まほやく一周年記念イベスト感想(後編)

こっちもふせったー初出ですが転載しときます。

■シャイロックVSバジリスク

まさかバトルシーンで推しにあんな見せ場をもらえるとは思わなかった!!!!
艶麗、蠱惑的、なんと申しましょうか、端的に言ってえっちすぎた。空中を背面宙返りするシャイロックがスローモーションで浮かびます。文章があまりにも美しくて息を飲みましたね……。
魔道具のパイプ髪に挿すってなに???そのためのアップなの????

■ネロVSバジリスク

憤怒のネロがかっこよすぎた。普段一歩引いてる彼が「俺が行く」と燃え上がるのも、ブラッドリーが阿吽の呼吸で強化魔法を構えて撃ち抜くのも、西の二人が即座に連携してサポートに入るのもかっこよする。傘のくだりの美しさよ……。しっとりした情緒と熱いアクションの緩急が素晴らしかったですね。
若い子のいないバジリスク組、酸を落とさせたり上からミノタウロスを狙撃する算段を付けたり賢者の状況にいち早く意識を向けたりと、バトル以外にも最後まで余裕があってかっこよかったです。
そのぶん、「そこでかよブラッド……!!」ってなったけど・笑
あのあと彼らどうしてたんでしょうね。中庭に救援に向かっていたかなぁなどと想像している。

■ヒースとシノ

すみませんヒースクリフ閣下をあなどっていた。あまりにも切なく美しい覚悟の表情をありがとう。
東の武門ブランシェット、というネロの台詞をあらためて思い出しました。ヒースはブランシェットの総領息子で、いずれ東の軍事のトップに立つ人なんだものな……。
ヒースの命令を受けたシノの表情、脳内でありありと映像が浮かびました。どんなにか誇らしかっただろうな。
ヒースの信頼がシノを強くするように、シノの忠誠がヒースを強くするのだろうと思います。お前を預かる自分であるのだという誇り、お前にふさわしい自分であろうという気概。
無二の片腕として、そして親友として、語り継がれる二人であってほしい。

■リケとミチル

賢者様助けて、を叫べるリケが、手を握っていてとミチルに願えるリケがとても好きだな…。
ランタンを挟んで手を握りあうリケとミチルの泣き顔、児童文学の挿絵めいた場面でしたね。尊い。
庇護するもののいない状況で、泣きながら怯えながらそれでも立ち向かう幼い少年たち、彼らを物語る優しい言葉、本当に上質の児童文学を浴びたよう。素晴らしい少年の成長の物語でした。

■ブラッドリー

かっこよすぎるんだよな……。親分としてあまりにも理想的だなと思います。ネロを強化してバジリスク倒させるところ、中庭の子どもたち助けに来て、最初に褒めてやるとこ、シノとヒースの想いを受けて手柄を譲ってやるところ。自分に自信があるからこそ、他者を支えてやれるんですよね。男の子の憧れる男!って感じ。すてき。たまらん。
最後の指輪のくだり、まあ予想はつくとはいえ、ズルすぎるだろ。

■ファウストとレノックス

ファウストの葛藤に決着がついたわけではないのでしょうが、それでも大事な場面でなにひとつ疑いなく互いの役割を果たせる二人は胸が熱くなりますね……。
最初に主従として繋がってしまったからこそ、いま何者でもないファウストはレノックスを背負うのが苦しいのだと思いますが、レノックスは立場として主人だったからファウストを守りたいわけじゃないというのを受け入れていってほしいですね。ヒースとシノの在り方が今後いい影響を与えるような気もします。
余談ですが、賢者の居場所に道をつなぐファウストのしれっと過激な力押し発言すごくよかったですねえ。中央っ子め。

■フィガロとファウスト

なんだかんだ言いつつ師弟であって、フィガロが託すのはファウストで、ファウストが託すのはフィガロだという安心感、たまんないですね……。ファウストの、大事なところで振る舞い方を間違えないまっすぐさがとても素敵。
喧嘩の売り方~のくだりの、「おまえ」からの「あなた」最高じゃないです? 

■ラスティカ

どれだけ心を痛めていても、誰かのために優雅に微笑んでいてくれるラスティカがすごく素敵で、好きだなと思った。大丈夫だよと笑って、導いてくれる強くて優しい人。スカーレットは最後にラスティカといられてよかったね……。
クロエにあっさりと約束をくれるラスティカに痺れました。温和さに見合わない余裕の強さがまたたまんないな……。

■オーエンとカインとクロエ

オーエンが痛々しくてさ……恐ろしいものだよ、悪い子だよって振る舞い続けていないと立っていられないんだろうな。大事にされていないこと、愛されていないことを嘆いてしまったら耐えられないんだろうな。
魔力の強さはオーエンにとっての呪いのようだなと思います。強いから生き延びられたけど、強いから誰も守ってはくれないで、怖れられてしまう。だからこそ彼から見てちっぽけで弱いクロエやカインが、オーエン自身を大事にしてくれようとしているのは救いだなと。
いつも騎士様、と呼ぶオーエンが、大事なところで「カイン」と呼ぶのね。手を握って、僕を見ろよと呼ぶ場面が切なくてしんどくて美しかった。好きです。

■オズとアーサー

父と子。あまりにも父と子。ずっと心配したり諫めたりしてばかりのオズがアーサーを信じ鼓舞して託す場面があまりにも美しくてですね……。アーサーが、自分が慈しみ育てた子どもであり、いまはもう使命と責任をしっかりと背負う誇り高き王者であることを、オズはようやく正面から認めて、誇りに思う気持ちをアーサーに伝えてやれたんだなぁ。よかったねアーサー。よかったねオズ。
オズに力を貰って宝剣を手に強大な力を奮うアーサー、使命感に燃えつつ、内心めちゃめちゃワクワクウキウキしてたろうなとか想像するとホッコリします。

■オズ

物理wwwww ファウストとレノックスの反応が面白すぎた。
殺す場面を見せないオズの、不器用ながら優しいところ大好きだな。

■ミスラ

夜が明けるまで世界最強、真夜中の支配者、あまりにもかっこよすぎませんか……。
少年みたいに笑うとこ、ズルイにも程がある。やばい。
ルチル・ミチルとの距離感が変わってきてるとこ、遠くで死ぬほど心配しながらも誰かに託せるようになってるとこ、じーんとします。

■魔女たち

バイオレットが北の魔女だからと誇り高く死んでいくところで、ああ東西南北中央の魔女たちなんだなぁと。中央の使命感、北の孤高、東の寂しさ、南の無垢、西の酔狂。改めてそれぞれのありかた、滅びかたに想いを馳せました。
スカーレットちゃんまさに西of西だったな…好き…。
思えばそれぞれ、自分の国の魔法使いに看取られて、逝ったんですね。哀れな最期だったけれど、きっとそれぞれの大事なことを大事にして貰えたんだな、と思いました。悲しくも美しい物語。

■ムル・ハート氏とターリアとオヴィシウス

最高に気障で性格悪くてthis is ムルですばらしかったですね。花束……。
世界のどんな事象もそのままに受け止めて、掘り下げて、暴いて、誰の気持ちも気遣わず、真実だけを愛するからこそ、ムルは唯一無二なんだなと……鏡とか、触媒のような人なんだな。
とんでもなく厄介な人で、とんでもなく魅力的だなと思いました。まあ常人の手には負えないけれども。

■シャイロックとムル

好きで嫌いで好き、蜜で毒、複雑でなければつまらない……。最後に持って行かれましたね。まったくもう愛憎ときたら。
「眼差しを預ける」という表現がもうほんと最高でのたうちまわっています。シャイロックにとってムルはムルという物語なんだなぁ。

好きも嫌いも愛も憎しみも、感情はシャイロックのもので、ムルはトリガーなんだよなというか……自他境界がずぶずぶのように見えて誰よりもきっぱりと他者なのかなとか、そういう風に感じました。すき。