夫の記憶は5分で消えるけど、楽しくやれるんじゃないかと思ったお気楽ポンチ

夫が重度の記憶障害となりました。
2021年12月30日、クモ膜下出血で倒れ、脳に後遺症が残りました。
脳の機能が低下するもので「高次脳機能障害」といいます。
色々な症状がありますが、夫の場合、顕著なのが記憶障害です。

46歳。

「新しいことは覚えられません、昔のことも思い出せません」
もっと婉曲な言い方でしたが、そう説明されました。
今夫は、自分が病院にいるってわかってません。
「病院なんだ」と納得しても忘れちゃうからです。

考える力は幼稚園の年少さんくらいです

トイレの場所が覚えられなくて
トイレに行く度に迷子になるそうです。
部屋にも戻れなくて、廊下のソファーに座っているんだとか。

自分がどんな仕事をしていたのかとか
私の名前とか
色んなことを思い出せません。

記憶を保持する能力も、記憶を引き出す能力も
損傷してしまったからです。
あと、周囲のことを理解するのに時間がかかり
複数人が少し早口で話すと、理解が追いつきません。

記憶の保持は長くて5分あるかないか。
1分程度のこともしばしば。

そのため先生からは
夫の理解力や認知力、つまり「考える力」は、
幼稚園の年少さんくらい、と説明を受けました。

ただ、そんなことないんじゃないかなと私は思っています。
「考える力」そのものは、損傷を受けていないんじゃないか。
この前4時間くらい、久々に一緒に過ごしました。
その時、ある相談をしたんです。
そうしたら、きちんと考えて、きちんと答えてくれました。

その場でわかってその場で判断できることは
普通に会話したんです。

記憶は「考える材料を集める力」かもしれない?

それで考えました。
夫が損傷を受けたのは「考える材料を集める力」じゃないかと。
目の前の状況を把握したり
経験や知識を引き出すのは、考える材料を集めることです。

これに対して、
材料を統合して、組み合わせて、
材料をもとに考えをその場で組み立てる。
そういう「考える力」そのものは、ちゃんと残っていると。

確かに検査をしても問題を解く前に問題を忘れるそうなので(笑)
全然スコアが出ないんですね。
結果、「考える力は幼稚園生並み」と判断されてしまいます。

でも、本当かな?
夫の「考える力」は、
それらの検査では測れていないんじゃないかな。

今週退院。やっぱり楽しみです

そう考えると、色んなことが違って見えてきました。

「考える力」がないのと
「考える材料を集める力」がないのとでは
アプローチが全然違うな~と。

たとえば夫は、お風呂に入っても
途中で何をしているのか忘れてしまうので
「体洗ってください」とか、声をかけないとできないんだそうです。

それを一人でできるようになるにはどうしたらいいのか?
お風呂に入る前に、
「お風呂入ったら、頭洗う、体洗う、顔洗う!」と一緒に唱えて
止まってたらまた唱えて……的なことをするんだと思います。

ただこれ、いい大人が、嫌じゃないですか。
自分が忘れちゃうことを忘れている本人からしたら
「そんなんできるし。バカにすんな」って気持ちになるかな、と。

でもそれを
「覚えること・思い出すこと=考える材料を集める力」を
改善する練習なんだって位置づけると、
「やれるのはわかってるけど、
覚えて思い出す練習だから、
そういわずにやってみようよ」と話せるのかな、とか。
その言い方のほうが、夫も受け入れやすい気がします。

そんな感じで、いろいろと
「こうしてみよう」と思うことが出てきました。
やってみないとわからないですけどね。

今週、夫が退院するんです。
4か月半も入院していました。
やっぱり、色々、楽しみです。

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