スリルミー2021で初履修した私の感想覚え書き

タイトルの通りです。2ペア観たのでそれぞれについて触れています。なお、タイトル中の私は登場人物の「私」ではなくこの記事の筆者です。
また、この記事では内容・結末・展開に触れているので、読まれる際はご承知おきください。

それから、解釈は私個人のものなので、そういうものかーと思ってください。
(皆様の感想読んでると、日によって結構違う演技してたりするっぽいので、いつのを観てるかによっても変わりそう…)





それではそろそろいきます。





初回観た感想:なんかとんでもないものを観てしまった…

初スリルミーはそんふく回でした。
ふと見たら下手側通路を成河私が歩いていて、もうその雰囲気でやばいものが始まったことは理解しました(褒めてる)
成河さん、歩いてくるときからもう気配消しすぎで怖い。

それから、成河さん、19歳と53歳行き来するの自然すぎません…?
これはどっちがいいとかそういう話ではないのですが、
万里生私は切り替わる瞬間がはっきり見えるというか、「今からは現在(回想)のシーン」っていう区別がついていた。
成河私は、19歳の私と53歳の私がひとつの身体に同居していて、
多重人格の切り替えのよう(何かの作品で観たものなので実際にそうなのかは存じ上げません、すみません)。
53歳のシーンが始まるたびに「いつから私を19歳だと錯覚していた…?」って言われてる気分になって
そのたびメンタルをやられていました()


最初に見た時、「私」の眼鏡がどこにもないというのを聞いて
「彼」がわざと現場に落としてきたのかと邪推したんですが、
わざと置いてきたのは「私」だったのね…
(これ、にろまりを先に観ていたらたぶんこの発想にはならなかっただろうな。
福士彼の冷たさゆえですかね。
福士彼は成河私を玩具のような扱い方していて、
「お前じゃなきゃダメなんだ」の心のこもってなさが半端なかった。
あんなにセリフと醸し出す雰囲気が不一致なもの、なかなか観ない…
殺人を計画した時も、成河私に罪を擦り付けて自分は捕まらずに事件解決、
というところまで考えて筋書きを作ったのかもしれない、と思いました。
「私」は自分(彼)のこと大好きだから警察に売り渡すなんてしないと思ったかな、とか。
違ったけど。)

それを分かってから2回目そんふくを観たら、確かに「僕の眼鏡!!」っていう電話前後の成河私、めっちゃ冷静だった。

ちなみに、福士彼は弟のことが本当に嫌いで、自分が優秀な分「こんなに優秀なのになぜ認められないんだ」って思っていそう。
その点新納彼は本気の嫌いというよりも、自分も認めてほしいというような気持ちなのかなと。
弟を消したところで問題が解決しないことは分かっていそう。


この舞台、ほんとにペアによって全然違う話で、そんふく観た後にろまり観て会場出てから「全然違う?!」って3回くらい口走っていました。
その後は終演後に近くにいる人が「全然違う!」って呟いているのを聞いてニヤッとするという知ったかをかまして楽しむようになっていた()


そんふくは私→彼の矢印がとても強くて、一方通行な雰囲気をとても感じました。
「私」の要望に「彼」がなかなか応えてくれないからどんどんその矢印が巨大化していく。
その結果、とんでもない方法で「私」は「彼」を自分のものにすることに成功した。
そんふく観ると、「私」がやばすぎて
相対的に「彼」がまともな人間だと思ってしまうくらいには成河私やばい…

と初回は思ったんですけど、成河私のやばさは何かを超越していて、
彼への矢印も彼に向いたものではなく、その後ろの何かを見ているのかもしれない。
最初は私→彼の一方通行感が強いなと思ったけど、私から出る矢印はとんでもないところを指しているのかな。
「まだわからない?」が、彼に伝わってないことの不満を表す言葉じゃなくて、
ガチのサイコパスだなぁと思って。
この瞬間に今までの成河私の不安定さが全部消えてびっくりするくらいの「凪」がきて、
成河私がラスボス第二形態みたいになったように見えたので、
初めてそこを見たとき鳥肌が立って「きもちわるい……!!!(※褒め言葉)」ってなりました。
(話はそれますが、このきもちわるさを感じた時、村井良大私とかだったらこのやばい感じいけそうだな、と思いました。
村井私が見えたのでいつやるか教えてください←??)

…で、そこが際立っているので、それまで尊大な態度だった福士彼が哀れに見えて、
その一転っぷりが見事に表現されていると思いました。


「彼」は別の囚人に刺されて亡くなったわけですが、成河私はそれに関して悲しみを感じていないように見えて、
それは成河私が
「(生きているか死んでいるかに関わらず)彼を自分のものにすることができた」という
目標達成一点集中型だったからなのかなぁと。
うーーん、サイコパス。←
あの人仮釈放したらやばそうにしか見えない、私には。
実際仮釈放が決まった時の「じ…ゆう…?」っていう低い声、壊れたロボットみたいである意味怖かった。
成河私の辞書に自由という文字はなさそう。



にろまりはまさに「究極の愛」というワードがぴったり。
愛というか執着というか…?
順序がおかしいけど、初演ペアにふさわしいペアだな~という感じでした。
矢印でいうと、お互い巨大な矢印で殴り合っている感じ。
そんふくを観た後ににろまりを観たので、「あっ彼が私を必要としている?!」ってびっくりした。
そんふくはサイコパスとサイコパスなりかけ人間の殴り合い、
にろまりは人間と人間の殴り合い。的な。
なんかどうしても、スリルミー観ると言葉が物騒になりますね。すみません。

成河私は「彼を自分のものにすること」という「事象」に興味があって、
万里生私は「彼」そのものに興味がある、という感じかなぁ。

でも99年を聴くとそれが顕著だったというか。
万里生私の新納彼に対する執着がばかでかいので、
ラストのほうは「私」が客席に背を向けているから顔がはっきり見えるわけでもないのに、
(だったよね…?すでに観てから日がたってきてるので記憶があいまいになりつつある)
「変だよ青ざめて」あたりからずっと万里生私が新納彼を笑顔で追い詰めていってるのがありありと見えるようで、
にろまりの99年はめちゃくちゃ怖く感じて帰り道にエンドレスで脳内再生されていました。


万里生私は冒頭の「お話しします…」の段階で既にぐずぐずになってしまうほどの巨大感情で、
おかしな形ではあったけれど、万里生私と新納彼の間には確かに固い絆があったことがよくわかる。
仮釈放が決まった時の「自由…?」も、彼がいなくなった世の中で自由なんか別に望んでいない、
と言ってるように聞こえた。


それから、私的千秋楽の日に気づいたので後から確認とかできていないのですが、
スポーツカーのシーンと彼が私に考え直すようお願いするシーンって同じメロディだったのか、と。

前者は彼が圧倒的上位から語りかけるシーン、後者は一転して弱者になった彼が縋るシーン。
後者の時にスポーツカーのシーンを思い出すことになるので、彼の立場の変わりっぷりを嫌でも見せつけられるし、
このシーンで同じ曲もってくる構造が彼に厳しすぎてスリルミーこわいってなる。(?)




あとはカーテンコール。それすら全然雰囲気が違って、
そんふくは早々に本人に戻って余裕のカテコ。
2人揃って深々とお辞儀して前屈したり、帰り際に福士さんが頭上の天板にWピースで手ついて去っていったり。
一方にろまりは没入感がすごくて、ふたりともなかなか帰ってこない。特に万里生さん。
ラスト近くにようやく笑顔見せてくれてホッとしたと思ったら、階段裏でスッと背中に手回して帰って行ったりで、こういうのをエモいっていうのか…!てなりました。



あとは、細かい(?)好きポイントを羅列します。

・万里生私の表情がころころ変わるときのギャップ
・万里生私がサスペンダーを肩から落とすときの色気
・ニーチェの本を投げられた万里生私、まず目次を読んで「火をつけろ」って書いてありそうな章(とは)を探しているところ
・万里生私の超音波「待てよ!!!」
・新納彼、2回目?のキスの時に口開けろって万里生私に指示してるのがちょっとやばかったので(以下自粛
・スポーツカーの時に子供相手に喋ったりキーを見せたり手を引いたりしてるのがうますぎて、そこに子供いそうだった
・ついでに新納彼、足が長い…
・成河私のすべてを覆すサイコパスっぷり(まじで初回は恐怖体験したと思った)←これのおかげで細かいことが語れないw
・成河私の、序盤(というか「彼」の下にいる「私」であるとき)の高い声
・「おとなしくしろ」の福士彼が、冷たいけどそれまでと比べて人間感あって好き
・福士彼、「死にたくない!!」の哀れさが優勝している


以上。書き殴ったので読みにくい…
最後に一言、スリルミー円盤ください。←

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