Everybodyを再考する。
あんにょんはせよ。 SHINeeWORLDに生息しているよっしーです。
最近、PRODUCE 101 JAPAN(通称:日プ)で我らがSHINeeの名曲 『Everybody』 がカバーされるともっぱらの話題ですね。
なのでこの機会に乗じて、『Everybody』 という楽曲を改めて考えてみようと思いました。
私はダンスのことは何1つわからないので(まぁ”1週間でエビバデ”がどれほどのパワーワードかくらいは想定つきますが)、主に歌詞やMVの考察になります。
ここから紹介するのはあくまでも私の考えですが、この記事を読んでSHINeeの 『Everybody』 に少しでも興味を持ってくれる人が増えればと思いますし、もちろん『Everybody』をよくご存じのシャヲルの皆様にとっても、もう一度新しい目線でこの曲を楽しむきっかけとなればいいなと思います。
0. Everybodyを知らない方へ
まず、なんとなくこのnoteにたどり着いてしまった方に、簡単に『Everybody』という曲について説明したいと思います。
『Everybody』は、2013年にリリースされたSHINeeの5thミニアルバム 『Everybody』 に、タイトル曲として収録されています。
この曲はいわば、SHINeeの代表曲です。
多分全シャヲル(SHINeeのファンの通称)に 「SHINeeの代表曲はなんですか?」 とアンケートを取ったら、7割くらいの方が『Everybody』と答えると思います。(あとの3割は 『Replay』 と 『View』 あたりが占めると思われる。)
『Everybody』は、SHINeeにとってもシャヲルにとっても”そういう”曲なのです。
この曲の活動期であった2013 MelOn Music Awardsでは、アーティスト賞という大賞を受賞しましたし、彼らの初の東京ドームの1曲目もこの曲でした。
また、2016年に日本のFNS歌謡祭に出演した際、彼らが披露したのは当時の新曲でも、タイトル曲でもなんでもない、この『Everybody』でした。
そんな大切な思い出がたくさん詰まっている、SHINeeとシャヲルにとって思い入れのある1曲なのです。
楽曲やパフォーマンスについては、口で説明するよりも見て聴いた方が早いと思うので、公式の動画を貼り付けておきますね。
では、ここから本格的に『Everybody』という楽曲を改めて考察していきたいと思います。
1. 彼らが目覚めるのは、朝ではない
まず、この曲を聞いて印象に残るのが「Everybody Wake up Wake up 」 というロボットのような声で繰り返し発せられるフレーズです。超簡単に言えば「みんな起きろ」と言っていますよね。
そしてこの”Wake up”のあとに来る歌詞が、韓国語では「해가 뜬다(日が昇る)」 、日本語では 「目醒めよ」です。
日本語は”Wake up”を繰り返しているようなものなのであまり気にしなくて良いのですが、韓国語では 「日が昇る」 と言っているので普通に聞いていたら、”朝”が連想されます。「日が昇って、朝が来たから、みんな起きろ、目醒めよ」と言っているのだと考えるのが普通です。
しかし、曲が進んでいくうちに、彼らが目醒めるのは”朝”ではないのだと気づきます。そのきっかけをいくつか紹介しますね。
まず1つ目は、音源の49秒あたりのミノパート。韓国語版と日本語版の歌詞は以下のようになっています。
▼韓国語版
이 밤의 틈새를 파고 든 순간 처음 듣는 리듬이 널 찾아 간 시간
(この夜の隙間に深く入り込んだ瞬間 初めて聞くリズムが君を訪れた時間)
▼日本語版
この夜に堕ちる瞬間 上手に上手に風に乗る
そして2つ目が、2分49秒あたりのジョンヒョンからのテミンパート。
▼韓国語版
아침이 와 다시 어른의 지친 가면을 써
(朝が来たらまた大人の疲れ果てた仮面をつけて)
우리만의 비밀스러운 밤을 간직한 채
(僕たちだけの秘密の夜を大切にしまったまま)
▼日本語版
またキミは朝日に仮面をかざすのさ
ココロはこの夜の淵に残して
上にあげた2つのパートの歌詞を見てわかるように、この曲は”夜”が舞台なのです。
また、日本語版ではサビの最後の部分が 「キミ呼び起こせ」 となっていますが、韓国語版では一部「잠든 이 밤을 깨워(眠りについたこの夜を起こせ)」 という歌詞になっています。
ここからもわかる通り、やはりこの曲は”夜”に歌われている曲であり、みんなが目醒めなければいけない理由は”朝だから”ではないのです。「日が昇る」の”日”は、実際の太陽を意味するのではなく、「僕たちの時間が来た」ということの比喩だと捉えることができます。
2. ”大人”と”子供”が意味するもの
この曲を考察する上で、2つ目の重要な要素は、”大人”と”子供”の対比です。
まず、これらの単語が直接言及されている歌詞を見てみましょう。
・33秒あたりのテミンパート
▼韓国語版
늘 어른스런 가면 뒤에 가려져 있는 소녀의 눈빛과 같은 반짝임 눈부셔
(いつも大人びた仮面の裏に隠されている 少女の眼差しのような煌めきが眩しい)
▼日本語版
リアルに鏡が映し出す その仮面が隠してる あどけない少女
・41秒あたりのジョンヒョンパート
▼韓国語版
한 번쯤 철없이 굴고 싶었을 걸 네 가슴 안에 사는 너를 닮은 그 애처럼
(一度くらいは分別なく振る舞ってみたかっただろう 君の胸の中で生きる君に似たその子供のように)
▼日本語版
大人になれば どうしたってもう 眠りの森で道を探すのさ
・1分51秒あたりのキーくんパート(日本語版のみ)
▼日本語版
子供のように壊したっていい
・2分6秒あたりのテミンパート(韓国語版のみ)
▼韓国語版
난 마치 피리 부는 사내처럼 넌 마치 자유로운 아이처럼
(僕はまるで笛を吹く男のように 君はまるで自由な子供のように)
・2分49秒あたりのジョンパート(韓国語版のみ)
▼韓国語版
아침이 와 다시 어른의 지친 가면을 써
(朝が来たらまた大人の疲れ果てた仮面をつけて)
次に、上の歌詞の中から”大人”と”子供”がそれぞれどんな単語と一緒に使われているか整理してみます。
大人:仮面、隠す、眠りの森、朝、疲れ果てた
子供:煌めき、眩しい、分別なく、壊す、自由な
こうして対比してみるとわかりやすいのですが、”大人”という言葉は何かを隠す”偽り”の対象として使われ、その反対に”子供”という言葉は”自由で、眩しい”ものを表しています。
今までの流れを考えると、
「彼らが子供のように何も考えず自由になれるのは、”日が昇る”夜だけであって、朝が来たらまた”大人”という偽りの、規則に囚われた仮面をつけなければならない」
ということですね。
▽MVにも登場する仮面
(引用:https://www.youtube.com/watch?v=hKbNV-4b_g8 )
3. モノクロの世界
今までは主に歌詞の内容に注目してきたので、ここで一度MVに登場する視覚的な要素も考察に取り入れてみようと思います。
なのでもう一度公式のMVを貼りますね。(公式からYouTubeにフルで上がっているのが韓国語版しかないので韓国語版のみ貼っておきますが、日本語版もほぼ同じ構成です)
私がこのMVでもっとも注目したいのはその色彩です。
MVを一通り見ていただければお分かりになると思うのですが、こちらのMV、モノクロで始まりモノクロで終わっています。
(引用:https://www.youtube.com/watch?v=hKbNV-4b_g8 )
途中で衣装や背景に色が入り、モノクロの世界と交互に映し出されますが、結局最後はモノクロに戻ってしまいます。
彼らのメイクも特徴的です。今では考えられないほどのスモーキーメイク(これは確かに時代的にそれが流行っていたというのもあると思う…いやでも、時代的にみても少し遅い気もする…わからん)。
とにかく、MVから与えられる印象がダーク寄りなのです。
これは、先ほどから言っている、この曲の舞台である”夜”とも関係していると思いますし、どこか彼らが閉じ込められている”闇の中”のようなものも感じます。
4. 結局彼らは”そこ”から抜け出せない
ここで、今まで出てきた要素を整理したいと思います。
・この曲の舞台は夜
・彼らは夜になると”大人”から”子供”になれる
・朝が来たらまた”大人”の仮面をつけなければいけない
・モノクロに始まり、またモノクロに戻っていくMV
そして、上記の要素を元にこの曲のテーマを整理してみると、
「僕らが自由になれる夜が来たから、目を醒まして、”大人”の仮面を外そう。”子供”のように自由に思いっきり生きよう。」
といった感じでしょうか。
こうして見ると一見、痛快に闇を打ち破っていく的な曲(ここに来て語彙力が消滅)に聞こえるじゃないですか、パフォーマンスも、曲調も、「みんな立ち上がれ!!!」と叫んでいるような。
でも、待ってください。先ほども紹介したこの歌詞をもう一度みましょう。
▼韓国語版
아침이 와 다시 어른의 지친 가면을 써
(朝が来たらまた大人の疲れ果てた仮面をつけて)
우리만의 비밀스러운 밤을 간직한 채
(僕たちだけの秘密の夜を大切にしまったまま)
▼日本語版
またキミは朝日に仮面をかざすのさ
ココロはこの夜の淵に残して
…そうです、彼らには結局”朝”が訪れてしまうのです。
結局、現実は何も変わらないんですよ。自由になれるのは”夜”だけで、また仮面をつける”朝”に戻るのです。彼らは、”朝”を変えることはできないのです。
先ほどのモノクロの話も踏まえつつ、MVの最初と最後を見てもらえるとわかりやすいのですが、
最初:子供が部屋に入ってくる→コンセントを入れる→彼らが動き出す
最後:また動けない状態に戻っていく(その部屋からは抜け出せない)
(引用:https://www.youtube.com/watch?v=hKbNV-4b_g8 )
結局「目醒めよ」と歌っている彼らでさえ、自分たちの力で動くことはできないのです。
MVが最後モノクロで終わっていくのも、そういう理由なのかなと思います。彼らはその世界から抜け出すことができないんです。
なんかこうして考えてみると、この曲、現実世界の闇を表しているようではないですか…。内側に秘めているものがあっても、外側の仮面を外すことができない、自由に生きたくても結局ルールに縛られて生きなければいけない…そんな世界を表しているようで、少し悲しくなりますね。
あ、注意して欲しいのですが、もちろんこれはただの素人シャヲルの解釈ですし、この曲がシャヲルもSHINeeもブチ上がる☆SHINee史上最強の曲だということには何の変わりもないです。
でも、いつも華やかなパフォーマンスに目が行きがちなので、改めてこうして歌詞の内容をゆっくり見てみると、新たな何かが見えてくるようで面白いですねって話です。
おまけ:彼らが”そこ”を抜け出すとき
このように 『Everybody』 を再考してみて、楽曲の新たな側面に気づくことができました。
ここまでで述べたように、結局『Everybody』の中では、SHINeeは本当の自由を手に入れることができていません。
『Everybody』はあくまで夜の間の物語であり、朝になったらまた現実を生きなければならない。彼らはまだこの時点では、まだあのモノクロの部屋に閉じ込められたままなのです。
さて、ここから先はおまけとして読んでいただければ良いのですが…
『Everybody』という楽曲の中だけで見たら、まだ彼らは夜の世界に閉じ込められたままです。
しかし、SHINeeというグループが歩んできた道を振り返ってみると、ある時点で彼らは”そこ”から連れ出されています。
もうシャヲルの皆さんならお分かりかと思いますが、
『View』の世界でのお話です。
時系列的にも『Everybody』の次の活動曲に位置する 『View』 ですが、彼らはこの曲の中で、今いる場所から”美しい場所”へと連れ出されます。
モノクロだった世界に”音の色”が見え始めて、仮面をかぶって生きていた世界が、”何も隠さなくていい”世界へと変わっていくのです。
もちろん『Everybody』と 『View』 の間には何か公式的に発表されている相関関係も、ストーリーもありません。悪く言えば、ただのこじつけです。
でも、こうして目に見えない繋がりが、SHINeeの物語の一部になっているのではないかと私は思っていますし、何より、こうして彼らの音楽を深く読み込んでいくのが好きなのです。だから一個人の趣味として、大目に見てください(笑)
もしこういうお話が好きな方がいらっしゃいましたら、一緒に語りましょう!!
日プの話から始まってだいぶ遠くまで来てしまったので、今日はこの辺で〜〜!
最後までお読みいただきありがとうございました!
いつか、だいすきなSHINeeに恩返しができるように、たくさんの想いと言葉をためています💎