豆がうまいカフェといえば…?

術後から何故か頭から離れなかったことがいくつかあるのだが、そのうちの一つが美味い豆が食べられる喫茶店、だ。内装の記憶と、豆がうまいという記憶しかなかったので、見つからないものと決めつけており、探そうとしなかった。
もうこれでなんというお店かわかった方はすごい。地元民かコーヒー好きか、はたまた何か。
後々思い出した記憶によると、社会人になってから先輩方に連れて行ってもらい、初めて知ったようだ。いや、存在だけは知っていたものの、入る勇気はなかったようだ。
「とにかく、豆がうまい。一回食ってみろ、人生変わるぞ。」
そんなことを言われた気がする。
そこまで言うなら、と近くにあったお店に立ち入り、そしてあのセリフを言うのだ。
「豆がうまい!」と。

この珈琲店が退院後に良くいくエリアにもあることを知って、というかたまたま見つけてしまって、思わず入ってみた。
見つけた瞬間、妻を半ば引きずるようにして駆けこんだくらいだ。何か思い入れがあったわけではなさそうだが、とにかく入らなければ、という使命感にかられたのだ。
あの豆を味わうまでは帰るわけに移管、と。
そして、あの豆を食べてまた言うのだ。
「豆がうまい」と。
すると、中途半端に覚えていることが一瞬繋がった気がして、膨大な記憶が流れ込んできたかのような体験をした。
まあすぐに忘れたが。

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