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いまを生きる メモ

舞台【いまを生きる】

もう本当に観て良かったし、このお仕事をあの3人に持ってきてくれた関係者の方、本当に本当にありがとうございます。

ストーリーは軽いものでなく、一言で「重たい」と括ってしまえばその通りなんだけど、ただ単に重たいわけではなく深かったです。回を重ねるごとに見え方が変化しておもしろかった。欲張りなことは重々承知のうえですが、公演期間の最初あたり、中盤あたり、最後あたり、と分けて観てみたかったなあ。

とにかく観終わった後に余韻の残る舞台でした。ぼーっとしてしまう。

捉え方は人それぞれ、感想も人によって絶対に違うものだと思うので、これは私の感想です^^

以下ネタバレ含まれますのでご注意ください。

※ ニール=宮近くん

 トッド=永田くん

 ノックス=七五三掛くん

 キャメロン=うみちゃん

 ミークス=浦上くん

 チャーリー=田川くん

セットが斬新で、高く厚い木の柱の位置をずらすことで舞台が教室になり寮の部屋になり校長室になりニールの家になって洞窟へと変化。そして机や小道具は舞台の両端に用意されていて、それを出演者たちが運んでいくスタイル。生徒役はほぼ舞台上からはけずに、出番以外は舞台両端の暗がりの中に座って待機。

新国立劇場中劇場は扇のように横幅が広めになっていて、どこのお席から観ても見えやすいのではないかと。2階にも入りましたがよく見えました。2階席にある噂の分厚い座布団みたいなのは座高を高くしてくれるので見やすくはなりますが、低身長の私は床に足が届かなかったな(笑)

生徒がウェルトン高校の校歌を歌うシーンから始まり、この歌で一気に舞台の物語の中に引き込まれます。この校歌が劇中にちょこちょこ曲調やテンポを変えて生演奏されている(ピアノとチェロ。素敵な音色です)ので今もウェルトンの校歌が頭の中でグルグルグルグル流れ続けています・・・!ある種のサブリミナル効果???

生徒の6人が出てきたときから、トッド役の永田くんのお芝居は本当に上手。客席に背中を見せて立っているだけなのにトッドの気弱で自信の持てていない雰囲気を醸し出していて唸った・・・彼は凄いぞ・・・。

ストーリー等は素人の私が書いても上手に書けないので印象に残ったシーンと感想を。

劇中一番と言っていいぐらいに好きなシーンが寮の部屋でのニールとトッドのマグカップのところ。両親から誕生日プレゼントとしてトッドに贈られたマグカップは既に持っているもの(去年貰った)と全く同じ、イェール大学のマグカップ。

出来のいいお兄さんと比較され、きっとご両親はトッドのことをあまり気に掛けていないのでしょうね。いい大学にさえ入ってくれれば・・・そんな気持ちで。「去年と同じ。きっと覚えてないんだ」って寂しそうに悔しそうに涙を滲ませながらニールに自分の気持ちを伝えるトッド。そんなトッドにニールは「これはただのマグカップじゃない。アスリートだ」ってマグカップを飛び込みの選手に例えてトッドにそのマグカップをゴミ箱目掛けて投げさせるんですよね、茶目っ気たっぷりに。

転校してきた時には同級生に対しても自分の意見が言えず自分の気持ちを内に秘めていたトッドが、キーティング先生の教え・導きにより自分の意見や意思を曝け出せるようになっているところにまず泣ける。そしてトッドのその成長はキーティングだけではなくニールという友達のおかげでもあって、それがよく現れている悲しいけれど温かいシーン。

「また来年同じものをもらえるさ」って最後に笑い飛ばすところがまたいい。いいんですけど・・・!!一度観てから・または結末を知っている状態でここを観るともう哀しくて仕方なくなります。

ストーリーの中で癒し・ほっとできる存在となっていたのが七五三掛くんの演じるノックス。婚約者のいる美少女クリスに一目ぼれしてずーーーーーっとクリスのことを考えている純粋でまっすぐなノックスくんを見事に演じていました。普段は割りと独特な自分のテンポでお話する七五三掛くんですが、ノックスは早口で矢継ぎ早にポンポンとセリフが飛び出す。

ノックスが話し出すと、なんだか緊張しているこちらの心が解されるような、ノックスはそんな存在。

何を聞いてもクリスに繋げるノックスくんはとても可愛い。最初はクリスに対する思いを告げられないシャイな部分の方が大きかったのに、キーティング先生や先生に導かれ行動的になる仲間に刺激されたノックスくんは次第に行動的になりクリスにその熱い思いをぶつけていくんですよね。クリスを見つめる熱の篭った眼差しや、クリスの手を引っ張りエスコートする姿は男らしかったなあ。

そしてニールの死を知り絶望するトッドに寄り添う姿にもノックスの優しさがよく現れていた。毎回ではなかったけど、ノックスが校長先生に呼ばれ部屋を出て行くときにニールのイスの背をそっと触れて出て行くんです。その触れ方がなんとも優しくふわっとしていて、ニールを亡くして寂しいノックスの気持ちが伝わってグッときたな。

一生懸命恋するノックス、七五三掛くんによく合っていました。

うみちゃん演じるキャメロン。

もう誰目線なの!?って感じではあるのですが、私が一番心配していたのがうみちゃん。「いまを生きる」関連の雑誌のテキストを読む度に、うみちゃん大丈夫かな?がんばれ・・・頑張ってるのは伝わってきているけど何度も何度も心の中でがんばれガンバレ頑張れって念を送っておりました。

キャメロンを演じるのは難しかったと思います。他の出演者に比べると演技経験はほぼ無くて外部舞台も初めてのうみちゃん。そりゃあ勿論発声や滑舌があまり良くない部分もあったけれど、うみちゃんのキャメロン・・・とってもとっても良かったです。前半はほぼ眉間にシワを寄せてキーティング先生への不信感を顕にするキャメロン。真面目で良い大学へ行くことが人生で最も重要だ!と考えているであろうキャメロンも、キーティング先生の教えに惹かれていく仲間を見ていくうち、彼自身も少しずつ先生のことを受け入れ慕うように。

キャメロンね、とっても可愛いんですよ。表情が豊か。

そしてキャメロンの最大の見せ場だと感じたのが、最後にキーティング先生が学校を去って行くシーン。他の生徒が先生の教えは間違っていなかったと言うように机の上に上がり「おおキャプテン我がキャプテン!」と大声で呼びかけるのですが、キャメロンはじっと何かを堪えるような表情で俯いて目をぎゅっと閉じているんです。

私はそのキャメロンに、泣かされました。

うみちゃん、キャメロンになっていました。

何も心配すること無かったなって。凄くすごく頑張ったんだろうと思います。

キャメロン、嫌な奴で終わらなかったよ、うみちゃん。仲間のことを守ったんだよね。

ニール・ペリー。

ニールはまさに宮近くん。仲間に慕われ愛されいつも真ん中にいるような、陽のエネルギーを放つ男の子。

そんな明るいザ主人公のような彼は父親の引いたレールの上を歩かされ、自分の夢を見つけた!と思えば父親にその全てを否定されてしまう。若いニールにとっていまを生きるということは、芝居の道へと進むこと。でもそれを全て否定され、勝手に他の学校へ転校させられることになりあの道を選んでしまいました。それが彼にとって良かったのかどうかは私には分かりません。生きてさえいればなんとかどうにかなるという考えも出来るし、自分のいたい場所(お芝居の世界)にいられなければ死んだも同然だから自らの手で終わらせるほうが幸せだという考え方も出来る。そこは人によっても観る時期によっても全く違うと思う。

ニールがパックを演じる劇のシーンから、父親に連れ帰られるシーン。そして洞窟にて死せる詩人の会を開く仲間たち、そのうしろ・・・机の上に上がって様々な方向から世界を見てパックのセリフを口に出して・・・

洞窟で自ら書いた詩を読み上げるトッド。

その一方で死へと向かうニール。

ここの流れの宮近くん、圧巻。

演出も素晴らしく良く効果的で、ため息もの。いや、涙もの・・・って言うのか?

宮近くんは発声が舞台向きだと思うしセリフの言い回しが上手。必ずや次の舞台のお仕事が舞い込んでくるはず。

ニールは大好きなお芝居の道を目指して。

トッドは自分の心を開くことを決め、それを詩で表すことに。

ノックスは自分の熱い気持ちを相手に伝えるために奔走。

キャメロンは最後まで必死に自分、そして仲間を守った。

ミークスは背筋をしゃんと伸ばせる男になった。

チャーリーは自分の正義、信条を貫いた。

それぞれがキーティング先生の教えに影響を受けて自分で動いたんだよね。

ああもう自分に絶望的に語彙力がないことに腹が立つ~。

色々伝えたいことがあるのに上手く言葉に出来ません。ううう・・・

月並みな言葉ですがこれしか適当な言葉が見つかりません、感動しました。

舞台に立つ3人が眩しかった。カーテンコールでの笑顔が今も浮かんでくる。

もうあと2日しかないことが寂しいです。

2階の後列や1階の注釈席あたりは空席があり、こんなに良い舞台なのになあ・・・もっとたくさんの人に見て欲しい、悔しい、って思ってしまっていたけどカーテンコールでの表情を見たらその気持ちも小さくなりました。

いえ勿論悔しいですけど!!!満員御礼にしたかったですけどね!!!

それでも!!!

良い舞台であることに変わりはありませんし3人とも確実にステップアップを遂げたのではないのかなって。

俳優陣はさすがの上手さなので物凄く多くのことを吸収・勉強出来たことと思います。

永田くん、上手い。彼の表情が見たくて彼に双眼鏡を向ける箇所も多々ありました。前半のおどおどした感じ、中盤の仲間と打ち解けて楽しそうな明るい顔、後半のニールを亡くしたあとの彼の表情、仕草。さすが役者さん。ニールに心を開いてからのトッド、楽しそうに笑うんですよー。仲間とはしゃいで幸せそうだった。

同じ生徒役の浦上くん、田川くんも上手でした。二人とも立ち方や姿勢でしっかりとキャラクターの個性を出せてる。それがわざとらしくない。

クリスもとーーーーっても可愛い女の子だし、もう言い始めたらキリがなくなるけど「いまを生きる」カンパニーの皆さんが好きだ・・・!

同年代の役者さんたちとの共演は3人にとって良い出会い・刺激となったことかと思います。

Travis Japanを好きになったおかげで素敵な作品を観ることができ、このような作品にTravis Japanから3人もの出演、最高に幸せでした。



カーペディエム!

これオタクの現場での合言葉になるかもしれませんね・・・

カーペディエム!今を楽しめ!

(=現場のある今を存分に楽しもう!みたいなお金を遣う事を肯定するような場面で多発するかもしれない)

夏が終わって寂しかったけれど、秋も大満足。

どちらも千秋楽まであと少し。最後まで何事もなく終わりますよう。

素敵な秋をありがとうございました。

2018.10.22

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