構造設計一級建築士試験受かりました!ので、この試験についての感想。

2024年1月20日、構造設計一級建築士試験の発表があり、無事合格(考査修了)していました🎉

2017年の一級建築士試験に合格してから、5年間の実務経験を経て、2023年に構造設計一級建築士の受験資格を得ることができました。2023年9月中旬に講習(私はオンラインで視聴)、11月5日に試験(考査)がありました。

今回は、試験勉強や本番の試験を通して、試験までの流れや実際どのような試験だったかの感想を記載していきます。


1. 試験までの流れ

ブログの方でも構造設計一級建築士の試験までの流れを説明していますが、大まかに試験までの流れを話すと下記のようになります。

・5月中旬:受験概要の発表

例年、5月中旬頃に、9月の講習日程・講習地や11月の修了考査(試験)等の受験概要(講習受講要領)について発表があります。(発表は下記サイトにて掲載されます。)

公益財団法人 建築技術教育普及センター 構造一級建築士 のサイト
https://www.jaeic.or.jp/smph/koshuannai/koshu/s1k/index.html

ちなみに…受験料(受講手数料)は、申込区分Ⅰ(全て受験する場合)では、55,000円です。高い…
この金額は、9月中旬に行われる講習や修了考査でも持ち込み可である、「構造設計一級建築士資格取得講習テキスト(通称:青本)」の金額も含まれています。昨年・一昨年に受験した方々は、その当時に使用したテキストの持ち込みも可能なので、その場合はテキスト代5,500円分は引かれます。
(このテキストは3年毎程度で改定されるのですが、恐らく2024年は改定される年なので、もし今年落ちていたら、またテキストも買わなければいけなかったと思う…)

・6月中旬~下旬:受講申込受付

6月中旬(10日前後)から、受講の申込受付が始まります。申込方法は、基本的にはインターネットのみとなります。建築技術教育普及センターのHPから進んでいき、名前・所属設計事務所等の基本情報を記入、講習地及び考査会場の選択を行います。
講習については、会場での参加(2日間、日付指定) or オンライン(2週間程度の視聴期間あり)のどちらかを選ぶ必要があります。会場の場合、平日2日間参加する必要があり仕事を休まざるを得なくなる為、平日夜や休日等好きな時間帯に視聴することができるオンラインがオススメです!
また、受講申込の記入事項で、一級建築士の登録が完了してからの5年分の実務経験を記入する欄があるのですが、確か2時間以内とかで記入し終えて完了しないと、タイムアウトになってしまうので、あらかじめ記載事項をwordとかに記載しておいた上で臨んだ方が良いです。

・9月上旬:受講票の発行通知

9月上旬頃に、受講票の発行通知が、登録したメールアドレスへ通知が来ます。通知が来たら、必ず受講票のPDF保存と紙媒体の保管をして下さい。講習及び考査で必ず携行しなければいけないため、無くさないように気をつけてください。

・9月中旬:講習

9月中旬頃、考査に先立って、講習が実施されます。受講申込でも記載しましたが、会場の場合は2日間連続で、オンラインの場合は2週間程度の視聴期間中に同様の講習を全て視聴する必要があります。
講習内容は、青本の各セクションに沿って行われていきます。また、青本は、会場の場合は、講習当日に受け取る形なので気にしないでいいですが、オンラインの場合は、事前(だいたい数日前)に郵送で送られてきますので、事前に届いた状態で必ず講習を受けた方がいいです。

・11月上旬:修了考査

9月中旬の講習が終了した後、11月上旬(11月の第一日曜日が多い)に、修了考査が行われます。
修了考査は、午前中に法適合確認、午後に構造設計の科目を実施します。各科目も4択10問(不適切な理由も記載)と記述問題3問が出題されます。
それぞれの出題内容は今後書いていこうと思いますが、大まかには下記のようなイメージです。

  • 法適合確認:黄色本の内容を理解して(ここがキモ!)構造計算ができるか。具体的には、地震力の算定や二次設計における部材ランクの算出、Ds値の算定、保証設計の求め方等の理解力を問う。

  • 構造設計:一貫計算プログラムを用いる場合のモデル化の考え方や留意事項・剛性評価、変形能力や座屈等の理解力を問う。

2. 試験勉強や試験を通して感じたこと

以下に、試験勉強や試験を通して、勉強方法や試験の時間配分等、感じたことを書いていきます。

① 構造設計実務(特にRC造と鉄骨造)の経験値が高ければ、より合格に近づく。

試験勉強をしていてまず感じたことは、実際に構造設計の実務の経験値が必要だなと感じました。特に、記述で1問ずつ出題されるRC造とS造は必須かなと思います。経験の無い構造種別がある場合は、過去問を解いて、計算内容を理解できるようにしておいた方がいいです。

②やっぱり過去問は大事。過去問で出題傾向を把握する。

どの試験でも同じですが、過去問は一度解いておいた方が絶対にいいです。少なくとも5年分は解いておくと出題傾向は把握することができます。過去問は、JSCAで過去問解答例と一緒に販売されているので、数年分が一緒になっている冊子は購入して下さい。

③黄色本の内容を理解してどこに何が書いてあるかを把握する

考査へ持ち込んで良い図書の一つである黄色本(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書)は、構造設計実務でも必須ですが、構造一級建築士試験においても、どこに何が書いてあるかを把握して内容を理解をしておく必要があります。過去問を解く時に黄色本で調べながらやれば、自ずとどこに何が書いてあるかは覚えてくると思います。黄色本の理解は、今後の設計実務においてもプラスになるので、ある意味一石二鳥かもしれませんね。

③青本(構造設計一級建築士資格取得講習テキスト)に何がどこに書いてあるかを一通り把握する。

青本も黄色本と同様に考査へ持ち込んで良い図書です。考査の四択問題において、青本の内容から出題されることが多いので、過去問を通してどこに何が書いてあるかは必須となります。
青本は、講習の時に貰うので、そこから1ヶ月半しかありませんが、マーカーや付箋等で図書を引きやすくする等対策は行った方がいいです。

④合格基準が良く分からない。

考査結果は、年が明けた1月20日ごろに試験元から発表されますが、結果の公表内容は、合格者数等で一級建築士試験のような解答や解答例、合格点は一切発表されません。
そのため、自分も何点で合格したのかは全く分かりません。感覚的には、4択は8~9割程度、記述式は設問によりますが6~9割程度できたかなと感じています。
考査基準では、総合的にどのくらいできているかに加えて、各設問で一定以上の理解があるかも問われています。極端にいうと、設問丸々全部間違っていたらダメですよということですね。満遍なく理解しているかが問われているんだろうと思います。
ちなみに合格率は、年によって前後しますが、約3割程度です。めちゃくちゃ低くは無いですが、簡単な試験では無いかなと思います。


以上で、構造一級建築士試験の感想となります。受験予定なのに、周りで受ける方がいないので、どんな試験かなかなか情報が掴めないと思います。
この記事が、構造一級建築士試験を受験する方々への一助となれば幸いです。

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