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novel ジュプ・エ・ポァンタロン

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2023年1月31日から2月17日にかけて note で公開した小説「ジュプ・エ・ポァンタロン」
運営しているクリエイター

#地方出身

ジュプ・エ・ポァンタロン (1)入学ガイダンスで

 初日ではあったが、大学に来たことをすでに後悔していた。  新入生たちが大きな講義室に集…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (3)二駅先の喫茶店

 お店から出てきた三人は駅に向かって歩いていた。  後から来た女性は 「あの幹事の三人組、…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (4)大学 入るのやめる?

 孝子はすこしだまってしまった。  カズエが 「どうしたの? なにかあったの?」 「今日はが…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (5)あちこち行ってみた

 翌日、環状線で対角線の反対側にある駅までやってきた。  三十分もかかった。  なんとなく…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (6)坂の途中のお店

 ゆっくりと食事を終えてからお店を出て、踏切の向こう側へ行ってみることにした。  駅の近…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (7)ちょっとお店番

 そのお店は駅から少し離れた上り坂の途中にあった。お店の看板はあまり派手にならないように…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (10)お店でアフタヌーンティー

 孝子は部屋に着いて、実家から送った引っ越しの段ボール箱の一つを引っ張り出し、ガムテープをはがした。実家の自分の部屋で本棚に並べていた本やノートのうち、まだ手放せないものを詰めた段ボール箱だった。中にある本を全部取り出して、箱の底にしのばせておいたA4のノートを大事そうに手に取った。一ページ一ページめくってみた。そこにはデッサン画が描かれていた。高校生の頃に興味のあるものを描いていたものだ。探していたのはこのノートである。カバンの中に入れた。    翌日、店長との約束の時間は

ジュプ・エ・ポァンタロン (11)孝子のデッサン画

 裁縫のお母さんと店長はこのあたりのおいしいお店の話しに花を咲かせていた。孝子は聞いてい…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (12)居酒屋の騒ぎ

 アフタヌーンティーの翌日はガイダンスの日から三日目。孝子がクラスメートのカズエ、翔と会…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (13)居酒屋騒動の後始末

 大学の職員が数人、最寄り駅の近くにいた。三月中ではあるが新入生ガイダンスが始まったこの…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン (14)孝子の結論

「そんなことがあったんだ」  孝子は、ことの展開に驚いた。 「あなたの勇気ある行動がクラス…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン ちょっと長いエピローグ その1

 お父さんがビックリしていた。 「大学というと校門があって、広い敷地に運動場があって、さ…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン ちょっと長いエピローグ その2

 店長が 「カズエさんにも、このお店を手伝ってもらうことにしたんです」  カズエが 「バイ…

和泉佑里
1年前
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ジュプ・エ・ポァンタロン エンドロールの後のワンシーンのように

 次の日、孝子の両親は地元に戻ることにしていた。  お母さんは、お父さんにカバンを持たせて先に東京駅に向かわせた。  もう一か所、一人で行きたいところがあった。孝子やカズエ、翔が大学に行っているあいだに。  扉を開けて中に入った。 「こんにちはー。孝子の母親です」 「えっ。タカちゃんのおかあさん?」  女主人が急いで出てきた。そして 「あらっ、先輩? 先輩じゃないですか」 「やはり、あなただったのね。元気だった?」 「ええ、元気です。先輩は?」 「ありがとう。何とか。子育て