まほやく一周年記念イベスト感想(中編)

ふせったーにかいてたんだけどなんかもったいないから転載しとくね。
2020/11/25 17:54に投稿したものです。

■カインとオーエン

「いつもみたいに誠実に信頼する」……!
中央の子たちが「誠実や信頼」を拠り所にしているのをオーエンは理解してはいるんだよなぁ、というところにときめきと切なさを感じます。
それは彼には遠いもので、手に入らない憧れのようなものなのかな、とか。

そんで例のあれですが、なんというか、まほやくの世界設定と、立ち絵&ボイスで成り立つノベルゲーの合わせ技だからこそできる描写だよな……と感心してしまった。絵面がキツすぎる。

オーエンがカインに並々ならぬ執着を抱えていること、傷オーエンがカインに助けを求め続けていたことは、我々読者には見えていてもカインがわかる状況ではないんだよね……なのでカインはなんにも悪くない、っていうかカインの人生あまりにもハードモードすぎないか???
最終的なカインの無事になにも不安は抱いていないので(ゲームの良いとこだな…)わくわくと続きを待っています。

それにしてもスカーレットちゃんかわいいね? 待ってくれるのたいへん好き。

余談ですが前編で相手が見えないまま戦うカインがかっこよすぎて死にそうでした。
でもそういう、弱点があるのを承知で他者に頼らないカインの在り方は彼の弱点だし、今回のシナリオに繋がっているような気はするなぁ。(津志見先生は無理のある強さはぶっ壊しに来るので…)

■バジリスク組(ムル、シャイロック、ブラッドリー、ネロ)

シャイロックとブラッドリー、美学のある大人たちなので、相性はとてもいいんだと思います。(魔女口説くやつもいい呼吸だった……)話も早いし、好きな組み合わせです。
東では「一番大人」ポジションをやってるネロが今回ブラッドリーとの過去がらみで揺らぐ立場に置かれててときめきますね。盗賊団はネロにとっては生き延びる手段であって、本質的にはどんな人にも優しくしたい人なんだろうなぁ。
シアンを手に掛けると100年も200年も気に病むというシャイロックの評どおり、指輪の件を延々ぐるぐるしているネロなわけで……。

ネロは魔法舎の料理人、シャイロックは魔法舎のバーテン。近い立ち位置に見えますが、誰かの喜ぶ顔のために料理を作るネロに対して、シャイロックは自分の楽しみとしてバーを開いてるんだろうなと思う。メインストーリーの最初で朝食作るのをきっぱり断るもんね、シャイロック。

ところで性癖()をムルにバラされるシャイロックとても楽しかった。ネロにとってシャイロックの感性が遠いが、シャイロックはネロをある程度分かっているというこの大人ムーブ、いいよね。
ネロに限らず、シャイロックは基本的に観察者なんだよなぁ~と思います。彼が一番、自分と切り離した他者のありようをよく見てるな、と思う。だからこそ賢者に魔法使いを語る役割を担うのでしょうけど。

そういうシャイロックがムルとムルが自身に向ける感情のことを理解していない(あるいは理解を拒んでいる)とこが滾るんだよな……。
「手を出した女では……。手を出した女なんです?」のくだり、ほんとこの人たちはさぁ!
あそこで思わず否定してからムルに確認するの、結局この人のすることを自分は分かっていないんだな、とシャイロックが思い出すみたいな仕草がなんともこう、残酷だなと。
飛行士のバラッドでも、シャイロックの思うムルだけがムルじゃないんですよね。シャイロックは知らない(多分)けどパティアの件もそう。
ムルがにゃーんなのでムルのことを語る担当はシャイロックだけど、それはムルの全貌ではないんだよね……というのをちょいちょい思い知らされてつらい。かわいそう。好き。

しかしこのメンツ死にそうもないところが安心できていいんですが、そう思ってるとヤバいんですよね知ってる。

■リヴァイアサン組(ミスラ、フィガロ、ルチル、双子)

フィガロが「道楽」という言い方しか出来ないのがほんと……。だめな子……。
ルチル・ミチルの兄弟にだけは優しくてちょっと困ったフィガロ先生でいたくて、そのことへの執着すら、へらへら笑ってるしかできないんだろうなぁと。
ルチルの優しいまま柔軟に強いところは本当に好きだなぁ。
フィガロの壁はいずれルチルとミチル(もしかしたらファウストも?)がぶち壊してくれるのだろうなと期待してます。

ミスラは変化を感じますよね。なんというか、他者をわかろうとする姿勢を感じる。ルチルすごいぞ。

そうそう、フィガロといえば、シャイロックとフィガロのやりとり、よかったですね。
シャイロックがフィガロの「魔法なら簡単に勝てるけど、同じ土俵で会話してあげて、やり込められて参った参ったしてあげる俺、お子様なオズと違って余裕ある大人♥」ムーブを承知した上で、そのテーブルにのっかって要求を通すの、巧いな……。
私はシャイロックびいきなのでモンペ目線かもしれませんが、フィガロの「頭を押さえつけないであげてるんだよ?俺もうそういうイキリは卒業したから~」という態度を見越した上で、プライドはある程度犠牲にしつつ、欲しいものをちゃっかりゲットしてるんだろうなと思います。その辺のバランス感覚が長生きの秘訣なのかなって。

■ミノタウロス組

シノ……!!!!
シノがミチルにヒースを託すとこ、最初は馬の合わなかった二人だからこその築いた信頼と、それがあるからこそのシノのずるさと甘えがいいなと思います。あのシノに頼られたら嬉しいよね、ミチル。
そしてヒースのシノ理解(活躍を見せたいなら逃がさない=マジヤバ)ブチ切れ最高だな。いけいけGOGO。
お前の気持ちを踏みにじろうともおまえの命は受け取ってあげるもんか!っていうの期待してます。

っていうかこれメインストーリーだろ普通に。

■ラスティカとクロエ

ラ ス テ ィ カ 様……。

目隠しをされていたり、自覚がなかったり、無垢すぎたり、諦めていたり、世の中を分かったつもりになっていたり、弱さへの理解の足りない魔法使いたちがたくさんいる中で、生い立ちがしんどくて、そのしんどさも、救い出された存在であることも自覚しているクロエだからこそ、いちばん正直に、この世界で魔法使いであることの悲しみとか、苦しさとか、それでも前を向いて生きていける希望のこと、魔法使いが心で魔法を使うのだというありようを体現してくれる存在なのかな、とか思ったりしています。

■お城組

癒し。なんだよ「とう!」って……。
守られる子どもであったアーサーがオズを守る存在になり得るという展開に期待しています。

■ムル・ハート氏

最高。

■なんとなくまとめ?

今回のストーリー、「弱さの中の強さ」「強さの中の弱さ」「足りなさを補う」的なテーマがあるのかなと思います。まほやく、魔法使いとして強いやつは強い、弱いやつは弱い、みたいな序列のどうしようもなさやるせなさ、強く生まれた存在の孤独、弱く生まれた存在の覚悟、みたいなものがずっと語られてきてるなと思うんだけど、そのもう一歩先の話というか。魔法の強さのどうしようもない序列とはまた別の強さがある話というか……。

心で魔法を使う魔法使いたちの、強いものたちほどどこかいびつで、迷い子のような脆さが見えていて。
そのいびつさも含めて彼らの強さなのかなとか思うんですよね。ゆがみを抱えてそれでも長い年月を生き続けるための強さというか……。

そういう抱えているもののない若い子たちの無垢な強さが見られるのかなあとか、そんな期待をしています。ワクワクするなぁ。