2006年頃に書いた、これからの未来


これからの未来


フラット化する世界


フラット化する世界
トーマス・フリードマン 著

これから書き記す事は、10年後20年後も色あせない内容になる事を意識している。決してこれは小さなトレンドではない。


我々日本人がバブル後遺症に苦しむ間、世界には何が起こっていたのだろうか?貴方はご存知だろうか?

世界中では高度成長期が始まっていたのだ。めまぐるしく成長をし続けるインドや中国が注目されてきた。しかし、実際にはインドや中国だけの話ではないのだ。

マレーシアやインドネシア、シンガポール、アイルランド、トルコ、ケニア、ナイジェリア等など

これらの国々はかつての日本のような高度経済成長期を迎えていた。

率にして4%~10%。先進国の経済成長率は2%~3%。日本の経済成長率は2%。


20年以上前に東南アジアを旅行した事のある方なら、この話は実感が得られるはずだ。今のアジア都市は東京と大差なくなっている。


何故このような事が起こったのだろうか?


加速する裁定取引

能力の輪を超えてしまったマルクス
ソビエト連邦は崩壊し、中国は事実上資本主義の体制に組み込まれた。これにより世界各地では設計主義思想に囚われた共産主義は、事実上の終焉を迎えた。これにより自由な経済活動が行われる土壌が出来た。裁定取引は活発化する土壌が出来上がった。


そして革命的な技術であるインターネットが2000年を境に急速に広がっていった。インターネットは、裁定取引の速度を加速させ、そして先進国の情報を途上国に届ける役割を果たした。


皆が知っている100$パソコンや、ウィキペディア、グーグル、AMAZONドットコム、各地のブロガーやメディアなどを通して専門的と思われる知識や先進国ではごく当たり前と思われる情報を、ネパールの山奥の少年が知る事が可能となる社会がやってきたのだ。


インターネットに接続していれば、先進国経済圏と接する事が出来る世界がやってきたのだ。日本人相手に100円でも稼ぐ事が出来れば、その国では一日生活が出来るかもしれない。1000円でも稼ぐ事が出来れば、それは大金となる。そしてそれは現実となっている。

自由な資本の移動


E-Trade証券や楽天証券あるいは、アメリトレードなど各種の証券会社を通して世界に自由に投資できる環境が整った。英語さえ出来れば、世界中の投資情報が手に入る時代になった。


また日本の会社もかつてなら、電話線でしかやり取りできなかった情報が、インターネットのインフラを活用する事で途上国各地で連絡を取り合うことが容易となった。インターネットがなかった時代よりも、より容易に海外に進出する事が可能になったのだ。

その役割を果たすのが、グローバル企業である。彼らが技術や資材や人材を直接持ち込み、世界を変えていく。


グローバル化は止まらない

そのお陰で、途上国の経済は先進国の技術や資本、知識と結びつき急速な発展を遂げる事となった。そしてその勢いは、現在の石油ショックで衰えはしたものの結局の所、何十年と今後続き続けるだろう。


この流れは、そうやすやすとは止まらない。止まるとしたら、戦争だろう。しかし戦争が収まれば、またこの流れにシフトしていく。グローバル化は止まらない。

なにせ、100年近く続いていてきた流れだ。ふと気がつけばアラブのカタール人もアメリカ人も日本人も同じような服を着て、同じような車に乗る社会になっている。そしてそれは、今後の予想ではなく今起きている現実そのものだ。


どの国の消費者も、先進国との経済圏とつながれば同じようなライフスタイルを歩む事になっている。もし疑うなら貴方も異国の旅先でスーパーマーケットに行ってみるといい。

フラット化が引き起こすトレンド

インターネットビジネスに詳しい人なら、ロングテール戦略をご存知だろう。知らない人はウィキペディアで調べて欲しい。


先進国でロングテールが伸びる一方、途上国ではロングテールと間逆の事が起こっている。それは、コカコーラの売上げが伸び、トヨタの自動車が普及しているのだ。


先進国では消費の多様化などに伴い、メインストリートの商品は縮小傾向にある。しかし、それすら行き渡っていない途上国では、先進国なら誰でも使っている商品が伸び続けている。

もちろん途上国であっても、ロングテール商品も順調だろう。ただしメインストリートの商品の伸びには適わないだろう。

国境なき競争がもたらすもの


もし、今後なんの規制もなくグローバル企業が躍進していく環境が維持できるなら、誰も見た事のない巨大企業が現れる事だろう。

その巨大なグローバル企業は、差異のない企業を飲み込みその分野では世界に一つだけの企業となるだろう。独占禁止法の問題があるならば、現実的には数社による寡占が起こる可能性が高い。


現在鉄鉱石の世界では、BHPやヴァーレの2社が寡占という状況になっている。

この流れは、グローバル化が意識される以前から各国で起こってきた。日本では明治時代何千社あった煙草会社は、現在ではJTの一社だけだ。アメリカでも何百社あった自動車会社も3社だけとなっている。しかも3社とも倒産しかかっている。自動車の世界を制覇するのはトヨタ自動車かもしれない。


これは投資家にとって良い事ばかりではない。大半の企業が潰れる運命にある。闘技場での生き残りを賭けた戦いは始まっているのである。


国境なき格差是正がもたらすもの

情報が多すぎ認知資源は枯渇する為、世界的に認められたブランドはより強くなる事だろう。

何処でも誰でも作る事が出来るコモディティは、生産コストギリギリまで価格が落ちる事となる。一方、希少性が光り輝く物となる。

現在の資源価格高騰は、バブルが指摘されるものの、背景にはフラット化による需要の増大、そして供給を増やす事が出来ない希少資源の高騰という事実がある。天然資源の魚の高騰のその一部である。


需要があり供給が限られた資産、技能を持つものは不当なまでの有利なポジションが得られる社会となる。自由な競争の中、トールゲートなビジネスや才能が光り輝く事となる。

そしてそれは、あまりにごく僅かなので格差は極端に拡大する。


負け組みも悲観する事なかれ

勝ち組にスポットを当てるだけが事実ではない。世界規模での大衆消費の時代がやってくる。生産コストは極限まで落ちる事になる。希少資源でない資源は、何処までも安くなる。

研究開発費や設備投資に苦心する必要もない、それは数少ない消費者ではなく、世界規模の消費者が負担するのである。それは広く薄く負担するので、実質的なあなたの負担はゼロとなる。


バリュー消費家の時代がやってくるのである。


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