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友達の専門店があやしいのですが?#1(岩・花ver)

友達の専門店があやしいのですが?
EP1 その昔は、友達でした? 

(目安時間 15分以上)

©猫寝来緋伽
猫寝来緋伽(@NenekiHitogi)さん / X (twitter.com)
YouthfulMaterial
創作サークル | Youthfulmaterial


――必読事項――
作品【友達の専門店があやしいのですが?】について。|Youthful Material (note.com)
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=======登場人物===========

来竹 雪 (性別はどちらでもOK)
セネヴィル(性別はどちらでもOK)
ハジカミ         (男性寄り)
岩姫皇子/いわのひめみこ  (女性寄り)
花姫皇子/はなのひめみこ  (女性寄り)
――(セリフ以外のところ) 音
― ―場面転換
= ト書き

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EP1 その昔は、友達でした? 
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=閑静な住宅街を抜ける。冷たい冬の風が吹く中。来竹雪が呆っと立っている。
=目にうつるのは こじんまりとした洋風の店。
雪:―…あれ?ここだよね?…看板は…ないや…。
=ノックをするが、返答はない。
=ガラス越しに店内を覗く。
雪:誰もいない。変なにおいもない。
――ガチャ
雪:おじゃましまーす…。誰かいらっしゃいませんかー?
=吸い込まれるように店内に入る雪。店内をぐるりと見渡す。
=鉱石や、本。用途のわからないアンティーク調のものや、きらめく金銀細工に、宝石。装飾品。
=店の中に響き渡る 音―音―音―…。雪に降りそそいでくる
雪:噂と全然違う。それに、なんだかここ何だか知ってる気がする…。

―場面転換 セネヴィルの店 前―
=魔法道具の商人達がつかう 通称『商いタクシー』から降りて、調達した材料を降ろす。
セ:よっと…。かなり選んで買ったつもりだったけど…。よっと。ハジカミ。そっちもてる?
ハ:あぁ。増強魔法かけてもらったからいけるぞ。あ、そっちも持つから。無理すんな。この後、加工だろ?
セ:ありがとう。
ハ:しかし。急にどでかい発注が、嫌われ者のセネにくるのは、なんでだ?
セ:嫌われ者にも、2つの使い道がある。憂さ晴らしの対象にするか、手に負えないものをまわすかってね。
ハ:業者内のあれこれのことか?
セ:そうだねー。
ハ:わかってて引き受けたのかぁ?
セ:まぁね。
ハ:なんでだよ。
セ:悪意があるならなおさら、上に報告されたくないだろうからね。知らぬ顔で、恩を着せておくのに丁度―。
ハ:どうかしたか?
セ:結界が壊れてる。
ハ:は?嫌がらせにしたってやっていいことと悪いことが…。
セ:あんなやつらにできるほど、そんな簡単な回路を組んだつもりはないよ。
ハ:俺は、裏から回る。
セ:わかった。

―場面転換 セネヴィルの店 店内―
=セネヴィル、店の扉をゆっくりとあけると、雪と目が合う。
雪:あ~!久しぶり!!
セ:え…。あ…。久しぶり、雪。
雪:…!
セ:あ。
雪:名前!!覚えててくれたんだね!!うれしいな!! 元気してた!?
セ:それなりにね、元気だよ…うん。そうだ。えっと…なにか飲む?
雪:うん、うれしい!飲むよ!!このお店ってさ。こんなに不思議できれいな感じだっけ??なんていうか、圧巻だね。
セ:そうかな? あぁ。それは、買い手がついた品だから、触らないでね。
雪:おっと。
セ:はい。どうぞ。
雪:あ、このハーブティー…。これも懐かしいな~~~!!どこ行っても売ってないんだよね!!
セ:ここの特製品だからね…。
雪:ん?
セ:あ、いや。ほら、分けてあげる。簡単においしく飲めるよ。
雪:本当!?助かるう!!―むぅ…。
セ:機嫌、忙しいね。
雪:?
セ:いや。どうしたの?
雪:えっと…。そっちは名前覚えていてくれたのに、思い出せなくて
セ:あぁ。そんなことか。セネヴィル。長いからセネでいい。
雪:そんな名前だったっけ?
セ:今は、そっちの方がよく呼ばれるから。
雪:そっかぁ。その…セネは―。小学校卒業で引っ越ししたでしょ?なんで?
セ:家族を、事故でねー。
雪:じゃあ…。
セ:もう、そんな寂しいものではないよ。
雪:無理してない?
セ:事故は仕方ないでしょう?さっきもいろいろ仕入れた帰りで…。(小声:…ハジカミ遅いな…)
雪:そっか。お葬式とか行ってない気がする
セ:密葬だったから。誰も呼んでないんだ。ごめん。
雪:ううん!!こっちこそごめんね。なにそれ、枝??
セ:お香。
=セネヴィル、香炉に火をつける。
雪:すごいいい匂いだね。品がいい感じ?
セ:ここは、そういう専門店。
雪:セネの部屋も、いろんな香りして、おちついたんだよねぇ。
セ:よく覚えてるね。
雪:親友でしょ!それにめっちゃ遊んだし!
セ:そうだね。
雪:あー。そう!!ここ都市伝説にされてるよ。
セ:は?
雪:来てみたのも、これの様子見だったんだけど。セネの店だったってのは、さっき思い出したんだよねぇ。
セ:そう。
雪:ほらみて。看板のない不思議な店。店にはいったら最後。店主の罠が待ち構えている。蔓延している香りで動けなくなり、どこかへ売りさばく…怖さ星3。
セ:都市伝説のまとめブログ―か。
雪:あ、売りさばくとは、私は思ってないからね?
セ:売りさばこうか?
雪:遠慮しておきます!!
セ:相変わらず、そういう話好きなんだね
雪:あぁ…!うん、そうだねー。おすすめされたり。友達が教えてくれたりかなー。
セ:へぇー。
雪:世界にはまだ知らないことがあって。それを少しでも覗けたら、素敵じゃん?目に見えてるものだけじゃつまらない。世界が広いのは意味があるって信じてる!!
―重めの時計の音
セ:うーん。もっと話したいけど。学校…大丈夫?
雪:う、うわーーーー。こんな時間!?やっば!!
セ:とりあえず、これもってきな。
雪:なんかジャラジャラ音するね?
セ:中は見ないでね。ほら、遅刻するよー!
雪:ふぁーーー!!行ってきまーっす。またあとで来るからねー。
=雪、走って退店、そのまま登校していく。

=ハジカミ、ゆっくり裏から入ってくる。
ハ:行った? 
セ:行った行った。裏に隠れたままでてこないなんて。臆病者ー。
ハ:か、回路のところ!!みてきたんだよ。ほれ。要の石だけが割れてた。
セ:破壊は、そこだけ?
ハ:そこだけ。あとはまだ、きれいなもんだったぜ。
セ:構造わかってないと無理だね。
ハ:そうなるだろうな。
セ:代わりに置くにしても、コーティングしたほうがいいな…。
ハ:特有の臭いもなかった。って。さっきの奴のほうがすごかったぞ!!
セ:そう?
ハ:すげえ魔力だったぞ?あいつが壊したとか?
セ:普通の人間だから無理。
ハ:あの魔力量で!?冗談はよせ。まだビリビリする。あの香のおかげで壊れずに済んでるんだぞ。
セ:――来竹 雪だからじゃない?
ハ:キタケーーー!??おい!どこが普通だよ!!
セ:雪は自分の事を知らないから。普通の人間。ただ、岩花に連絡しないとね。接触しちゃったし。
ハ:俺が送っておく。
セ:うん、お願い。

―場面転換 セネヴィルの家部分 庭にて―
岩:水晶球で封じたはずの記憶がある…。しかし力をつかった痕跡と、銀鈴の反応はなかった。サーヤ、そっちは?
花:はい。警備隊の連絡もきました。…過去、セネヴィルが使用したと同時に、割れてしまった以外の欠損はなく。水晶球の中にも、封じた記憶と思わしきものはある。と―。何が起きているのでしょうか。姉様。
岩:うーん…。人間特有のものが動いているとしたら、今の私だけの知識では…。 結界のほうはどうでした?
花:結界は、一見老朽化に似ているものでした。ですが、これは浸食でしょう。いまハジカミとオリ達が調べを続けています。
岩:浸食か…。やれやれ…。お前は浸食されてないな?
花:はい、姉さま!
=花姫皇子、姉である岩姫皇子に向かって、ときめいている。

=ハジカミ戻ってくる
ハ:うーん。匂いが濃すぎる…。
岩:無事か?手がかりになりそうなものは?
ハ:臭いがすごくて個人特定にはなりそうにないっす。術式も、見たことないやつで…。
岩:瘴気は私が祓っておくか。清め祓え 八雲岩塩(やくもがんえん)
ハ:うっす。楽になったっす
岩:砂袋をしばらく持っとくとよい。他におかしくなりそうなところは?
ハ:いや、今のところは大丈夫ですね。
岩:うーん。ここ最近は静かだっただけに…。…!ちょっとまってくれ。
=岩姫皇子、花の姫皇子、周囲の声を聴いているように集中する。
ハ:なんだ?
花:―花たちもざわざわと噂をしています。姉さま。
岩:そうか。
セ:まぁ、何もないわけには…いかないだろうなぁ…
=痛そうな声をあげる
岩:どうした?
セ:いや、胃が…。
花:大変。ハジカミさん。
ハ:調合はもうしてます。
=ハジカミ、術で痛み止めの調合をはじめる。
岩:人は大変だな。弱い。脆い。
花:姉様!
岩:責めているのではない。
セ:大きな声で頭痛までなりそうだ…。
ハ:痛み止めできたぞ。ほれ。
セ:ありがと。
花:この間、お裾分けしたのではないのですね?
ハ:あれはちょっとー。なんていうかぁ…。
セ:なに。何渡されたの…。
ハ:知らない方がいい。
岩:まったく、人間好きなのに、知識がまるでないのはどうにかならんか…。
花:すみません…。日々勉強はしているのですが…。
セ:まぁ。気持ちはありがたくいただいておきますのでー。
花:そういえば、キタケの話を初めて聞いた時も、こんな会話していましたね。
セ:あー…。あの休みですね。
岩:あれ以来、会っていないのか?
セ:はい。記憶も封じているんで。もう会うことはないと思っていました。
花:私たちも、あの時は覚えています。
岩:キタケの力を間近で見た、最初で最後だとおもっていたが。
ハ:その雪が見せてくれたんですけど。都市伝説として、店が取り上げられてるのも、おかしな話だと思っています。
岩:どういうことだ?
セ:まだ、ぼんやりとした噂程度ですけどね。
ハ:これが、そのネット記事ですね。
=その場の全員が、顔をこわばらせる
花:これは、セネを疎む者たちの仕業ですか?
岩:いや、ちがうな。自分たちの店も危うくなるリスクは持たんだろう。
ハ:そうなんっすよね
岩:基本は、普通の家にみえているはずなんだろう?
セ:そのはずです。
岩:言霊に、文霊力か。この国ではとても強い力を持つからな…。
セ:しばらくは、こちらでやれることをやるしかない…でしょうね。ご協力ありがとうございました。
=セネヴィルが頭を下げると同時に、騒がしくなる
魔:うふふふふふ
雪:だすけでえええええええええええええええええ
魔:おおおおおおおおおおおおおおお
セ:本当、簡単にはいかないようで…。
岩:そのようだ…。
=セネヴィル達、店の前へと走る。
セ:サーヤ。ユーイ。あの頃のように!
花:…!わかりました。
=花弁となって風にのる
岩:では、店の前で!

―場面転換 セネヴィルの店―
雪:いやだあああああああああああ!!!!セネーーー!!!
セ:雪、そのまま入って!!
雪:ぬおおおおおお!!!
=雪すべりこむように、店内にはいる
=魔物は店内に入れないようだ
雪:はぁはぁ… 何なのあれ…!
セ:そこの裏から奥で隠れてて!!
雪:セネは?
セ:そろそろ警察がくるころだから、対応をする。
雪:そ…そうか~ぁ。安心したー…
=倒れこむように寝る雪のことを、花姫皇子の術式の花弁が包む。
花:睡眠作用の花の蜜のこと、覚えていたんですね。
セ:怪我しないようにするには、前例に頼るしかないですから…。
岩:魔物は、岩封じしてある。
セ:ありがとうございます。
=扉をあけて外に出る

―セネヴィルの店の外―
魔:ウグググ
セ:さて…。なんでお前がここにいる。先日、向こう側へ渡るための禊を終えたとこじゃないか。
魔:…。
セ:いっぱい憎悪を食べたなぁ。もう答える口も持たないか…。
=魔、じっとりとセネヴィルを見る こみあげてくる何か。
セ:お前がいるところではないだろう。今還してやる。
魔:セネ…ヴィ…
セ:…その前に、こびりついたものを落とさなくてはならないかな…
=魔 憎悪で力が強まる
岩:コイツ…。
セ:魔力回路安定 電気回路構築… 結(むすび)…
魔:セネヴィルめ!!!
セ:…?名前、教えてたか?
魔:お前のせいだ!!
セ:落ち着け。何を言ってるんだ?
魔:お前が、世界ヲ曲げるから!!
セ:人間であり道具屋なんだが―(遮られる)
魔:お前のせいだ お前のせいだ お前のせいだ お前のせいなんだよ!!
セ:聞く耳すらもたないか…。 昇華術 送り水流 開け 清めの花束
=キラキラとひかる水が花束状になり、魔を取り囲み、頭上に大きな花を咲かせ散る。
=魔 去る
=道にちらばる石をみやるセネヴィル。
セ:あぁ、手荷物を、ばらまきながら逃げたのか。
岩:それは、水晶球の欠片だな…。なるほど、捨てるわけにもいかず加工して…。
=水晶球の小さい欠片を足でふみつける。きえていく欠片たち
セ:あの日、砕けた水晶を加工しておいたのは、本当に保険だったんですけどね―。
花:キタケは、奥の部屋に運んでおきました。
岩:戻ろう。あまり外にいても。
岩:悲鳴を聞いて騒ぎにはなっているね…。
花:すみません…人除けは久しぶりで、手間取ってしまって…。
セ:本当に久しぶりですからね。仕方ないですよ。
岩:こうも騒ぎになってしまったが。どうするつもりだ?
セ:うーん。あ。いたいた。
=セネヴィル、小さい何かをつまんで見せる。
セ:あの魔族の核を汚していたのは、犯罪者の思念だったんですよね。
魔:タスケテ サムイ…。
花 アラマ。
岩:小さくなったなぁ…。
セ:これをコアに、人間にしかみえない絡繰りでもつくればいいでしょう。
花:ひぇっ。
ハ:南無南無…。
魔:(カタカタカタカタ)

―場面転換 翌日 セネの店―
セ:はい。どうぞ。
雪:警察の対応とかしてくれたんでしょう?ありがとうー。
セ:というか雪の引き寄せてしまう天性の才能が失われてなかったというか。
雪:私、そんなにかな?
セ:だとおもうけど?
―魔法調律の音
雪:そういえば、あの御守り。間違って投げつけちゃったんだよ。大丈夫だった?
セ:あれ、高いけど。それを、なげつけたってかー。
雪:いくら?
セ:4万くらい。
雪:うそ、そんなにするの!?え?まだ仕事きまってなくて、手持ちないんだけど!?
セ:払わなくていいよ。あげたものだし。
―魔法調律の音
>>雪はスマホをとりだす。
雪:情報系も、間違えてたみたいで、ほとんど消えて、よかったね。
セ:ついでに、通報作業もしただけだよ。
雪:容赦ないねぇ。
セ:商売に支障がでる。
雪:まぁ、そうだね。…このお店さ
セ:ん?
雪:看板ないじゃん?メニューとかもないじゃん?だから変な噂たてられるんじゃない?
セ:メニューないのは食堂じゃないからだし。万人向けの店じゃないからなー…。
雪:何言ってるの!今時美容室や、整骨院でさえメニュー出してるよ!!
セ:まじか…。
雪:何売ってるの?
セ:魔法道具
雪:魔法道具?…ふざけてる?
セ:めちゃくちゃ正直なんだけど…。
雪:もう。ちゃんと心配してるのに!!
セ:いやいや…。
雪:まだいうかー!よ~し。私が看板をつくってあげよう!!
セ:いいよ…そんな看板つくったって… 名前だってないんだし。
雪:そんなんだから、変なお店扱いされるんだよ?この店は!
セ:うー…
雪:トロピカル?クラシック?王道?うーーーん。
セ:いや、材料ないからね?ここにあるの全部商品だから。
雪:ここの木は?
セ:あぁ、これから加工する材料だね…。
雪:じゃあ、こっち!!端材ってある!!道具ある?…あるじゃん。アクリル絵の具に、墨!!お!!レジンやクレイもあるじゃん!!彫刻刀もあるから、全力でつくっちゃうもんねー!!
セ:ハジカミ…こそこそと…!!!
ハ:ふひひひ。
雪:ん?
セ:いや?店名とかどうするんのよ。
雪:『あやしい専門店』とかどう?
セ:…店名になるの…?
雪:なんないねぇ。

=2人笑い フェードアウト

==============ep1 Fin================

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