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シミックネクサスの手引き

6/17:6、8、9に追記
6/23:4に追記
7/9:4にM20解禁後リスト、新規カードやマナベースに関する考察を追記
7/14:4に最新のリスト、10に最新のリストに対応したサイドボードガイドを新設
7/20:4に最新のリスト、10のバントランプの項を更新、バントスケープシフト相手のサイドボード追加
8/17:MCQWで使う予定のリストを追加しました

皆さんこんにちは。
私は普段以下のブログで言語化を意識し、mtgの記事を書いてるアイヤイヤーというものです。

今回はスタンダード環境のシミックネクサスについて解説していきます。

とはいえ、今のスタンダードのメタゲームは回るのが非常に早く、また約3週間後に基本セット 2020が発売されることを考え、現在のシミックネクサスやリストを中心とした解説ではなく、シミックネクサスがどういう構造のデッキか?このカードはどのような理由で採用されているか?といった根本的な解説を行い、メタゲームの変化や新セットの追加があっても読まれた方が自分で考え、デッキを調整する事が出来るようになることを目指していきます。

 

私はこの記事を書くにあたって、シミックネクサスでGP、MCQの入賞といった実績がある訳ではなく、mtgアリーナのMCQWでシミックネクサスを使用して6-2、月間構築ランキング4、5月でシミックネクサスを使用し1000位以内に入賞、6月はシミックネクサスを使用して構築ランキング最高3位を記録、最近では2桁台をうろついている程度です。
私が書いているブログの方も、読まれた方がブログを参考にして、GP台北で2日目進出された以外には特に功績を残せていません。
追記:6月のランキングもシミックネクサスを使用し、35位で放置して70位で終えることが出来ました。

 

しかし、蓄積してきたシミックネクサスに関する知識を可能な限り言語化したいと考え、その労力に必要なモチベーションを確保する為に、有料記事という形を取らせて頂くことになりました。

1.そもそもシミックネクサスとは?

シミックは青と緑の2色の組み合わせから、ネクサスは《運命のきずな》から来ています。

 

最近ネクサスといえば、シミックネクサスのことを指すことが多いですが、一口にシミックネクサスと言っても、緑の生物を中心に《世界を揺るがす者、ニッサ》、《伝承の収集者、タミヨウ》、《運命のきずな》を足したものや、様々な土地加速から《世界を揺るがす者、ニッサ》を唱え、《啓示の終焉》や《運命のきずな》を唱えるタイプと様々なタイプが存在します。

 

この記事で解説するのは昔ながらのPWと《荒野の再生》を設置し、《根の罠》で時間を稼ぎながら《運命のきずな》で無限ターンを狙うタイプのシミックネクサスです。(詳しいリストは4.デッキリストをご覧下さい)

 

スタンダードでは珍しいコンボデッキで、デッキ相性としては基本的にはミッドレンジやコントロールに強く、マッチングによるフリーウィンが発生しやすいのが魅力です。

反面アグロには不利な傾向がありますが、全く勝てないという訳ではなく、いわゆる「ブン回り」によりアグロを上回る速度でコンボを決め、勝利することも可能です。
また、現環境の赤単アグロに対しては相性が良いと考えています。

 

2.キルターンに着目した有利不利

1.で大まかな相性を説明しましたが、ここではもう少し詳しく説明します。

ミッドレンジ、コントロールを相手とした場合ハンデスや打ち消し、PWによる妨害等要素が複雑で一概に相性を定義することは難しいです。

 

しかし、妨害をあまりしてこないアグロとビートダウンタイプのミッドレンジに関しては、相性を数値で定義することが可能です。

ポイントは相手側のキルターンが何ターン目か?ということです。

相手側のキルターン=こちらが《根の罠》、《不快な冷気》といったカードで妨害し始めるか、《運命のきずな》から追加ターンを得なければいけないターンであり、それまでこちらはリソースを増やすことに専念出来るためです。

 

相手側のキルターンが4t目ならこちらの不利、5t目なら先手後手込みで5分、6t目以降なら有利となります。

4t目の理由としては先手なら土地加速無し、後手なら土地加速1回分からの《荒野の再生》を設置した返しであり、《薬術師の眼識》を唱える暇なく《根の罠》か《不快な冷気》を構えることを要求される為です。
《荒野の再生》を設置後にターンが帰ってくれば使用できるマナが爆発的に増えており、《薬術師の眼識》や《伝承の収集者、タミヨウ》から《根の罠》や《不快な冷気》を構えやすくなる為4t目がキルターンかどうかが重要になってくる訳です。

 

5t目キルの相手に対しては先手の場合は、土地加速1回から先5t目に《荒野の再生》設置後《運命のきずな》を唱えるでネクサスループに入る事が可能です。
後手で土地加速が無い場合は、《荒野の再生》設置の返しに《根の罠》や《不快な冷気》を要求されるので先手なら有利、後手だと不利になります。

 

現環境の主に4t目キルが起こせるデッキとしては

《遁走する蒸気族》が絡んだ赤単、《レギサウルスの頭目》《軍勢の戦親分》が絡んだグルールミッドレンジ、白単です。

赤単は《遁走する蒸気族》が絡むと1~2ターン程度動きが早くなる上、2t目に出せるクロックとしても非常に打点が高いです。
相手が《遁走する蒸気族》を引けなかった、またはこちらが《一瞬》等で対処できた場合は相手のキルターンが5~6t目になるため五分~有利となります。

グルールは《レギサウルスの頭目》や《軍勢の戦親分》のクロックが非常に高く、《レギサウルスの頭目》は出したターンに3点、次のターンに7点のライフを削ることができ、2枚目の《レギサウルスの頭目》をプレイした場合は、1枚目の効果により7点のライフを削ることが出来ます。
《軍勢の戦親分》も出したターンから1→5→7→9…と凄まじい速度でクロックが増えていき、《ボーラスの壊乱者、ドムリ》が居た場合この2枚のみでライフを削りきられることがあります。
とは言え、これらのパーツを揃えることはなかなか難しく、どちらか片方しか採用していないグルールミッドレンジならばキルターンが大体5~6t目になるため有利です。

白単は上記2種と違い、1マナ生物の多数展開からの《敬慕されるロクソドン》、《べナリアの軍司令》、最近はあまり見ないものの《不敗の陣形》とパターンが多く、キルターンが4~5であるため不利です。
t青の場合はそこに《時を解す者、テフェリー》が入ってきて、相性は更に悪化します。

 

主な5t〜6目キルを起こせるデッキとしてはボロスフェザー、スゥルタイミッドレンジ、イゼットフェニックスが存在します。

ボロスフェザーはデッキの構成上、引きに左右されやすいものの、キルターンは概ね5~6t目になることが多いです。

スゥルタイミッドレンジの主な5tキルのパターンとしては、《ラノワールのエルフ》によるマナ加速からの生物を連続で唱えられる、または2t《野茂み歩き》→3t《翡翠光のレインジャー》→4t生物追加のパターンです。
これ以外のパターンも存在しますが、その場合は探検持ちが土地を加えられないことが連続して起きる必要があり、やや確率が低めです。
キルターンは概ね6t以降になることが多いです。

イゼットフェニックスは相手の回り方次第でキルターンが変わりますが、2t《ゴブリンの電術師》→3tに《弧光のフェニックス》が1体帰ってくるというかなり良い動きでも、5t目終わりにライフが5残り、追加の《ショック》+《弧光のフェニックス》やパワー5以上の《弾けるドレイク》が必要なこと、2t目《ゴブリンの電術師》の返しに《一瞬》を唱えることで1t稼げることから稀にキルターンが5、基本的には6以降となることが多いです。

 

3.灯争大戦環境のスタンダード

灯争大戦により常在能力を持つ多数のPWや、その他強力なカードが追加され、今のスタンダード多様性に富んでおり、メタゲームが回る速度も非常に早いです。
先週まで見なかったデッキが流行り、先々週まで見かけていたデッキがいつの間にか消えているということは珍しくありません。

そんなスタンダード環境を語る上で欠かせないカードが存在します。それは《時を解す者、テフェリー》です。

場に出てすぐに-3を使用することで、1ドローしながらPWと土地以外のパーマネントをバウンスすることができ、返しで落とされたとしてもリソースを失わずにテンポを取ることが可能で、もし生きて帰ってれば更なるアドバンテージを稼ぐことも可能で、+1はハンデスと組み合わせることでデッキトップにも対処できたり、ハンデスが腐りづらくなったりと非常に強力です。
常在能力によるインスタントタイミングで呪文を唱えるのを封じる能力も、インスタントタイミングで動くことが多い古典的なコントロールやネクサスには非常に効果的で、ミッドレンジがサイドボードからインしてくる打ち消しを意に介することなく、大振りなアクションをソーサリータイミングで取ることが出来ます。

これはチャネルファイヤーボールが作成した、直近のGP台北の2日目進出したデッキリストの割合ですが、《時を解す者、テフェリー》に行動が縛られづらいグルールや赤単といったビートダウンだったり、バントランプやエスパーPW、《戦慄衆の指揮》デッキといったソーサリータイミングで動くデッキが多いことが読み取れます。

 

《時を解す者、テフェリー》は純粋にビートダウンしてくる相手には効果が薄いですし、《時を解す者、テフェリー》により打ち消しの価値が下がってメインの打ち消しとしては《エリマキ神秘家》程度しか見ない為、どちらのアプローチも環境に適していると考えられます。

 

カード個別として《時を解す者、テフェリー》の影響を考えると、4マナ以降でcipを持たない、または速攻を持たないカードの価値が下がっています。
これは《時を解す者、テフェリー》の-3でバウンスされると、大きくテンポアドバンテージを稼がれてしまう為です。
その為《レギサウルスの頭目》や《スカルガンのヘルカイト》といったカードの評価が高まっており、最近では《突進するモンストロサウルス》すら採用される事があります。

PWは《時を解す者、テフェリー》に対して耐性を持ち、特に自身の+で《時を解す者、テフェリー》を落とすことができる《世界を揺るがす者、ニッサ》は評価が高いですが、灯争大戦で追加された《古呪》の存在により、PWを採用することが自体がリスクを背負うことになりました。
またシミック及びバントランプから飛んでくる《集団強制》も厄介です。

 

このように《時を解す者、テフェリー》は3マナのPWでありながら、スタンダードの環境に多大な影響を与えています。
この傾向は恐らく《時を解す者、テフェリー》がローテーション落ちするまで変わらないと考えられます。

 

4.デッキリスト

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