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魔女のすゝめ 台本version Ⅲ

声劇用台本 魔女のすゝめ 1話Ⅱ
登場人物>
清海瑠璃 =瑠璃(きよみ るり)
デイ =デイ
松本月佳 =月佳(まつもと つきか)
店員=指定なし

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補足> 瑠璃は女性。 デイは男性。 で考えてあります。
月佳、セネヴィルに関しては、基本女性で考えていますが
男性にかえてもOK
(目安時間 15分以上)

©猫寝来緋伽
猫寝来緋伽(@NenekiHitogi) / X (twitter.com)

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―ハッピーバースデ Ⅲー―

デイ 「あぁー…月佳もそっちのほうか?」
瑠璃 「そっちって、なに?」
セネ 「私が、嫌われているので」
瑠璃 「え?」
セネ 「この店と、私が。嫌われているので」
瑠璃 「えーっと…?」
セネ 「すみません、自己紹介がおくれました。
    この店で、道具屋をやっています。
    セネヴィル・アリスン・フィーロビッシャーと申します。
    どうぞ、セネヴィルと呼んでください」
=セネヴィル、と名乗った少女はしなやかで強く。礼儀正しく挨拶をした。

瑠璃 「あ!はい!はじめまして。瑠璃です。嫌われてるって言うのは…」
セネ 「そのまんまです。理由は、専門店ではないからですね。
   道具屋には、どこの専門か分かれる暗黙のルールがあるのですが。
   私の店には区分なく必要なものから、
   必要であろう、良いものを置きます」
瑠璃 「それってそんなに、いけないことなんですか?」
セネ 「いけないことだそうです」
月佳 「店の手配できたから、店を変えるよ」
=月佳の手を握り返して、止める。
瑠璃 「月佳!私は、ここで全部揃える!!」
月佳 「言うと思った…」
セネ 「いいんですか?」
デイ 「まぁ、本人が言ってるから…。商品をみせてください」
=セネヴィル、道具をやさしくならべていく。
月佳 「すご…珍しいのもある」
セネ 「こちらの方が扱いやすいかもと思ったので」
月佳 「性能が暴走しそうだけど」
セネ 「初期調整済みです」
月佳 「その歳ですごいことするね…」
セネ 「道具屋なので、これしかできないです」
瑠璃 「すごい綺麗だねー!!杖は?」
セネ 「杖は、こちらですね」
=しなやかさのない、どっしりと、しっかりとした杖。
=手にもつには、すこしごつい印象がする。
デイ 「月佳のしなやかな杖とは、真逆だな」
月佳 「…しょぼくれた?」
瑠璃 「もうちょっとカッコ良いものが来ると思った…」
セネ 「今回、担当してくれた杖職人の方から、お手紙をお預かりしています。
    珍しいですね。この人無口なんですけど…」
手紙―『今回の杖の持ち主さんへ。
   ここ最近は、特殊な形の杖も多かったが…。
   久しぶりにいい仕事をさせてもらえた気がする。ありがとう』―
瑠璃 「いい仕事。ふへへ…」
デイ 「よかったな。瑠璃」
瑠璃 「ん…?この写真。お友達?」
セネ 「はい…」
=セネヴィルは、やさしく微笑むと写真を伏せる。
=照れているのか、喧嘩でもしているのかもしれないと瑠璃はおもい。
=月佳とデイは、苦そうな顔をする。

月佳 「その子が有名な?」
セネ 「…そうです」
瑠璃 「有名人なの?すごいね。タレントさんとかモデルさん?」
月佳 「その子の力が有名なの。悪い方にね」
瑠璃 「悪い…?」
セネ 「お飲み物お持ちしますね」
=セネヴィル、ゆっくりと奥に消えていく。

デイ 「月佳、なにもダチの前で話をしようとしなくてもいいだろうよ?」
月佳 「セネちゃんは、そういうの承知の上でやってんでしょう?」
デイ 「本人から聞いたことないけどな」
瑠璃 「ごめん。聞くことじゃないかもしれないけど、聞いてもいい?」
=月佳はデイと目を合わせて、ゆっくりと説明しはじめた。
=(時間がすこし経過)

月佳 「-つまり、その力が暴走しないように、見張り役をやってて…」
デイ 「もしものときは―」
瑠璃 「そんなの辛すぎるって…!」
月佳 「だから連れてきたくなかったんだって!!!
    瑠璃はこういうのに首つっこむじゃん!!」
瑠璃 「…」
=セネヴィル、奥からお茶とお菓子。そして小包をもってでてくる。
セネ 「だいじょうぶですよ。私たちのことで喧嘩はやめてください。
    落ち着くお茶にしました。
    口当たりもいいとおもいますのでよかったら」
瑠璃 「ごめん…」
セネ 「友達だから、できることをするだけですよ。
    私は、道具屋で、雪は、人間で。運がよかったと思ってます」
=セネヴィル。お茶を含んで、ゆっくり言葉を紡いでいく
セネ 「どこか知らないところで
    起きることのほうが、よっぽど怖いですよ。
   その時何もできないのは…」
=瑠璃の気持ち(読んでも読まなくても OK)
瑠璃「同じ気持ちを知っている。
   ついさっきまで、知らなかった、私の近しい人の話を思い出す。
   笑ってたお婆ちゃん。
   猫として死んで、使い魔として帰ってきたデイ。
   月佳とは、大人になったから距離ができていたとおもっていた。
   でも、そうじゃなかった。
   デイはいってた。
   『人間界だけの枠組みではおさまらないことも出てくる』と。
   私が何の考えもなしに生きていってしまっていたら。
   セネちゃんのようなどうしようもできないことが月佳に起きたら
   今のままの私じゃどうしようもできなかったかもしれない
   それを私は知らないままだったとしたら…」
デイ 「うぐ…。瑠璃、泣いてるのか?」
瑠璃 「ないて…うー…」
セネ 「さて。これで全部です。他に何かありますか?」
=セネヴィルは、特別にと大きなカバンを用意して
=瑠璃のこれからの生活に、必要になるものをすべて詰め込んだ。
=そして、包の中から小さなケーキと花束をだした。
セネ 「ハッピーバースデー。これからよろしくお願いします」
瑠璃 『そのあと、みんなで小さなお茶会をした。
    久しぶりのパーティーは、久しぶりにとても暖かかった。
    その後にセネちゃんの身に起きたことを考えると、
    どうしようもない気持ちになるけれど…
    あの時は、本当にあたたかい。それだけを感じていた』

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