場づくりと個との関係性(無くなる、前提のスペースで考えたこと)
はじめまして。
わたしは、沖縄県那覇市でコワーキングスペースとイベントスペースを構える「おきなわダイアログ(Okinawa Dialog)」の管理人を務めている水澤陽介と申します。
2018年12月1月から、コワーキングスペース運営者がリレー方式で更新する「コワーキングスペース運営者限定アドベントカレンダー Advent Calendar 2018」にて、コワーキングスペースひらばの岡田大誠さんからバトンをお預かりしました。
コワーキングスペースでは珍しい、期間限定(2017年10月から2019年9月予定)で運営するなかで、期間限定だからこそ振り切っている姿と経緯を中心をお伝えします。
*あくまでも、個人の思いであるためご理解をいただければと思います。
自己紹介
わたしは、2013年に東京から沖縄へと移住しました。もともと、新潟生まれで在りながら寒いのは苦手。そのため、日本で最も暖かい沖縄で暮らす選択をしました。(なんと、那覇市では12月16日の今日、気温23度も上昇し、気持ちいい気候に恵まれています)
過去を省略し、これまでの沖縄での暮らしに焦点をあてさせてもらいますと、フリーランスとして取材とライティング(たまに撮影)をメインに、執筆させて頂きました。その他、PR会社にお世話になったり、ペチャクチャナイト宜野湾に関わらせて頂いたり、牧志商店街の水上店舗内で場づくりを楽しんだり。
そんななかで、おきなわダイアログで管理人を務めるに至った経緯としては意外なものでした。
ペチャクチャナイト宜野湾で出会ったカラクリワークス株式の後原宏行さん(おきなわダイアログの運営会社)からオープン1ヶ月前に、「コミュニティマネージャー、いける?」と聞かれました。
正直、何を言っているのか、よくわからなかったのですが。
コミュニティマネージャーはよくわからないが、後原さんが言うことならいいかな、と。そんなひょうな出会いからおきなわダイアログ管理人としてスタートしました。
#期間限定とは (前提)
期間限定のコワーキングスペースとはなに?と聞き慣れないかたもいるかと思いますので、前提からお伝えします。
おきなわダイアログとは、もともと2017年10月から2019年1月まで運営して、クローズしよう、と。そのぶん、那覇市のど真ん中で「カルチャー」をテーマに、様々な対話を生みながらクリエイティブを生み出そう。そんな実験的な場です。
現在、好評に頂き、日程の延長のおはなしをもらいました。2019年9月まで継続することとなり、皆さんのおかげです、ありがとうございます。
期間限定の場づくりでは、短距離走のようにゴール設定がしやすく、なんでもできる分、中長期でご利用したいひとにとって使いにくい、コミュニティ形成がしにくい点があったりすることが運営するうえでわかりました。
#場づくりとして “個”を立たせようと考えたわけ(2017年10月〜2018年4月)
さて、ようやく本題へと進みます。
こうした機会を頂くにあたり、おきなわダイアログが辿ってきた道のりと共に、これから場づくりを志すひとたちに向けて、すこしでもヒントとなることをお届けしたい。
そこで、「場づくりと個との関係性」がとても重要になってくると思います。まず、個人で感じる「沖縄とコワーキングスペースの関係性」をまとめていきます。
沖縄とコワーキングスペースの関係性
・カフェ文化が根強い(お仕事はコワーキングスペースでなくともいい)
・ご利用するひとはそう多くない(アーリーアダプターはいっしょ)
・みんな、忙しい(沖縄に住むかたも勤勉なかたが多い)
・ハード・ソフトで差別化がむずかしい
・料金の価格設定(みんな、安すぎない?)
・移動コスト(車社会での駐車場問題)
東京や名古屋などの首都圏以外の地方でも関係性は一緒だと思います(「コワーキングスペースから時代を変える 〜広島×名古屋×三重×岐阜×金沢×東京×沖縄etc.」にて情報交換しました)
では、どうすべきかと考えたとき、“個”にフォーカスすることでした。それは、パイを奪い合うのではなく、パイを広げられるように。
例えば、那覇市には約30万人が居住していると言われているなかで、その10パーセントが関わりしろがあると感じてもらえる場にしよう。
はじめに行なったのが「曜日店長」制度でした。
泡盛、写真、伝統芸能、ファッション、海洋と曜日ごとにスタッフたちがお店の顔になってもらうことで、いままでコワーキングスペースを知らないひとにも混ざり合ったカルチャーを生み出すことで、訴求できるのではないかと、ご興味を持ってもらうことからはじめていったのです。
#個を立たせたい思いと収益のバランスについて (2018年4月〜10月)
曜日店長制度は、「おもしろい制度だね」と沖縄県内のメディアさんにも取り上げて頂きましたが、店舗の収益とは直結せず。わたしなりに、店長制度に手応えを感じつつも、力不足もあり、収束せざるおえませんでした。
*現在は、月曜日と木曜日で継続中。
とはいえ、企業型の場づくりでは曜日店長制度に変わる仕組みをつくっていかないといけません。
次に、おきなわダイアログとして「企画特化型」へと進んでいきます。具体的に、週3・4日のペースで勉強会やトークイベントなどを、ご協力してくださるかたと実施しました。
とくに、個人で「めっちゃ、やるぞ!」とエンジンをかけた5月では、企画の数(貸切をふくめ)が20つを超え、「面白い企画といえばおきなわダイアログ」と認知していただくまでに成長したと思います。
*企画特化型で半年間続けてみて、メリットとデメリットと感じるところがありましたので、以下にまとめています。
企画特化型のメリット
・収益が安定しやすい
・さまざまなひととの接点をつくることができる
・来て下さなくても、名前は聞いたことがあると言って頂く機会が増えた
デメリット
・体力との勝負になる(気合いと根性の世界となる)
・コワーキング利用者との折り合いがつかなくなる(純粋に仕事をしたいひとには関係がないため)
・イベント一つひとつの質を高めないといけない
場づくりしているひとは、運営するひとたちによって、カラーが異なってきますよね。言い換えれば何でもできる、だれともいっしょに企画ができるからこそ、本当に体力勝負でもありました。
#個が共創したいと思える場づくりへ (2018年11月〜)
おきなわダイアログが2019年1月から9月へと期間を延長するにあたり、企画特化型スペースでは、とくにわたしの体力が尽きそうになったため、改めて方向性を変えるようと進み出しました。
曜日店長として残ってくれたメンバーたちと共に、「個が共創したい」と思える場づくりへ。
前段であげたとおり、ハードとソフトで差別化できないのならば、個を立たせていくしかありません。
なぜ、そう思えたのは場をつくるひとたちにも、個を立たせることで、これから還元される仕組みが生まれるんじゃないかと勝手ながら思う。
昨今、クリエイターへきちんと報酬をあげようと動きが見られるように、こうしたひとたちを支援するひとたちにも、価値を認められ、支払われる流れが生まれてほしいわけです。
そのためには、「コワーキングスペース=場貸し」のイメージを払拭するしかないといまのところ思うわけです。その施策を日々模索しながらアクションしていくしかないかなと。
だからこそ、わたしはスタッフとして関わってくれるかたにも、ここで企画をいっしょに関わってくれるかたにも作ってくれるためにも、そしてこれから場づくりをしてみたいひとにも、可能性のひとつとして提供できるように、共創という動きを広めていきたいと思います。
共創プロジェクトは、12月から動き出していますので、公表できるタイミングでお伝えします。
とくに言いたかったことは、場づくりをするかたにも幸あれ、そしてぜったい倒れないようにがんばっていきましょう。
*地方では、管理人が無理しすぎて、倒れてしまう事例を聞きます。ネガティブイメージが生まれ、つぎに繋がりにくいためです。
しっかりと収益をあげながら、健康的に過ごしていきましょう。
長くなりましたが、お付き合い頂き、ありがとうございました。
おきなわダイアログとは
http://okinawadialog.com/