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詩編 「兆候」 (十篇)

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「流動」より「兆候 秋」までの十篇。
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#詩

(ソネット) 「兆候 秋」

道々に並ぶ葉が暗緑の網となり 崩れかけた紅の花の輪を包む 鳩は 何時も 思いもかけぬ所に降…

臨  機清
8か月前
22

(ソネット) 「扉」

その白い手に触れるには余りに遠い 雨が開かない扉となって立ち塞ぐ 窓を打つ滴さえ 挑むよう…

臨  機清
9か月前
26

(ソネット) 「鏡」

彼女の瞳は遥かな記憶を喚び醒ます 青く暗い輝きを湛えた池 不毛の土地を百合の生命で照らし …

臨  機清
9か月前
18

(詩) 「沈吟」

闇を次第に深めてゆく 一つの時代 ひとつの季節に 渦巻く怒号 暗い音響を彼方に聞く 透明と…

臨  機清
9か月前
21

(ソネット) 「秋 記憶 風」

開きかけている扉がはげしく軋み 静寂を抑え込んだ風がたえず ただ甘美なばかりの過去へ吹く …

臨  機清
10か月前
26

(詩) 「緑風橋 晩夏」

たえず変わりゆくものと 決して変わる事のないものとの 境界で 風が 時間が 季節が そして私…

臨  機清
10か月前
25

(詩) 「地層」

微かに 開き始めた新たな季節の 扉がある 風はあくまでも乾き 星の軌道 夜の瞬きを そっと私の額に記して去る 流砂のように広がってゆく静寂が 未だ こちらへ届く事のない 遠い音の記憶を孕んでいる 胎動の声が鼓膜に触れる 確かに 開き始めた新たな時代の 河がある 私は ひとつの思いを込めながら 歩き慣れたいつもの道に立っている 一本の樹に手をあてる そして あなたの内にながれ 響いている 遥かな時間を聞いてみようと いまこの両目を閉じている

(詩) 「流動」

断崖を越えた道の先で 薄い灯が 形を定めずに 揺れ動いていた 強い潮風が 纏う衣を濡らして…

臨  機清
10か月前
22