ジュプ・エ・ポァンタロン (9)店長とのおしゃべり
マダムを送った店長と孝子はお店の中に戻った。店長は孝子をテーブル席に座らせてからキッチンに戻り、コーヒーを二つ作って持ってきて自分も席に着いた。コーヒーはさっきのカフェ・ラ・テよりも濃い目でしっかりとした香りがあった。
「ありがとう。お留守番してもらって」
「いえ。何もできませんでした」
「そんなことはないわよ。マダムはあのジャケットを気に入ってたみたいよ」
「常連さんですよね」
「ええ。よく来てもらってるの」
「うまく接客できませんでした。やはり、私には無理ですよね」
「