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生まれも育ちも悪い③

父ヨーテルは結婚前はタバコを吸っていたが、母ヨーテルが嫌がったためタバコを辞めたそうだ。香水も大好きだったが、同じく嫌がられたため辞めていたそうだ。

母ヨーテルが亡くなる前も誰なのか分からなかったが、今の父ヨーテルも誰なのか分からない。

父はいつも暗い自分の部屋で怖い漫画やゲームをしていた人のはずなのに。

ヨーテルの目の前の父はタバコを吸って香水の香りがして父ではなく男の顔をして男として女のヨーテルに話しをしていた。

母ヨーテルの事は「あの女」となっていて言い寄る女性が2人いてその女性は1人は若いメンヘラで1人は子持ちバツイチで出会いはネットだそう。

「お前に決めて欲しい。どっちが新しいお母さんになって欲しい?」

母ヨーテルが亡くなってまだ3か月も経っていないのに新しい母を決めろと言われる。もう母なんていらないのに。

「わからない」

「じゃぁもう少し待ってやる」

母に隠れて分からなかった。

ヨーテルの家は母も父もおかしいのだ。

父の話を聞いているとどうやら推しはバツイチのようだ。暫くするとバツイチに決まったと報告された。それからヨーテルに

「仲を取り持って欲しい」

中学生になったヨーテルは父とバツイチの仲を取り持つ事になった。下の兄弟達も家に戻って来て週1回で祖父母が来るようになった。そして同じく週1回バツイチと会うことになり、そのたびにヨーテルは明るく好意的にふるまって兄弟達とバツイチが上手くいくように頑張っていた。

その頃からヨーテルは心の調子が良くない。少しの事でヒステリーを起こして祖父母にキレるようになった。何を食べても足りないし、イライラするし、涙が止まらない。

学校の自転車のカギがかけられなくて呼び出されて説教をされた。先生は「お前は車のカギをかけ忘れるのか!?」と怒鳴ったが13歳のヨーテルは運転免許を持てないし車も持ってないので分からなかった。内申点をこっぴどくしてやるとも言われたが、ヨーテルは勉強をしてないので高校に行けるかも分からなかった。

とにかくその時のヨーテルは父とバツイチの仲を取り持つ事に必死だった。

「アニキにはついていけん。仕事辞めたわ」

父は親の代からの小さな会社を辞めた。父の兄が今の社長でとても優しい人でたびたびずる休みをする父の面倒を見てくれていた。だが、父は面白くないようで母の保険金が入ると仕事を辞めた。

保険金は3000万程度はあったそうだ。父は車の部品を買い集め改造したり、バイクを買ったり、私達に色々買ってくれた。そして残り少なくなったある日、父は兄の会社に出戻った。

「家を買うぞ」

これはつまりバツイチと結婚するということだ。ヨーテルは中学3年生になっていた。引っ越しの準備をしていたら修学旅行の時期になっていた。

④に続きます

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