ユースワークに対する思いを知る。理事・施設長インタビュー
こんにちは!大学生スタッフのゆきです。
第3職員室では、被災したこどもたちの居場所支援を行うにあたって、2024年1月から新しく複数のボランティアスタッフ、プロボノが活動を始めました。
人によって関わり方は様々。
現地で活動を行うスタッフもいれば、オンライン中心に活動を行うスタッフも多くいました。
こうした活動の中で、「そもそもユースワークって何をすることを指すの?」「施設長ってどんな人?」そんな疑問がスタッフから上がってきました。
そこで、5月に「ユースワーク」について、第3職員室理事の仁志出さん、被災したこどもたちを支援する施設「ユースのリビング」現施設長の高山さんのお二方に、インタビューを行いました!
今回は一部内容を抜粋してお届けします。
自己紹介
ーまず最初に、お二人に自己紹介をお願いしてもいいでしょうか。
【仁志出さん】
一般社団法人第3職員室の理事、兼ユースワーク事業の責任者をしています、仁志出 憲聖(にしで けんせい)です。
株式会社ガクトラボという会社の経営もしていて、金沢を拠点に、大学生や若者と地域や企業をつなぎ、プロジェクトの創出を行っています。
最近はユースたちの影響を受けて、ダーツが趣味になりかけています(笑)。よろしくお願いします!
【高山さん】
同じく第3職員室の高山 大生(たかやま たいき)です。
ユースのリビングの施設長、ユースセンター金沢 ジュウバコという場所の副センター長をしています。
その傍ら、仁志出が経営しているガクトラボでも仕事をしています。
仁志出と自己紹介ほぼ一緒です(笑)。
最近は引っ越しをしたので、インテリア探しが趣味です。よろしくお願いします。
1.ユースワークをはじめたきっかけ
心を動かすきっかけを作る、ユースワーク
ーユースワークを始めることになったきっかけを教えていただけますか。
【仁志出さん】
学生時代に、自分はこのままでいいのか違和感を感じたのがきっかけです。
僕は大学院に通っていたんですけど、地域でいろんなことに挑戦したいという思いから、外に飛び出してたくさんのことに関わっていました。
そうしているうちに、「学生や若い人が地域に出て行って、誰かと繋がったり、自分のやりたいことに挑戦したり、居心地がいい場所を見つけたりするのってすごく大事だな」って。
ーそれはなぜですか。
【仁志出さん】
その時の経験が将来に与える影響ってやっぱりすごく大きいと思うんです。
別に大きい話ではなくても、人間関係の悩みの相談に乗ってくれる大人とか、雑談しながら自分のやりたいことを振り返ったり、とか。
そうした会話が自分の人生を自分らしく生きることにもつながるんじゃないのかな?って感じて。
それがきっかけで「金沢学生のまち市民交流館」という施設のコーディネーターとして、ユースワーク的な関わりを始めました。
ー高山さんは、どのタイミングでしたか。
【高山さん】
僕、最初はユースワークを受けていた側なんです。それも仁志出の(笑)。
当時は「金沢学生のまち市民交流館」に入りびたっていました。
そんな中で、まちに出て社会人と話すことや、単純に自分の知らない場所に飛び込む楽しさを感じて、自分でイベントを企画したり、いろんな体験をさせてもらいました。
ーじゃあそのまま第3職員室に就職を。
【高山さん】
違うんです。実は最初はメーカーに就職したんですよ。
工学部にいたので、ものづくりが好きで。
でも、仕事をしていく中で、大学生の時のあの触れ合いが自分を成長させてくれていたし、心が大きく動いた瞬間だったなっていうのに気づいたんです。
だからこそ、自分がしてもらっていたユースワークってものを、もっと広げていけたらいいなという思いで戻ってきました。
2.ユースワーク活動の意義
学校でも、家でもない、第三の居場所
ーお二人が今行っている「ユースワーク」という事業の価値はどこにあると思いますか。
【仁志出さん】
ユースワークは、若者のインフォーマルな教育、余暇活動の支援、個人的・社会的な成長・エンパワーメントや社会的包摂、とか、いろんな言葉で表現されていると思うんです。
じゃあ結局何?ってなりそうなんですが、明確な答えは別になくて。
いろんな子がいるし、いろんな関わり方があるし、時代と共に課題もかわる。
僕たちの活動でいえば、学校と家以外の第三の機会や居場所、つながりの選択肢として存在したいし、それによって、若者の人生が面白くなる機会と成長を、と考えてます。
ー高山さんはご自身の経験も踏まえて、どうですか。
【高山さん】
広い考え方は仁志出と似ていて、居場所という点だと思います。
ユースからよく言われるのは、「自分が悩んでいる小さなことを、ここまで真剣に聞いてくれる大人がいると思わなかった。」っていうセリフなんです。
つまり、ユースは日々親や先生と関わっているわけですが、それぞれに対して話せることもあれば反対に話せないこともあると思うんですよ。
だから、ユースが「ここだと素直にいられる」とか、「ここは自分の素が出せる場所だ」と思える場所や人が傍にいることが価値になってくるのかな、と考えています。
3.復興支援に携わるきっかけ
助け合いが必要な復興支援
ーこうしたユースワークへの思いがあった中で、復興支援という部分に携わることにしたきっかけは何かありますか。
【仁志出さん】
きっかけになったのは、東日本大震災ですね。
学生だった当時の僕は、地震の後にすごく無力感を感じていたんです。
募金活動とかはしましたけど、逆に言うと、当時はそれしか僕にできることがなかった。
でも現地では、発災直後から、民間企業やNPOが素早く、細かいニーズを拾って動いていたことを知ったんです。
東北では、いろんなニーズを満たすためのいろんなリーダーがいたことを知って、その時に、自分も今後何かが起きたらそれをやれる人になろう、と決めていました。
ータイミングがあったらすぐに動ける状態にしていたんですか。
【仁志出さん】
そうですね。自分の近くの能登で地震が起きたと知ってすぐ、今まで培ってきた強み・実績・ネットワークを生かして何でもやろうと考えました。
1月2日からいろんな人と連絡を取り始めて、3日に打ち合わせをして、4日に最初の場所として、七尾の居場所の立ち上げ協力をしました。
金沢の居場所も1月中に10日から順次3か所開設できたので、最初からレディーの状態は作り上げられていたかな、と思います。
ーそんな思いをもって実際にオープンされているわけですが「現状と今後」を聞いても良いですか。
【仁志出さん】
金沢には2次避難、広域避難で来ている子が多かったんですが、5月になって、住んでいた場所に戻っていったり、離れたみなし仮設住宅に移り住む子も多いです。
元々いた場所に戻っているからいいんじゃないの、って思われがちなんですけど、その裏で運動場に仮設住宅ができるから部活ができなかったり、分断・孤立のリスクがある状況は続いているんですよね。
だからこそ、引き続きユースの悩みに真剣に寄り添い続けることが大事だと思っています。
プラスで、その子が今打ち込める何かがあるともっといいなと思います。
ユースのリビングではやっているダーツを含め、できるだけ多様な機会とか居場所を届けたいですね。
ー高山さんは復興支援に携わるきっかけなどはありましたか。
【高山さん】
僕の場合、ジュウバコの立ち上げを経験したのが大きかったかな、と思います。
立ち上げは本当に大変で、地域の方とか企業さんにすごく協力していただいて、ようやく完成した場所なんです。
そうやって支えてもらった経験があるからこそ、地震が起きた時には、次は自分が恩返しする番だ、と考えて活動を始めました。
正直自分が動いたとしても出来ることはちっぽけなんじゃないかな、という思いもありましたが、
それでも自分にできることは何でもやろう、と求められる場所に飛び込んでやれることをやってきましたね。
ー高山さんは施設長としてユースと関わる機会も多いですが、現状や今後という点では何かありますか。
【高山さん】
ユースが前向きでいられる時間があるといいな、と思っています。
例えばイベントの企画を一緒にした中高生が、イベント後に「楽しかった」と言ってくれたり、親御さんが「今日ミーティングあるんだよね、って毎週偉そうな顔をしてリビングに行くのが嬉しいです」とか言ってくださったりもしていて。
地震が起きたこと自体は幸せだとは言えないけど、そんな大きなマイナスの中にプラスの経験を積み重ねていって、5年後に振り返ったときにあの時間があってよかった、って言ってもらえるような場所や経験を作りたいなって思います。
さいごに
このインタビューを通じて、お二人のことについて知ることができただけではなく、もともと自分に馴染みのなかったユースワークという活動についてより深い理解ができたように感じます。
私個人としては、ユースワークに答えがないというのは、難しくもありますが、その分自分が楽しめることをやればいいんだな、と考えるきっかけにもなりました!
第3職員室では引き続き、能登にゆかりのある子どもたちをはじめとしたユースの支援活動を行っています。
活動の応援やご支援をいただけますと幸いです。
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