生まれも育ちも悪い①

ヨーテルは生まれも育ちも悪いです。

まだヨーテルが生まれる前、母ヨーテルも生まれる前、祖母ヨーテルが生まれた時代は戦争をしていたそうです。曾祖母ヨーテルはたいそう綺麗だったそうで、踊り子をやって人気だったそうです。曾祖父ヨーテルはあまり男前では無かったけど結婚して子供が4人生まれます。3人女の子で1人男の子です。女の子は2人は曾祖母に似て1人は曾祖父に似てました。その曾祖父に似た女の子が祖母ヨーテルでした。男の子はイケメンで野球が得意でしたが、曾祖父と共に戦争で亡くなりました。

曾祖母と3人の女の子は曾祖母が頑張って働いたので高校まで出して貰えたそうです。そして祖母ヨーテルはデパートの店員になり、数年働き見合い結婚しました。祖母ヨーテルは他の姉妹に見た目が劣るので自分の見た目に自信が無かったのですが、目だけはパッチリ二重でした。ですが、祖母ヨーテルが産んだ子は女の子と男の子１人ずつで2人とも祖父ヨーテル似て一重でした。

女の子は祖母ヨーテルの二重が羨ましくて羨ましくて仕方ありません。まだ整形が一般的では無かった時代なので母ヨーテルは糊を使って二重にしていました。そんな母ヨーテルは小さな会社の次男坊であった父ヨーテルと結婚して子供を産みます。父ヨーテルが「子供は1人でいい」と言いましたが、母ヨーテルは「絶対に3人産む」と言って女の子2人と男の子1人を産みました。

1人目の女の子はとても不思議な事に祖母ヨーテルにそっくりでした。祖母ヨーテルがヨーテルを連れ歩くと「貴方が産んだの？？」とご近所が祖母ヨーテルに聞くほどでした。母ヨーテルは自分がとても欲しかった二重だったのでたいそう喜びました。ですが、次の女の子と男の子は一重でした。

母ヨーテルはヨーテルに「アイドルになれる」「女子アナになれる」と言い、そして「この鼻はダメだから高くしないと」「顔が大きいから帽子はかぶっちゃダメよ」とヨーテルに話します。ヨーテルは呪いを受けました。

妹ヨーテルは生まれつきの持病があり、母ヨーテルは育児ノイローゼになり自殺未遂をしました。自殺が未遂になったのは幼稚園児のヨーテルが止めたからです。それから母ヨーテルは呪文のように「あんたは大丈夫」とヨーテルに言います。「どんな話でも何を言っても聞き流すもんね！あんたは大丈夫」「右から左にしか人の話を聞けない子だもんね！あんたは大丈夫」小学生のヨーテルは私は聞き流すフリをしないといけない大丈夫じゃないといけないんだと思います。

父ヨーテルは休みの日はずっと自分の部屋でパソコンやゲームをしていました。怖い漫画と美少女フィギュアが置いてあり、母ヨーテルは処分しろとヒステリーを起こすので隠して置かれていました。時々父ヨーテルと古本屋さんやゲームセンターに行くのがヨーテルは楽しかったです。

そんな日々の中で母ヨーテルは癌になりました。

小学生のヨーテルは母ヨーテルの胸の傷を見せられます。酷い色でした。髪が抜けるところも見せられます。「髪は女の命なのよ」と母ヨーテルは無表情で言っていました。

②に続きます