やさしい世界の端っこ

インターネット老人的な経験則では「一定量・数は仕方がない」ということは分かっているのですが、長期的に気になっていることがあるので、一休さんのとんちのように綺麗な解決法があれば教えて欲しいというポエムです。


「虎の赤ちゃんは人を噛んでこないので抱っこできる」というのを聞いたことがある人はいるだろうか?

実際のところは安全だのそうでないだの、そもそもそういう扱いは動物虐待的な観点でよくないだのいろいろあるっぽいが、催しモノとして実在することは確かなようだ。

これを元にした話が「王様はロバ〜はったり帝国の逆襲〜」、通称「王ロバ」というジャンプのギャグ漫画にあって、「生まれたての赤ちゃん虎を人が行列して順番に抱いてまわってると、そのうち虎が成長して赤ちゃんじゃなくなるから突然噛まれる」というようなネタだ。

1人目の抱っこ、生まれたばかりで噛まれない

N人目の抱っこ、まだ赤ちゃんなので噛まれない
N+1人目の抱っこ、赤ちゃんじゃなくなったのでここで噛まれる

前フリから話は飛ぶが、VTuberな文脈で、多様性がお互いに認められており、それぞれ好きな生き方ができる世界のことを「やさしい世界」と呼ぶことがあり、うちのサービスでもたまに使われる。(実のところ、本エントリに記載したようなもやもやしてる持論があるので僕はそんなに好きな言葉ではない)

利害関係が別のところにあったり、共通の目標があったりするからだが、ゼロサムな競争が必須でないコミュニティに所属する人同士では、大多数の人間は通常仲良くしようとする力学が働く。仲が良くて基本損することがないVの世界では、みんな仲良しになろうとすることになる。

一方で、コンテンツの世界では面白いことと公序良俗に反しないことはイコールではないので、どうしても「あるサービスの基準としては許容されない」スタイルの程度問題があり、もう少し具体例で言うと規約に違反したらBANされることになる。

本当に真に法律を守らない人だったり、破壊者であれば仲良くなるメリットは皆無なので独立したチェインが排除されるだけなのだが、前述した「人はお互いに仲良くなろうとする」力学により、仲良し同士のチェインは、数の近い遠いはあれど、伸びるたびにどこかで端っこがコミュニティから退場させられる確率があがっていくことになる。

遵法者から徐々に自由人になっていくチェインがあった際に、「どこから、誰から、虎に噛まれる」のだろうか?

そして、実際に衝突や排除が発生すると、やさしい世界に端っこが登場して、スタイルの近しい、チェインの近い人から恐慌が伝播してしまうのだ。

これがとても辛い。

対策としては、ビジネス的観点でも、マインド的観点どちらでも分散してリスクヘッジするのが基本で、単一価値観に裏切られて魂が死ぬのを避けるために、できるだけ複数のサービス、複数種のチェインを繋げるのが有効だと思う。

とはいえ、割り切って管理するのは難しいので、一番お気に入りのチェインを太く長く育ててしまうことに実態はなりがちだ。

コンテンツとして端を歩くスタイルを選ぶこと自体は本人の自由だとは思うけど、そのチェインが自分の仲の良い人達を巻き込んで世界の端から連鎖して落ちていく恐怖の原因にならないように、どうかみんな清楚に踏みとどまってほしいとずっと思っているし、実のところそれなりの頻度で泣いている。

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