ストーリーオブマイライフ2021を記憶と記録に残したい

初演を何となく逃してしまい、今回が初SOMLでした。
色々考えたことを残しておきたくなったので、ここにつらつらと書いておきます。
読みにくいと思いますがご容赦ください。



さて、それでは。

今回は新たなペアを迎えての公演になりましたが、
両方観て感じたことは
田代・平方ペアは「トーマスがアルヴィンを探す物語」
太田・牧島ペアは「アルヴィンがトーマスを導く物語」
だな、ということ。

平方トムはアルに対してどうして、なんでっていう気持ちが強くて、
牧島トムはアルがいなくなったことがまだ実感がわかないというか、どうしたらいいのか呆然としてる、というような印象。

アルは田代アルがまだ現世(というかトム…?)に未練がある感じで、太田アルは天使の境地に達しているというか、からっとしてるなって印象を受けました。
まぁ、色々あったし見たタイミングが違うので、違う回を見ていたらまた違った感想になったかもしれません…

どちらも役交代でも観てみたかったな!
弟ペアは逆になったら兄ペアの印象に近くなりそう。あ、だからこういう組み合わせにしたのか?
兄ペアの逆を観れていないのが残念で、これはほんとに観たいです。正直あんまり想像がつかない。
あと、田代トムの肘が心配。笑


回数多めに観たのが兄ペアなので、あとは基本的に兄ペアの感想になります。


最初に観た時、アルはトムに自分への愛を語った弔辞を書いてほしくて飛び降りたのか…?と思いました。
「おしまい」でカーター葬儀場に忍び込んだシーンが再度プレイバックされた時に、1回目のシーンでの契約内容を思い出したらそんな感じに。
ちょっとスリルミーの見過ぎかもしれない。
まりアル、「私」が見え隠れする……
「ここにはない物語を探さないで」じゃなくて「まだわからないの?」って言い出したらどうしよう、とか(やめろ)


最終的にこれはそういう話じゃないな、悲しいけど温かさがある物語だな、と思ったのでこの説は取り下げましたが、
徹底的に闇方面に解釈したらそれもあり得るよなぁとは思っています。
それだけ幅広い解釈の仕方があるって、改めてすごいことだな。



最後の観劇までに「すばらしき哉、人生!」を観て行ったので(アマプラありがとう)、全体の解像度は上がったものの、
「なぜあの話が好きだったアルヴィンが、飛び降りることを選んでしまったのか」が一番引っかかっているところです。
(根拠はないけどたぶん事故ではないと思っている)

トムがわざわざ「凍った」川で、って言うのがとても痛い。

あの映画で提示されていないifなので抑止力が働かなかったのか、
トムが投げる木の枝になりたかったのか、
ママのローブを追いかけたのか、
川と一緒に海を目指したかったのか…

それで思い出したこと。
『バタフライ』の時に、自分が書いた物語をきらきらした目で語るトム、
それをにこにこして見ながら話を聞くアル。
すっごくいい話…!って聞いてるうちに、トムがここからいなくなってしまう、と気づいて打ちのめされてしまうのが観ていてつらい。
(初回全然勘違いしたポンコツ解釈をしていたので、早めに友人に教えてもらってよかった、私だけなら次観るまでは気づかなかった)
(本当に言葉がない芝居の解釈をするのが不得意だと思った今日この頃。ぱっと理解できる人がうらやましい)

最初は、よーし久しぶりに聴ける元基くんのバタフライ堪能するぞー!!って思ってたのに、
ふとアルに目を移したらちょうど絶望の表情に変わる瞬間を観てしまって、
あっ…きつい……と思って以降
アルから離れられなくて大変でした。笑
トムの、「きみのーはーーねーー」から先、無限の世界へ踏み出していく伸びやかさとキラキラ感
アルの、トムを見送って、自分はここから出ないで生きていかなければいけないという絶望感
この対比が残酷なほどはっきりと表れていて、苦しくて泣いてしまいましたね。。

(話はズレますがこの対比どこかで見たことあるな…て思ってたんですけど思い出した。「生きる」で勘治が息子に余命半年の病気の話をしようと部屋の前まで行ったら中で息子夫婦が子供ができた、将来を見据えて家の建て替えをしよう、って未来の話をしていた時のやつだな。あの時も泣いた。この類に弱いらしい)



この、表情が変わるタイミング、それぞれのペアで違ってて、
田代アル→「一緒に行きませんか」あたりで、あっトムが連れていかれちゃう…となる
太田アル→ほんとに最後、「憧れの海を見た」で、トムが外の世界に出て行っちゃうんだ…と気づく
だったかなと思います。
(弟ペア一度しか見れてないので違ってたらごめんなさい、でもアルの様子変わらないなってずっと見てたので終盤なことは確か)

まりアル、気づくの早い。繊細。
最後に観た時は「送れば?」で泣いてたかなと思ったけど、記憶違いだったらすいません。

短編小説の中身を聞く前は、「君の将来は僕の手の中にある!?」って冗談まじりで笑ってたけど、
聞いてみたらそんな軽口叩けないぐらい素敵な物語ができていて、
僕が口を挟むような隙はない… てしゅんとしてしまった。

そんな風にしてトムを見送ったからこそ、
素晴らしい才能があるトムなのに、なんで新作を書かないの?
っていうのは余計に不満だったのかもしれない。



アルは、生前知らなかったトムの実情や身の回りのごたごたを、
今回トムと会話することによって知ることができたけど、
トムはアルに何があったか知ることはできない。
変わり者で子供のままだと思っていたアルが、実はすごい存在だったんだ、と気づくことはできたけど、
それはトムが実際見てきたアルをもう一度掘り起こしてみた結果得られた気づきであり、
今目の前に現れているアルから新しい情報を知ることはできない。
この差は生きている人間とそうではない者の違いってことでしょうか。


トムは、無意識のうちに見下していたアルに実は素敵な才能があると気づいて、
それを素直に受け止められるのは素晴らしいなと思いました。
あいつにできるはずがない、そんな簡単なことじゃない、ベストセラー作家の俺が言うんだぞ、って言いたくなる気持ちはわかるし、
状況は違えど昔の友人といつの間にか考え方の違いで疎遠になることはあるので、
昔のイメージのままで固定されている人への印象を変えるのって容易ではないよなーと思う。
すごい人になってたらそれはそれで嫉妬しちゃうし、トムもそうだったけど、
考え直せる気持ちを持っていたのは素敵だった。
作家になって以降の平方トムはメリリーウィーロールアロングのフランクと被って見えたけど(中の人案件)、
フランクより温かい人でよかった。


あの、父親の弔辞を話す田代アル、面白かったので一度あれ全部聞こえるように話してみてほしい…
田代アルのお父さんは金八先生説(違います)



最後、「アルヴィンの物語をお話しします」って言うトムに向かってすごく優しい表情で「ありがとう」って口パクするアルを見たら、既に泣いてたけど涙腺が決壊しましたね。
べしょべしょな状態なのに、カテコでは笑わせにくるから感情が忙しい。かわいいからいいけど。






最初に観たのは兄ペアアフタートーク日でしたけど、このお話を観て、アルヴィンの
「君はそこにはいなかった。だから、何が起きたか知ることはできない。
そこにはない物語を探さないで」
という言葉にはっとしました。

アルヴィンのようなことではなくても、割となんでだろうって考え込んでしまうたちなので、
”「私はそれを知らない」というのは結論であり、そのことで苦しまなくていいんだ”
と、ある意味気持ちに赦しを与えてくれて、心をやわらかくしてもらった気分になりました。




数日後の衝撃も、必死に「そこにはない物語を探さないで」と言い聞かせていた。
まさかこんなにすぐ、その通りの意味でこのフレーズが必要になるなんて思わなかったけれど。

本当に、苦しい時には無理をしてほしくないし、
周りの人たちや仕事仲間の人たちが何かを抱え込んでしまったりしないでいてほしいな。






色んな意味で記憶に残る公演でした。
近い将来再再演がありそうなので、その時はもう少しチケット増やすぞ。
その時はぜひ逆ペアもよろしくお願いします。
あと次回はできれば地方公演もよろしくお願いします!チケ戦きびしい~~





※2つ上の数行は、この公演のことを話すうえでどうしても思い出すことなので書きました。
ふさわしくないかもと思ったら消すかもしれません。

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