Webが好きだ

1998年頃から、Web上で小説を書いてきた。もう少しで四半世紀になる。人生の半分を超えてしまった。びっくりだ。

いわゆる一次創作、オリジナル作品から入り、とある映画にドハマリしたことをきっかけに二次創作も始めた。今は二次創作がメインだけれど、とにかく、この20年以上、ずっと小説らしきものを書いている。

各ペースはまちまちで、特にオリジナルは本当に遅筆だったけれど、少なくとも年に1作は書いてきたような気がする。たぶん。

発表の場は、オリジナルは個人サイト、二次創作はおもにpixivで公開しているけれど、「倉庫」と呼んでいる二次用の個人サイトにも格納するようにしている。オリジナルも、たまにpixivやカクヨムに投稿してみることもある。

スマートフォンやタブレットが普及したことで、Web小説のアクセスしやすさは格段に変わったと思う。日常のちょっとした隙間、移動の合間や寝る前に、さっとアクセスして読める。すばらしいね。(昔、通信費をかけずに携帯電話や携帯端末でWeb小説を読むために四苦八苦したっけ)
pixivのiOSアプリの縦書き表示がとても読みやすくて好き。各投稿サイトにもあるといいのにな。

紙の同人誌も少しだけ作った。二次創作で、3冊。受け入れて貰えて嬉しかった。でも、紙の同人誌が届くのは基本的に刷った冊数と同じ人数だけで、それ以上の広がりはないなぁと思うと、Webで創作の産湯に本格的に使った私は、少し寂しく感じてしまう。

私の書いてきたものは、基本的にすべていまもWeb上で読める。一次創作には、高校時代にルーズリーフに書いたものを打ち直して公開したテキストもあって、正直気恥ずかしいけれど、そのまま残している。
もし、昔読んでくれた人がふと懐かしくなって探してくれたとき、そこに残っていたら楽しいんじゃないかな、と思う。サイトは有料サーバと独自ドメインで保持しているので、更新を続ける限り消える可能性は低い。私はWeb関連の仕事もしているし、消す日はそうそう来ないだろう。

数年前のことだが、二次創作ジャンルで仲良くなった人が、2003年に完結させたオリジナル作品の愛読者さんだったことを知って、お互いびっくり、ということがあった。出身はオリジナルで、ほぼ更新停止してますがこれがサイトです~、と紹介したことから判明したのだった。
もうほとんど更新していないオリジナルサイトは、それでもやっぱり自分自身の拠って立つ場所になっていて、それがいまもWebにあることは私の支えだ。

紙の同人誌の確かさと、Web作品の儚さを比べる言葉をしばしば見る。たしかにWeb作品は書き手が消したり、掲載元が消滅したりして、無くなってしまうことがよくある。それに対して紙の同人誌は、手に入れた人が持っていようと思う限りは、ずっとそこにある。その通りだ。

けれど、書き手に残す気があるかぎりずっと残っていて、いつまでも「新しい人」「戻ってきた人」に開かれているのは、Web作品の良さだと思う。

リアルタイムではない作品や、息の長い作品にハマったとき。そのジャンルから離れて、同人誌なども処分したけれど、また気持ちが戻ってきたとき。
一期一会の紙の同人誌の多くは、過去に存在はしても、もう出会うことはできない。その本が出たときにリアルタイムを共有できた人には確かなものだけれど、同じ時間にいなかった人にとっては儚い。
けれど、Web上の作品は、5年前でも、10年前でも、残っている限り、そのままの形で、読み手を迎える存在になれる。

映画の二次創作サイトは無料サーバだったので閉じたけれど、作品はすべてpixivに再録した。2001年の映画だけれど、今年になってもブックマークはちらほら増える。

先日は、8年前に書いた話のブックマークが100になったと通知があった。私が中学時代に連載されていた、大好きなジャンプ漫画の二次創作小説だ。

数年前に込めた私の愛は、まだどこかの誰かに受け止めてもらえるらしい。
この先もきっと、ときどきはそんな人がいるだろう。

やっぱりWebが好きだ。できるかぎりずっと残しておくから、気が向いたとき、興味がわいたとき、いつでもいいから読みに来て欲しい。