アイナナの年齢設定の謎
※2023年6月21日追記:この記事の執筆、そしてアイドリッシュセブンのリリースは2022年4月1日の民法改正による成年年齢引き下げ前のため、成人(成年)=二十歳としています。
前提・プロフィール確認
公式プロフィールによるとIDOLiSH7メンバーの年齢と誕生日は上から
二階堂大和 22歳 2月14日生まれ
和泉三月 21歳 3月3日生まれ
逢坂壮五 20歳 5月28日生まれ
六弥ナギ 19歳 6月20日生まれ
七瀬陸 18歳 7月9日生まれ
和泉一織 17歳 1月25日生まれ
四葉環 17歳 4月1日生まれ
に、なるわけですが……
ストーリー読んでると、違和感ありますよね……。
1部1章1話のサイドストーリー(小鳥遊事務所に全員集合して初顔合わせする話)で、全員が年齢を言って自己紹介してます。
このときメンバーが口にする年齢は、上記のもの。
紡が新卒入社のタイミングであることや、ノベライズ&コミカライズで描かれる環と壮五の出会いのシーンに桜が咲いていることなどからも、この場面は4月上旬、年度はじめと推測できます。4月1日うまれの環は年度最後に満年齢に達するので、4月上旬というのは全員が「今年度の誕生日をまだ迎えていない」タイミング。
紡と同じく、高卒でこの春から社会人になった陸がこの時点で18歳なのは特に違和感ありません。大学を出たばかりらしい大和の22歳、大学中退の壮五の20歳もわかります。
気になるのは高校生組の2名と、19歳のナギ。
高校生組の学年の謎
春の時点で17歳ということは、今年18歳になる学年、つまり、高校3年生になったばかり、ということになります。
でも、作中の彼ら、どう見ても高校3年生じゃないんですよね。
4部までのメインストーリー内で、彼らは2度の夏を迎え、2度の年末(ブラホワ=「BLACK OR WHITE ミュージックファンタジア」は年末番組)を迎えます。素直に考えて、2年近くの年数が経過している。でもいまだに高校生組は高校生のままですし、ナギは未成年のままです。
おそらく、ストーリー開始時点で彼らはいわゆる「サザエさん時空」に突入し、年齢を重ねず、年齢に伴うライフイベント(進級、卒業、入学、成人等)をスルーしたまま、季節だけがストーリー進行に合せて移り変わっていっているということなのでしょう。それは理解できます。高校生組が高校生でなくなったり、未成年組が未成年でなくなったりすると、色々ややこしいですし。
とはいえ、その「繰り返す1年間」の中における彼らの年齢設定、特に高校生組の年齢設定と学年設定が、どう考えてもおかしい。
年齢設定を無視して読む限り、彼らはおそらく高校2年生なんです。
1)環の「オフの日」衣装のラビチャでは、「環が後輩にならないように」補習に付き合う一織がいます。
2)メインシナリオライターの都志見文太先生によるノベライズ「クーラーとパンツ」で、二人は修学旅行に出かけます。
3)年末年始の特別ストーリーで、壮五が一織と環の進路について問いかけます。進学を検討していると一織は返答し、復学しようかなと言う壮五に、では同じ大学に行こうと誘います。
4)4部後半、ノースメイアから帰国しブラホワ直前の時間軸(年末近く)で、環は「一織が学校を辞めてはいけないか」と三月に問いかけます。
ざっと思いつくものを挙げただけでも、これらは彼らが高校2年生以下だという傍証です。(修学旅行は3年で行く学校もあるようですが…)
そして、修学旅行に行っているし、一織も環もIDOLiSH7加入に伴って現在の高校に「転校」していることから、入学したばかりの1年生だとも考えづらい。
ちなみに一織の「屋内フェス」のラビチャでは、一織は小鳥遊社長にスカウトされたのが「高校1年生の頃」だと語っています。(※2021.8.17追記)
彼らの設定年齢の「17歳」を「今年度17歳になる」と読み替えて、高校2年だ、とすると、これらの情報はしっくりなじみます。
ナギは「未成年」
もう一人、「今年度その年齢になる」と解釈したほうがしっくりくるキャラクターがいます。六弥ナギです。
ナギは19歳。これが四月時点の年齢だとすると、作中の6月で彼は20歳、日本での成人年齢を迎えるはず。
しかし、作中で彼が20歳になると、やっぱり色々つじつまが合わないんですよね。大和、三月、壮五の三人がしばしば「大人組」、ナギ、陸、一織、環の四人が「子供組」と分けられるのは、成人しているかしていないかという線引きです。母国では飲酒のできるナギが日本でお酒を飲ませてもらないのも、日本での飲酒可能年齢=20歳に達していないから。
陸の年齢・大和の年齢
しかし、同じように考えると明らかに矛盾するのが七瀬陸です。彼は高校を卒業していますから、「今年の誕生日で18歳」はあり得ない。諸々の発言や、紡が同い年で新卒入社である点からも、「実は陸は高校中退で、3年生相当の年齢である」とは考えにくいです。彼は「現時点で18歳、今年度19歳になる」年齢と考えられます。
同様に、ラビチャなどの発言から大卒であることがうかがえる大和の「22歳」も、先述したとおり初年度の春の時点での実年齢と考えた方がなじみますね。
推論:年齢は「序列」と「できること」の記号
あれこれ考えると、IDOLiSH7メンバーの年齢情報については、一律で「○月○日時点での全員の年齢を、各自の誕生日や学年を踏まえて示したもの」ではない、と考えた方がよさそうです。
おそらくですが、年齢によって示される、そのキャラクターの「情報」、関係性の「情報」を優先しているのではないかと。
「情報」のひとつめは、メンバーの序列です。
十代から二十代前半頃というのは、一歳の違い、一学年の違いが大きく感じるもの。
二階堂大和がリーダーになったのは、彼が最年長であったからです。大和と三月はほとんど対等に近い関係性ですが、「おっさん」「七五三」と呼び合いますし、年上の大和を三月はリーダーに指名する。大和自身も「お兄さん」を自称し、グループの最年長として振る舞っています。
三月は愛らしい容姿をしていますが、内面は男性的なしっかり者で、ムードメーカー。調理師免許も持っており、メンバーの生活をしっかりサポートします。最年長ではないものの、年長者の立ち位置です。
・大和が最年長
・三月は大和より年下だが、グループ内の年長者
というわけで、上記2点が必須条件です。
続いて壮五。壮五は成人しており、大和、三月とともに保護者サイドに立ちます。また、MEZZO"においてもしばしば環の保護者的立場を取ります。そして酔っ払うと豹変するのは壮五の非常に重要な個性です。少なくとも二十歳以上でなければいけません。
一方で壮五はその育ちもあって色々と未熟な点が多く、大和や三月からフォローされる立場にあります。「保護者サイドだけど成人組の中では末っ子、お酒は飲める」というのが、壮五の年齢の条件になります。
・壮五は飲酒可能
・壮五は大和、三月より年下
次に六弥ナギ。上でも述べましたが、ナギの場合は「内面や経験値は最も上だが、年齢的には未成年」というのがポイントです。お酒も飲めず、子供組にまとめられ、龍之介にも子供扱いをされます。ピタゴラトリオの末っ子でもありますね。
本国では大人でいなければならなかった彼ですから、IDOLiSH7の中で子供でいられることは安らぎでしょう。未成年であることは、ナギというキャラクターにおいて外せません。
一方で、ナギは包容力があり、メンバーの個性をそのまま肯定し、愛を示す、潤滑剤であり心の支えになるキャラクターです。二部では過去の経験を生かし、広報担当者の顔も見せます。また、頻繁に海外渡航を繰り返す様子や、女性とのアバンチュールを狙う様子も見せます。IDOLiSH7加入前には、本国で公務にも就いています。
あまりにも年齢が若すぎては、彼の行動や個性に説得力が生まれません。ナチュラルの記号にも示されるように、年齢的にも成人組と子供組の真ん中にあって双方を取り持つのがふさわしい。
・ナギは未成年
・しかし若すぎては説得力が無い
七瀬陸。IDOLiSH7の顔であり、センターボーカルであり、中心的キャラクターです。また、プレイヤーキャラクターである紡と同い年でもあります。
ゲーム的に、彼は最年少や最年少といった「端っこ年齢」にはしにくいでしょう。また、持病を抱えながらアイドル活動をする陸に、学生生活をさせるのはあまりにも過酷すぎます。中退とするのも話が重くなりますから、きちんと卒業はさせたい。かといって、お酒の席に出られる年齢にするのもトラブルが予想できてしまいますし、高校生である年下の相棒・一織との関係性もストーリーの主軸ですから、あまり年かさにはしにくい。
また、双子の兄を「天にぃ」と呼び、天然ドジっ子だが前向きで一生懸命で、周囲に愛され世話を焼かれるという陸のキャラクターからも、未成年で、グループでも年齢は下の方であるのが妥当です。
このあたり、ナギと陸は似たような条件になります。しかし、二人を同い年設定にしてしまうと、「同年齢ならではのコンビ感」が発生しそうです。すでに陸には天という双子の兄がいますし、一織というユニットの相方もいる。ナギとの関係性まで盛り込むとおなかいっぱいです。ナギとは年齢が異なる方がわかりやすいでしょう。
そしてナギと陸を並べたときに、彼らの個性から、ナギが年上であることが妥当です。
・陸は高校生は卒業させたい
・酒は飲ませられない
・ナギより下が望ましい
・一織より年上だが、年齢は近い
最後に環と一織。彼らは「同い年だがキャラクターは正反対、高校のクラスメイト」であることが非常に重要な設定です。そしてストーリーを書く上で高校3年生という立場は非常に難しい。進学を検討するなら受験の話題がどうしても出てしまいますし、卒業が間近になると高校生活との両立という話題も説得力がありません。かといって1年生では幼さがありますし、他のメンバーとも離れすぎます。やはり2年生がいいですね。
誕生月から考えると、1の数字を担当する=1月生まれである一織は16歳になってしまいますが、世間一般的な "高校2年生" のイメージはやはり、17歳。
環の場合は、誕生日を4月2日以降にすることも可能だったでしょうが、4月1日で学年でも末っ子というほうがキャラクターに合いますし、エイプリルフール的イベントもできますし、一織と環が同学年だけど年が違うというのもややこしいので、早生まれで揃えたのかな、なんて思います。
また、上でも少し述べましたが、陸と一織の関係はストーリーの主軸のひとつでもあります。一織が陸より年下で、まだ高校生だというのは大事なポイントですが、2歳差を明示すると、ちょっと年齢差がありすぎる印象になってしまうかもしれません。(MEZZO”の場合は年齢差が彼らの関係性の重要な条件のひとつですので、3歳差でも4歳差でもさほど問題ない気がしますが……)
・一織と環は同い年の高校生
・高校3年は描きにくい
・高2とするなら誕生月は無視して「17歳」と言いたい
・一織は陸より年下だが、あまり離れすぎてもしっくり来ない
年齢パズルを組みあげる
1)一織と環は「同じ17歳」の「高校生」で「受験や卒業はまだ先」
↓
2)陸は一織と「1歳違い」の「18歳」で「高卒社会人」
↓
3)ナギは「未成年」で「陸より年上」の「19歳」
↓
4)壮五は「成人組の末っ子」で「酒癖の悪い」「20歳」
↓
5)三月は「成人組」で「大和より年下」だが「壮五より年上」の「21歳」
↓
6)大和は「最年長のお兄さん」で「大学を出ている」「22歳」
これまで並べた情報をもとに考えると、この年齢表記がやはり最もわかりやすく彼らの社会的立ち位置や序列、関係性を示すのかなぁ、と思うわけです。(三月と大和はもう1歳ずつプラスしても矛盾はしないんですが、アイドルものの主役グループである以上、若い方がいいですよね)
もちろん、制作上は「年齢設定」と「性格設定」から関係性が構築されていったのだと思いますが、細かいところが矛盾するとしても「設定通りの年齢表記でざっくりとらえる」のが結局、彼らの関係性や立ち位置を受け止めやすいんだなぁと……。
結論として
・「実年齢(満年齢)」または「学年相当の年齢」のうち、イメージや設定としっくりくる方が各自採用されている
・作中で誕生日を迎えたとしても年齢は上がらない
・高校生組は高2相当の学校生活
と受け取るのが、一番わかりやすいかな~、と思っています。
そもそもなんでそんなに年齢を気にするのか
ストーリー上、陸と一織の年齢が近い方が違和感がないと書いたばかりですが、筆者和泉一織のモンペですので……。
一織が「最年少なのに有能」と「最年少らしい幼さ」のどっちも持ってるとこが大好きなもんで……。
一織が高2で陸が高卒(=大学1年相当)、つまり、
陸が誕生日を迎えて19歳になるとき、早生まれの一織はまだ16歳で3歳も年下じゃん、とか妄想すると最高に萌える
ということが言いたかっただけです。
萌えるよね。
お粗末様でした。
追記:誰が誰と同い年(同学年)なんですか問題
TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻも含めての「誰が誰と同い年なんですか問題」について、5周年特別ストーリーをベースに確認してみました。よかったら合わせてどうぞ。
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