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ハイコンテクストの極北とエンタメの同居

 ふと目に止まった「スノウボールアース」という漫画が気になって、買ってみたら、面白かった。

 自爆特攻することを目的として開発された自律機械。それを憐れんだのは開発者の一人息子である9才の少年。
 機体に乗り込み巨大銀河怪獣をバッタバッタと薙ぎ倒す活躍を見せるも、思春期をロボと過ごしたためか、人とのコミュニケーションが極端に苦手。

 この設定だけでもすごく面白くて、二人(というか一人というか)の話を延々と煮っ転がし続けてくれるものだと思って既刊の一巻、二巻をまとめて購入したのだけれども、続きを読んでみると、まったくもって驚きのアプローチによって、予想を裏切られた。

 それをあんまり詳しく語るのは野暮なので、この場では控えはするんだけど、なんと言えばいいのか、わざわざ作った面白い設定をあっさりと捨ててまったく違うタイプの物語を始めるテンポが異常に速いのである。
 なぜそれが可能なのかというと、過去に作られてきた膨大な作品の記憶を、作者も読者もあっという間に検索・引用できるおかげである。ほとんど和歌の歌枕とか、そういう世界に近い。

 そういう作品ですよ、ということは、最初の1ページ目で宣言されていたのである。にも関わらず、純文学系のアプローチを第一話で期待してしまったのは、己の不明を恥じるべきかも知れない。

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 「ほんと、現代ってすごいな」と思う。映像研も面白かったけど、どちらにも共通するのは、ハイコンテクストの極北とエンタメが同居しているのである。

 なんか、漫画、いま、すごいアツいのかもしれない。

 と、月並みの極北みたいな感想で、いまのこの場は、お茶を濁しておくとする。

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