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精神病院物語-ほしをみるひと

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連載長編、精神病院物語のマガジンです。
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2019年2月の記事一覧

精神病院物語-ほしをみるひと 第二十話

 外泊の日、朝食を済ませると、母がやってきて看護師に手続きをしてもらい、僕は一ヶ月半ぶり…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十九話

 外泊まであと一日。前日までは潰さねばならない時間の重みに押し潰されそうだったが、今は別…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十八話

 その日の夜、隣のベッドに人はいなかった。一つ先のベッドではおじいさんが静かに寝息を立て…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十七話

 外泊までまだ二日も待たねばならなかった。僕は心のどこかで、外泊さえ決まってしまえば後の…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十六話

 外泊の日は決まった。待ち遠しい気持ちは僕の入院生活を彩ってくれた。あと三日我慢すれば、…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十五話

 患者は病状が悪化すると、緊急措置として隔離室に入れられることがある。僕もあの調子では入…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十四話

 昨日は二人の女性の、普段はみられない一面をみることになった。  江上は家族に対してコンプレックスがあり、特に「遺伝」に関しては憎しみすら抱いているようだった。  病棟ではあれだけ明るく振る舞っている江上も、家庭では相当に闇を抱えていたのだろうか。  やはり想像ができなかった。江上のような女性はいつも明るくいて欲しかった。  来宮さんのことも深く考えさせられる物があった。人はいるべき場所にいなければならない。そうじゃなければ、いる場所がなくなってしまう。  来宮さんから聞いた

精神病院物語-ほしをみるひと 第十三話

「トランジスタかぁ、トランジスタかぁ」  夜中の二時頃だっただろうか、酔っぱらいのような…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十二話

 幻聴は波のように断続的に起こっては消えていった。まるで聞こえない一時、僕は自分の現状を…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第十一話

 入院から一ヶ月が過ぎ、それまで止まっていた幻聴は僕の入院生活に陰を落とし始めた。  今…

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