絵のこと

家を掃除したので久しぶりに筆を握った

けれども画面に浮かんでくるのは
これまでどおりの  
暗い  どろどろな自分ばかりで

ぼくは
新しい  優しいものを  描きたいと願っていたが
絵はいつでも応えてくれる訳ではなかった

やさしい絵はやさしくならなきゃ描けない
優しくて、したたかなにんげんになりたい

けれどそれは在り方としてまちがっている

ぼくがえをえがくのは
ただ楽しい 純粋な光からではなかったか

絵画制作のおおきな報酬のひとつ
絵を描くという行為
それ自体に
無心でのめり込み、言葉や思考、欲望の先にある領域に至る体験

何も特別なことではなく、邪念なく身体と心を使うことが出来ればできることだ

目の前の
描くこと、ただ描くこと
ぼくが描いているのか 絵が描いているのか
画面に描いているのか 画面と描いているのか

没入し、リズムやうねりに身を投じること

考えるな、欲するな
解いていこう。



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