アルアイレとはつまり空手だ

世間はフェイクニュースで溢れている。
だからお前に分かりやすく真実を教えてやろう
アルアイレとはつまり空手だ。

お前はギターを練習し「別に禁止されていない遊び」を弾けた程度でベイブやビギナーからリスペクトを受けたと勘違いし一人前の音楽家だと思っているだろうが
俺に言わせればそんなオママゴトは、人間を拷問し歓び悶える殺人パンダが白昼堂々と練り歩く広大な西成ジャングルでは通用しない。
まずはお前の頭に漂うサーティワンで作られた五重の塔よりも甘ったるいその考えを捨てろ。
お前が頼っていいのは玉切れしたリボルバーのような
スカスカの妄想じゃない、自分のアルアイレだ。

そこのカウンターにあるテキーラを飲みながら聞け。
これは大事なインストラクションだ。

かつてブッダが裏切りによって太陽の塔で磔にされた時代、戦が絶えない彼方の異星からクロールで宇宙を泳ぎ、渡来した男がいた。
チョモランマ達正と名乗ったその男は手に何も持たず、しかし夢と空の二つは確かに掴んでいたという。
何と幻想的な！まさにカラテだ。

彼の正拳突きは非人道的破壊力でありながらも神秘の音色を発したことから、これが音楽そのものの起源では無いかと主張する学者さえいる。

そして世代を超え世界中でシェアされありとあらゆる文化に応用的発展された。

闘牛（牛とカラテのぶつかり合い）

大相撲（人と人のカラテ比べ合い）

蒸気機関車（燃料はカラテ）

アルアイレもその中のひとつだ。

お前はアポヤンドじゃない弾き方をアルアイレだと思っているだろうしコンクールで賞をとりました程度のメンター崩れにもそういう風にレッスンされた事があっただろう。

実際にインターネッツでも検索すればアルアイレとは「メキシコ語で空の上という意味です」とか、いかにも冒涜的な記事を目にするし
弾けもしないのに他のギタリストを見てああだこうだと言うクソ野郎どもに余計な知恵をつけられたこともあるだろうが、言うまでも無く全て嘘っぱちだ。

あの手の話は暗黒選民管理ツール「SNS」で残虐な人体実験を繰り返し、世界そのものを銀河の外へ連れ去ろうとする名状しがたき野望を持った、GAFAという秘密結社の陰謀だ、さっさと忘れろ。

いいかここから先は難しく考える必要は無い。
二日酔いの向かい酒に、朝起きてワンショット飲み干すぐらい簡単な事だ。

例えばだ。
もしお前が荒野の酒場でベイブとくつろいでいる時、電動回転オカリナで女装したジェイソンが強盗に来たらどうする？
粉々に破壊されるカウンター
便所の片隅で頭を抱えて怯えるマスター
命乞いした挙句に惨殺されるビギナー
悲鳴と共に上半身をあらわにされるベイブ。

さあどうする？

落ち着け、慌てるな。
今のお前は主旋律を「アポヤンドじゃないと弾けません」等と公言するような昔のアスホールじゃない。
歴戦の音楽家で無いにしろ、そびえ立つギター山の2合目ぐらいにはいる。確実にな。

そんなお前に俺が教えてやろう、ここからがボトルネックだ。
いいやブルースの話じゃないこれは決意の話だ。

今から俺が教える動きを頭に叩き込め。
いいからやれ、今すぐにだ。

息を吸う「アル」

敵に駆け「アイ」

正拳突き「レ！」

な？

これがアルアイレだ。
決断的な音色に満ち溢れそしてカラテが音楽家に伝えた一つの夢でもある。
これで分かったな。

これさえ理解していればお前はもう音楽家と名乗っても良い。
試しに宗右衛門ストリートを歩いてみろ。

ワオ、、と呟きお前を尊敬し始めるキッズ
ヒュー！と口笛を吹きお前に熱い視線を投げるビギナー
ふたつの林檎を目一杯によせて「猫を飼う気はない？」と語りかけてくるベイブ。

かつてお前に会う度マザファカだのダムアスだのと見下して威圧的に吹いていた篠笛ギャング達も今日からお前をマイブラザと呼ぶだろう。
もちろんリスペクトを込めてな。

俺からのインストラクションはこれで終わりだ。
覚えておけ、アルアイレとは空手だ。
お前はこれで夢と空を掴むんだ。

ところで今日は何の日だったかな？