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施設長に聞く!みんなのこども部屋ってどんなところ?

こんにちは。プロボノメンバーの水口です。
私たちは、能登半島地震の発災当初から子どもたちの居場所づくりに取り組んできました。
そのうちの1つが「みんなのこども部屋」です。

みんなのこども部屋は、震災により避難生活を余儀なくされている子どもたちや親御さんが、安心して過ごせる居場所として開設。
2次避難先として避難者を受け入れてきたホテル「LINNAS KAZAWA」のスペースをお借りして、1月10日から活動してきました。

今回は施設長のくりりんさんに、みんなのこども部屋を運営してきた想いや、利用する子どもたちの様子、今後の活動について伺います。

施設長のくりりんさん

2次避難している子どもたちのための居場所

LINNAS KANAZAWAのスペースをお借りして開設した「みんなのこども部屋」

――「みんなのこども部屋」はどのような場所ですか?

くりりん:みんなのこども部屋は、能登半島地震で金沢へ2次避難している子どもたちのための居場所として開放しているスペースです。
2次避難者を受け入れているホテルのスペースをお借りして、幼児を中心に0〜18歳までの子どもたちを対象としています。
また保育士が常駐しており、幼児の一時預かりにも対応しています。

みんなのこども部屋の特徴は、子どもたちが自由に過ごせることです。
利用する子どもたちが、その日やりたいことや遊びたいことに自由に取り組めるよう、スタッフがサポートするようにしています。
そのためここでは決まったプログラムはありません。

子どもたちは地震のために日常生活とは異なる環境で過ごしています。
ですが、ここではできるだけ日常に近づけて、本来子どもたちが経験するようなイベントなどは、できるだけ経験できるようにしています。

加えてみんなのこども部屋にはもう1つ大切な役割があります。
それは親御さんへの支援です。
発災後間もない時期から、慣れない土地で子どもたちを連れて避難してきています。
目先の収入も将来の生活再建も不透明ななか、親御さんご自身も不安を抱えてながら暮らしています。

そのようななか、親御さん自身も孤立する可能性があるのです。
パートナーの一方が震災復興のために能登で単身赴任し、もう一方は子どもたちと安全な金沢市内に避難している。
こうしたケースも珍しくありません。
子どもたちへの居場所として開放することで、スタッフや他の親御さんとコミュニケーションができ、親御さんのケアにもつながるのです。

環境変化が続くなか継続して子どもたちへのケアが必要

傘を使ったおもちゃもスタッフのアイデアで実現

――震災後の子どもたちの様子はどうですか?

くりりん:当初は慣れない環境への不安からか、大人しめの室内遊びをしている子が多い印象でした。
そこから徐々に生活に慣れてくると、それまでの分を取り返すように元気に遊んでもらえるようになりました。

子どもたちにできるだけ安心してもらえるよう、スタッフもできるだけ同じメンバーが対応し、子どもたちが信頼を置いている方を中心にアサインするようにしています。

そうしたなか、4月になって新年度を迎えたタイミングで、避難先の学校や保育所に通い始めた子どもたちも多くいます。
子どもたちは地震や避難といった状況がわからないなかで、新しい環境に不安を抱いているようでした。
ただ学校に行き始めると楽しく過ごしているようで、「今日は友達ができたよ」「こんなことがあったよ」と嬉しそうに話してくれます。

今後は「みなし仮設」への移行もはじまるので、生活がさらに変わっていくでしょう。
2次避難先のホテルからみなし仮設住宅へと入居することで、ここで仲良くなった子どもたちは、また離ればなれになってしまいます。

これまでごはんも一緒に食べてきたお友達や、ようやく慣れてきた場所からも離れ、また新しい環境に身を移さねばならず、不安定になりかねません。
ですから、これからも継続して子どもたちへのケアに取り組む必要があります。

日常なら経験するイベントはできるだけ取り組む

この日はひなまつり。お内裏さまとおひなさまの格好で記念撮影

――イベントや企画なども積極的に行っていると聞きました。

くりりん:保育士をしているメンバーが季節の行事に合わせて、さまざまな企画を用意しています。
ここには寄付されたおもちゃもありますが、同じものしかないので子どもたちも飽きてしまいがちです。
とはいえ、子どもたちがやりたいことを直接言ってくれることは多くありません。

なのでスタッフが子どもたちの様子を見ながら提案するようにしています。
企画をやるとメリハリができて子どもたちも楽しめますし、みんなで楽しめるように工夫しています。

先日は、みんなで近所のプレイグラウンドに遊びに行きました。
親御さんが連れて行くこともありますが、みんなで行くことで親御さんも子どもたちを預けて、買い物や一息つく時間を持つことができます。
親御さんも先行きの見えないなかでストレスがかかっていますから、親御さんのケアやリフレッシュになる時間をつくることも大切です。

――子どもたちと接する上で、大切にされていることはありますか?

くりりん:地震当初の子どもたちはよく地震ごっこをしていたんですね。
地震の再現をして遊ぶことで、トラウマを乗り越えようとするものです。
普段はこちらから地震のことは触れないようにしていますが、そういう時には「みんな助かってよかったね」というように、悲しい終わり方にならないようにだけ気をつけていました。

それ以外はとくに意識していません。
一緒に時間を過ごして、ふつうに接してあげられるようにしていますね。

企画や遊びに関しては、その時いるメンバーみんなでアイデアを出し合うようにしています。
毎日メンバーも変わりますから「〇〇さんがいないからできない」というような、誰か一人に頼る形にならないように、できることに取り組むようにしています。

今後は避難先に出向き、出張こども部屋として継続したい

4月20日にはプレイカーイベントを玉川公園で実施。約40組の親子がひとときを過ごした。

――今後の活動についてお聞かせください。

くりりん:4月後半からは2次避難からみなし仮設への移行が進み、みなさんの住まいもあちこちに散らばってしまいます。
ですので、常設のみんなのこども部屋は閉館します。

5月以降は、土日を中心に場所をお借りして、出張型の「こども部屋」を継続する予定です。
子どもたちが移り住んだ地域に私たちから出向き、プレイパークやイベントを開催して、みんなに楽しんでもらえるようにしたいです。

今回の震災で子どもたちが金沢に住むことになったことは、ある意味チャンスだと捉えています。
なので金沢だからこそできる体験や出会いを通して、将来的に能登と金沢とを行き来できる関係を築いていけたらと思いますね。

ふらっと立ち寄って遊んでお茶飲んで話して、自由に過ごしてほしい

この日はみんなでおでかけして、お花見をしました!

――最後に一言メッセージをお願いします。

くりりん:みんなのこども部屋は、ゆったりできる場所です。
ふらっと立ち寄って遊んだり、お茶を飲んだり、話したくなったら話したり、と自由に過ごしていただけます。
これからもスポット的に続けていきますので、ぜひ気軽に遊びに来てください。

(取材日:2024/04/10)
ライター:水口

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