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フラれるまであと1日。祈られるのを待つ求職者の憂鬱と兆し。

一目惚れみたいな、熱烈な恋のような求人だった。

まさに私のためにあるような仕事!

そう思った私は応募締め切りがその翌日だったということにも運命を感じ、久しぶりに徹夜をして、熱い思いを日本語と英語で書き上げた。

Motivation Letterである。

思いが通じて、私は一次面接に呼ばれることができた。

しかしながら、一次面接は失敗した。

こんなに全てを英語で質問されるなんて思ってもなかった。

あなたの弱みを3つ挙げろと言われるなんて思ってなかった。

3つも考えてなかった私は、その場でなんとか弱みをでっち上げたが、別に弱みとも思っていない弱点を捏造する羽目になった。

さらにビットコインを導入したシステムについての意見を求められたが、私は今はまだいいんじゃないか、みたいな意見を言ってしまった。

しかし、その業界では既にビットコインが取り入れられていて成果の片りんを見せていたことを後で知る。

やってしまった・・・。

色々とやらかしてしまった。

そういうわけで、面接が終わった瞬間から凹んだ。

ダメだこれは。

夢だけ見て、面接の準備や練習も足りなければ、業界研究も足りなかった。

というわけで、私は熱烈に一目惚れして、あっという間にフラれるのだ。

日本の慣習として、そうすぐには返事は来ない。

振る場合、1週間後くらいにご健闘をお祈りするメールがくるのが常。

なのでそろそろである。

ああ、それに備えてずっと、昨日からそわそわして、痛みに耐える準備をして、緊張をしている私がいる。

そんな時間、煮ても焼いても食えない。

結果が来るまで、他のもっと役に立つことをしろ!

そう思うわ。

結果が分かっているのなら、怯える必要なんてない。

怯えるのは、まだ少し期待しているからだわ。

まだ期待しているということは、まだ希望もあるということ。

・・・いや、ないな!

やっぱり希望はない。

だから、怯える必要もない。

一度知ってしまった甘い蜜。

こんな仕事につけるかもと夢見てしまった以上、ほかの求人が灰色に見える。よく考えてみたら、少し前ならこんな仕事もいいじゃないか、と思えたかもしれないのに。

まあいいじゃない、何がやりたいか、がクリアになった、つまり私はやりたいことに近づいたんだ。

私の今年の冬は長い。長い長い独りきりの冬。

ただ世界はいつも通りに回転している。

極寒な日々を迎えると同時に、もう春の兆しが見えてきた。

バッターボックスに立ち続けろ。

店を開け続けろ。

そんな教えを思い出す。

そうだよなあ、誰も来ないなあと思っていても、ある日ひょっこり、早めに冬眠から覚めた珍客が訪れるかもしれないのだ。

誰も知らないけど、私は知っている。

徹夜で書類を書き上げたお前の熱狂を。

それは私の中にまだ枯れずに残っていた情熱であり力であり、私自身の生命力の証。お前はまだやれる。

今日も店を開けて、何か新しい物を売るのだ。または新しい売り方をするのだ。



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