃないですか!」
「・・・。分かった。」
 と言って渡された本は、『低カロリーで美味しいおかず』という題名だった。
 咲良はキョトンとして口を開く。
「火夏、ダイエットでもしているんですか?」
 と聞くと火夏は、明らかに話題を変えた。
「それよりも咲良、どうしてここにいるんだ?」
 それはこちらのセリフですね。
 と思いつつもここにいる理由を言うことにした。
「えっと、私は小説と料理本を買いに来たんです。火夏は、何でここにいるんですか?」
 咲良は、火夏に歓迎会を開こうと思っていることは黙って置くことにした。
 理由は、サプライズにならないからだ。
 すると、火夏は、
「ああ。俺は、昨日から世話になるお礼に料理を作ろうと思い調べていた。・・・何か食べたい物でもあるか?」
 と、聞かれて咲良は"やばいですね。"と思いながら口を開いた。
「えっと、今晩は、私が作る日なんです。・・・よかったら一緒に作りませんか?」
「ああ。・・・良いのか?」
 と聞かれて、咲良は笑顔で答えた。
「はい。良いですよ。・・・火夏は、何か食べたいですか?」
「俺?俺はハンバーグが食べたい。お前は?」
 と聞かれましたが咲良は笑ってごまかす。
「良いですよ。私は明日好きなものが出るので、・・・それよりも、ハンバーグですね。お願いがあるんですけど私にハンバーグを作らせてくれませんか?」
「・・・、あ、ああ。分かった。じゃあ先に帰る。」
 と言うと本を棚に戻してから、帰って行った。
 それを見送ると、咲良は恋愛小説コーナーに向かった。



 家に着くと咲良は部屋に荷物と有るものを置くと、エプロンを持って居間に向かった。
 居間で、エプロンを着ると居間に有る台所に入った。
 台所に行くともう火夏がいて、ご飯が炊けていた。
 なので咲良は火夏に話かけた。
「ただいま帰りました。・・・火夏がご飯を炊いてくれたんですか?」
「ああ。いつ帰ってくるが分からなかったから、炊いて置いた。」
 と言われたので、私はお礼を言いました。
「ありがとうございます。では、これから作りますね。」
 と言うと咲良は流しで手を洗うと、冷蔵庫からハンバーグの材料を取り出すと玉葱を洗い出す。
 まな板と包丁を用意すると玉葱をみじん切りにしていく。
(あっ、今思ったんですが、男の人と一緒に台所で料理するのは始めてです。)
 と、今更なことを考えているとだんだん緊張してきた。
(うぅぅ。な、何で緊張するんですか。)
 緊張しているせいで動悸が止まらない。
 動悸のせいで集中力が散漫してしまう。
 だからなのか、
「いたっ。」
 左手の薬指を切ってしまった。
 咲良は、あまりの痛さに思わず目に涙を浮かべて治癒魔法の呪文を唱えようとしたとたん、咲良の怪我に気付いた火夏が慌ててこちらに来て心配をしている声音で、
「大丈夫か?」
 と、聞かれて咲良は
「は、はい。だ、大丈夫です。」
 と言いましたが、彼は眉を寄せると溜息をついて
「見せてくれないか?」
 と言われ咲良は素直に火夏に怪我をした指を見せました。
 すると火夏は左の手首を掴むとそのまま怪我をした咲良の指先を口に含んだ。
「ひゃあ!!ひ、火夏、な、なにをしているんですかぁ!」
 と、指を口に含まれた咲良は真っ赤になって火夏に言ったが、彼は何も言わない。
 それはそうだろう、彼は傷口に舌を這うわせているのだから。
 一方で咲良は、彼の舌が這うので何故か背中がぞくぞくしていた。
「ひ、火夏、な、何か、背中がぞくぞくするので、やめて下さい。」
 と思わず頼むと、彼は咲良の指先を口から出すと不思議そうに言った。
「消毒をしただけだが、何で顔が赤いんだ?」
 それを聞いて私は呆然とした。
 だが、言いたいことがあったので、じと目で言うことにした。
「・・・・・・。火夏、こういうのは好きな人にしてください。・・・それに、消毒なら魔法を使って治して下さった方が助かります。」
 それを聞いて、火夏は
 うん。だからした。
 まだ咲良には早かったか。
 と思っていた。
 一方の咲良は、今度は火夏が沈黙してしまったと思っていた。
『怪我よ治れ!』
 と、火夏が咲良の傷口に怪我が治る魔法・治癒魔法をかけた。
 なので、咲良の怪我が治った。
「火夏、ありがとうございました。」

 
 それから咲良は火夏と協力して夕ごはんを作りあげた。
「・・・ふぅ、火夏、お疲れ様です。」
「ああ。・・・咲良、おばさんと葵さんを呼んで来てくれないか?」
 と、火夏に頼まれたが、咲良は首を横に振ると口を開いた。
「すみません。私はちょっと部屋に戻らないといけないので無理です。なのでお願いします。」
 と言うと彼は渋々頷いてくれた。
「ああ。分かった。呼んでくる。」
「はい。お願いします。」
 と言うと、咲良は自分の部屋にある有るものを取りに向かった。


 そして、その有るものを持って居間に戻ると、まだ誰もいなかったので咲良は安心して有るものを冷蔵庫の中に隠した。
 すると、居間のドアが開いたので、慌てて台所から出た。
「火夏、ありがとうございます。ご飯出来ましたよ。」
 と言うと、皆は自分達の椅子に座った。


 それから咲良達は夕ごはんを食べ始めた。
 咲良は火夏がハンバーグを食べているのを見ると不安になった。
(う~ん。私は美味しいと思いますが、火夏の口に合うでしょうか?)
 と思っていると火夏が
「咲良、俺が作ったスープは口に合うか?」
 と聞いてきたので咲良は、
「はい。美味しいですよ。・・・ハンバーグは、ど、どうですか?」
 と聞くと火夏は小さく微笑むと、
「ああ。口に合って良かった。お前が作ったハンバーグもうまい。」
 と言ってくれたので咲良は嬉しくて、ニコニコと笑って口を開いた。
「フフ、お口に合って良かったです。・・・ところで、火夏っていつから料理をしているんですか?」
 と聞くと、火夏は一言、
「小三の時から」
 と言われて咲良は
「へぇー。私は小六の時からです。」
 と言うと、食べ終わったので咲良は冷蔵庫から有るものを持ってくると皆に言った。
「はい。ケーキです。食べませんか?」
 と言うと、皆は一瞬困った顔をしたが、結局は美味しく頂きました。